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「誰がWGを助けるのか?」~2023.11.8 UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第4節 アーセナル×セビージャ プレビュー

目次

Fixture

UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第4節
2023.11.8
アーセナル
×
セビージャ
@アーセナル・スタジアム

予習

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予想スタメン

展望

終点よりもプロセスに工夫がみられる新監督

 前回対戦である第3節の直前に監督交代を敢行したセビージャ。新監督がチームを率いての試合はレアル・マドリー戦という特殊な対戦相手とのものしかなかったのだが、実際にサンチェス・ピスファンとのアーセナルの一戦や、あるいはその後のカディスやセルタとの試合を見る限り、ディエゴ・アロンソ前監督とあまり大きくベースは変えていないように思えた。

 ざっくりとまとめると攻撃の出口は左右からのクロス。対空性能に絶対の自信があるエン=ネシリを筆頭に絞り気味にプレーする両SHを含めた2列目がクロスのターゲットに入る。サイドの崩しにはあまり枚数を割かず、SBが大外レーンを使いながら2列目1人と連携して2人称でゴールに迫っていくのが特徴だ。

 ディエゴ・アロンソに代わってからは中盤の構成が2列目3人+CH2人→3CH+SH2人に変化。アンカーのロールはスマレでラキティッチとソウがレギュラー。ここはほぼ固定。SHはオカンポスとルケバキオorスソのどちらかが選ばれる。

 この中盤の構成はアロンソになってからの相対的(全体としてあまり大きな変化がないので)に最も大きな変化といえるだろう。ただし、4-3-3の特徴であるサイドでの枚数を増やす特性はあまり活用する気はなさそうである。

 どちらかというと、サイドにボールを届けるプロセスの部分の工夫が見える。アーセナルとの前回対戦以降のリーガは2試合とも相手が純正4-4-2だったがそれぞれ異なるトライが見られた。

 カディス戦ではSHも含めた中盤がかなり降りるアクションを増やしながらプレー。セルタ戦ではラキティッチが前に残り、DF-MFのライン間から左右にボールを振ることでサイドへの配球役としての仕事を果たしていた。

 カディス戦では降りてきた選手のミスが目立ち、自陣側からの失点を重ねてしまったり、セルタ戦ではアバウトなロングボールに出口が集約されてしまったりなど、リーグ戦では苦戦が続くセビージャ。就任以降のリーグ戦では勝利がなく現状では試行錯誤が続いている状態ではある。

 ただ、クロスの受け手に枚数を使い、サイドでの崩しに枚数を使わないというコンセプトがある以上、それなりに最適解は見えてきた感じはする。ライン間でラキティッチにボールを受けてもらい、左右に振るセルタ戦のアクションを継続されるのが相手からすると面倒なはず。セビージャの問題点はサイドでの崩しにかける枚数が少ないため、インサイドを動かせないままクロスを上げることが多いため、エン=ネシリで制空権を握れない相手にはなかなか展開を動かせないことにある。

 アーセナルもこの「制空権を握れない相手」に該当するだろう。2トップで攻め込めばそれなりにやれることをサンチェス・ピスファンでは証明したが、アーセナルにリードを許してしまうと、CBの頭数を増やされて跳ね返しに注力される流れに持ち込まれる可能性はあるだろう。

 それであればクロスを上げるまでのプロセスを改善し、先制点を奪う。これが敵地でのリベンジを果たすための青写真になるのではないだろうか。

冨安・ジンチェンコ論争の決め手になるのは・・?

 魔の11月に入り、アーセナルは苦しい戦いが続いている。単純に相手が強いということもあるが、自分たちのコンディションの悪さも気になるところではある。CLに関してはここで勝利をして、他会場でRCランスが引き分け以上の結果を残すことでGS突破が決まる。ひと段落するためにも悪い流れを止めるためにもホームでの勝利はマストとなる。

 まずは対策的な部分を述べていこう。サイドでの崩しのプロセスは前回対戦とあまり変わっておらず、敵地でも十分にやれた部分であるため、継続して行うことで勝負することができるだろう。

 先に述べたようにキーになるのはクロスを上げる前のプロセス。アーセナル目線で言えばこれを阻害しなくてはならない。中盤、特に左右にボールを自在に振ることができるラキティッチをどのように捕まえるかが大事である。

 個人的にはラキティッチがプレーする位置で誰が捕まえるかを決めるのがベターだろう。ジョルジーニョの背後でプレーをするのであればサリバが出ていく。そこの位置よりセビージャ陣側でプレーするのであればジョルジーニョが捕まえるという基準がいいように思う。基本的にはサリバが自由を与えないとは思うが、仮にここから逃げられてもインサイドにはホワイト、冨安、ガブリエウのうちの2枚が残ることができればクロスの対応は何とかなるはず。きっちり潰すところと保険を掛けるところの両睨みでラキティッチへの縦パスには対抗したい。

 アーセナルの攻撃面で気になるのはWGの不調である。今までであれば困った時のWG勝負!というプランが通用していたのだが、ここ数試合ではそれが完全に封じられている印象である。

 共に今季は負傷を経験するなど万全な状態でないのかもしれない。彼らの負傷時にWGでヘルプをしてくれたジェズスもいないなど、前線のやりくりは一時的に苦しい状況になっている。

 できれば、これまで助けられたWGを逆に助けるような仕組みを構築していきたいところである。ここはサポート役の組み合わせを重視して苦境を切り抜けたい。

 例えば、冨安とジンチェンコの2人の序列はよくファンの間でも議論になる。明らかに持ち味が異なっているため、純粋な序列をつけるのは現状では難しいように思う。

 ニューカッスル戦での終盤で見られたようにパスからWGに時間を与えられるのは明らかにジンチェンコである。しかしながら、冨安はオフザボールの動きが向上しており、列を上げながらサポートする力は十分である。WGでのサポートを軸に置くならば、ボールを受ける前にWGに時間を与えるならばジンチェンコ、受けた後にサポートを与えるならば冨安というイメージが雑なラベリングになるだろうか。

 いずれにおいてもアタッキングサードにおいて決め手が欠けるのは同じ。逆サイドのホワイトも含めて最後の1/3のエリアでの貢献度のところで決定的な仕事ができれば、WGを助けることができるだろう。冨安・ジンチェンコ論争の決着はこの部分で決定的な仕事ができる方が勝利するかもしれないと個人的には思っている。

 ニューカッスル戦では冨安の攻め上がりがマルティネッリを助けてはいたが、ニューカッスルの戻りの早さを考えると、ジンチェンコの球足が速いパスは恋しくなった部分もある。チームが陥る状況によって求められるものは変わってくる。

 WGを助ける材料はSB以外にもある。左のハーフスペースに裏抜けするハヴァーツとヴィエイラ、右のハーフレーンから後方でサポートするジョルジーニョとライスはWGがボールを受けた後のサポート役になるし、サイドに流れての裏抜けをするエンケティア、サカとレーン交換するハヴァーツ、中盤からドリブルでボールを運ぶライスなどは余裕をもって受けるパスを受けるためのタスクになる。こうした特性と性質をどのように組み合わせるが重要だ。

 この試合では個人的にはライスのドリブル、ジョルジーニョの後方支援に期待したい。左のハーフスペースから抜け出すハヴァーツにも結果が欲しいところ。WGを誰が助けるかは11月の代表ウィークに入るまでの残り2試合の大きなテーマになるだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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