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「Catch up UEFA Europe League」~2022.11.3 グループステージ 第6節 アーセナル×チューリッヒ ハイライトレビュー

■足を引っ張る保持時のプレー選択

 勝てば自力での首位通過が決まるアーセナル。ホームに最下位のチューリッヒを迎えての最終節に挑む。

 チューリッヒは高い位置からの積極的なプレスを選択。前の3枚は保持の時は1列下に下がるオキタを前に引き上げる3トップ型で5-2-3気味のフォーメーションを使用した。チューリッヒは誰か1人のプレッシングを合図に一気にアーセナルのバックラインにプレスをかける形で高い位置から時間を奪いにくる。ちなみに比較的ホールティングのところにボールを持たせていいという判断をしているように見えた。

 アーセナルのハイプレスの回避はやや単調だったように思う。チューリッヒの3トップの脇を突っついてくるアクションをもう少ししてもいい。IHのロコンガの振る舞いは高い位置に専念しており、ビルドアップへの関与は控えめ。ジャカが普段勝手に調節しているだけなのかもしれないが、この辺りはロコンガはトーマスがアンカーの時と似た振る舞いをしていたと言っていい。個人的にはもう少し助けてあげてもいい。ビルドアップの関与に関しては、逆サイドのヴィエイラやSBのボール運びの少なさも少し気になるところだった。

 その分、後方からのボールに体を張ったのがジェズス。中央の狭いスペースでやや強引な縦パスを収めながら時間を作るのは流石の貫禄といった形である。

 そんな中で先制点を決めたのはアーセナル。おそらく、実質一発目の関与で得点に結びつけてしまうホワイトのオーバーラップは素晴らしい精度。右サイドから抉ったアーセナルは最終的にティアニーのミドルで先手を奪う。

 アタッキングサードにおけるアーセナルの攻撃のスイッチは、明らかにSBのオーバーラップによって入れられていた。特に活発だったのはティアニー。味方を自分より外に置いてのハーフスペースのオーバーラップが活発で、自分よりプレーエリアが外のWGでも起用が問題ないのでは?と思わせるプレーだった。

 先制点後は好調だったアーセナルだが、チューリッヒにもチャンスがないわけではない。アーセナルのビルドアップの脱出ルートがジェズスへの依存度がやや高い分、チューリッヒは中央でのボール奪取からカウンターに移行しやすいし、アーセナルの守備陣の中ではホールディングはやや対応が甘くなるところもある。じっくりとボールを持つ機会は少なかったが、早い攻撃から一気に攻め立てるシーンは何回かあった。

 アーセナルは2列目のプレスバックが効いていた印象。ヴィエイラ、ネルソンあたりの戻っての守備がいつもより強力な壁になりきれないバックラインと中盤を手助けしていた。

 後半、立ち上がりにゲームを決めるチャンスがあったのはアーセナル。セットプレーからのジェズスの決定機。ここを決められなかったことで結果的にアーセナルは茨の後半を迎えることになる。

 もっともそうなったのはジェズスだけのせいではない。保持時におけるプレー選択が冴えないのが後半の苦戦の要因だ。特にストライドの大きなドリブルで密集に突っ込んで行ってロストというおよそ1点差では考えられないプレーをしでかしたホワイトや、シンプルに裏を使えばいいタイミングを見逃してオフサイドを引き起こしたネルソンなどはプレー単位で大いに反省してほしいところである。

 冨安が負傷し、セドリックに交代したことでSBは終盤にかけて守備で後手に回り始める。中盤はロコンガのプレスバックが遅れ始め、トーマスのカバー範囲が広がり、負荷が増えるようになっていった。サイドと中央それぞれでチャンスの起点を見つけたため、チューリッヒは終盤十分にアーセナルを脅かすことができていた。特に小回りのきくマルケザーノはアーセナルにとってかなり厄介だったはず。ゴールに何度か迫ったヴィウヌィークとセットでアーセナルファンに冷や汗をかかせた。

 それでもラムズデールを中心に最後方のクローズには成功したアーセナル。冨安の負傷の具合は気がかりだが、グループステージの首位通過というノルマは達成した。

試合結果
2022.11.3
UEFAヨーロッパリーグ
Group A 第6節
アーセナル 1-0 チューリッヒ
アーセナル・スタジアム
【得点者】
ARS:17′ ティアニー
主審:エリック・ランブレヒツ

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