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「Catch up UEFA Europe League」~2022.10.13 グループステージ 第4節 ボデ/グリムド×アーセナル ハイライトレビュー

■快勝ではないが求められたものを手にした

 アーセナルのW杯までの残りの日程を見据えた時に移動で最もきついのが今週である。ノルウェー遠征からのエランド・ロード。距離的にハードな移動になる。

 さらにはボデ/グリムドの本拠地であるアスプミラ・スタディオンは人工芝のスタジアム。寒さというノルウェーらしい気候も相まってアーセナルにとっては過酷な環境での試合という形になった。

 アーセナルのボール保持は今季のどの試合よりもかなり明確な3-2-5だったといえるだろう。ティアニーはほとんどの局面においてインサイドに入り込みながらロコンガの隣に立つ場面が多かった。

 そうなれば大外を託される機会が増えるのはWGである。左のネルソン、右のサカという2人に打開は託される。ここ最近のアーセナルはWGの突破力に過度に依存する展開は少なかったのだが、この試合は経験が少ないメンバーということもあり、システム上使いやすい大外に偏って打開を託すパターンは多かった。前からの積極的なプレスというよりは中盤をコンパクトにしながらミドルゾーンでスペースを消す守り方をしていたボデ/グリムドのプランも関係しているところだろう。

 左右のサイドには出来の差が出ていたアーセナル。右のサカを基準とした崩しは外を回るホワイト、インサイドからフォローするウーデゴールとの連携で深い位置までの侵入はスムーズにできていた。

 重心を高めてからはロコンガのフォローも適切なタイミングで行われていた。サカの横パスを受けれるタイミングで顔を出し、攻撃を前に進める手助けをしていた。24分の先制点の場面もサカとのワンツーで抜け出してのチャンスメイクがきっかけだった。

 相対的に打開力に欠けているネルソンにとっては厳しい試合となった。インサイドに入り込み、ボデ/グリムドのブロックに入り込むようなプレーが多く、守備に穴を開ける動きを見せることができない状態になっていた。

 もっとも、ネルソンにとっては難しい状況だったのは確かだ。普段であればフォローしてくれるジャカは不在だし、ティアニーは低い位置でのビルドアップのヘルプのタスクが重たい日。やや、戸惑いが多かったファビオ・ヴィエイラとのコンビネーションではできることは限られてくるのは仕方がない部分もある。そういうわけでアーセナルはこれまでに比べると攻撃ルートがだいぶ限られていた前半だったといえるだろう。

 ボデ/グリムドの保持にもアーセナルはだいぶ苦しんだ。アーセナルは中盤を噛み合わせる形で4-1-4-1のプレスを採用。前線から無理にプレスに行くことはしない。しかしながら、ボデ/グリムドは左サイドからの前後の入れ替えで前進する形を序盤から見せており、アーセナルのミドルブロックの守備はそこまで機能性は高いとは言えない状態だった。

 それならばとアーセナルは20分手前くらいからIHが前に出ていく形で圧力を高めて行くが、この形もハマらず。むしろ、中盤でパスの出しどころを見つけやすくなったボデ/グリムドは慣れたテンポでやり直しを挟みながらショートパスを主体にボールを前に進めていく。アーセナルからすれば中盤のカバー範囲が広がった分、ロコンガが入れ替わられてピンチになるシーンもしばしば。苦しい流れとなった。

 ボール保持の時間を増やしながら徐々に構成をかけていくボデ/グリムド。エスペヨルドに向けたロングボールに対しても、ホールディングは跳ね返し切ることができず、あらゆる形で前進をしていく。

 それだけにボデ/グリムドは何回か訪れていた決定機は決めておきたかったところ。ペルグリノ、エスペヨルト、ソルバッケンにはそれぞれ十分に決められるチャンスがあっただけにもったいない。逆にターナーは強烈なシュートストップや安定した裏のカバーを披露。アーセナルファンに優秀な2ndゴールキーパーが控えていることをアピールすることに成功したと言っていいだろう。

 後半に出てきたジャカはボール保持とアタッキングサードへの侵入で存在感を示したし、冨安は空中戦の強さでボデ/グリムドの手数の少ない前進を防ぐ防波堤になった。後ろに入った交代選手がもたらした安定感で徐々にボデ/グリムドをゴールから遠ざけているアーセナルは徐々に試合を落ち着けていく。

 マルティネッリ、マルキーニョスと前線の攻撃の選手たちが起爆剤になりきれなかった分、後半もチャンスは量産できなかった。だが、この試合の優先度は明らかに勝利とプレータイムマネジメントの両立。キリのいい時間での展開に削ぐわない交代は明らかに事前に計画されたものがほとんどだ(ロコンガ→トーマスだけは展開を見たものかもしれない)。

 そういう意味では勝利という結果こそ、この日最も欲しかったもの。ここ数試合のような快勝とはならなかったが、メンバー構成に縛りを設けながらノルマを達成したという意味では十分な一戦と言ってもいいだろう。

試合結果
2022.10.6
UEFAヨーロッパリーグ グループA
グループステージ 第4節
ボデ/グリムド 0-1 アーセナル
アスプミラ・スタディオン
【得点者】
ARS:24′ サカ
主審:イルファン・ペリト

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