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「Catch up Premier League」~Match week 3~ 2022.8.20-8.22

目次

①トッテナム【4位】×ウォルバーハンプトン【14位】

■苦戦に光を照らしたペリシッチ

 今節は開幕から4バックを採用していたウルブス。しかし、この試合では5-3-2のフォーメーションでトッテナムを迎え撃つこととした。

 このやり方はトッテナム対策と言えるだろう。インサイドを閉じて外に追いやるように守るのがこの日の彼らのやり方。トッテナムのワイドのCBにはボールを持たせながらミドルゾーンでのプレスを行う。

 トッテナムは久しぶりにケインへの強引な楔で打開をお願いする形が目立った。窮屈な中央に起点を作るにはこの試合ではそれ一択ということだろう。他の前線の選手たちは裏に抜ける形を狙うことで異なる打開策を探しに。14分、右サイドの大外でエメルソンとクルゼフスキが見せた連携もその打開策探しの一環だろう。

 対するウルブスもゆったりとボールを持つことができる展開。トッテナムはネベスをマークするケインをはじめ、ハイプレスは据え置きの状態だった。

 撤退するトッテナムに対してウルブスはまずは大外のWB勝負で仕掛けていく。この試合のウルブスのボールを動かすフィーリングは悪くなく、トッテナムのライン間を使いながら中央の攻略にもトライ。大外で一度広げた後、インサイドへのパスから進撃する形は何度も見られた。

 トッテナムはこの日の対応は全体的に重そう。ネガトラが遅く、ウルブスは早い段階からカウンターで一気に攻勢に出る形も見せることができるように。40分経っても一向にシュートを打てる気配のないトッテナムを尻目にシュートを重ねていく。

 そんなトッテナムの流れを変えたのは大外からのクロス。特に良かったのはこの日がプレミア初先発となったペリシッチである。圧倒的なスピードも馬力もあるわけではないが、抜き切らないでもあげられるクロスは非常に魅力。ボールを置く位置が相手から遠くなので、マーカーは足を伸ばしても届かない!という状況が出てくるように。

 逆サイドのクルゼフスキを含めて押し込む状況を両サイドからのクロスで解決していくトッテナム。流れを引き戻すと、セットプレーからケインが先制。ニアでスラしてゴールをアシストしたのはここでもペリシッチ出会った。

 後半は敵陣での崩しに挑む機会が増えたウルブス。ゲデスやヌネスなどの新戦力の奮闘や、WBながら攻撃に絡む頻度が多いアイト=ヌーリの活躍でゴールに近づくことはできていた。

 失点時にはカウンターからチャンスを作り出すウルブス。トランジッションからも好機を見出すが、この土壌はトッテナムも得意。終盤はどちらも点が取れることはなかったが、よりゴールに近づいていたのはリードしているトッテナムの方だろう。

 前節のチェルシー戦同様難しい試合になったトッテナムだが、それでもこの2試合で勝ち点は4。苦しい内容で最大限の結果を勝ち取ってみせた。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
トッテナム 1-0 ウォルバーハンプトン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:64′ ケイン
主審:シモン・フーパー

②クリスタル・パレス【16位】×アストンビラ【9位】

■後半に見られた出来の差がスコアに反映される

 序盤、アストンビラはボールを持たされる展開に。パレスはアンカーのカマラに対してエドゥアールがついていく。両サイドのアイェウとザハは外切りからCBにプレッシャーをかけていくスタンス。中盤は噛み合わされつつ、バックラインにはプレス隊がいるというなかなか難しい展開に。

 そんな中でビラはワンチャンスを先制点に結びつける。保持では2トップ気味だったワトキンスとベイリーの連携で一気にゴールまで。ベイリーの落としを最後はワトキンス。ミングスのロングフィードから一気に少ない手数で得点を手にしてみせた。

 一方のパレスはロングカウンターから反撃。こちらもロングボールをエドゥアールが落としたところでザハが拾って一気にカウンターを完結させた。7分でタイスコアとなった試合だったが、ここからはパレスのワンサイド気味に流れていく。

 ペースを握ったパレスはアンカー脇に顔を出すところからライン間で前を向き、攻撃を一気に加速させる。その中でもやはりザハのキレは別格。止まることになっても再加速で相手を置き去りにしていく形で、PA内に迫っていく。

 左でタメを作れるのならば、エリアに入り込んでいくのは他の選手たちの仕事。特にシュラップは積極的にエリア内に入っていくムーブを異なっており、フィニッシャーとして鋭い狙いを見せていた。そのシュラップはセットプレーからネットを揺らすが、これはオフサイドで取り消し。ビラはなんとか助かった格好だ。

 ビラは攻撃のきっかけが掴めない。どうしても前からプレスにいくことができず、カウンターから一気にカタをつけるきっかけを掴むことすらできない。

 後半もペースはパレス。ポゼッションで安定している分、押し込むところで攻撃の機会を十分に確保。ビラはカウンターからベイリーが存在感を見せてはいたが、やはり個人技に頼るところが大きい。

 攻めの機会で差をつけたパレスがやはり順当に勝ち越し点をゲット。セットプレーからディーニュのハンドを誘発してPKを得る。ザハのPKは一度はマルティネスに阻まれたものの、跳ね返りを押し込んでゴール。ザハ、PKを止められた人史上一番冷静だったように見えた。

 ビラは反撃に出たいところではあるが、ビルドアップから相手のハイプレスを剥がすことができずに苦戦する。マルティネスのフィードに苛立つキャッシュの表情はこの試合のビラの不甲斐なさを表しているようだった。

 そんなビラにとどめを刺したパレス。左サイドからのミッチェルのクロスをマテタが叩き込んで3点目を得てみせた。

 1-1以降は実力差がくっきり。試合の支配を勝敗に結びつけたパレスがビラを下して今季初勝利を掴んだ。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
クリスタル・パレス 3-1 アストンビラ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:7′ 58′ ザハ,71′ マテタ
AVL:5′ ワトキンス
主審:アンディ・マドレー

③エバートン【18位】×ノッティンガム・フォレスト【10位】

■一発の抜け出しで連勝を阻止

 開幕2連敗と今季も厳しいシーズンの予感が漂ってしまっているエバートン。対するは前節念願の今季初勝利を手にしたフォレストである。

 立ち上がりに積極策に出てきたのはエバートン。前線からのハイプレスでフォレストのバックラインにプレッシャーをかけていく。フォレストのプレッシングはエバートンのそれに比べれば落ち着いたもの。プレス隊は2枚でリンガードはシャドーと中盤のハーフアンドハーフという感じだった。

 フォレストは全体でのライン設定は高めになっており、陣形のコンパクトさを優先した感じ。その分、エバートンは外循環を強いられている印象。それでもシャドーとWBの連携から押し下げられる分、エバートンはアタッカーのポテンシャルでゴリ押せてはいた。

 エバートンは10分もすると自陣深い位置に撤退。ただし、フォレストほどコンパクトな布陣で守ることはできず。特にCHは負傷欠場しているドゥクレがいる前提なのかな?というくらい広い守備範囲のタスクを課されており、間を使われる状況が続いた。

 フォレストの保持は前節に比べると良化した印象。前節は早い段階でWBからのクロスに興じていたせいで、前線に厚みを作ることができていなかったが、今節はピッチを広く使いながらボールとともに陣形が押し上げられている。前節よりも厚みのある攻撃ができていたと言っていいだろう。

 一方のエバートンもカウンターのシャープさは前節よりは上。まだ怖い部分も多く見られるが少しずつ前進している印象はある。ただし、バックラインのビルドアップにおけるミスは多く、ショートカウンターからフォレストにはチャンスを与えてしまっていた。

 後半もボールを持ち、プレスには積極的に!という意識を見せることができていたフォレストがペースを握る。エバートンは早い攻撃から一撃を狙っていくスタンスに徹しており、この試合のバランスはこれで保たれたように見える。

 先に交代で試合のアクセントをつけに行ったのはフォレスト。ギブス=ホワイトを投入した左サイドから攻勢に出る。このサイドから押し込む機会を作ったフォレストは終盤にようやくジョンソンがこじ開けて先手を奪う。

 失点から反撃にでたエバートン。押し下げてサイドからのクロスを軸にゴールを狙っていく。念願の同点ゴールが決まったのは88分のこと。バックラインに対するフォレストのプレスが緩んだところを見逃さなかったピックフォードのフィードから抜け出したグレイが決めて追いつく。

 一瞬のスキで追いつく機会を得たエバートン。フォレストは終盤の手痛い一撃を食らってしまい、連勝の機会を逃してしまった。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
エバートン 1-1 ノッティンガム・フォレスト
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:88′ グレイ
NFO:81′ ジョンソン
主審:アンドレ・マリナー

④フラム【13位】×ブレントフォード【3位】

■試合を決めたエースはどちら?

 わずか40秒で先制したのはフラム。トランジッションから相手をかわしたペレイラとミトロビッチが秀逸な働きを見せて、最後はボビー・リードが押し込んだ。ブレントフォードはヒッキー、ヤンソンがやや慌てた対応を見せてしまった。

 先制点でノリに乗ったのか、この日のフラムはイケイケだった。2年前のプレミアでも見せていた好調時のパスワークは全開。ミドルゾーンからボールを奪うと、少ないタッチのパスワークでサイドのポジション交換からブレントフォードのブロックを攻略していく。

 特に好調だったのはペレイラ。先制点の場面もそうだが、この日は動きのキレが抜群。プレースキックキックの精度も際立っていた。いつもより低い位置にいるミトロビッチはややチャンスメイクにより過ぎている印象ではあったが、それが気にならないくらい他の前線のメンバーは調子が良さそうだった。

 ブレントフォードは左サイドでイェンセンが落ちて、ウィサが絞り、ヘンリーが高い位置をとるなどポゼッションで工夫を見せてはいた。だが、この日誤算だったのはトニーへのロングボールがなかなか計算が立たなかったことだろう。

 この部分は対面したフラムのアダラバイオを褒めるべきである。前節はユナイテッドをキリキリまいさせたフィジカルをこの日は完封。ブレントフォードは反撃のきっかけを掴むことができなかった。それであれば中盤のデュエルは負けたくないところだが、その部分でもこの日は完敗。となるとブレントフォードが主導権を握れないのは当然だろう。

 そういうわけでペースを完全に握ったのはフラム。セットプレーからパリーニャが追加点を奪う。これでパーフェクトな前半を見せることができたと思いきや、終了間際にクソみたいなセットプレー守備で追い上げのきっかけを与えてしまったのがいかにもフラムらしい。ノアゴールはCKのエリア内にしてはあまりにも思い切り足を振り抜けるくらいドフリーであった。

 後半はチームを牽引する両チームのエースが意地を見せる展開に。前半は厳しい戦いになっていたトニーは一度はオフサイドでゴールを取り消されてしまうなど恵まれない部分もあったが、最後はなんとか同点弾をゲット。右サイドからムベウモのタメ、ウィサの抜け出しからラストパスを押し込んで見せた。

 同点後もトニーの存在感はバッチリ。クロスをファーで待ち構えながら、ミスマッチを作り、最後までフラムのゴールを脅かしていく。

 後半は前半よりも守備のゾーンが下がってしまったフラム。苦しい展開の中で頼りになったのはこちらもエースのミトロビッチ。こちらもロングカウンターの起点とフィニッシャーと両立するなどフラムの攻撃を牽引する。

 後半の攻撃の中心となった両エースだったが、試合を決めたのはミトロビッチの方。ファーに待ち構えてボールを押し込み決勝点をゲット。押し込まれ、劣勢となった後半をチャラにする貴重なゴールを手にしてみせた。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
フラム 3−2 ブレントフォード
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:1′ B.リード, 20′ パリーニャ, 90′ ミトロビッチ
BRE:44′ ノアゴール, 71′ トニー
主審:ピーター・バンクス

⑤レスター【15位】×サウサンプトン【17位】

■マディソンを前座扱い、主役はアダムス

 立ち上がり、チャンスを作ったのはレスター。ヴァーディやデューズバリー=ホールの抜け出しからサウサンプトンの最終ラインの裏を取りに行った。

 しかし、ここはサウサンプトンのバックラインがスライドしながら阻止。この試合ではサウサンプトンのバックラインのベラ=コチャプとサリスの出来が素晴らしかった。

 サウサンプトンのバックラインがいい仕事ができたのはレスターの攻め手の少なさも関係している。いくらなんでも単調すぎる。左のハーフスペース一本勝負ではサウサンプトンだって対策は立てやすいだろう。左SBのジャスティンが絞りながら、大外への導線を開けたレスターだったが、大外のバーンズを起点とした攻撃はサウサンプトンに読まれている感が強かった。

 一方のサウサンプトンは直接的な攻撃に終始。前線はアスリート色の強い選手たちの身体能力によってゴリゴリとレスターのエリア内に迫っていく。特に新戦力のアリボとマーラは存在感を発揮。これまでのサウサンプトンのアタッカー陣とは異なる持ち味で敵陣に侵入していく。

 試合は時計が進むにつれて明暗が分かれる。どちらのチームも最後が雑だったのには変わりないが、プロセスからよりゴールに近い予感を感じさせるのはサウサンプトンの方。トランジッションを頻発する形から前線のパワーを活かす形で敵陣に踏み込んでいく。

 レスターは逆に時間の経過とともに苦しむ方向に。サウサンプトンは後半から明確に4-5-1に。トップ下で守備に奔走していたエルユヌシを右サイドにおき、中盤を5枚にして守る選択をした。この選択がレスターを苦しめることになる。

 これでハーフスペースを無理なく埋めることができるようになったサウサンプトン。レスターの左のハーフスペースアタックはこれで完全に封じられることに。それでもマディソンが直接FKという千載一遇のチャンスを物にしてリードを奪う。

 しかし、この先制点は残念ながらサウサンプトンの逆転劇の前座である。ここからはアダムスの独壇場だった。交代で入ると68分には同点弾。サイドからのスローインでの動き直しを利用して、ポストからの落としでフリーでシュートして同点。まずは試合を振り出しに戻す。

 すると極め付けは84分。右サイドで幅をとったウォーカー=ピータースがマイナスに折り返すと、これをウォード=プラウズがエリア内に。再びアダムスがアクロバティックに押し込み、ついにリードを奪うことに成功する。

 マディソンのFKに面食らったものの、最後はアダムスの2ゴールで試合をひっくり返したサウサンプトン。レスターのハーフスペース封じも含めて、上々だった試合運びで最後は勝ち点3をもぎ取った。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
レスター 1-2 サウサンプトン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:54′ マディソン
SOU:68′ 84′ アダムス
主審:マイケル・サリスバリー

⑥ボーンマス【11位】×アーセナル【2位】

■実質11分での決着

 レビューはこちら。

 シティと並び、開幕2連勝で迎えた第3節。アーセナルの今節の対戦相手は昇格組のボーンマスである。立ち上がりからアーセナルがきっちりと力の差を見せる展開になる。

 アーセナルにとっては前節のレスター戦と同じ5-3-2の陣形を組んできたボーンマス。正直、前節のアーセナルはやや調子の良さにかまけて狭いスペースを強引に崩し切ってねじ伏せたところがあったが、今節は丁寧に相手を引き出す動きを実装。2トップ脇にきっちり立つことで、相手を引き出してみせた。

 今季、高い位置まで顔を出してのプレーで存在感を見せているジャカだが、この試合ではSBの位置に入りながらジンチェンコをフォロー。ボーンマスのIHを引き出しながら、中盤を引っ張り出すアプローチを行う。引き出して使うという二段がセットになっている中で攻撃は前節以上にスムーズだった。

 立ち上がり早々に左サイドから先制点をゲットするアーセナル。キレキレだったジェズスが反転で相手を剥がし、マルティネッリにラインを破るパスを出すと、これをウーデゴールが押し込んであっというまに先制する。

 アーセナルはその6分後にさらに追加点をゲット。今度は右サイドのホワイトとサカのコンビネーションからウーデゴールを再びネットを揺らす。今季はあまり連携面では強力なところを見せられなかったアーセナルの右サイドだが、この試合ではサカとホワイトの関係性が良化。大外を回りながら相手のラインを押し下げたり、マイナスで待ち構えてワンタッチでクロスを上げるなど、相手を惑わす形で追加点をよんだ。

 ボーンマスはペースを握るべくポゼッションからのロングボールを行いたいが、ビリングとムーアの2トップを的とした空中戦は不発。ここはアーセナルのバックラインがしっかり守り切ってみせた。

 後半はボールを持たせながらカウンターの一刺しを狙っていくアーセナル。後半早々にサリバが左サイドから謎のスーパーミドルを叩き込んだので、セーフティな状態から更なる追加点を狙うことが可能になったのは大きかった。

 終盤は攻め込む機会は増えたボーンマスだったが、同サイドからの攻撃に終始したのが痛かった。スライドに強いアーセナルのバックラインに潰され続けてしまった結果、ゴールに迫る形を作ることができない。

 終わってみればアーセナルの完勝。実質11分で勝負を決めたアーセナルが試合をコントロールしつつ要所で怖さを見せる見事な試合運びを披露。リーグ唯一の3連勝を達成した。

試合結果
2022.8.20
プレミアリーグ 第3節
ボーンマス 0-3 アーセナル
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
ARS:5′ 11′ ウーデゴール, 54′ サリバ
主審:クレイグ・ポーソン

⑦リーズ【6位】×チェルシー【7位】

■前半の2失点が悪循環の始まりに

 共に1勝1分、開幕戦で勝利し2節目で引き分けての勝ち点4でここまでやってきたチーム同士の対戦である。トゥヘルは例の一件で1試合のベンチ入り禁止処分を食らっているが、この試合では処分の適用が先送りにされてベンチ入りが可能であった。

 ボールを持ちながら試合を動かしていこうという狙いが強かったのはアウェイのチェルシーの方。トッテナム戦では4-2-2-2のような形がだいぶ話題になっていたが、この試合では前線に5枚張るようなフォーメーションに準拠したような形になっていた。

 リーズはインサイドを締めながらうまく対応していたと思う。ハーフスペースからカットインしてくるスターリングは人の多いところに突っ込む形になっていたし、ギャラガーはCHから狭い中央のスペースに入り込みながらプレーするタイミングを掴めずに苦戦していた。

 ただ、ワイドのククレジャのフォローのタイミングの良さと、ロフタス=チークのゴリゴリ感にはリーズは悩まされており、チェルシーにも糸口があったのは確か。それでも縦パスがズバズバ入ったトッテナム戦とは全く異なる感覚だったはずだ。

 リーズの守備で気になったのは裏へのボールの対応が曖昧なこと。繋ぐ意識が高いからか、蹴り出せる場面でも中途半端にコントロールしようとして、結局繋げないで終わる場面が多い。チェルシーの波状攻撃の抑止にはつながっておらず、奪われて即ピンチのリスクもあるのであまり良いプレーとは言えなかったように思う。

 リーズの保持はCBが広く間を取りながらのビルドアップ。人を捕まえにくる意識が強いチェルシーに対しても臆することなく向かっていった。特に目立っていたのはアーロンソン。右サイドでスタートし、クリバリに早々にイエローカードを出させると、中央に移動してから一層磨きがかかったダイナミズムでチェルシーを翻弄する。

 全体で見ればチェルシーの方がやや優勢だったが、先制点を奪ったのはリーズ。ハイプレスでGKにボールを追い込むとコントロールミスしたメンディがボールを処理することができず。アーロンソンにボールを掻っ攫われて押し込まれてしまう。メンディの大きなミスで先制点を許してしまったチェルシーであった。

 さらに数分後、リーズはセットプレーで追加点。チェルシーの守備の約束事はちょっと見えなかったが、ロドリゴをフリーにするリーズの狙いはハマったと言えるだろう。

 2点のビハインドという重い十字架を背負ったチェルシーは4-2-3-1にフォーメーション変更。CHで輝けなかったギャラガーはSHに移動する。CHから攻撃に顔を出すという点ではロフタス=チークは十分だし、ギャラガー自身も右サイドでパレス時代と似た動きをすることができていた。

 前線にアタッカー色の強い選手を入れてさらに攻勢に出るチェルシー。しかし、バックラインはどんどんとカウンター耐性は弱くなっていく。ツィエクとプリシッチを投入した交代はかなりこの傾向を強めたと言っていいだろう。リーズのMFの背後で縦パスを引き出そうとする選手を増やすのはわかるが、効果が出たかと言われるとなかなか難しいところである。

   長所と短所両方あるチェルシーのシステムだったが、結果につながったのはカウンター時の脆弱性の方。リーズが再三狙っていたリース・ジェームズの裏から3点目を奪うと試合は完全決着。終盤にはクリバリの退場のおまけまでつけることに成功したリーズが無敗をキープ。

 チェルシーは2点目までの流れで要所をリーズに抑えられた結果、取るリスクを増やさなきゃいけないのが痛かった。肥大化したリスクをリーズに咎められてさらに状況を悪くするという悪循環から抜け出せなかった印象である。

試合結果
2022.8.21
プレミアリーグ 第3節
リーズ 3-0 チェルシー
エランド・ロード
【得点者】
LEE:33′ アーロンソン, 37′ ロドリゴ, 69′ ハリソン
主審:スチュアート・アットウェル

⑧ウェストハム【19位】×ブライトン【8位】

■2節分を反映したような内容

 立ち上がりからペースを握ったのは無敗で来ているブライトン。ここまで流れをつかめていないウェストハムはまずはボールを持たせる形で伺う。トップ下のフォルナルスがアンカーのマック=アリスターをマークし、ブライトンのCBにはそこまで深追いをしない。

 ブライトンはマークを受けているマック=アリスターの周りの人を流動的に動かしながら助けに行く。前進の手順としてはまずは3バックからマック=アリスターの隣に入る人に縦パスを入れる。ブライトンがすごいのはもう一つ先でのパスまで見据えていること。2列目が降りることで空けた穴を通すところまではプランとして持っている。

 ウェストハム相手でも縦のパスから逃げない姿勢はさすがという感じ。本来であればインサイドが堅いウェストハムはサイドから溶かして行きたくなるところではあるけども、縦にパスを入れてもきちっと刺すことができておりブライトンの質の高さが窺える。おそらく、縦にパスを入れるタイミングを見計らうまでバックラインで下準備を整えられる根気強さと、縦方向にもギャップを作れるウェルベックやララーナの受け手のスキルの高さが大きいのだろう。

 ウェストハムはブライトンのパスワークのミスから一気にカウンターしか攻め手がない。高い位置からのミス待ちがなければボールの捕まえどころがちっとも見つからない。

 ボールもペースも握ったブライトン。勢いそのままに先制点を獲得。抜け出したウェルベックに対してケーラーが引っ掛けてしまいPKを献上する。ケーラー、ちょっとプレミアの洗礼を受けた感じ。スピードについていけず、出した足が届かなかった。

 後半のウェストハムは徐々にペースを取り戻す。ボールを握り、押し込む機会が増えたおかげで、サイドからのクロスでブライトンのエリアに迫っていく。だけども、エリア内での攻撃は全てブライトンのDFのシュートブロックが間に合っていた印象。ウェストハムはなかなか相手の思惑を外せるような動かし方ができない。

 圧力を高めていくウェストハムだったが、得点のチャンスまでは至らず。その隙に追加点を奪ったのはブライトン。グロスの神ポストで落としを受けたトロサールが一気にゴールまで迫っていきシュートを打ち抜いてみせた。

 交代選手が入ったウェストハムは前線の連携がチグハグで選手を入れ替えるほど機能性は低下。わずかなチャンスもサンチェスの好セーブに防がれてしまい万事休す。

 ここまでの2節の内容を反映したような展開でブライトンがウェストハムに干渉。ウェストハムはここまで3試合無得点全敗という昨年のアーセナルと同じ苦しい開幕3試合になってしまった。

試合結果
2022.8.21
プレミアリーグ 第3節
ウェストハム 0-2 ブライトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
BHA:22′(PK) マック=アリスター, 66′ トロサール
主審:アンソニー・テイラー

⑨ニューカッスル【5位】×マンチェスター・シティ【1位】

■2人しか見えていなかった3点目

 今季の台風の目になる予感が漂うニューカッスル。開幕から堅実な戦い方をみせており、順調に勝ち点を重ねている。そんな彼らの今節の相手はディフェンディングチャンピオンのマンチェスター・シティ。ホームで大きな挑戦に挑むことになる。

 ニューカッスルは立ち上がりから前からのプレッシング。ロドリにはアンカーのギマランイスが出ていく形で前がかりなプレスをかけていく。トップのウィルソンはCBよりも背後を気にする立ち位置。シティの今季の王道パターンであるアンカー周りに人が集まっていくスペースを消していくイメージで立つ。

 シティはカンセロ、ウォーカーがインサイドに入り込む配置。よって、大外はWGに託されるケースが多かった。ニューカッスルはこの大外の選手に対して、IHが出ていく構造に。このスライドが間に合えばある程度高いところで攻撃を止めることができる。なのでシティはスピーディにここを突破したい。

 シティの左サイドは特に急ぐ傾向が強かった。フォーデンがここを素早く突破できたり、同サイドのハーフスペースにもう1人裏抜けできる選手を準備できればスムーズにアタッキングサードに侵入できるし、それができなければ攻撃はストップする。

    同サイドが詰まったとなれば対角パスを準備。攻撃をスピードダウンさせて右のベルナルドにボールを展開する。WGによってカラーの変わる今季のシティらしい緩急の付け方である。そして、その右のベルナルドから先制ゴール。決めたのはゴール前に忘れずに顔を出したギュンドアンだった。

 一方のニューカッスルは鋭いカウンターから反撃。この日は久々にサン=マクシマンがキレキレ。カウンターの旗手として陣地回復の役割を担った。そこから先はハーフスペースの裏抜けを徹底。クロスの前に相手のDFラインを動かす工夫ができているので、シティのバックラインは常に苦しい対応になっていた。

 序盤に押し込まれた反撃で徐々にニューカッスルが盛り返すと、サン=マクシマンのクロスからアルミロンが同点。直前の決定機逸を取り戻すゴールを奪って見せる。

 勢いに乗ったニューカッスルはそのまま追加点をゲット。シェアからの長いボールでジョエリントンが競り勝ち、ウィルソンがフィニッシュ。前半のうちに逆転する。後半もトリッピアーの追加点でリードを広げたニューカッスルがいいスタートを切り、完璧な試合運びを進めているかと思われた。

 しかし、ここからはシティが反撃に。ディアスの持ち運びからハーランドがポスト直撃弾を放ち導線に着火。ここからは押し込み続ける展開になっていく。

 2点目を奪ったのはハーランド。クロスの折り返しを押し込み、1点差に迫っていく。そして極め付けは3点目。デ・ブライネがベルナルドに通したラストパスは圧巻。何も見当たらなかった中央のスペースに置いて2人だけは答えが見えていたのかもしれない。ちょっとスゴすぎる。

 ニューカッスルはカウンターからの反撃も敢行していたが、シティも早い攻撃は得意。トリッピアーがあわや退場しそうになったなど、対応にはだいぶ手を焼かされた。前半のような中盤のスライドも間に合わないようになり、苦しい戦いを強いられる。

 それでも、シティは最後の仕上げをすることができず。中押しによってなんとか勝ち点を守ることができたニューカッスルが無敗のキープに成功した。

試合結果
2022.8.21
プレミアリーグ 第3節
ニューカッスル 3-3 マンチェスター・シティ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:28′ アルミロン, 39′ ウィルソン, 54′ トリッピアー
Man City:5′ ギュンドアン, 61′ ハーランド, 64′ ベルナルド
主審:ジャレット・ジレット

⑩マンチェスター・ユナイテッド【20位】×リバプール【12位】

■異なる顔を見せて主導権を握ったユナイテッド

 第3節で迎えたナショナルダービーはよもやよもやの未勝利対決。開幕時の予想とは違った意味での負けられない一戦になった。思い切った戦い方をしてきたのはテン・ハーグ就任後の初めてのポイントが欲しいユナイテッド。高い位置からのプレッシングでリバプールを追い立てる。

 直近の負け方ゆえにビルドアップにばかり議論が行きがちだったが、アヤックス時代のテン・ハーグのもう一つの特徴といえば極端なマンマーク。割とここまでの試合ではその部分は鳴りを潜めていたが、リバプール相手には立ち上がりからこちらの特徴を全開にした。

 ユナイテッドはゴメスにはやや持たせるのを許容した印象もあったが、後はマンマーク。特に縦パスを受ける選手には厳しくチェックすることで咎めていた。サラーに対しては深追いせずに後ろを気にする対応もちらほら。このあたりもユナイテッドは人によっての対応を変えている感じがあって面白かった。

 チアゴがいないこともあり、ボールを落ち着けることができないリバプール。割と我慢できずに蹴ってしまうが、フリーランに物を言わせるような前線の構成でもないので、長いボールも収めきれないというジレンマに陥ることになる。

 一方のユナイテッドは前節と異なるCB+2CHでのボックス型のビルドアップ。その分、左に流れられるマルティネスはのびのびとフィードを蹴ることができていたし、マラシアは1つ前でプレーする機会が多かった。

 ユナイテッドは前線のオフザボールの動きも良好。ブルーノ・フェルナンデスとラッシュフォードの2人は縦に相手を引き伸ばすフリーランでリバプールのDFラインを攻略していた。左サイドのエランガも同様。ワンツーからの抜け出しでアレクサンダー=アーノルドを出し抜いて見せた。

 ユナイテッドの先制点はその左サイドから。抜け出した左サイドから折り返しを受けたサンチョが切り返しながら逆足でゲット。

 リバプール視点で言うと、まずエリア内で悠々とサンチョに持たせる余裕を見せたのがまずい。失点の元は確実にここである。その上でミルナーとダイクの対応である。

 失点直後にダイクに即座に文句を言っていたミルナーの言い分は「右を切ったのだからダイクが左足に寄せるべき!」と言うものだろう。この失点の責任どうこうというよりはああいう寄せるべきタイミングを作ってあげれば、いい時のダイクは迷いなく潰せていたので、開幕からあまり調子が上がらないのかもしれない。

 先制点もあり、徐々にユナイテッドのプレスもマイルドになり、敵陣に攻め込めるようになるリバプール。だが、ヌニェスがいない時の右サイド偏重は相変わらずで、ユナイテッドは閉めるところの狙いは定めやすかったように思う。それでもクオリティを見せる場面はあったが、連携面も含めて右サイド一本槍では少し苦しい部分はあった。

 後半も同点ゴールを狙うリバプールだが、ユナイテッドがカウンターから返り討ちに。ハーフタイムに投入されたマルシャルからのポストで抜け出したラッシュフォードが追加点を奪う。

 2点のビハインドを背負ったリバプールは右サイドから猛攻。両IHも同サイドに集結し、とにかく右に狙いを定めた格好だ。マラシアを中心にユナイテッドはボールを閉じ込めるべく抵抗する。

 エリア内に入ってくるシーンが増えたリバプールだが、ここは前節失態を犯したデ・ヘアが奮闘。なかなか反撃のきっかけを許さない。それだけに81分のサラーのゴールは彼にとって悔しかったはず。直前のスーパーセーブもそうだし、この場面でも一度は弾いただけになんとかクリーンシートでリバプールを食い止めたかったはずだ。

 それでもリバプールの追撃はここまで。ハイプレスというテン・ハーグユナイテッドの異なる一面を見せた前半の優位がこの試合の大きな分かれ目だったと言えるだろう。連敗中のユナイテッドがリバプールを下し、本拠地で今季初勝利を飾った。

試合結果
2022.8.22
プレミアリーグ 第3節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 リバプール
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:16′ サンチョ, 53′ ラッシュフォード
LIV:81′ サラー
主審:マイケル・オリバー

今節のベストイレブン

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