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「先制点確保で『マルシーニョ大作戦』に移行」~2023.10.24 グループI 第3節 BGパトゥム・ユナイテッド×川崎フロンターレ マッチプレビュー

目次

Fixture

AFC Champions League
グループI 第3節
2023.10.24
BGパトゥム・ユナイテッド(位/0勝0分2敗/勝ち点0/得点3/失点7)
×
川崎フロンターレ(1位/2勝0分0敗/勝ち点6/得点2/失点0)
@レオ・スタジアム

Match facts

Match facts
  • パトゥムの日本勢との本戦での対戦は2年連続。準々決勝で浦和に0-4で敗れている。
  • 川崎はタイ勢との対戦は過去4回。3勝1分でいずれも負けていない。
  • プレーオフも含めた今季のACL3試合でパトゥムはすべての試合で複数失点を喫している。
  • 川崎は直近のACL18試合で1敗しか負けていない(W12,D5)

予習

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予想スタメン

展望

スペースが欲しいWBとアジリティに不安を抱える最終ライン

 ACLでは2連勝と好調スタートの川崎。ここからのパトゥムとの連戦で連勝を伸ばすことができれば、いよいよグループステージの突破が現実味を帯びてくる。

 対するパトゥムはここまで連敗と逆にここで勝ち点をつかみ損ねると突破は絶望的な状況になる。勝ち点3は必須という状況だ。

 パトゥムのACLの2試合を見てみると、1戦目と2戦目でややメンバーが入れ替わっている。出場時間を加味すると、おそらく2戦目のメンバーにセルゲーエフとアルバレスを組み込んだ形がベストメンバーになるだろうか。

 布陣としては3-4-1-2もしくは3-5-2のどちらかがベース。中盤の形次第で2つのパターンを使い分ける形だ。チャナティップがいれば彼がトップ下に入るが、そうでなければ3センター気味の布陣を形成するのがここ2試合のACLの傾向である。

 誰がFWに入っても基本的にはトップに当てながら前進を狙っていく形が多い。トップの選手の動き方は選手によって結構特徴が変わっていく。ダニーロ・アウヴェスは低い位置に下がりながら新たな中盤のように振る舞うし、ティーラシンは高さを維持しつつ左右に流れる形が多い。セルゲーエフはこの動きに裏を取るアクションを積極的に織り交ぜており、カウンターでは期待ができる存在だ。

 パトゥムの攻撃の生命線はFWで時間を作るアクションを見せることができるかどうかにかかっている。逆サイドへの展開からオーバーラップしたWBを使うことができれば、エリアに侵入する形を作ることができる。

 このWBを使ったエリアへの侵攻はWBがスピードに乗るスペースを与えられるかどうかがポイントになる。パトゥムのWBは1on1から相手を置いていけるような突破力がないので、目の前に相手がいない状況を周りがおぜん立てする必要がある。その手段こそFWが時間を作って、逆サイドに大きな展開を作ることである。

 前が空いていれば進むことはできるが、詰まっているとオーバーラップはなかなか生きてこない状況になる。前が詰まってしまった場合はサイドでの手数をかけた攻略のフェーズに移行。サイドで多くのポイントを作りながら、再び外のレーンから抜け出す機会を整えようとする。

 中盤のポジションの自由度は高く、サイドへのフォローのためにIHが同サイドに顔を出す機会は多い。いわばオーバーロード気味にサイドの枚数を揃える形である。基本的にはクロスから勝負に行く形が多いが、セットプレーでCBが上がっていない限りは高さに物足りなさはある。

 その代わりCBが上がっていれば5番のビクターを中心に得点力はそれなりにある状況といえるだろう。セットプレーは二次攻撃の対応も含めて留意したいところだ。

 非保持においてはバックラインのアジリティに課題がある状況。ジョホール戦で言えば右WGのアイマン・ハナピのようなスピードスターは1人で裏のスペースを蹂躙できていた。川崎で言えばマルシーニョは間違いなく効くだろう。試合の頭は多少無理筋でもどこまで通用するかを試すために積極的に使っていい部分かもしれない。

 撤退時においてもミドルの備えやこぼれ球への反応など、相手の二次攻撃に対して棒立ちになる傾向は強い。ボックス内のストライカーの動き出しなどで勝負されると比較的簡単に劣勢に追い込まれる。ストライカーにとっては腕の見せ所になるだろう。

引力を使ったストライカー同士の連携構築

 川崎はまず非保持においてどのようにFWに対抗するかがキーになる。1人1人が抑えられないほど強力でどうしようもないというわけではないのだけども、ポスト役が務まる選手が少なくとも2枚はいて、それぞれに得意なエリアがあるのはややこしい。

 受け渡しはデリケートになるだろう。上下動ができるセルゲーエフ、ダニーロ・アウヴェスあたりにどこまでついていくかの線引きは早い段階で決めておきたい。

 だが、逆に言えばここさえ抑えてしまえばパトゥムの攻め手はだいぶ限られることとなる。こうなってくるとパトゥムのWBは時間をもらえず、攻め上がりに厚みをもたらすことはできない。

 直近の試合である福岡戦では瀬川が左の大外に引っ張られる形からピンチをそれなりに迎えていた。同じ感覚で守れば、パトゥム戦でも苦境に陥る可能性もあるだろう。押し下げられてしまったらきっちりと家長やマルシーニョは自陣に戻ってスペースを埋めること。カップ戦仕様の守備の意識にギアチェンジすることが求められる。

 保持においてのパトゥムは引いて5バックの攻略を保持側に押し付けてくるパターンとシンプルに撃ち合いに乗っかってくるパターンがある。当然攻略しやすいのはバックラインのアジリティに不安がある中での撃ち合いである。ここで勝負を挑んできてくれると、勝率はそれなりに高くなるはず。マルシーニョの存在は存分に生かしていきたい。

 パトゥムの撤退守備に関してはクロス主体の攻略で問題はないだろう。福岡戦の遠野のゴールのようにFWへのクロスから一手二手先を使うイメージを持つようにパスをつないでいければ、ボックス内で先手を取ることができず。ダミアンやゴミスの引力をほかの選手が使うことができるかどうかがポイントになるだろう。もちろん、ここ数試合刺さりまくっているミドルシュートは積極的に打っていきたいところだ。

 サイド攻撃から先手を奪い、オープンな展開に持ち込みDFのアジリティ不足をマルシーニョでかき回すのが理想。ちなみにオープンであればチャナティップは輝く展開にもなるだろう。逆に守備のタスクでは怪しさがあるのがチャナティップ。彼の甘さを突いてアンカーを解放することができれば、川崎のサイド攻略は近づくだろう。

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