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「Catch up UEFA Europe League」~2022.10.27 グループステージ 第5節 PSVアイントホーフェン×アーセナル ハイライトレビュー

■前線の充実度がスコアに反映される

 引き分け以上で首位通過が確定するアーセナル。最終節のチューリッヒ戦はチェルシー戦の直前なので、アルテタとしては第5節で首位通過を決めてホーム最終節を振るターンオーバーしたいという目論みではないだろうか。

 序盤はアーセナルがポゼッションを行う。基本線としてはいつも通りといえるだろう。ティアニーを押し出してバックラインは3枚構成が基本。ロコンガとのコンビの時はジャカが後ろ重心でバランスを取る傾向が強いのもいつも通りといえる現象だ。

 右のWGがドリブラータイプではないファビオ・ヴィエイラなのはどういう影響があるかな?と思いながら見ていたけども、彼自身が外に張り出す意識を強く持っていたことと、対面のマックスがヴィエイラが得意なインサイドへの持ち運びを防ぐような立ち方をしていなかったので、そこまで大きな問題にはならなかった。正直、もっとやれないと思っていた。

    むしろ、逆サイドへの展開で精度勝負に持って行けたのはヴィエイラにとっては悪くない戦い方だったといえるだろう。ウーデゴールとの均質性を活かしてのレーン入れ替えはもっとしてもいいけども。

 アーセナルの基本的なプランとしては3-2でのビルドアップ隊にもう1人が加わり、その選手にボールを預けながら前進する形が多かった。降りてくるエンケティアやウーデゴールに対しては厳しいマークがつかれているため、ブレイクスルーにはならなかったが、インサイドに絞るティアニーは比較的前を見てボールを持つことができた。やっぱりティアニーはインサイドに絞ってもできることはある。頻度はもう少し欲しい。

 試合が進むにつれてアーセナルが苦しくなったのは前線に早い段階で当てるものの、フィードの精度が低かったこと。そして、前線がなかなか収められなかったことで、かなり早くボールが帰ってきたことである。ボールの失い方が悪く、間延びした状態でPSVのカウンターを受けなければいけないとなると、苦しい時間帯が続いてしまう。

 前線とバックラインの駆け引きで起点を作ることができていたのはPSVの方だ。アーセナルがボールを簡単に捨ててくれることもあり、カウンターから縦に進む形で攻撃を組み立てる機会が多かったPSV。前節はワイドに張って冨安に完敗したガクポは前線中央でオフサイドスレスレを狙うという先週とは異なるアプローチを見せてきた。これが正解。アーセナルとのバックラインとの駆け引きで持ち味を存分に発揮した印象だ。

 前半はオフサイドでPSVのゴールを認められることはなかったが、手応えはあったはず。バックラインの手前にフリーの選手を作り、前線と駆け引きをするという形はできていたので、あとはタイミングさえ合えば!という状況で前半を終えることができた。アーセナルのバックラインの中では特に機動力に欠けるホールディングが苦しそうで、小回りが効くPSVのアタッカーに振り切られてしまう場面が目立った。

 後半、PSVはルーク・デ・ヨングを投入。長いボールで起点を作れるデ・ヨングでさらに前半通用した部分を伸ばしていく方向性だ。デ・ヨングはアーセナルのバックラインに終始完勝。特にティアニーとホールディングはやられっぱなしであった。

 PSVの得点シーンはこの90分の縮図と言っていいくらい要素が詰まっているものだった。地味にズレるバックラインからの前線へのパス(スローイン)、収まらないエンケティア、入れ替わられるホールディング。アーセナルは前線に起点を作れず、PSVがアーセナルのバックラインと駆け引きできていたことがよくわかる。

 PSVはセットプレーから2点目をゲット。こちらは出て行って触れなかったラムズデールの明確なミスと言えるだろう。もっともマッチアップ相手のティアニーは完全にデ・ヨングに潰されていたので、ラムズデールがステイしていたとしても防げたかは不明ではあるが。

 苦しくなったアーセナルは1失点目の後にトーマス、サカを投入。2点ビハインドになった段階ではジェズスを投入し3-5-2に移行した。

 この3-5-2が効いたのかは微妙なところ。パッと見ると3バックというのはバックラインの枚数を削っている分、攻撃的に見えるのだけども、CBが前線に絡めなければSBがカジュアルにオーバーラップできる4バックよりも前に人数を送りにくく、後ろに重くなりやすい側面がある。

 この日のPSVは終始4-4-2でのプレッシングを行っていたため、CBが2トップのワイドから運んでいく形はもっと作りたかった。特に、左のティアニーは明確に高い位置での方がプレーに貢献できるタイプ。彼を高い位置に押し上げる仕組みがなく、ポジションを下げてしまっただけになったのはちょっと勿体無い感じがした。

 WBに押し下げられたマルティネッリとサカも同様。より低いスタートポジションでサイドからのサポートを受けにくい状態になってしまっていたので、持ち味は発揮しにくくなる。

 逆にメリットは当然2トップの採用だ。ジェズスとエンケティアの2人を自然に併用し、ゴールに近い位置で活用できるのは利点となる。ただ、前節のプレミアのレビューでも指摘したように、この2人はなかなか連携を生かせていない。ラカゼットとエンケティアのように1人がサイドに流れて、1人が中央に残るみたいなポジションバランスがあまりできておらず。どちらも足元に受けたがってしまうので、持ち味が被っている感じ。

 PSVのように2トップは1+1=3くらいまで関係性を引き上げて欲しいのが正直なところ。この日のアーセナルはそれができなかった。マルティネッリとサカをゴールから遠ざけてまでこの2人を併用することが効くかと言われれば、首をかしげざるを得ない状況だった。

 結局、終盤のアーセナルは数的優位のバックラインが持ち上がりをサボり、マークがついている選手に縦パスを刺してはPSVのカウンターをお膳立てすることを繰り返してばかり。今のアーセナルは先制されるとフィジカル的な調子の良さに頼って、盤面を使ったコントロールを軽視していた序盤戦のツケが回ってきたなと思わされる試合運びをする。

 アルテタはリセットすると言っていたが、確かにいいタイミングかもしれない。盤面が変わった時のタスクのバランスの変え方や、点を取りに行く時のプランの見直しなど、時間がない中で手をつけたいところが見えてきた試合だったと言えるだろう。

試合結果
2022.10.27
UEFAヨーロッパリーグ グループA
グループステージ 第5節
PSVアイントホーフェン 2-0 アーセナル
PSVスタディオン
【得点者】
PSV:56′ フェールマン, 63′ デ・ヨング
主審:マルコ・ディ・ベッロ

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