Fixture
プレミアリーグ 第14節
2023.12.2
アーセナル(1位/9勝3分1敗/勝ち点30/得点27 失点10)
×
ウォルバーハンプトン(12位/4勝3分6敗/勝ち点15/得点18 失点23)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの5勝、ウォルバーハンプトンの3勝、引き分けが2つ。
アーセナルホームでの成績
過去10回の対戦でアーセナルの6勝、ウォルバーハンプトンの1勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルはウルブス戦5連勝を狙う。
- ウルブスはプレミアでの直近18試合のアーセナル戦でクリーンシートがない。
- 昨季の対戦ではアーセナルが失点なく、7得点を挙げてシーズンダブルを達成した。
- アーセナルは直近31回のウルブスとの公式戦で得点を挙げており、1979年から続ける記録。32になればウェストブロム相手に達成しているクラブ記録に並ぶ。
スカッド情報
- 出場停止中のファビオ・ヴィエイラは鼠蹊部を負傷した模様。
- トーマス・パーティ、エミール・スミス・ロウ、ユリエン・ティンバーは欠場。
- ジョアン・ゴメス、マリオ・レミナは出場停止だが、クレイグ・ドーソンは出場停止から復帰。
- ラヤン・アイト=ヌーリは足首の負傷を抱えており当日判断。
Match facts from BBC sport
- 今季初のリーグ3連勝を狙う。
- 23-24でのエミレーツの公式戦では負けておらず、直近15試合のプレミアでのホームゲームでは1敗のみ(W11,D3)
- 6つのクリーンシートと10失点はともにリーグベスト。
- 今季のプレミアで序盤15分での得点がない。最速は17分のもの。
- 12月のリーグ戦は6連勝中。
- ガブリエル・ジェズスは直近6回の先発したウルブス戦で6得点を挙げている。
- フラム、シェフィールド・ユナイテッドと直近2試合のアウェイゲームは敗れている。
- 今季のプレミアでの4勝はいずれも1点差。
- オニールが率いたチームは直近23試合のプレミアでのアウェイゲームでクリーンシートが1つだけ。
- 直近12試合のプレミアでは得点を決めており、トップリーグにおける2番目に長いチーム記録。
予習
第11節 シェフィールド・ユナイテッド戦
第12節 トッテナム戦
第13節 フラム戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
ネト不在の影響は?
例年、スロースターターのイメージがあるウルブス。今年も序盤戦はいつも通りゆったりとしたスタートだったが、残留のボーダーから安全圏にたどり着くまでは明らかに早かった印象だ。
もっとも、今年に関しては勝てなかった時期においても明確に内容が悪かったわけではない。開幕戦は前半からマンチェスター・ユナイテッドを内容で圧倒していたし、最後のオナナのカライジッチへのパンチが正しくジャッジされていれば勝ち点を取れていた公算も強いだろう。
序盤戦の内容にケチをつけるとしたら、60分以降にパフォーマンスがガクッと落ちてしまい、尻すぼみになってしまうことだろうか。ただ、この点はシーズンが進むにつれて解消。仕組みが云々というよりは攻撃を牽引するヒチャンやネトが90分通して働くことができるコンディションになったということが大きいように思う。
攻撃に関してはそのヒチャンやネトといったカウンターの申し子が機能しているのが大きい。マンチェスター・シティを倒した一線ではネトが自陣からのロングスプリントを連打し、独力でシティを押し返すパフォーマンスを見せていた。
アタッカーにそうした推進力がある関係でプレスは前から積極的に出ていくことは少ない。バックラインにボールを持たせてブロック守備で受けることができれば問題がないというのがウルブスの考え方だろう。
自陣からのショートパスを繋いでの攻撃に関してもそれなりにできる。クーニャのポストを使っての左右への大きな展開はファストブレイクにおいても、ポゼッション志向においてもとても効いている大きな武器。何人か例えていたが、クーニャの信頼度はラカゼットに似ている。
しかしながらこの試合の攻撃の機能性には懸念がある。ネトの不在とCHの出場停止である。ネトの不在はこれまでも付き合ってきた部分ではあるが、CHとして主力としてチームを牽引していたジョアン・ゴメスとレミナが同時にいなくなるのははっきり言って緊急事態である。代役はドイル、ブバカル・トラオレ、ベルガルドのうちから2枚になるだろうが、誰を起用しても連携面やプレーの安定感などは未知数になってしまうのは間違いないだろう。
そうなってしまうと中盤のパスワークが機能不全になる可能性も大いにある。もちろん、あくまでロングカウンターが主役だ!というのならば、中盤を飛ばしてもいいのかもしれないが、次は前線のネト不在がネックになる。
ネトがいればラインが高いシティには通用したが、ルートン戦のようにロングボールが主体となった試合ではワンサイドで押し込まれる可能性もある。この試合にはネトはいたのだけども完全に試合から締め出されていた。カウンターをきっちり打つには前を向く選手を作る必要があり、ネトがいないのであればさらにその必要は高まると考えられる。そのためのプロセスを経験があまりないウルブスのCH陣がきちんと踏むことができるのかは重要なポイントになるはずだ。
ダブルチームとレーン入れ替えで5-4-1打開を狙う
ウルブスのフォーメーションは4-4-2と3-4-3の2通りだが、この試合では3-4-3よりのフォーメーションが予想できる。4-4-2に関してはネトの離脱以降はアイト=ヌーリがSHを務めるなど、逆サイドとの選手のカラーがアシンメトリーになっている。事実上こちらも5バックの性質を持つフォーメーションと分類することができるだろう。
アーセナル戦でも勝利したシティ戦のように5-4-1カラーを強く押し出すフォーメーションを活用する可能性は十分にある。しかしながら、繰り返しになるがウルブスはネトの不在がネックになる。クーニャやヒチャンも脅威だが、1人で複数人を置いていけるネトの不在はロングカウンターの成立に大きく寄与することは明らかだろう。
そのため、ネト不在でカウンターを成立させるには先述のクーニャのポストからの攻撃を手早く確立する必要がある。その際にCHの出場停止が効いてくるのでは?というのが個人的な見立てである。
ただし、自陣までボールを運ばれてしまうと、ファン・ヒチャンがエリア内であっさりと仕事をする可能性は否定できないだろう。前進を防ぐにはまずはクーニャのポストから阻害できればいいが、抜け出しを狙ってくる相手とは異なるのはサリバやガブリエウが背負われてしまう可能性も十分にあるということ。
防ぐためにはライスなどの中盤が挟み込むか、あるいはポストの受け手となるCHをマークするかの2つが考えられる。この辺りはどこを優先してボールを奪い取るかをきっちり整理して臨みたいところである。ここにズレが出ると、ウルブスのカウンター完結の動線が見えてきてしまう。
アーセナルは保持に回れば押し込むフェーズをやり切ることが重要。基本的にはブレントフォード戦のようにサイドに2枚を当ててくるようなローブロックの展開が予想される。5-4-1の形は大外のWG、SBの後方支援、ハーフスペースの裏抜けのいずれもナチュラルな形で阻害しやすい。
ただし、WGに2枚をつけるのだとしたら話は別。ハーフスペースの裏抜けもしくは後方支援のマーク役をこちらにスライドをさせる公算が強い。そうなれば、マークが浮いた選手を使いながら攻め込めるかどうかを模索していきたい。
もう一つ効きそうなのはCHにちょっかいをかけるやり方。インサイドに立っている選手が外に開き、ウルブスのCHについていくかどうかの判断を迫っていくのは面白いかもしれない。外に開く動きとは逆に外の選手がインサイドに入り込む動きもセットにするのが重要。想像しやすいのはハヴァーツを右サイドに起用してのサカとのレーン交換。ウーデゴール不在時に見られたこの連携などは活用しやすい一例と言えるだろう。
CHの出場停止、ネトの不在によって発生する不具合は徹底的に利用するしたたかは欲しいところ。狙い所を絞りながら中2日という苦しい日程を切り抜けたいところだ。