望みをつなぎたい状況とは裏腹に
フォレストに敗れた段階で残留の可能性は風前の灯。サウサンプトンが37節に望みを繋ぐためには少なくとも勝利を掴む必要がある。
そうした崖っぷちな状況を強いられているサウサンプトンだが、フラムとの試合で実際に見られた展開はそうした追い込まれた状態とは異なるもの。バックラインには全くプレスに行かなかったため、ボール保持はフラムが延々と支配する。
主導権を握るレベルではなく、フラムからボールを取り上げることができず、自分たちの保持のターンを持って来れないくらいサウサンプトンはボールから見放されていた。特に初めの15分はこの流れが顕著。フラムの大きく開くバックラインが外循環でボールを持ちつつ、ハーフスペースの裏を狙っていく。
ベトナレク、リャンコはハーフスペースをなんとか防いではいたが、そこから侵入されている時点でなかなか陣地回復は苦しいものになる。サウサンプトンはそこからボールを持ち直す手段がなかったように思う。
前半はこの流れが延々と繰り返されるだけ。勝たなければいけないサウサンプトンだが、ボールの取り所だけ見れば相手がマンチェスター・シティなのかな?というくらい解決策が見えなかったことはファンにとっては頭が痛かっただろう。
これではいけないと感じたのかサウサンプトンは後半頭はボールを持っていくスタート。その甲斐があってか、後半早々にアルカラスが抜け出すアクションからネットを揺らしてみせる。しかしながらこれは僅かにオフサイド。サウサンプトンの千載一遇の先制点のチャンスはノーゴールになってしまう。
すると、この流れをひっくり返すようにフラムが先制点をゲット。前半から繰り返していたハーフスペースの突撃がついに実り、最後はインサイドで待ち構えていたヴィニシウスがゴールを仕留める。サウサンプトンからすればまさに天国から地獄と言える数分間だっただろう。
2点が必要になったサウサンプトンは保持のフェーズを増やしながらボールを動かして打開を狙う。しかしながらボールを持たれると終わる。取り返すことができない。
ボールを奪ったらフラムはウィリアンを預けどころとしてボールを握り直す。リードしたフラムは淡々と試合を進めていく。
そして、トドメを刺したのはミトロビッチ。サウサンプトンの降格を決定づけたのは長期の出場停止から復帰したエースの一撃。残り時間はあったが、この一発で試合は実質終了。サウサンプトンのプレミア生活は11年で幕を閉じることとなった。
ひとこと
結果もさることながら、アルカラスのゴール以外はなかなか意地を見せられなかったというのがそもそも辛い。
試合結果
2023.5.13
プレミアリーグ 第36節
サウサンプトン 0-2 フラム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
FUL:48′ ヴィニシウス, 72′ ミトロビッチ
主審:トーマス・ブラモール