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「ターンオーバー組の収穫は?」~2023.9.27 カラバオカップ 3回戦 ブレントフォード×アーセナル レビュー

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ターンオーバー組の最大の収穫は?

 負傷者がちらほら出ている上に中2日が連続で続くローテーションを迎えているアーセナル。カラバオカップ3回戦で激突するのは、前線に負傷者が続出しており首が回らなくなり始めているブレントフォード。このチームを前に今のアーセナルは「負傷者が多い」とは言い難いスカッドを抱えている相手である。

 そんなブレントフォードだが、意外にもこのリーグカップにも主力を投入する形で先発メンバーを構成。特にリーグ戦でほぼ出ずっぱりのウィサとムベウモをセットで起用してくるのは意外であった。

 フォーメーションも対強豪用としてお馴染みの3-5-2。アーセナルの4-3-3にはマンツーでぶち当たりやすい構成である。アーセナルはこの試合ではSBをインサイドに絞ることを今季初めて行わなかったため、ブレントフォードのハイプレスをモロに受けやすい形になっていた。立ち上がりにジョルジーニョがボックス内でロストした形などはブレントフォードのマンツー志向が刺さった形だろう。

 「マンツーでハメやすい噛み合わせ」ということは裏を返せば「マンツーでハメられやすい噛み合わせ」ということでもある。アーセナルは先発デビューとなったサゴエJrがバックパスからミスを誘発すると、エンケティア→ネルソンと繋いで一気に先制点をゲット。マンツー返しから早々に試合を動かすことに成功する。

 リードされたブレントフォードだが、試合を強引に動かしにいこうというアプローチは特に見られなさそうだった。プレッシングに出る場面はそれなりに勝算があるシーンに限定。撤退守備で無理をせずに自陣に引く場面が主体となっていた。

 アーセナルは空きやすいサイドから持ち運びつつ、CBが後方から保持をサポートする。ホワイトの追い越し、ネルソンの降りて受ける動き、ジョルジーニョの列上げなど少しずつブレントフォードのマンツーを揺さぶる動きをしながら、アーセナルは敵陣に入っていく。特にジョルジーニョの列上げサポートは効果的で、横パスからワンタッチで縦に進むという彼の名人芸の恩恵をスミス・ロウが受ける場面が何回か見られた。

 少しほころびがで始めたのは前線のマンツーが怪しくなり始めたところからだろう。左サイドのネルソンが前を捕まえるのが遅れるようになると、キヴィオルの動きに迷いが出るように。それに合わせてブレントフォードのこちらのサイドのIHであるオンイェカが前線に抜け出す動きを見せ始めたことで、徐々にガブリエウがサイドをカバーする時間が増えるようになった。左サイド側にスライドした冨安の逆を取る形でウィサが迎えた決定機は、アーセナルの左サイド側の守備の歪みを利用したブレントフォードのチャンスメイクによるものである。

 人が前に集まると前線が容赦無くプレスをかけてくるブレントフォード。アーセナルはラムズデールと冨安にちらほら配球の部分で怪しさがあったこともあり、自陣でのプレーにはファンがハラハラするシーンもあったがなんとか無失点でハーフタイムを迎える。

 後半、積極的にプレスに出てきたブレントフォードに対してアーセナルはロングボールで逃しながら慎重な対応をする。この辺りは前半の反省を生かした部分もあるだろう。

 ポゼッションにおいてもアーセナルは落ち着いた入り。WGでブレントフォードのWBをピン留めしつつバックライン+ジョルジーニョの5枚でブレントフォードを横に揺さぶる。3センター+2トップで狭く守りたいブレントフォードにとってはアーセナルのポゼッションの方向性は厄介だっただろう。

 しかしながら、前線の攻撃の終着点が前半よりも見当たらなくなった感のあるアーセナル。ボールを奪ったブレントフォードはカウンターから敵陣に押し込む機会が時間の経過とともに増えるようになる。

 撤退守備においては安心感があった前半のアーセナルの守備だが、だんだんと3センターがズレるようになり、DFラインがさらされる機会が増えるようになる。ローテーション重視でホワイトを下げたアルテタの判断は展開を考えれば一種の賭けだったと言えるだろう。

 押し込むブレントフォードの威力を増幅させていたのはイェンセンのロングスロー。トーマス・フランクはルイス-ポッターとオラキグベを投入してなおウィサとムベウモを残す諦めの悪さを見せてアーセナルを追い込んでいく。

 しかし、アーセナルのバックスは非常に安定したボックス内の守備でピンチに対応。冨安とガブリエウは前半以上の頼もしさを見せていたし、キヴィオルはライン手前の決定的な場面でクリアするなど、すんでのところでチームを救ってみせた。

 バックラインの奮闘で逃げ切りに成功したアーセナル。主力を投入し続けたブレントフォードを下し、4回戦進出を決めた。

ひとこと

 ターンオーバーで出場した先発組は良さも悪さも見られるできだったと言えるだろう。もっとも大きな収穫はプレミアレベルのチームに対しても冨安がCBとして計算が立つ戦力であることを証明したことのように思える。

試合結果

2023.9.27
カラバオカップ 3回戦
ブレントフォード 0-1 アーセナル
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
ARS:8′ ネルソン
主審:ピーター・バンクス

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