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「Catch up Premier League」~Match week 1~ 2023.8.11-8.14

目次

バーンリー×マンチェスター・シティ

昇格組に貫禄を見せつけるオープニングマッチ

 23-24のプレミアリーグは開幕戦から王者が登場。迎え撃つはシティ黄金期の創成期のレジェンドであるコンパニ率いるバーンリーである。

 シティのビルドアップはSBのルイスがインサイドに入る3-2型。右サイドのウォーカーはビルドアップのサポートに入ることは稀で。そういう場合はエデルソンが最終ラインに入り3バックを形成する。

 バーンリーは5バックではあるが、高い位置からプレスに出ていきたいスタンスは捨てていなかった。特に中盤のケアはタイト。枚数を合わせるようにプレスに行くことで人を積極的に捕まえに行った。その一方でシティのバックラインまでは行かないという姿勢であった。

 そうしたバーンリーの邪魔になっていたのは中盤でポイントを増やすためのルイスや前線から降りてくるアクションを見せるデ・ブライネやベルナルド。エデルソンのビルドアップ関与や前線の降りるアクションでビルドアップの安定や中央からの前進を図る。

 逆にこれができていない時はシティは中盤でバーンリーに捕まることが多かった。デ・ブライネが負傷してからしばらくの時間帯はバーンリーに高めの位置でインターセプトされることが多く、ポゼッションが安定しなかった時間と言えるだろう。ハーランドへのロングボールも増えている割に収まらず、この試合におけるシティが最も不安定な時間帯だった。すでにセットプレーからハーランドが先制点を収めていることは救いだったと言える。

 追いかけるバーンリーは自陣の深い位置からのビルドアップからシティのプレスを引き込みつつ前進を狙っていく。しかしながら、プレスを外し切るにはもう一本パスが通り切らない場面が続く。ショートパスへのポゼッションへの気概は感じたが、プレスを回避して前進に繋げるにはもう一歩という印象だった。

 ボールを高い位置で奪ったところからの前進はナローな3トップを軸に。特にコレオショが背負ってからのサイドへの展開のパターンはかなり目立っていた。彼が両WBのオーバーラップの時間を作れた場合はバーンリーはそこそこゴールに近づくことができたと言えるだろう。

 しかし、シティは中盤に移動したベルナルドを番頭にして、徐々にポゼッションの安定化を行い主導権を取り戻す。2点目はタイミングも形も決定的。右サイドで駆け引きに成功し、裏を取ったウォーカーは大きな働き。彼が抜け出した分、作られたスペースはそのままPA内でのハーランドのシュートチャンスに繋がることに。ゲームからは消えていたハーランドだが、前半のうちに難しいシュートから2点目を決めた。

 2点のビハインドで苦しむバーンリー。パワーバランスを変えたい中で積極的なプレスに出ていくが、シティはこれを見事に撃退。前半以上に積極的なプレッシングで後半頭のバーンリーの勢いを鎮圧しにかかる。落ち着いてボールを持つエデルソンの存在はチームに安定感をもたらす。

 ポゼッションでもプレスでも反撃のきっかけを掴めないバーンリーに対して、時計の針を粛々と進めるシティ。締めになったのはセットプレーからのロドリの3点目。これで試合は完全に決着。王者が昇格組に貫禄を見せるオープニングマッチとなった。

ひとこと

 2得点決めながらグアルディオラに怒られるハーランドを見てシーズンの始まりを感じました。

試合結果

2023.8.11
プレミアリーグ 第1節
バーンリー 0-3 マンチェスター・シティ
ターフ・ムーア
【得点者】
Man City:4′ 36′ ハーランド, 75′ ロドリ
主審:クレイグ・ポーソン

アーセナル×ノッティンガム・フォレスト

トライを続けての2得点を守り切る

 レビューはこちら。

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 シティに続き、2番手の登場となったのはアーセナル。ホームで昨季優勝の可能性を消滅させられたフォレストが開幕戦の相手となった。

 フォレストの5-4-1の守備に対して、アーセナルはボール保持で対抗。まさしく昨季の対戦と似たような構図となった。アーセナルはSBにトーマスを置く布陣でスタートするが、右サイドからアンカーポジションに移動することもしばしばであり、純粋なSBという感じではないのは明らか。時にはライスをサイドの追いやるような形で1人でボールを動かす役割を担う。

 というわけでアーセナルの保持におけるベースのフォーメーションは3-1-6のような形。後方を手薄にしてでも前方に人を置くのが今季の基本なのか、後ろを重くするフォレスト対策なのかはこれから見えてくる部分だろう。

 高い位置をとる選手たちの連携は正直もう一歩という感じ。ナローなスペースをこじ開けるきっかけは掴んではいたが、生かし切るところまでは至らない。それでもカウンター対応では12分のジョンソンの抜け出しを除けば、基本的には押し込み続けながらトライを続けていくことはできた。エンケティア、サカといった前線の選手がこじ開ける形でのゴールが立て続けに生まれたのは、攻め続けることができたご褒美とも言えるだろう。

 後半はだらっとボールを動かしながら時計の針を進めていく方針にシフトするアーセナル。ティンバーの負傷交代で冨安が登場したというのも、ガンガン攻撃的にという姿勢に歯止めをかけていたかもしれない。

 それでも早い段階でのサイドチェンジは有効。5-4-1をキープしたまま高い位置からボールを奪いたいフォレストにとっては狭い方向に誘導することが重要だったので、アーセナルのポゼッションはそれを回避する方向性として鬱陶しかったと言えるだろう。

 試合の流れを変えたのは昨シーズンの残留の立役者であるアウォニイ。今季は足首の負傷でプレシーズンは出遅れてはいたが、途中出場を果たすと同じく途中出場でデビューを果たしたエランガのアシストから追撃弾をゲット。ワンチャンスから反撃の狼煙を上げる。

 ゴールを奪われた直後のプレーは怪しかったアーセナルだが、すぐさま落ち着きを取り戻したのは悪くはないだろう。リトリートの成分を増やしても、トロサールやハヴァーツといった陣地回復が得意な選手が前線で貢献していたため、反撃の要素を残していたのはとても良かった。得点も決まれば盤石なのだけど。

 最後はガブリエウの投入でクローズに成功したアーセナル。1点差ながら大体の時間の制御し、開幕戦を勝利で飾った。

ひとこと

 アーセナルは昨季からすると出力は低めだが、CLとの二足の草鞋や後半戦にピークを持ってくることを踏まえれば、傾向としては正しいだろう。今季は右肩上がりのシーズンを送ることができるか。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
アーセナル 2-1 ノッティンガム・フォレスト
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:26′ エンケティア, 32′ サカ
NFO:82′ アウォニイ
主審:マイケル・オリバー

シェフィールド・ユナイテッド×クリスタル・パレス

3年ぶりに感じるプレミアの壁

 3シーズンぶりにプレミア復帰を決めたシェフィールド・ユナイテッド。3年ぶりのブラモール・レーンでのプレミアに迎えるのはすっかり1部に定着しているクリスタル・パレスである。

 どちらも長いボールをダイレクトに前線に当てていく構図は同じ。その中で構造的に3バックが2トップに対して優位をとっていたブレイズの方が、安定してボールを前線に供給できていたように思えた。やや右サイドよりを中心とした放り込みからセカンドボールを拾い、オスーラが惜しいシュートを決めるなど立ち上がりはやや優勢だったと言えるだろう。

 クリスタル・パレスは序盤こそやや押し込まれていたが、ブレイズがプレッシングに出て行かないようになると、エゼのドリブルを筆頭とした強引なブロック打開から守備を崩しにかかるように。オフサイドとはいえミドルからアイェウが押し込んだシーンなどは、ブロックの外から殴るだけでもパレスの攻撃は脅威になることを証明したと言えるだろう。

 それでは困るということでブレイズの前線がボールを制圧にかかると、パレスのバックラインと中盤は距離感近めのパスワークからこれを回避。2-3ブロックを動かしながら保持を制限にかかるブレイズの狙いを邪魔する。

 序盤こそ押し込む機会もあったブレイズだが、時間の経過とともにパレスが押し込む展開に。ジリジリした前半はどちらにも得点が入らず、試合はハーフタイムを迎える。

 後半も押し込んでいくパレスにペースが転がってくる。ブレイズは3-2型にプレスを変更し、2トップをパレスのCBに当てることで高い位置から捕まえにいく。だが、どうしても中盤にプレッシャーがかかり切らない場面が続き思い通りに行ったとはいえないだろう。ブレイズの試行錯誤を嘲笑うかのようにパレスは先制。フリーになったレルマの持ち上がりから、右サイドに展開、クロスをエドゥアールに合わせてゴールを奪う。

 ブレイズはサイドでオズボーンがクロスを許したこと。そして、バックラインがクロスの入ってきそうな箇所を防げなかったことが痛恨。エドゥアールは逆に相手のマークを外してクロスに入る動きが非常にさえており、数分後も似た形からネットを揺らす。

 反撃に出たいブレイズだが、なかなか手ごたえをつかめず。パレスは前進、即時奪回、そしてカウンター対応が安定しており、ブレイズにきっかけを許さない。チャンスは多くなかったが、試合を握り切っているとは言えるだろう。

 最後は4バックにシフトすることでゴールを狙ったブレイズだが、得点には至らず。3年ぶりのプレミアは黒星でシーズンをスタートすることとなった。

ひとこと

 共にリスクを過度に犯さない両チームだったが、攻める方も守る方もパレスの方が一枚上手感を感じる内容だった。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
シェフィールド・ユナイテッド 0-1 クリスタル・パレス
ブラモール・レーン
【得点者】
CRY:49′ エドゥアール
主審:ジョン・ブルックス

ボーンマス×ウェストハム

沈黙のボーンマスを動かすセメンヨの一振り

 プレミア残留を難なくクリアしたオニールを解任し、今季はイラオラを新たに招聘したボーンマス。開幕戦の相手は百戦錬磨のプレミアの重鎮であるモイーズが率いるウェストハムである。

 ともにフォーメーションは4-2-3-1。トップは明確に縦関係で中盤は3枚。バックラインにはそこまでプレッシャーをかけず、中盤は噛み合わせる形でプレッシングにいく。

 より繋ぐ意識を見せていたのはホームのボーンマスの方。CBがGKを挟み込む形で立ちつつ、時にはウェストハムのプレスを引き込んだりもする。しかしながら、結果的には前線にとっととボールを放り込んでいくケースが多く、前進はソランケ頼みになる場合も多かった。

 一方のウェストハムも前進はロングボール中心。どんと構える形でのロングボールだけでなく、スピードを生かした右サイドの裏に抜ける形でのボールを引き出しながらのパターンも見せていく。

 要はどちらもロングボールが軸であり、CFが収めることができるかが鍵。それ以外には守備側も揺動のアクションを取ることもなく、攻撃側は中盤を剥がせない状況が続き、チャンスになりそうな場面はセットプレーかもしくは偶発的なカウンターによるものだった。

 30分が過ぎたあたりで2列目のパスワークから前進するというこの試合の内容としては毛色が少し違うビルドアップからチャンスを迎える。この時間帯はウェストハムが押し込む時間帯ではあったが、なかなかこじ開ける隙が見当たらず、スコアレスでハーフタイムを迎えるという流れとなった。

 後半早々に試合は動く。やや行ったり来たりという状況が続く立ち上がりはカウンターの応酬でスタート。そうした中でウェストハムが先制。フォルナルスのボールカットからボーウェンが豪快なミドルシュートを決めることに成功した。

 後半もややペースはウェストハム。ボーンマスはなかなか昨季のようなタメからサイドの選手が攻め上がる時間を作ることができなかったが、ウェストハムの方は徐々に2列目の連携が板につくようになった。

 既存メンバーではどうしようもなかったボーンマスは選手を入れ替えて課題の解決に取り組む。シンプルに前線にボールを入れやすいムーアがゲームチェンジャーになるかと思われたが、試合を動かしたのはセメンヨの積極性。豪快に振り抜いたシュートが相手にあたり、ソランケの前に転がってゴール。試合は80分過ぎに対スコアに戻る。

 結局そのまま試合は終了。勝ち点1で痛み分けという結果となった。

ひとこと

 ウェストハムはまだスカッド構築中なのでまぁこれからだろうが、ボーンマスは不思議な監督交代を経た割には少し方向性が見えてきにくかったのがやや不安要素だなと思った。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
ボーンマス 1-1 ウェストハム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:82′ ソランケ
WHU:51′ ボーウェン
主審:ピーター・バンクス

ブライトン×ルートン・タウン

プレミアの厳しさ教える初陣

 マック=アリスターに続き、前日会見ではカイセドとの決別を宣言。ブライトンは新しいシーズンには2人の主力を欠いて望むことになる。開幕戦はホームに昇格組のルートンを迎えて、彼らのプレミア初戦という歴史の1ページを共に紡ぐ。

 ルートンのやりたいことは非常に明確。ボールを奪ったら前に運び、サイドに展開して2トップへのクロス。書いてみれば非常に単純ではあるのだけど、このプランの遂行には全く迷いがない。馬力のあるIHと走力のエグいWBでの攻め手はわかっていても迫力十分。2トップはブライトンのバックラインに対して競り合いの優位があったため、カボレとギレスの2人はクロスを上げるだけでOKである。

 ブライトンは保持において2-3-5に変形するが、この形は非保持におけるルートンの陣形とピッタリ合致。ズレを作れない状況で苦しむ。バックラインが出すところがなく困っていたのは選手の入れ替えの影響だけではなく、噛み合いすぎているフォーメーションも理由の1つになるだろう。

 そうしたブライトンの保持の中で負荷がかかるのは1on1で勝てるところになる。つまり三笘。しかしながら、割り切って2人をぶつけてくる形のルートンに三笘は苦戦。なかなかゴールに迫るアクセントをつけることができない。

 25分がすぎたあたりからルートン優位の風向きは変化。徐々に三笘のサポートが出てくるように。中央に絞ってライン間にサポートするマーチ、縦方向に抜けるジョアン・ペドロ、追い越すエストゥピニャンと左サイドから攻めの兆しを見せていく。

 すると、先制点はやはり左サイドから。三笘のクロスに対しては決めたのはマーチ。レーンの入れ替えに対して競ることができなかったベルは痛恨。単純なレーンの入れ替わりであっさりとやられてしまった。

 その後もブライトンは左サイドからチャンスメイクが機能するように。三笘が苛立ちを隠さないくらいアシストを消し続けたウェルベックがどれか1つでもシュートを決めていれば、前半にさらなるリードが広がったことだろう。

 後半もペースはブライトン。サイドからの人数をかけた攻撃も少しずつ板につくようになり、前半の終盤のようにルートンのゴールを脅かす攻撃を左サイドから繰り出していく。

 ルートンは右のWBの交代から少しずつペースを取り戻す。交代で入ったダウティーは縦に行くだけでなく、逆サイドへの展開やロングボールのターゲットとして機能。段々とカウンターからポゼッションを回復し、モリスとアデバヨに向けたクロスも放たれるように。

 それだけに後半の失点はいただけなかった。特に3失点目はらしくないエリア内の細かいプレーの連続をミス。ここは明確に捨ててこそルートンのスタイルだと思うので、ロッキャーやラドックのこうしたミスは非常にもったいなく映る。

 一時はハンドによるPKで1点差にされてしまったが、終わってみれば終盤を完全に掌握して完勝。昇格組にプレミアの厳しさを教えてみせた。

ひとこと

 停滞に対する回答に辿り着くのが早かったブライトン。ルートンは終盤にらしくなさが出てしまったのがj悔やまれる。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
ブライトン 4-1 ルートン・タウン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:36′ マーチ, 71′(PK) ジョアン・ペドロ, 85′ アディングラ, 90+5′ ファーガソン
LUT:81′(PK) モリス
主審:デビッド・クート

エバートン×フラム

レノの粘りに応えるワンチャンスでの3ポイント

 立ち上がりからボールを持ったのはフラム。エバートンの1トップのマークが厳しくない方のCBからボールを積極的にキャリーする。エバートンは中盤より背後はマンマーク。積極的にフラムを捕まえにいく。

 それであるならば、フラムが大きく移動しながら配置を動かす。特に積極的にトライしていたのは新戦力のヒメネス。中盤のスペースに登場することで、アウトナンバーとしてボールを収めながら前進する。

 こういう役割を好みそうなウィリアンは左サイドにきちんと位置をとることが多かった。ウィルソンからの左サイドへの展開を引き取り、ロビンソンとの縦関係の入れ替えでゴールに迫るシーンを作り出す。

 しかし、よりチャンスを作ったのはカウンターに専念したエバートン。立ち上がりのドゥクレの決定機は数的優位のカウンター。だが、これはレノがストップし事なきを得る。だが、これ以降も積極的にカウンターからチャンスを作るエバートン。攻め上がる中盤のスピードでフラムの前がかりな陣形を攻略にかかる。

 順調なエバートンに立ちはだかったのはレノ。まるで積年の恨みを晴らすかのようにモペイの決定機を次々と止めていき、エバートンに先制点を許さない。

 それでもカウンターで優位を得たエバートンはプレスでも手応えを徐々に感じるように。降りていくフラムの選手たちを次々と潰し、高い位置からのカウンターを発動させる。フラムは序盤以降はなかなかチャンスを作れないまま、ハーフタイムを迎えることとなった。

 後半は前半ほど偏りがある流れにはならなかった。エバートンのプレスが緩んだこともあり、攻撃の機会は均等。前半にはなかったようなフラムのサイド攻撃からエリア内にクロスが飛んでくる場面も出てくるようになった。

 その一方でエバートンにもボールを持てば決定機。セットプレーからのパターソンのシュートはクロスバーを叩くなどあわやという状況を作れていた。

 しかしながら先制したのはフラム。ミトロビッチ、ペレイラなど昨年仕様の途中交代のメンバーが登場すると、右サイドを制圧。ポイントを多く作りエバートンの選手を右サイドにたくさん引き出すと、左サイドで余ったボビー・リードがゴール。この日初めての枠内シュートはフラムにとって貴重な先制点になった。

 失点した後も試合の展開は変わらず。エバートンにもチャンスはあったが、ギアチェンジというほど展開が一変したわけではなかった。フラムの逃げ切りを止めることができず、エバートンはホームの開幕戦を黒星でスタートすることとなった。

ひとこと

 ポゼッションが低いチームの方が枠内シュートが多いと、大抵そちらのチームが圧倒的優勢。前半のエバートンもそんな感じだったが、フラムに組み合った後半には決定機が減ってしまった。前半にゴールがあれば試合は違った展開だったかもしれない。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
エバートン 0-1 フラム
グディソン・パーク
【得点者】
FUL:73′ ボビー・リード
主審:スチュアート・アットウェル

ニューカッスル×アストンビラ

ド派手な新戦力祭りでライバル撃破

 ここ数年はいわゆるビッグ6が上位を独占することが少ないこともあり、ビッグ6という言葉はどうなの?という風潮がないこともない。今季で言えばビッグ6の牙城を崩すのでは?という下馬評が聞こえてくるのは開幕戦で対決するニューカッスルとアストンビラである。

 立ち上がりからこの試合は非常にハイテンポ。高い強度からボールを奪い、素早く攻撃を仕掛けていくスピーティーな序盤戦となった。主導権を握ったのはニューカッスル。ボールを左右に動かしつつアストンビラの前向きなプレスを撃退して、敵陣に攻め込んでいく。

 先制点はあっという間のことだった。6分に左サイドからのクロスでニューカッスルが先制。クロスをあげたゴードンがどこまで狙っていたかはわからないが、ニアのイサクを囮にファーに落としていく軌道は非常に見事。飛び込んできたのは新加入のトナーリだった。

 一方のビラも自陣から繋いでいこうという意識は見られたが、ニューカッスルの強目のプレスを引き込み過ぎてしまった感がある。元々プレス隊を引きつけて、そこから加速していくのがアストンビラのスタイルではあるが、ニューカッスルの強烈なプレスは引き込むにはちょっとリスクが大きすぎたように思う。

 そんな危ない橋ながらもビラは11分に試合を振り出しに戻す。ドウグラス・ルイスのサイドへの展開から、エリア内への折り返しを決めたのはこちらも新加入のムサ・ディアビ。ニューカッスルと同じく夏の補強の目玉がいきなり結果を出す。

 しかしながら、ペースを握ったのはニューカッスル。同点ゴールの5分後にセットプレーから勝ち越しゴールをゲット。わずかなオンサイドでトナーリに続き、イサクが今季初ゴールを勝ち取る。

 その後も右サイドのハーフスペース付近の裏抜けを執拗に狙っていくニューカッスル。ビラとしてはミングスがいなくなったこともあり、なかなかこちらのサイドでは後手を踏むようになる。

 後半も主導権はニューカッスル。リードしているにも関わらず、高い位置からのプレスをかけていくニューカッスルに対して、アストンビラのビルドアップは前進に苦戦。自陣でのパスがうまくつながらない苦しい状況に。ビラは低い位置でのサイドを広げての動かし方ができないのが痛かった。これまでもあまりビラのSBはビルドアップに参加していなかったし、急にやれと言われても難しいのかもしれないが。

 ニューカッスルの勢いが止まらない。イサクがチェイスからコンサのミスを誘い、さらにリードを広げると、4点目はもう1人の新戦力の目玉であるバーンズがトナーリから縦パスを引き出し、ウィルソンへのゴールをお膳立てする。

 そのバーンズは後半追加タイムにデビュー戦でのゴールをゲット。大量5得点でホーム開幕戦を飾ったニューカッスル。上位争いのライバルを下し、23-24シーズンの好スタートを決めた。

ひとこと

 ニューカッスルのド派手な新戦力祭りでございました。

試合結果

2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
ニューカッスル 5-1 アストンビラ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:6′ トナーリ, 16′ 58′ イサク, 77′ ウィルソン, 90+1′ バーンズ
AVL:11′ ディアビ
主審:アンディ・マドレー

ブレントフォード×トッテナム

後半の優位を勝ち越し弾に繋げられず

 2桁ゴールで牽引するエースの不在、GKの入れ替わり。同じロンドンに居を構える両雄は似たような境遇で開幕戦を迎えることとなった。ただし共通点はあるものの、監督人事は対照的。トーマス・フランクのものでベースを熟成させているブレントフォードに対して、アンジェ・ポステコゴルーを招聘したトッテナムはチャレンジの1年になる。

 試合はブレントフォードが速いテンポのプレスでトッテナムを追い込むところからスタート。トッテナムのバックラインは速いペースでプレーすることにまだ慣れていない感じ。パスワークやポジションの取り直しなどに相当ドタバタしていた。ブレントフォードからすればプレスのかけがいがあると感じただろう。

 ただし、トッテナムは自陣を脱出さえできればそれなりにやれそうではあった。中央に縦に刺すパスからブレントフォードのブロック守備を縫うようにチャンスを作っていく。主役はもちろんマディソンである。押し込む状況から手応えを得たトッテナムはセットプレーから先制。ロメロがヘディングからゴールを決めるが、直前のプレーの頭部のダメージが残っていたか、ここで負傷交代となる。

 追いかけるブレントフォードは相対的に速いテンポでのプレーに慣れていた感があった。プレス回避、そして中盤から外に流れる2トップで加速。サイドで深さをとったところから逆サイドへの展開かそのままのクロスでスピーディーにトッテナムのゴールに迫っていく。

 試合は全体的にハイテンポな状況に。その中でトッテナムのWGにボールが入った時はスローダウンする形で試合は進む。クルゼフスキにボールが入った時は、外→中にスムーズに侵入ができるかどうかという少し違うリズムで攻撃が動いている感じだった。

 速いテンポで動く試合はブレントフォードが立て続けにゴールを決めて逆転。右サイドからソンのPKを誘発して追いつくと、左サイドからはヘンリーがエメルソンをぶち抜いてウィサがゴールをゲット。あっという間に試合をひっくり返す。

 前半は11分という長い追加タイム。この間に発生したイベントはエメルソンの名誉挽回のミドルシュートだった。マディソンから溢れたボールをミドルで押し込み試合をハーフタイムまでに振り出しに戻すことに成功した。

 後半の主導権争いを制したのはトッテナム。前半の焼き直しのような落ち着かない展開が続いた中で押し込むことに成功する。リシャルリソンはボールサイドのペナ角付近に顔を出して積極的にポストしたり、マディソンやクルゼフスキがボールをもてば前線が動き出したりなど、それなりにチャンスができていた。ただ、立ちはだかったのはGKのフレッケン。角度がついたところからのシュートをセーブし、ブレントフォードにとって一番苦しい時間を凌ぎ切る。

 イェンセンの負傷、ブロック守備の強度がやや怪しいなど後半のブレントフォードはややらしくないところを見せたが、交代選手が入ると再びカウンターが活性化。徐々に押し返す機会が出てくるようになる。

 反対にトッテナムは代えられない選手が多く、時間の経過とともにエネルギーがダウン。オフザボールの動き出しが減少し、崩しの頻度が下がる。交代で入ったペリシッチが左サイドでロストを繰り返したのも停滞の要因となった。

 最後は組み合った状態で引き分けで決着。互いに勝ち点1を分け合う開幕戦となった。

ひとこと

 ビスマやリシャルリソンなど、これまでなかなか輝けなかった選手に兆しが見えたのは朗報だろう。キャプテンがこの流れに乗れるかどうかは大きなポイントになりそうだ。

試合結果

2023.8.13
プレミアリーグ 第1節
ブレントフォード 2-2 トッテナム
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:26′ ムベウモ, 36′ ウィサ
TOT:11′ ロメロm 45+4′ エメルソン
主審:ロベルト・ジョーンズ

チェルシー×リバプール

先行されたチェルシーが奮闘するも「お決まりの結末」

 ネームバリューの観点で単純に開幕カードの中では最も注目度が高い一戦になるのだろうが、すでにピッチ外で実質開幕戦をしているという点でもなかなか面白い巡り合わせのカードとなった。

 立ち上がりにペースを握ったのはリバプールの方だろう。攻撃的な選手を並べた中盤を軸にチェルシーのマンツーマンの守備を外しながら前進。右サイドのサラーを出口に攻撃を仕掛けていく。

 イメージとしては右サイドがゲームメイク担当という感じ。ショボスライ、マック=アリスター、アレクサンダー=アーノルドの3枚が中盤に降りながら前線にパスを供給。左サイドは逆にガクポやディアスが速い攻撃を仕掛けていく。ロバートソンが上がる時間がもらえずに少し寂しそうではあったが、左右のスタイルの違いから攻めていこうということだろう。

 チェルシーの守備は部分的にマンツーをしつつ、後方は人を余らせて待機させるブロック守備重視の仕様。リバプールの攻撃がゆったりすると前線のスターリングとジャクソンはリトリートで自陣のPA付近まで戻ることもしばしば。

 ダラダラしていると平気で守備にリソース投入してくるチェルシーを見て、リバプールは手早く裏にボールを繋ぐようになる。長いボールを蹴ることができるアレクサンダー=アーノルドと相手を背負う状態で受けてもターンや無理な体勢からのパスで前線で繋ぐ圧巻のマック=アリスターを軸に攻撃を仕掛けていく。

 先制点の起点となったのもマック=アリスター。右サイド奥のサラーに展開をすると、ファーサイドに走り込んだディアスをピンポイントで狙ってゴールをアシスト。終始バタバタした試合の中で唯一仙人のように落ち着いていたサラーの巧みさが詰まったゴールだった。

 チェルシーの保持は中央を固めるリバプールに対して外循環のスタート。一見逃げのように見えるプランだが、この試合のリバプールの中盤より前の守備基準はガタガタ。WBにボールが入るとそれだけであっさりと最終ラインが晒される。WBにボールを入れてSBを引き出すと、その背後に前線の選手が入り込むだけで簡単にゴール前に進むことができた。

 SBが裏を取られることがわかっていればCBが早い段階でスライドすればいい!となりそうだが、リバプールは3センターがコンパクトに守れない人選になっているため、ライン間の縦パスにも警戒する必要がある。縦パスに積極的にファン・ダイクが出ていく関係で、今季のコナテはアレクサンダー=アーノルドと逆側のサイドの背後もカバーしなくてはいけないという昨季よりも大変そうな状況になっていた。

 こうした状況であればラインダウンするエンソは簡単にゲームメイクができる。リバプールは遅れてリアクションをする守備をしているので、スペースを逃さないエンソにとってはうってつけ。アンカー的に振る舞うギャラガーもゲームメイクで貢献できた。

 アタッキングサードにおいてはDFとGKの間に右サイドからひたすらクロスを入れる動きを継続。そのご褒美が37分のディザジのゴールに繋がる。

 後半もペースを握ったのはリバプール。ハーフタイムを経てもなお、外と中を自由に行き来するチェルシーの攻撃に対抗策が見つからず前進を許し続ける。内外問わずオフザボールの動きを繰り返すスターリングの実直性が光る流れとなった。

 チェルシーは右サイドのジェームズがオーバーラップができなくなってからややサイドアタックの精度が低下。リバプールの守備の対応は少しずつ間に合うようになる。

 リバプールはヌニェスなど前線の選手を入れ替えることでエネルギーを注入。プレスは前に出ていくようになったが、外され続けていたのであまり効果はなかったが、前進の馬力が出たこと自体は良かった。だが、最も可能性を感じるサラーをあっさりと諦めたのは意見が分かれるところだろう。

 ホームチームは同点ゴール以降は試合の主導権を握ったが、勝ち越しゴールを奪うことはできず。スコアレスではなかったが、またしてもこのカードは引き分け。これでチェルシーとリバプールの対戦はPK決着となったカップ戦も含めて7試合連続で引き分けが続くこととなった。 

ひとこと

 試合後もピッチ外で引き続き戦っていて面白いです。

試合結果

2023.8.13
プレミアリーグ 第1節
チェルシー 1-1 リバプール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:37′ ディザジ
LIV:18′ ディアス
主審:アンソニー・テイラー

マンチェスター・ユナイテッド×ウォルバーハンプトン

愚直なハーフスペースアタックが身を結んだ理由

 オープニングウィークのトリを飾るのはマンチェスター・ユナイテッド。テン・ハーグ2期目の上積みを見せられるかどうか?というテーマの23-24シーズンがスタートする。そんな彼らが開幕戦で迎えるのは同じく継続路線を迎える「はずだった」ウルブス。主力の入れ替えに加えてまさかの開幕直前の監督交代と動きが激しいオフになっている。下馬評は怪しい部分もあるが果たして。

 試合はユナイテッドのボール保持からスタート。ウルブスの4-4-2ベースの守備は非常によくこの保持に食らいついていたと言えるだろう。ユナイテッドはCBが列を上げることで基準点をずらしにかかるが、時間を前に送るアクションがあまり効いておらず、ウルブスの素早いリトリートによって無効化されていた印象。

 WGには1on1でボールが入る場面も多かったが、対峙したSBによって封じられていた。特にガルナチョと対面したセメドの出来は素晴らしく、前半はほぼ完封したといっていいだろう。サイドにつけても単騎でも連携でも解決策が見えない状況なので、裏に蹴っておけ!という形でユナイテッドはボールを失っていき、前線はフラストレーションが溜まる展開になる。

 ウルブスは保持でも健闘。低い位置まで守備をこなしたSHがキープするクーニャから落としを受けて加速。攻撃を牽引する。低い位置まで降りてのリトリート、そしてインサイドにカットインしつつスペースのある中央をカウンター気味に進むSHはまさしく昨年のオニールのボーンマスの役割に近いものがある。

 クーニャと両SHは縦に速い攻撃から存在感を見せる。惜しいシュートは角度のないところからのものであり、決定機とまではいけないが、よりゴールに近づいたのはポゼッション率とは裏腹にウルブスだった前半となった。

 後半もペースを握ったのはウルブス。WGのキレがいい攻撃からスタートする。ヌネスのキャリーから、ワイドの駆け引きで膨らんだサラビアがフリーになると、決定機を迎えたのはクーニャだったが、難しい体制からのシュートはポスト。今日のウルブスの攻撃のキレを象徴するような攻撃だったが、ゴールを掴むことができない。

 対するユナイテッドは停滞感が拭えない。大きな展開からの大外を起点とするハーフスペースアタックをひたすら行っていたが、なかなか打開ができず。思うに「必ず抜けた選手を使う」というのがウルブスの対応にがっちりハマってしまった感がある。CHがハーフスペースの裏をケアする形をしていたウルブスに対して、手前を使うことができればもう少し展開は楽になっただろう。

 実際、先制点の場面は出口こそハーフスペースアタックだが、大外から一度手前のブルーノにマイナスのパスを戻している。これにレミナが釣られてしまい、ハーフスペースに飛び込んだワン=ビサカがフリーになった。ひたすら続けたハーフスペースアタックが結果を出したのは確かだが、うまくいったのには理由がある。

 後半も猛威を振るったウルブスの強度だが、展開とは裏腹にビハインド。ウルブスはすでに投入されたヒチャンに加えて、カライジッチやシルバなど前線の選手を続々と投入していく。ラッシュフォードを下げてマクトミネイを入れたテン・ハーグの采配も押し込まれる展開を助長。終盤はウルブスがひたすら左右からクロスを上げる。

 ポイントになったのはミドルに体を投げ出し続けたMFとオナナの出来。撤退に追い込まれながらもなんとかクリーンシートに抑えられたのは彼らの献身性の賜物だろう。

 大苦戦といっていいホーム開幕戦を制したユナイテッド。ウルブスは前評判を覆す会心の出来だったが、内容の手応えを勝ち点に繋げることができなかった。

ひとこと

 最後のオナナのバンザイアタックで死ぬほど笑ってしまった。

試合結果

2023.8.14
プレミアリーグ 第1節
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 ウォルバーハンプトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:76′ ヴァラン
主審:サイモン・フーパー

今節のベストイレブン

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