Fixture
プレミアリーグ 第15節
2023.12.5
ルートン・タウン(17位/2勝3分9敗/勝ち点9/得点13 失点26)
×
アーセナル(1位/10勝3分1敗/勝ち点33/得点29 失点11)
@ケニルワース・ロード
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でルートン・タウンの3勝、アーセナルの5勝、引き分けが2つ。
ケニルワース・ロードでの対戦成績
過去10回の対戦でルートン・タウンの4勝、引き分けが6回。
Head-to-head from BBC sport
- ルートンがケニルワース・ロードで1-0で勝利した1991年のボクシングデー以来、初の公式戦での対戦。
- 1984年の1月以来、アーセナルは直近10回のルートンとのアウェイゲームで勝ったことがない。
スカッド情報
- トム・ロッキャー、テデン・メンジはそれぞれ前節の背中と膝の怪我により、フィットネステストに臨む。
- アルフィ・ダウティーには復帰の可能性があるが、アルベルト・サンビ・ロコンガは契約条項により出場不可。
- 予防措置で前節交代をした冨安健洋は当日判断。
- トーマス・パーティ、ファビオ・ヴィエイラ、エミール・スミス・ロウ、ユリエン・ティンバーは負傷欠場。
Match facts from BBC sport
- ブライトン、ブレイズと同じく今季ここまでクリーンシートがないチーム。
- ケニルワース・ロードでの6試合のプレミアのゲームは全て失点をしているが、全て得点も決めている。
- 火曜日に開催されたリーグ戦直近22試合では3敗のみ(W11,D8)。そのうちの1敗は10月のバーンリーとのゲーム。
- 1992年4月以降、初めてのシチュエーションではあるが、トップリーグのその日のテーブルの一番上のチームとの対戦は直近14試合で1勝のみ。
- ジャコブ・ブラウンは3部時代の2019年のバーンズリー時代以来のリーグ戦3試合連続のゴールを狙う。
- 今季アウェイで1-0で3勝を挙げている。これは直近3シーズンの合計と同じ。
- 今季のプレミアでのアウェイゲームは4試合でクリーンシートを挙げており、失点は3。いずれもリーグハイ。
- 12月のリーグ戦は7連勝中。
- 公式戦では5連勝中。勝てばプレミアでは4連勝となり、4月の7連勝以来のランとなる。
- ブカヨ・サカはアーセナルでの公式戦200試合出場に王手。22歳と91日での達成はクラブに所属した英国人としては1934年のクリフ・バスティン以来2番目に若い。
予習
第12節 マンチェスター・ユナイテッド戦
第13節 クリスタル・パレス戦
第14節 ブレントフォード戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
「あるいは」まではたどり着いた
CLでの突破を決めて一息つきたいアーセナル。しかしながら、そんなアーセナルを待ち受けるのは今季初めてのミッドウィークのリーグ戦。中2日が続くアーセナルは7日で3試合をこなす苦しい日程となる。
対峙するのは昇格組のルートンだ。今季の昇格組は軒並み不調。とはいえ、その中でもルートンは現状では最もいい順位をキープしている。リバプールにも引き分けで勝ち点を奪っており、決して侮れる存在ではない。
結果だけでなく、内容面でも手応えが見えつつあるのが昨今のルートンである。昇格組と戦う時のプレビューでは毎回述べているように思えるが、躍進のための重要な要素はスタイルがきっちりとキャラ立ちしているかどうかである。
ルートンはこの点では昇格組の中でもっともキャラが立っている。オールドファッションなキックアンドラッシュのスタイルは非常にはっきりしているし、それに伴って高いラインで迎え撃つというスタンスも守備と攻撃をシームレスに繋げている感がある。
ロングボールを収めることにフォーカスすると、似たスタイルを持つ初年度のブレントフォードに比べて明確にプレミアで戦えるレベルにあるかはよくわからない。なので、高いラインでセカンドボールを拾う動きはセット。とりわけバックラインの押し上げが効くかどうかは重要である。
バックラインが押し上げながら勝負ができるかどうかは攻撃に流れるように移行するかだけでなく、非保持の弱みを隠すためにも重要である。押し込まれてしまうと、ボックス内でのブロック守備でどうしても粗さが見えてしまうのが今のルートン。そもそも押し込む頻度を減らすことが失点を回避するための大事な要素になっている。
高い位置からボールを取る部分で効いているのは中盤である。注目選手は断然バークリー。序盤戦では出場してもほぼ空気のような存在だったが、かつての所属チームのライバルであることに燃えたのか、リバプール戦から出来が一変。このチームの中では次元が違うパフォーマンスを見せている。
中盤でのボール奪取から素早く攻撃に移行するための鋭いパスを通すバークリーのムーブはルートンのポジトラにおける生命線。相手は安易にここにつっかけてしまうと、あっさりと失点の危険に晒されかねない。
仮にローブロックを敷くことになったとしてもシーズン序盤戦よりは戦える印象である。GKのカミンスキーはスーパーセーブが目立つようになり、ひ弱な印象は徐々に消えている。シュートストップで簡単に乗せてしまうと、アーセナルにとっては面倒くさいことになるだろう。
ローブロックの戦いの難点として挙げられるのはロングカウンターの武器があるかどうか。その部分で直近のルートンで輝いているのがオグベネ。長いドリブルで陣地回復ができるドリブルは魅力。クリスタル・パレス戦では攻め込む相手をひっくり返す形でオグベネがドリブルからアシストを決めている。無計画に前の選手を増やせば攻める方は痛い目を見ることになるだろう。
序盤戦はスタイルに見合った人材がおらず、残留が難しいのではないかというのが個人的なルートンへの見立てだった。だが、バークリーのフィットによりトランジッションからの攻め手が増幅され、カミンスキーとオグベネによってローブロック&ロングカウンターの両面のクオリティは担保される。選手ここのコンディションの向上により「あるいは」というところまで持ってくることができたのが今のルートンの立ち位置とすることが出来るだろう。
エンケティアに求めたい役割
アーセナル戦を迎えるにおいてルートン側には留意すべきポイントがある。DFの負傷者の状況が深刻なのである。現状ではCBに怪我人が続出。前節ではロッキャーとメンジが負傷してしまい、3バックのうち本職がCBの選手はオショーだけという状況に追い込まれてしまっている。
この2人が戻って来れるかは非常に大事なポイントである。仮に戻って来ないとしたら、ベルやカボレといった本職がWBの選手がCBを務めることになる。
そうなれば、おそらくボックス内では勝負を仕掛けたくはないはず。なるべくであれば、高いラインでアーセナルを自陣側から遠ざけたいはずだ。
ということでアーセナルはダイレクトな強度勝負に振り切ってもいいように思う。ロングボールの的やバックラインとの駆け引きができるFWは欲しいところ。プレータイム管理の観点からマルティネッリを先発起用するかはわからないが、そうなればエンケテイアにこの役割を担って欲しい部分となる。ロングボールでの単純な競り合いへの勝利はもちろんのこと、本職が少ないルートンのバックラインをかき乱す存在になり、やや停滞気味の個人のパフォーマンスを一変させたいところである。
押し込むフェーズに突入することができれば、さらに確度は上がるはず。CBに人員を回している上にダウティーなど負傷していたWBは前節は1列前のブラウンが起用されている。仮に今節もこうしたコンバートがされるのであれば、ブラウンがいるサイドでは少なくともWGでは優位を握りたいところ。カバーする側もカバーされる側も本職ではないことを鑑みれば、こちらもネルソンやトロサールでもインパクトは欲しいところである。
最悪なのは降りる選手がことごとく相手の中盤に捕まってしまうこと。無理なターンを行わず、ジョルジーニョが出るのであれば特にマイナス方向へのやり直しを多用しながら、きっちりと相手を左右に揺さぶりたいところだ。
最低でもルートンの攻撃と守備の連続性は途切れさせておきたい。バークリーへのチェックは仮にファウルになっても厳しく行いたいところだ。
安直なプレーを選べば自分たちのペースに持ち込まれてしまうのがルートンの怖さ。厳しい日程ながらも、相手に主導権を渡さずにしたたかにプレーして勝ち点を積み重ねたい。