Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第28節
2023.9.24
湘南ベルマーレ(18位/4勝9分14敗/勝ち点21/得点33/失点51)
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川崎フロンターレ(9位/10勝6分11敗/勝ち点36/得点35/失点36)
@国立競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で湘南は2勝、川崎は7勝、引き分けが4つ。
湘南ホームでの戦績
直近10戦で湘南の2勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- リーグ戦直近3試合の対戦で川崎は湘南に勝利がない(D1,L2)
- しかしながら、今年のルヴァンカップでは湘南のホームで川崎が逆転勝ちを決めている。
- 直近3試合の1点差決着のゲームはすべて逆転勝利。
- 2023年ルヴァンカップ湘南H、2022年湘南H、2021年川崎H
- 湘南が18位で迎えた川崎とのホームゲームは過去に2回。いずれも川崎が勝利。
- 2020年の0-1、2010年の1-6。
スカッド情報
- ソン・ボムグンは左足舟状骨疲労骨折で離脱中。
- 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れのため離脱中。
- 長期離脱中のジェジエウはランニングをスタート。
予想スタメン
Match facts
- 昨季の同時期と比べて勝ち点が8少ない。
- 直近6試合のリーグ戦では2敗のみ。
- 先制された試合では今季逆転勝ちがない。
- 全公式戦における60分以降の失点が36であり、これは川崎のリーグ総失点と同じ数。
- リーグ戦ではリードを奪った試合において8回勝利を逃している。
- 9回の札幌に次いで多い。
- 大橋祐紀は直近6試合のリーグ戦の出場で4得点を決めている。
- アウェイでのリーグ戦は2連敗中。9月のアウェイゲームは直近4試合勝ちがない(D2,L2)。
- 昨季同時期と比べて勝ち点は16減っており、リーグ戦の得点は14減っている。
- 直近のリーグ戦7試合の勝利はすべてクリーンシート。
- 今季のリーグ戦において逆転負けがない。
- 国立でのリーグ戦は今季FC東京相手に2-1で敗戦している。
- 脇坂泰斗は直近7試合のリーグ戦で7得点に関与(4G,3A)
予習
第25節 浦和戦
第26節 鹿島戦
第27節 札幌戦
展望
中盤の強度復活が残留の命運を握る
ACLでは見事に開幕戦勝利を挙げた川崎。日本に帰ってきて挑むのは、ルヴァンカップでもグループステージで対峙している湘南と今季4回目となる最後の対戦だ。湘南のホーム開催ながら今節は国立競技場での開催となる。
湘南は現在18位。1枠のみがJ2に降格という今季の残留争いをなかなか抜け出せない状態になっている。山口監督が率いているチームは前半戦に対峙した時に比べて方向性としてそこまで大きな変化はない。エースの町野が海外挑戦のために退団しても3-5-2の基本形は継続。前線では大橋を軸に2トップを維持する形で試合を重ねている。
バックラインからのビルドアップにはGKを組み込むこともしばしば。川崎相手と同様にGKにボールを持たせつつのオールコートマンツーを仕掛けてきた札幌との前節では、川崎にも以前在籍した馬渡が落ち着いたパフォーマンスで対応。馬渡は守備でも素晴らしい働きを見せており、古巣相手の今節も先発の可能性は十分にあると言えるだろう。
GKは怪我人の都合でかなり入れ替わりがあるが、どのGKも過剰に繋ぐ選択にこだわるわけではなく、前線に大きく蹴っ飛ばしていく選択もしていく。サイドへの大きな展開を狙いつつも、基本的には安全第一のメンタリティでボールを動かしている。
というのも町野退団以降は前線にターゲットとして振る舞うことができるFWがいないのである。というわけでアバウトなボールに終始してしまうと、すぐにボールが帰ってきてしまう。縦に大きくゲインするパスを繋ぐにしても、グラウンダーのボールをつけて落として受けるというメカニズムを構築しなければ前進の糸口は見えてこない。
この傾向が分かりやすく出たのは鹿島戦。とりあえず蹴るロングボールは鹿島に回収され続けた一方で、レイオフの連続から人についてくる守備をしてくる鹿島の守備陣を動かし、スムーズにゴールに運ぶことができた1点目は非常に湘南らしい前進だと言えるだろう。
つまり、縦に進むボールを蹴る際には縦パスの先が見えている状態になっていることが大事。縦パスをとりあえず入れて、道を切り拓いてもらおう!という考え方だとすぐにボールは跳ね返されてしまうことになるだろう。
守備においては2トップがアンカーを受け渡しつつ、3センターのIHがプレスのスイッチを入れるように前に出ていくプランは以前と同じ。ただ、少し気になるのはこの守備において重要な役割を担う中盤の強度が少し下がっているように感じること。
鹿島戦では極端にインサイドに絞ってくるポジションをとる鹿島の2列目を警戒するあまり前に出ていけなくなり、対応が中途半端に。結局はフリーの選手に縦パスをガンガン入れさせる状況を作られてしまった。札幌戦では出ていくところはできていたものの、すれ違って突破されるシーンが多く、網の強度に問題を感じるパフォーマンスだった。
バックラインが晒されてしまうと強度の部分ではそもそも不安があるチーム。それだけにこの中盤の強固な網が復調するかどうかは、この試合だけでなく今後の湘南の残留争いを左右することになるだろう。
効果的な予感がある4-3-2-1のリスク
川崎がまずこの試合で避けなければいけないのは、湘南に縦パスを通す道筋を簡単に与えてしまうことである。コースが見えれば簡単に加速できるクオリティは十分に有しているチームである。
おそらくACLからは多かれ少なかれメンバーの入れ替えもあるだろうから、この試合に採用するかはわからないが、今の川崎のいわゆる4-3-2-1型といわれているWGがインサイドを締める形は一応湘南のコンセプトを阻害する形になっている。川崎が人を多くおいて、スペースを消している場所は湘南がスピードアップを図りたい場所と一致する。
しかしながら、中央のホルダーへのプレッシングが甘くなったり、CHが外のカバーにつられたりした結果、このシステムを使ってもインサイドへの縦パスのルートが空いてしまうことはあり得る話。インサイドを締めてこその外誘導なので、そこの優先順位をすっ飛ばしてしまうと、湘南のスピードアップを促進してしまう可能性もあるだろう。もっとも、このシステムは前線のキャラクターに合わせたプランなので、予想スタメン通りのターンオーバーを行うのであれば、個人的には継続はないのではないかなと思っているけども。
あとはボールの失い方。ACLでは頼もしさを見せた家長だが、リーグでは横パスからのミスでピンチを招くなど、パフォーマンスにはムラがある状況。IHの強引なターンなども餌食になる可能性は十分にあるだろう。実際に札幌はそうしたプレーから湘南相手に簡単にカウンターを受けまくっていた。
湘南のバックラインは3バックで幅を守り、WBのプレスの迎撃の姿勢は比較的控えめで最終ラインの大外をケアするケースが増えている。よって、守勢に回るとラインは比較的下がりやすい。川崎からすればサイドからボールを運べばきっちり押し下げられるし、即時奪回もそれなりに効くだろう。
できれば川崎の中盤3枚は湘南の中盤を手前に引きつけながら、DF-MF間のスペースを広げたいところ。ダミアン、ゴミスを中央において湘南のバックラインの押し上げを防ぎ、ポストプレーから前を向く選手を作り、裸の湘南のDFラインと対峙する形を作るのが理想となる。あるいは脇坂や瀬古はターンから相手を外して、自らラインを超えるアクションにトライする価値はある。ただし、先述したようにこのプレーはリスクも伴うものである。
こういう形を作ることができれば得点はぐっと近づく。サイドから運ぶのも悪くはないが、中央での駆け引きを制することができればよりクリティカルなチャンスの形を作れる可能性は広がってくるはずだ。
リーグ戦では近年苦手とする湘南戦。日程的には踏ん張りどころではあるが対湘南戦のリーグ戦で4試合ぶりの勝利を飾り苦手意識に歯止めをかけておきたいところだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)