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「未知の領域の質を問う」~2023.9.24 プレミアリーグ 第6節 アーセナル×トッテナム プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第6節
2023.9.24
アーセナル(4位/4勝1分0敗/勝ち点13/得点9 失点4)
×
トッテナム(2位/4勝1分0敗/勝ち点13/得点13 失点5)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でアーセナルの5勝、トッテナムの4勝、引き分けが2つ。

アーセナルホームでの成績

過去10回の対戦でアーセナルの5勝、トッテナムの1勝、引き分けが4つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • アーセナルは5連勝した1987-89以来のトッテナム戦3連勝を狙う。
  • トッテナムは31回のプレミアにおけるアーセナルホームでの試合において過去に2勝しか挙げた事がない(D11,L18)。
  • 両チームがリーグ戦無敗のまま対戦するのは1990年以来。この時は第3節でのハイバリーでの対戦で結果はスコアレスドローだった。
  • アーセナルはホームのノースロンドンダービーにおいて1998年のスコアレスドロー以降、24試合連続で得点を挙げている。

スカッド情報

Arsenal
  • エバートン戦でハムストリングを負傷したガブリエル・マルティネッリは出場可能かの評価を行う。
  • 鼠蹊部を怪我したトーマス・パーティと長期離脱中のユリエン・ティンバーは欠場。
Tottenham
  • イヴァン・ペリシッチはトレーニングで膝の重傷を負い、シーズンの大部分を欠場する見込み。
  • 他に新たな離脱者はいないが、ジオバニ・ロ・チェルソ、ブライアン・ヒル、ロドリゴ・ベンタンクールの復帰にはまだ数週間かかる。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 16シーズンで2回目の開幕6戦無敗に挑む。
  • プレミアにおけるロンドンダービーには直近14試合負けがない(W11,D3)。最後の敗戦は2022年5月のトッテナム戦の0-3。
  • 2021年8月のチェルシー戦を除き、直近18試合のプレミアでのホームのロンドンダービーは負けなし。
  • 直近27試合のホームのプレミアのゲームにおいてクリーンシートは4つだけ。
  • ミケル・アルテタは1977-80のテリー・ニール以来初めて就任直後のホームのノースロンドンダービーで4連勝した監督になる可能性。
  • ブカヨ・サカはホームのプレミアリーグの直近18試合の出場で18得点に絡んでいる(12G,6A)。
Tottenham
  • 4勝1分という開幕5試合の成績は直近58年の中で最も優れたラン。
  • 昨季は開幕7試合無敗(W5,D2)だが、エミレーツ・スタジアムでの3-1での敗戦で無敗が止まった。
  • 1960-61,65-66以来3回目の開幕5戦でいずれも複数得点を記録。
  • 勝てばプレミアでのアウェイ200勝目。
  • 勝てばアンジェ・ポステコグルーは1985年の元日にハイバリーで勝利したピーター・シュリーブ以来、就任後初めてのアウェイのノースロンドンダービーを制した指揮官になる。
  • ジェームズ・マディソンは直近21試合のプレミアでのアウェイゲームにおいて19得点に関与している(10G,9A)

予習

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予想スタメン

展望

ビルドアップから仕上げまで隅々まで見られるポステコ色

 ともにここまでの成績は4勝1分。無敗同士で迎える今回のノースロンドンダービーは両チームのサポーターの期待値の高さで言えば、近年屈指のシチュエーションと言えるかもしれない。

 セルティックから新監督を迎え、長年チームを支えてきたエースに別れを告げたトッテナム。まだ5試合で判断するには早すぎるのは承知ではあるが、ここまでの出来はおそらく再建には時間がかかるだろうという大方の見方を覆している快進撃。カラバオカップの敗退に文句をつけるサポーターなどおそらくほとんどいないだろう。

 ポステコグルーのスタイルはバックラインからのスピーディなつなぎによるプレス回避と敵陣での多くの人数をかけたダイナミックな攻撃が旗印になっている。縦へのスピーディさはあるが、これまでのトッテナムでいうところの縦への早さとはだいぶ毛色が違うものになっている。ロングカウンターによる一発ではなく、ショートパスで相手のプレスを剥がしながら、小気味よく敵陣に入り込んでいく形はこれまでの彼らにはなかったスタイルだ。

 ビルドアップの部分は昨季から最も大きな進歩があった。CBが大きく左右に広がり、バックラインはショートパスからの前進を狙っていく。中盤はビスマに自由が与えられて、ボールを引き出しながら大きな展開を自在に行えるようになった。既存戦力の中で最も昨季からパフォーマンスで一変した選手だ。

 特筆すべきなのはプレスがかかった時の対応力。ロメロ、ヴィカーリオといったバックラインの選手たちは、プレッシャーを受けながらも何がなんでもボールをつなぐというほどの頭抜けた足技を持っているわけではない。よってボーンマスのように高い位置からのプレスでご機嫌を伺ってくるようなチームには立ち上がりはバタバタすることもよくある。

 それでも、10分も過ぎれば徐々に対応できているのだから立派なもの。インサイドに入るポロやウドジェ、そして降りてくるマディソンがポイントを作り前を向くと、ここから一気にボールを加速することができる。トッテナムの一節前に同じように強烈なボーンマスのプレスを受けたリバプールと比べても、彼らのプレス解析の速度は上だった。

 ボールを敵陣に運んだ際はビルドアップにおいて後ろに枚数を使うことが多いため、クリーンに抜け出す状況以外は前に人が足りないケースもしばしば。こうしたときに頼りになるのはソンとクルゼフスキ。クルゼフスキはこの部分では昨季から明らかに信頼をおけるし、ソンはWGであれば時間を作り、CFであれば抜け出しから最終局面での再加速を担うなど顔を変えながらアタッキングサードで躍動することができる。

 前線で時間を作ることができれば、素早く駆け上がったSBがそこから攻撃に加わることが可能になる。両SBに加えてボックス内に加勢するのはマディソンとサール。ボックス内には十分に人数をかけて攻撃を行うことができる。しっくりこなければ、マディソンを介してのサイドチェンジからやり直しができるのも大きい。

 こうしたビルドアップ→押し上げ→フィニッシュにつながる崩しの一連は新監督のシーズン序盤としては高い完成度。特にビルドアップにおいては出し手と受け手が入れ替わっても、スムーズな前進ができるように。この部分はかなり早く仕上がった。

 プレッシングに関しても比較的早め早めの対応が目立つ。ショートパスでの繋ぎで押し上げた陣形をベースに、一気にボールを奪いにいく。特にビハインドにおいてはアップテンポな展開から強引に流れを引き寄せる力強さを持っているのが今のトッテナム。その勢いは成績に反映されている。

エネルギー差を詰めつつ撤退守備と陣地回復を押し付ける

 アーセナルはどのように立ち向かうべきか。この試合においてアーセナル側に最も不利に傾きうる材料があるとすれば、それはスケジュール面だろう。ホームで比較的楽な展開で勝利したとはいえ、水曜にCLを戦たアーセナルと1週間をまるまるこの試合の準備に使えるトッテナムとでは差があるのは間違いない。

 もちろん、ダービーらしいバチバチな展開をファンとしては望みたい。だが、トランジッションの連発の立ち上がりは、終盤になるにつれてトッテナムに有利に転がる可能性もある。当たり前であるが、アーセナルとしてはトッテナムが不利になる展開に持ち込みたい。個人的にはそのための鍵は今季ここまであまりトッテナムが見せていない局面に隠れていると推察する。

 具体的に言えば、ボールを持たれて押し込まれる展開である。ここまでトッテナムはボールを持たれて押し込まれた試合は皆無。よって、撤退守備で多くの時間を凌ぐことになるアプローチは彼らにとっては「未知の領域」となる。おそらくは少しは粗が出てくるはずだ。

 押し込むことができれば、まずはウドジェとファン・デ・フェンの左サイド側からつっかけていくトライをしたいところ。サカがボールを持った際に守備陣形が歪み、あっさりと得点を重ねることができたPSV戦の再現ができればとっても簡単だが、おそらくトッテナムはそこまで楽な相手ではないだろう。

 押し込むことのメリットはもう一つ。ケインがいなくなったことでトッテナムが最も困るであろうことの1つは陣地回復。ケインほど時間を作れる代役はいない。撤退守備の脆さとケインがいなくなったことによるローラインからの脱出という2つのトッテナムの未知の領域における懸念を引き摺り出して、両チーム間のエネルギーさを少しずつ近づけていきたい。

 繰り返せば長期的には不利になる可能性はあるが、もちろん単発であればカウンターでのチャンスも十分に見込めるだろう。同サイドに追い込みながらプレスをかけてくるトッテナムの中盤に対して、外したり逆サイドに展開して狙いを外したいところ。特に保持時にアナーキーなポジションをとるトッテナムのSBの背後は狙い目になるだろう。SBのカバーにCBが外に釣り出されてしまうと最終ラインの守備はだいぶバラされるはず。そうなれば、ボックス内のマークは甘くなりやすい。

 もう1つ、考えておきたいのはマディソンへの対応。今のトッテナムの攻撃のほとんどを担っている彼が効くかどうかはこの試合における重要なポイントになる。前進と展開の両面において今のトッテナムの要である。

 やり方の案として1つ考えられるのはライスをマンツーでつけてしまうこと。ただし、中盤は完全に空洞化するリスクもある。ここまでのアーセナルのピンチはほとんどライスが中盤を留守にしているところから始まっており、このライスとマディソンの相討ちはアーセナルに収支がプラスに傾くかは不明である。

 まとめるとまずはエネルギー差を詰めるアプローチを心がけること。そして、陣地回復と撤退守備の2つの課題をトッテナムに突きつけること。この戦い方でローカルライバルの勢いをへし折る勝利を手にしたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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