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「人数をかけたビルドアップのデメリット」~2023.11.11 プレミアリーグ 第12節 アーセナル×バーンリー プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第12節
2023.11.11
アーセナル(4位/7勝3分1敗/勝ち点24/得点23 失点9)
×
バーンリー(19位/1勝1分9敗/勝ち点4/得点8 失点27)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの6勝、バーンリーの1勝、引き分けが3つ。

アーセナルホームでの成績

過去10回の対戦でアーセナルの8勝、バーンリーの1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • バーンリーは2020年12月のエミレーツで1-0の勝利を挙げているが、これが公式戦18回の過去の対戦で唯一の勝利(D4,L13)
  • しかし、バーンリーはエミレーツ・スタジアムで3試合連続のクリーンシートを狙う。
  • アーセナルはミケル・アルテタ政権下のバーンリー戦の5試合のうち、4試合でポイントを落としている。

スカッド情報

Arsenal
  • エディ・エンケティア、マルティン・ウーデゴール、冨安健洋は当日判断。
  • ブカヨ・サカはフィットの見込みだが、ガブリエル・ジェズス、トーマス・パーティ、ユリエン・ティンバー、エミール・スミス・ロウは欠場の見込み。
Burnley
  • ライル・フォスターはメンタルヘルス問題のケアを行っており不在。
  • ジョシュ・カレンは出場停止明けで復帰。ヤルマール・エクダルにも復帰の可能性。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 2010年11月のニューカッスル戦以降、37試合連続で昇格組とのホームでのプレミアの試合で無敗(W32,D5)
  • プレミアにおける直近10ゴールのうち、9ゴールが後半のもの。その一方で今季は前半の15分までに得点を決めたことがない。
  • 直近の公式戦3試合中2敗しており、リーグ戦では5月以来の連敗の危機。
  • カイ・ハヴァーツはバーンリー相手のプレミアのゲームで3得点を決めており、最も多く得点を決めている相手。
  • ハヴァーツのアーセナルにおける18試合の得点は11月のボーンマス戦のPKのみ。
  • エディ・エンケティアの19のプレミアにおける得点のうち、16点がロンドンで生まれている。
Burnley
  • 開幕11試合で9敗しており、1904年に2部で記録したクラブワーストに並ぶ。
  • 開幕12試合で10敗したトップリーグのチームで降格を回避した例はない。
  • 直近7試合のプレミアで6敗しており、現在4連敗中。
  • 1976年以来、トップリーグでの5連敗を記録したことはない。
  • ジェイ・ロドリゲスは2021年のパレス戦以降、プレミアのアウェイゲーム24試合においてネットを揺らしたことがない。

予習

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予想スタメン

展望

時間を与えられないキーマン

 セビージャに勝利してようやく今月初白星を挙げたアーセナル。対するは10月の初勝利以降、プレミアでは連敗が続いているバーンリーである。

 チャンピオンシップでの快進撃が伝えられたコンパニのバーンリーは、ショーン・ダイチによってばっちりと植え付けられたゴリゴリのイメージを更新している。FWを一目散に目がけたロングボールではなく、後方に人数をかけたビルドアップで前進を狙っていくのが今のバーンリーだ。

 基本的なフォーメーションだけはこれまでのバーンリーと同じく4-4-2型の座組がベースとなる。しかしながら、GKを使ったポゼッションをベースにCBが広がる様子はこれまでのバーンリーではあまり見られなかった部分である。

 ボールを落ち着いて持てる場面では右のSBに入るロバーツが中盤に移動してCHを前方に押し上げる形を作り出す。いわゆるポゼッションチームの振る舞いとしてよく見られるお馴染みの移動である。相手から保持の機会を取り上げて、自分たちの守備の時間を減らす。ダイチだけでなく、ミー、タルコウスキ、ポープに別れを告げた新生バーンリーの方向性としては非常に納得感があるものだ。

 しかしながら、勝ち点が伸びていないということは問題点があるということ。ではバーンリーのポゼッションにはどこに問題があるのだろうか。

 彼らの保持の問題点のほとんどは後ろに人数をかけすぎているという側面から生まれている。先ほど、バックラインからロバーツの移動で列上げを促すという話をしたが、こうした列移動がなく、4人のDFと2人のMFがビルドアップに関与するケースもある。GKも含めて7人のビルドアップだ。

 一般的に後ろがビルドアップで重たくなるチームの問題点は大きく分けて2つ。単純に前に人が足りなくなってしまうことと、後方がプレスを引き寄せてしまうことで自陣側のパスワークに余裕がなくなってしまうことである。

 バーンリーの苦戦はこの2つにハマってしまっているからといえるだろう。ポゼッションのゴールとしてバーンリーが位置付けているのはサイド。特に左に入ることが多いコレオショが攻撃を牽引するケースが多い。トップに入るアムドゥニも流れたサイドから仕掛けることができる。

 この2人は攻撃の終点としては非常に優秀。特にコレオショの突破力は素晴らしいものがある。しかしながら、インサイドにボールを当ててサイドに展開する!みたいな時間の貯金を送るようなパスワークはチーム全体になく、ボールは外循環した結果、コレオショの前に2枚マークが待ち構える形が多い。そうなってしまうと苦しい。バーンリーのビルドアップは後ろに重たい状態を解消しないまま、キーマンにボールを渡す。それによってコレオショの突破力を生かせない場面がある。

 アーセナルに置き換えてみよう。ニューカッスル戦を見ればわかると思うが、あの試合はひとまずWG頼みになっていた。その結果、ボールを受ける前のサカに厳しくバーンが寄せたり、ゴードンがプレスバックしたりなどで1on1を許してもらえない状況だった。これはコレオショがバーンリーで定常的に陥っている状態と同じである。

 もう1つの後方にプレスを引き寄せてしまう問題についてはバックラインのプレス耐性の問題が大きい。自陣側に相手を引き寄せるメリットがあれば、こうしたことをあえてやる意義もある。例えば、ハーランドに広いスペースを提供できたり、そうしたFWに一発で鋭いパスを通せるエデルソンがいればメリットは大きい。

 しかしながら、バーンリーにそういう選手はいない。そして、後ろの選手にプレスをいなすほど狭いスペースや時間がない状況でショートパスをつなぐスキルもない。そのため、プレスで捕まるリスクに対して、前方に出来るスペースがペイしないのである。

 シティはこの点が逆に強みになっている。アーセナルもシティほど緻密ではなかったり、ミスもあったりはするが、ライスのドリブルのスペースやWGに時間を与えるという見返りをふまえれば、十分にこうしたリスクを許容できるという印象である。

 目指しているスタイルはわかりやすい。この点がしっかりしていることは昇格組としては本当に必要な要素だと思う。しかしながら、目指すスタイルに対しての収支の悪さが勝ち点に繋がっていない要因といえるだろう。

ゴール関与の期待をしたいのは・・・

 アーセナルからすればバーンリーの収支の悪いところに漬け込むプランが重要になる。ざっくりというと高い位置からプレスをかけて相手のバックスからボールを回すための時間とスペースを奪う。そして、相手のサイドアタッカーにきっちりと2枚付く形に追い込んでいくことが重要になる。

 ハイプレスというと厳しい体力を使うイメージがある。スカッドに軽度な怪我人が増えており、かつCLから中2日で勝負することになるアーセナルにとってはあまり飛ばすプランは得策ではない。そのため、まずはきっちりとポゼッションで押し込むことが重要になる。押し込んでハイプレスに移行すれば、そこまで体力の消費はない。

 幸い、CB陣は健在。高いラインを維持して跳ね返すことは出来そうである。高い位置からボールを奪い、ボックス内の守備を整えることができない状態を引き起こせるのがアーセナルにとってはベスト。

 だが、仮にブロックを組まれても奥を取りながら落ち着いて崩していくことができれば特に問題はなさそう。WGが1人で突破してもいいのだが、ポケットを取る→折り返しからゴールを決めるという成功体験はそろそろほしいところ。

 特にハヴァーツにはゴール関与が必要だ。左サイドからはポケットからの折り返しでアシストを狙えるようには思うが、右にいるときはサイドに流れてレーンを交換することでサカを解放する役割に集約されている感がある。もちろん、それも大事な役割ではあるのだが、自身がゴールもしくはアシストに絡んでいく手段という部分の動きも欲しいところ。この試合ではニューカッスルほどサカのマークはタフではないことが予想されるので、逆にサカが作ったギャップに入り込むくらいの意識があってもいいかもしれない。

 強固なDFラインを軸に支配力を90分発揮する。今季のアーセナルが目指してきた形の完成形をきっちり体現したいところ。それにゴールというアタッキングサードの成果物を上乗せし、魔の11月におけるリーグ戦初勝利を決めたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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