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「Catch up Premier League」~Match week 37~ 2023.5.20-5.22

目次

トッテナム【7位】×ブレントフォード【9位】

ECL出場権争いは最終節にもつれ込む

 残留争いとは無縁のプレミア昇格2シーズン目。ブレントフォードの旅路は順風満帆なように思われた。しかし、シーズン終盤についに疑惑の男トニーに処分が下されることに。これからブレントフォードは8か月もの間、エースの不在を埋める試練に立ち向かう必要がある。

 両チームの対戦はECL出場権をめぐる直接対決になる。トッテナムが勝てば、7位争いからはブレントフォードを消し去ることができるといった状況である。

 トッテナムは前節に引き続き4-4-2での形を踏襲。前節はわずかに3-4-3らしさを特に保持では残していたが、今節はよりはっきりとした4-4-2でブレントフォードに挑んでいく。

 立ち上がりはファストブレイクの応酬だった。高い位置にプレスに出ていくトッテナムに対して、ブレントフォードはサイドから裏を取る形で応戦。左サイドのヘンリーが核弾頭となり、トッテナムのゴールに迫っていく。

 しかし、よりペースを握ったのはトッテナムの方。セットプレーからケインのFKで先制すると、それ以降のファストブレイクでもテンポをつかむ。

 特に印象的だったのは右のSBのエメルソンの攻撃参加。左サイドのソンを中心に行う崩しに対して、逆サイドからのオーバーラップで仕上げ役としてPA内に顔を出すように。トッテナムは先制ゴール以降もファストブレイクを中心に決定的なチャンスを作っていく。

 一方のブレントフォードはやや苦戦が目立つ内容だった。自陣からの保持は先制点以降はボールを持たされる展開が続き、打開の方策が見えてこず。同点にもっていく糸口をつかめずに苦しい状況に陥る。

 後半頭は均衡した立ち上がり。両チームともじりじりとゴールを狙う中、先にネットを揺らしたのはブレントフォード。スローインからウィサが逆サイドのムベウモまでつなぎ同点ゴールをゲット。試合を振り出しに戻す。

 トッテナムは負けじとケインにチャンスがあったが、これをものにできず。逆サイドにはフリーのソンがいたが使うこともできなかった。

 同点ゴールを皮切りに勢いに乗ったのはブレントフォード。とくに絶好調だったのはムベウモ。デイビスとラングレの裏を強襲したムベウモのゴールでブレントフォードは逆転に成功する。さらにはスキップのミスに漬け込む形でウィサが決定的な3点目を手にする。

 トッテナムも終盤には攻め込む姿を見せるが、立ちはだかるのはラヤ。守護神がトッテナムに追撃弾を許さない。

 結局試合はそのまま終了。前後半で試合が一変したこのゲーム。アウェイのブレントフォードが見事な逆転勝ちを決めてECL出場権獲得に望みをつないだ。

ひとこと

 エースなしでこれだけトッテナムと張れるので来季の心配は少し薄くなった。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
トッテナム 1-3 ブレントフォード
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:8′ ケイン
BRE:50′ 62′ ムベウモ, 88′ ウィサ
主審:ジャレット・ジレット

リバプール【5位】×アストンビラ【8位】

華麗なフィルミーノのラストダンスもCLへは赤信号

 逆転でのCL出場権を掴むためには絶対勝利が必要なリバプール。アストンビラを迎えてのアンフィールドのラストゲームに臨む。

 素早く背後を取っていく序盤のリバプールのプランはアストンビラの守り方と相性が良かったように思える。3-2-5のリバプールのバックラインにはアストンビラにプレッシャーをかけられないし、ビラのバックラインは高め。まずはリバプールのアタッカーがビラの最終ラインの裏をとることでジャブを打っていく。

 リバプールは非保持でも積極策を採用。サラーが2トップ気味にシフトする守備でアストンビラのバックラインにプレッシャーをかけている形。アストンビラはいつもよりもファストブレイクにチャンスメイクが偏っていた。

 しかしながら、リバプールは思ったよりもペースを掴むことができない。インサイドにパスをつけることができず、リバプールのトップはアストンビラのバックラインとの競争に。ヌニェスくらい身体能力に振り切っている選手がいればそれでもいいけども、ガクポをトップとする形としてはややフィジカルに寄りすぎていた感がある。インサイドに入ったアレクサンダー=アーノルドも最終ラインにサリーする形でブロックから逃げていたように、リバプールはインサイドでポイントを作ることができなかった。

 ビラは自分たちの手元にあるファストブレイクから結果を出す。ワトキンスがコナテに倒されてPK獲得。先制のチャンスを得る。しかし、これをワトキンスが決められない。

 だが、PKを決められなくても波状攻撃的にビラのターンは続く。PK失敗で流れを渡さなかったビラはそのご褒美として先制点をゲット。ラムジーが先制点を仕留めて先制する。以降もペースはビラ。前半は主導権を握り続けたままハーフタイムを迎える。

 オープン寄りの後半はリバプールの保持も含めてカウンター要素の強いファストブレイク勝負。先にチャンスを掴んだのはリバプール。セットプレーからネットを揺らすが、これは取り消しに。同点の機会を活かすことができない。

 このゴール以降はリバプールがビラを押し込む流れに。ビラはSHも低い位置に入り込むような6バック的な守り方で徹底的に撤退する形で受けていく。リバプールはガクポをIHにスライドするなど攻撃的なカラーを強めながらアストンビラに渡り合っていく。

 アストンビラはモレノの負傷でマッギンがSBにスライドするというアクシデントに見舞われてはいたものの、撤退守備で手堅くリバプールの攻撃を跳ね返す。アンフィールドでクリーンシートを達成する可能性が徐々に現実的なものになっていく。

 しかし、その空気を変えたのがフィルミーノ。リバプールのユニフォームを纏ってのアンフィールドラストゲームで9番がきっちりとゴールを仕留めてみせた。

 だが、このゴールで追いつくまでが精一杯。CL出場権確保という観点で言えば非常に厳しい1ポイントに終わってしまったリバプールだった。

ひとこと

 3-2-5型システムを採用し始めたアーセナル戦以来最も出来が悪かったように思える。インサイドにポイントを作れるわけでもなく、裏へのランで勝つわけでもない。どこで勝負したいかがやや曖昧だった。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
リバプール 1-1 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:89′ フィルミーノ
AVL:27′ ラムジー
主審:ジョン・ブルックス

ウォルバーハンプトン【13位】×エバートン【17位】

繋いだ希望は勝ち点1になる

 最終節に向けて少しでも勝ち点を稼いでおきたいエバートン。今節の相手はすでに残留を決めているウルブス。モリニューに乗り込み狙うは勝ち点3である。

 エバートンの守り方はどこかウルブスのビルドアップに合わせた形のように見えた。ウルブスのバックラインにはドゥクレとオナナが積極的にプレッシングに出ていく一方で、SHは高い位置を取るウルブスのSBをケアする。左サイドではSBを務めるのがマクニールだったため、イウォビにお守りを頼む意味合いもあったのかもしれない。

 立ち上がりのウルブスはまずは低い位置で守ろうとするエバートンのサイドから攻め込む形をとる。WGにボールが入れば自動的にハーフスペースを取る形でエバートンのいアクションを探るための序盤戦となった。

 同サイドのCBのスライドでこの動きをつぶすエバートン。自陣の低い位置からになった反撃はカジュアルなロングボール。トップのキャルバート=ルーウィンを狙う形で少ない手数で敵陣に迫っていく。

 このエバートンの動きに触発されたのか徐々にウルブスもロングボールを増やしていくように。ロングボールの応酬となった試合はエバートンの狙い通りの流れになったかに思われた。

 しかし、そんなエバートンに誤算が2つ。まずはウルブスがロングカウンターから先制ゴールを決めてしまったこと。ヒチャンとトラオレの2人で完結したカウンターでまずはウルブスが前に出る。

 さらに、エバートンはキャルバート=ルーウィンが負傷。これでロングボールの応酬での優位が見込めなくなってしまう。エバートンからすると踏んだり蹴ったりの前半の終盤の展開だったといえるだろう。

 迎えた後半、リードを奪ったウルブスは積極策を敢行。高い位置からのプレッシングでエバートンの自陣からの保持を苦しめるアプローチを仕掛けていく。エバートンはこれに対してファウルからコツコツ前進。苦しみながらも反撃の糸口を探る。

 ゴールを狙えそうかどうかという観点でも後半も引き続き優位だったのはウルブスだった。前に少しでも出ようとするエバートンをあざ笑うかのようなロングカウンターから決定機を生み出すことでエバートンのゴールを脅かす。しかし、ピックフォードが試合の望みをつなぐことで、ウルブスに決定的な2点目を渡さない。

 放り込みの望みが薄い状態が後半長らく続いたエバートン。それでも最後まで愚直に放り込みを続けると、後半追加タイムにミナが土壇場でゴールを決めて追いつくことに成功する。

 ピックフォードがつないだ希望の光を勝ち点に変える大活躍を見せたミナ。大きな1ポイントを手にしたエバートンは最終節もっとも優位な状態で残留争いのクライマックスに挑む。

ひとこと

 困ったときにCBがセットプレーでこじ開ける。いかにもダイチらしいしぶとさだ。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
ウォルバーハンプトン 1-1 エバートン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:34′ ヒチャン
EVE:90+9′ ミナ
主審:デビッド・クーテ

ボーンマス【14位】×マンチェスター・ユナイテッド【4位】

何よりも欲しい3ポイントを確保しいよいよ王手

 ニューカッスルがCL出場を決めて、残るCL出場権は1枠。マンチェスター・ユナイテッドが手を離さなければ、リバプールがどれだけ勝ち点を積もうがチャンスはない。ユナイテッドにとっては何があっても勝ち点3が欲しい試合である。

 ボールを持ってスタートするのはマンチェスター・ユナイテッド。これに対してボーンマスはガッチリとブロックを組んで対抗していく。なかなかインサイドに入り込めないユナイテッドはブロックの外からミドル等でジャブを打っていくスタート。他にもブルーノのタメからワン=ビサカのオーバーラップなど少しずつサイドからも押し下げるアクションを織り交ぜていく。

 すると、ユナイテッドはこのブロック外側からのアプローチで先制点をゲット。ブロックの外からのピンポイントスルーパスを通したエリクセン。受け手となったカゼミーロは非常にダイナミックなゴールを叩き込んで先制する。

 ボール保持にまわればボーンマス側にもチャンスはありそうな予感。しかしながら、なかなか前進のきっかけを掴むことができない。ソランケのポストはなかなかきかず、ユナイテッドの保持を押し返すことができない。

 一方のユナイテッドはオーバーラップを活用しながら押し下げるアクションを重視。ボーンマスの警備が緩いアウトサイドから押し上げることで、ブロックの外からのぶん殴りを延々と行っていく。

 ボーンマスも30分を過ぎたあたりからは前線に収まりどころができるように。ボーンマスは試合をフラットに戻すことに成功するがなかなかペースを握ることができない。

 リードで後半を迎えたユナイテッドはプレッシングを強める形を採用。ボーンマスに更なる圧力をかけていく。そんなプレッシングに屈しないという構えを見せたのはボーンマス。ショートパスからサイドで相手のプレスをひっくり返し、自らの時間をキープする。

 後半は中盤からユナイテッドがペースを握る。前半と同じく大外から押し込んでいくアプローチからセットプレーを獲得。高さを生かした空中戦でボーンマスのDF陣を脅かす。

 しかし、ボーンマスも黙ってはいない。前線の選手を交代で入れ替えると、フレッシュさを取り戻して主導権を握る。狙いを定めたのは右サイド。ハーフスペースの抜け出しを使いながら相手を押し下げていく。ムーアには決定機があったが、これはデ・ヘアのセービングに遭ってしまいノーゴール。

 終盤は押し込まれてヒヤヒヤしたユナイテッドだったが逃げ切りに成功。何よりも欲しかった3ポイントを上乗せし、悲願のCL復帰に王手をかけた。

ひとこと

 早い時間に先制点を取れたのは大きかった。相手の力を考えても長引けばめんどくさくなっていたことは間違いない。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
ボーンマス 0-1 マンチェスター・ユナイテッド
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
Man Utd:9′ カゼミーロ
主審:クリス・カバナフ

フラム【10位】×クリスタル・パレス【12位】

得点が流れを変えない消化試合

 序盤の貯金をきっちりと活かして残留争いとは無縁な1年に終わったフラムと強豪との連戦という日程の偏りが解消された春先から調子を上げてあっという間に沼を抜け出したパレス。それぞれのルートで残留争いを回避した両チームによるロンドンダービーである。

 どちらも降格の心配がないという牧歌的な状況とは裏腹に、試合はミトロビッチの流血を伴う負傷でスタート。やや物騒な立ち上がりとなった。

 ボールを持ったのはパレス。自陣でのパス交換からフリーマンを作ると、ロングボールでフラムのバックラインと積極的にデュエルする局面を作っていく。しかし、このロングボールが繋がらず。自慢のアタッカー陣が前を向くことができないパレスはなかなかチャンスを作ることができない。

 一方のフラムもパレスの1トップ主体のプレスは簡単に回避はできるものの、ボール回しは停滞気味。インサイドにポイントを作って加速することができず、得意な縦への推進力を作り出すことができない。

 よって、試合は非常にチャンスの少ない前半に。チャンスらしいチャンスといえばフラムが時折手にするセットプレーくらいのものだったと言えるだろう。

 しかし、試合を動かす先制点はそのフラムのセットプレーをひっくり返したものだった。セットプレーの機会を逆に利用したロングカウンターでチャンスを掴んだクリスタル・パレス。エドゥアールが完結まで持っていき、パレスが先手を奪い取る。

 先制点はあまりこの試合を動かすことはなかった。前半は得点前後ともにモノトーンで非常にチャンスの少ない45分だった。それだけにウィルソンがミッチェルに倒されて獲得したPKは非常に大きなチャンス。これをミトロビッチが仕留めて前半のうちにフラムが追いつくことに成功する。

 同点の勢いに乗ったフラムは後半の頭にいきなりの決定機。右サイドの崩しからミトロビッチが決定機を迎えるが、これを仕留めることができず。大きなチャンスを逃しての立ち上がりとなった。

 しかし、セットプレーのやり合いとなった後半で先手を打ったのはフラム。大きな決定機を外したミトロビッチがセットプレーからネットを揺らし、フラムがこの試合初めて前に出ることに成功する。

 この試合の特徴はあまり得点が流れを変えないこと。フラムの逆転ゴールも試合の展開を動かすことはなく淡々と時間が進んでいく。

 流れをほんのり変えたのは交代で入ったマテタ。投入直前から糸口となっていた右サイドのフリーランを活性化。徐々に押し返す流れを作っていく。

 すると再び試合を動かしたのはセットプレー。ウォードの同点ゴールでまたしても試合を振り出しに戻す。

 終盤はパレスが押し込む流れになったが、白黒をつけるためのゴールを掴むことはできず。試合は痛み分けのままフルタイムのホイッスルを迎えた。

ひとこと

 結構淡々と進んだ流れでいかにも消化試合だなという感じの展開だった。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
フラム 2-2 クリスタル・パレス
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:45+5′(PK) 61′ ミトロビッチ
CRY:34′ エドゥアール, 83′ ウォード
主審:ジョシュ・スミス

ノッティンガム・フォレスト【16位】×アーセナル【2位】

初年度での残留をついに決める

 レビューはこちら。

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 この試合の前までの状況により、フォレストが勝てば2つの出来事が決まることになる。1つはフォレストの残留、もう1つはマンチェスター・シティの優勝である。

 自分たちの手で優勝争いの幕を引きたくないアーセナルは序盤からボール保持でテンポを握っていく。最終ラインの配置は右からトーマス、ホワイト、ガブリエウ、キヴィオル。インサイドに絞る頻度が多いのは右サイドといういつもとは異なる配置だった。

 ホワイトを右のCBに起用したことにより、アーセナルはサイドからの押しあげが効くように。サカのサポートとしてトーマスを高い位置に送り込むことができた。だが、トーマスはサポート役としての抜け出しのタイミングをいまいちつかめず。アーセナルは高い位置に選手を送り込むまでの過程でホワイトを使ったことで、高い位置にホワイトを送り込めない不具合に見舞われることに。

 さらに、この日はトロサールとウーデゴールの降りるアクションが頻発したせいで、奥を取る選手がいないことに。ジェズスに頻繁に入っていた縦パスの受け手がいなくなってしまうなど、いつもと異なる配置を行ったせいでやや攻撃が混乱気味だった。

 一方でやることがはっきりしていたフォレストはカウンターから先制。ウーデゴールからのプレゼントパスでアウォニイが抜け出しに成功すると、そのまま独走で先制点をゲット。フォレストは理想的な形でリードを奪う。

 後半、アーセナルはサイドの攻撃の比率を増やすがなかなか思うようにこじ開けることができない。左サイドはSBが高い位置をとれなかったため、選手交代で活性化を図る。キヴィオル→ティアニーへのスイッチで大外の高い位置をとれるようになったアーセナルだが、他の選手との連携が取れるわけではなし。大外ながらも目の前にマッチアップ相手がいるというあまり聞いているわけではない状態に追い込まれてしまう。

 2トップにシフトしてクロスのターゲットを増やしたアーセナルだったが、なかなか思い通りに攻撃の活性化ができずに苦しむ。目標達成が近づいているフォレストサポーターからはアーセナルの攻撃が終わるたびに大きな冷やかしが聞こえるようになる。そうしたスタジアムのプレッシャーがまたアーセナルの選手のミスにつながるという悪循環でリズムをつかむことができない。

 6分の追加タイムを終えて、フォレストは逃げ切りに成功。自身の残留とシティの優勝を決める大仕事をやってのけ、昇格初年度での降格を回避した。

ひとこと

 メンバー的にもスタイル的にも固まってきたフォレスト。人員整理でこのスカッドをよりソリッドなものにできるかどうかが来季の課題になるだろう。

試合結果

2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
ノッティンガム・フォレスト 1-0 アーセナル
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:19′ アウォニイ
主審:アンソニー・テイラー

ウェストハム【15位】×リーズ【18位】

終盤は身動きが取れず

 残留争いに向けて崖っぷちのリーズ。ビッグサム就任でやたらと雰囲気は明るくはなったが、いまだに勝利はなく監督交代ブーストをかけられたとは言い難い。ひと足先に残留争いの苦しみから脱出したウェストハム相手にはなんとか勝ち点3を取りたいところだ。

 それぞれのスタンスから前進のきっかけを見つける立ち上がり。ウェストハムはサイドからのズレを使いながら相手のSBを手前に引き出しつつ、背後を狙う動きを見せる。

 一方のリーズはより直線的。CFのバンフォードを最終ラインのサイドの背後に送り込むことで、一気に前進を狙っていく。

 先手を取ったのは押し込んでからのセットプレーを生かしたリーズ。お馴染みとなりつつあるマッケニーの変則ロングスローにバンフォードが合わせる形で喉から手が出るほど欲しかった先制点を決めた。

 ウェストハムは失点の少し前の時間帯から徐々にボール保持の時間を増やしていった。CHがサイドに流れたり、2列目が降りてくるアクションを見せるなど、先に示したサイドのギャップ作りに力を入れていた。だが、逆サイドを使うなどの相手の守備を広げるアクションがないため、やや窮屈さが目につく。

 それでもワンツーから動力をつかんで相手の陣内に侵入することに成功したボーウェンが同点ゴールのお膳立て。大外に合わせるライスをエイリングが捕まえることができず、リーズは同点を許す。さらにはこのプレーの直後にバンフォードが負傷交代。リーズは同点ながら追い込まれた雰囲気が出てくる。

 中央に起点を作れなくなったリーズは左右にボールを振りながらのチャンスメイクを行う。しかしながら、ウェストハムのサイド封鎖の守備は完璧。閉じ込め方が秀逸でリーズはここからクロスを上げることができなかった。

 同点以降は一方的にボール保持ができたリーズだったが、ポゼッションが主導権に繋がらない。追いついたウェストハムの巧みさが際立つ前半だった。

 後半もリーズがペースを握れない展開が続く。ハリソンがサイドから抜け出すタイミングを探るなど、変化をつけながらきっかけ作りを狙っていく。

 リーズはそれに伴って前からのプレスも強化。だが、これもウェストハムがゆるりと回避してロングボールに繋げるなど勝ち越しゴールに向けた後押しにはならなかった。

 60分を過ぎるとウェストハムは反撃に打って出る。押し込んでからのクロスとセットプレーの連打で徐々にリーズ陣内に入り込む時間を増やしていく。

 押し込んだウェストハムはライン間のイングスからボーウェンの抜け出しに合わせて勝ち越し。ギリギリオフサイドにならないタイミングの抜け出しからついにリードを奪い取る。

 2失点目で苦しくなったリーズは捨て身のプレスで終盤をオープンに持ち込んでいく。しかしながら、この状況をうまく活用したのはロングカウンターでの武器が充実しているウェストハム。決定的なカウンターの機会を作りながら、リーズ以上の質と量のチャンスを作り出していく。

 そしてトドメを刺したのはランシーニ。追加タイムの一撃でリーズの勝ち点奪取を完全に打ち砕いて見せた。

 破れたリーズは18位で最終節に突入。ホームでトッテナムに勝たなければ残留の道は無くなってしまう。

ひとこと

 先制できた直後に雑談で爆笑していたビッグサムは死亡フラグ過ぎた。

試合結果

2023.5.21
プレミアリーグ 第37節
ウェストハム 3-1 リーズ
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:32′ ライス, 72′ ボーウェン, 90+4′ ランシーニ
LEE:17′ ロドリゴ
主審:ピーター・バンクス

ブライトン【6位】×サウサンプトン【20位】

ファーガソンがきっかけをつかんだ完勝劇

 すでに降格が決まったサウサンプトン。残り2試合のプレミアライフで少しでも来季につなげる結果を残したいところ。だが、今節の相手は少しでも早くEL出場権獲得を確定させたいブライトン。決して楽に希望をつかめる相手ではない。

 立ち上がりからブライトンはボール保持のターンを迎える。バックラインからは中央にパスがガンガン入る状態。サウサンプトンは中央にそれなりに人を割く陣形になっていたにも関わらず、楔が入ってそこからの展開を許してしまっていたので、あまり歓迎できない立ち上がりといえるだろう。

 中央で起点を作ることができたブライトン。当然サイドは深い位置までえぐることができる。恩恵を受けたのは三笘。ファーガソンの落としからスペースがある状態で一気にゴール前まで向かうが、このチャンスを決めきれず。

 直後にはハイプレスから再び決定機を得ることができた三笘。しかし、これもネットを揺らすことができず、なんとなく嫌なムードが漂う。

 しかし、このムードをふりはらってみせたのはファーガソン。リャンコの股をぶち抜くスーパーゴールでブライトンが先制に成功する。

 サウサンプトンにも全くチャンスがない展開というわけではなかった。2人のCFが2人のCBにつくブライトンのプレスの構造はラビアが比較的浮きやすい形になる。パスワークを使いこなせれば十分フリーマンを作れる状態だった。

 しかし、惜しむらくは簡単にボールを前に蹴ってしまうこと。ウォーカー=ピータースといったプレス耐性を持っていそうな選手も前に蹴ってしまったため、粘り強く保持で戦い抜くことができない状態だった。

 そんなサウサンプトンを尻目にカウンターからブライトンは追加点。三笘からファーガソンの形でサウサンプトンを突き放す。

 それ以降、チャンスは明らかにブライトンに偏る形に。先制点が入るまでは苦しんだが、ペースを握った状態でハーフタイムを迎える。

 後半も順当に攻め立てるブライトン。左の大外の三笘が軸となり後半もサウサンプトンを押し込んでいく。

 しかし、サウサンプトンもセットプレーから追撃弾。エル・ユヌシのゴールから1点差に迫る。

 このゴールをきっかけに試合は再びヒートアップ。サウサンプトンは2人のCHがブライトンの網をかいくぐり、ウォルコットへの決定機を演出。しかし、これはオフサイドに。

 手ごたえをつかんだサウサンプトン。だが、すかさずブライトンがいきおいに蓋をする。グロスの逆足がさく裂し、試合はふたたび2点差に。

 このゴールで試合は決着。交代選手のたびにトーンダウンするサウサンプトンに対して、ブライトンは落ち着いて試合をクローズ。順当な勝利で欧州カップ戦の出場権を獲得させた。

ひとこと

 先制点で試合を動かしたファーガソンが大仕事。大きな勝利の立役者だ。

試合結果

2023.5.21
プレミアリーグ 第37節
ブライトン 3-1 サウサンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:29′ 40′ ファーガソン, 69′ グロス
SOU:58′ エルユヌシ
主審:ポール・ティアニー

マンチェスター・シティ【1位】×チェルシー【11位】

若手が先陣を切り、主力がクローズ

 アーセナルがノッティンガム・フォレストを下したことにより、試合前に優勝が決まったマンチェスター・シティ。エティハド・スタジアムの一戦はアウェイのチェルシーがガード・オブ・オナーで王者に敬意を払った。

 王者は称えられるにふさわしい落ち着いた試合運びだったといえるだろう。左右に揺さぶりながら空いているゾーンから前進していく形で試合をゆったりと進めていく。

 落ち着いた形になってしまうと、少し停滞感が出てきてしまうことが懸念されるのがサイドの打開力である。しかしながら、グリーリッシュの代役として左サイドを任せられたパルマーはボールの落ち着けどころとアスピリクエタとの1on1を任せるのに十分な力を持っていることを証明する。

 さらにはインサイドではフォーデンが縦パスを引き出して加速。チェルシーの警戒を外だけに集中させない。

 押し込まれた状態で苦しんでいるチェルシーは自陣からのつなぎでシティのプレスから脱出できずに回収される状況が続く。中盤で何とか根性でつなぐ場面もあったにはあったが、結果的にはフォファナのパスミスから失点。カウンターからアルバレスが今日も見事に仕事をやってのけた。

 反撃に出たいチェルシーはつなぐよりも一発で局面をひっくり返す方が糸口を見せられる感じ。裏への抜け出しがこの日非常に冴えていたのはスターリング。CHのエンソからの裏への一発のパスを使うことでチャンスを作っていく。クロスに飛び込むフィーリングも悪くなかったギャラガーともどもこの日のシャドーの出来はそこまで悪くはなかった。

 後半頭、チェルシーはハイプレスからテンポをつかむ。スピーディーな展開に好調なチェルシーのアタッカーにも相性が良かったといえるだろう。できればもう少し左のWBのホールには素早い攻め上がりからサポートが欲しかった。

しかしながら、試合は時間の経過とともにシティの手中に。ストーンズを投入し、プレス耐性を得ることで時間を作り出すと、徐々にチェルシーのプレッシングはトーンダウン。ロドリ、デ・ブライネと次々と普段着に戻していくシティに対して、だんだんとチェルシーは反撃の糸口を見いだせなくなってしまう。

 今年のシティらしくしっとりとしたゲームクローズで逃げ切ったシティ。チェルシーは悪くない内容だったが、相手が悪かったといえる一戦だった。

ひとこと

 パルマーみたいに出番が限られていてもあれだけやれるのはえぐい。主力でクローズはもっとえぐい。

試合結果

2023.5.21
プレミアリーグ 第37節
マンチェスター・シティ 1-0 チェルシー
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:12′ アルバレス
主審:マイケル・オリバー

ニューカッスル【3位】×レスター【19位】

焦れないニューカッスルに点を取る術がないレスター

 残留争いの旗色が悪いままついに最終局面を迎えてしまったレスター。セント・ジェームズ・パークという難所に乗り込む上での唯一の好材料はニューカッスルがすでに来季のCL出場権を手中に収めていることだろう。

 レスターはこの試合で非常にはっきりしたスタイルを披露。3人のCBを並べながら徹底的にニューカッスルのスペースを封鎖していく。レスターとしては紆余曲折と多くの指揮官を経てようやくこの割り切りにたどり着いたという感じだろうか。

 ということで試合はニューカッスルが保持一辺倒でレスターのブロック攻略に挑む流れとなった。レスターは3センターがスライドして同サイドを圧縮しつつ、トップが中盤をケアすることで素早いサイドチェンジを抑制する。

 ニューカッスルはこのボールを押し付けられた状況にやや苦しんでいたように思う。大外のアタッカーのサポートとなるハーフスペースの抜け出しはレスターの中盤に抑えられていたし、その背後の動きを利用して手前を使うような3人目を使った崩しの精度はシティやアーセナルに比べるとまだまだ。結果的には大外のアルミロンの打開力頼みとなる状況が続くことになる。

 ニューカッスルが偉かったのは左右に揺さぶって薄いサイドを作るという部分を徹底して行えていたこと。焦れてインサイドに刺してしまうとカウンターを喰らってしまうという構造はポゼッション手づまりチームのあるあるだし、レスターもヴァーディとイヘアナチョの併用でその状況を描いていたのだろう。しかし、サイドにきっちりボールを運ぶことでそうした局面は完全に塞ぐことに成功。レスターの狙いは半分だけ成功したと言えるだろうか。

 この状況を変えようとハイプレスを行うレスターだが、ニューカッスルとのパワーバランスを変えることはできず。ひたすらニューカッスルがレスターを殴り続ける流れでハーフタイムを迎える。

 レスターはイヘナアチョに代えてマディソンを投入するが、5-3-2はキープ。よって、前半からの流れはほぼ変わらなかった。ニューカッスルが前半と同じく大外の基準点を起点としたサイド崩しを徹底するが、レスターはこれに粘り強く対応。ニューカッスルのブロックの中に入り込むアプローチはほぼ無効化されており、チャンスがない展開が続く。

 60分を過ぎたあたりでレスターは交代から4-3-3にシフト。得点を奪いに勝負に出る。だが、これは思ったよりも攻撃の活性化につながらず。それでも献身的なWGの守備意識からブロック守備に綻びが出なかったのは幸運だった。

 終盤になると押し込む機会がグッと増えたニューカッスル。セットプレーからギマランイスが決定機を決められなかったり、シュートチャンスをイサクとバーンが被ったりなどレスターとしてはギリギリで首の皮が繋がっている展開となった。

 最後の10分ほどは4-3-3にした効果かレスターは徐々に保持の時間を増やすように。後半追加タイムに迎えたカスターニュのシュートはポープのセーブに遭う。なんと、後半追加タイムにしてレスターはこの試合初めてのシュートを打ったことになった。

 レスターが一番欲しかったものは3ポイントだが、なんとか望みをつなぐ1ポイントを確保したと言えるだろう。ウェストハムとの最終節の勝利は逆転残留に向けての最低条件となる。

ひとこと

 規律ある撤退形の5-3-2は良かったが、そこから攻撃に繋げるプランや選手交代のオプションの整備はまだまだ。クローズし続けるという相手に焦ったい思いを見せることがチャンスにつながらなかったのは無念。そういう意味でももう少しここに早く辿り着いていたら感はあった。

試合結果

2023.5.22
プレミアリーグ 第37節
ニューカッスル 0-0 レスター
セント・ジェームズ・パーク
主審:アンドレ・マリナー

今節のベストイレブン

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