Fixture
プレミアリーグ 第21節
2024.1.20
アーセナル(4位/12勝4分4敗/勝ち点40/得点37 失点20)
×
クリスタル・パレス(14位/5勝6分9敗/勝ち点21/得点22 失点29)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの4勝、クリスタル・パレスの2勝、引き分けが4つ。
アーセナルホームでの成績
過去10回の対戦でアーセナルの5勝、クリスタル・パレスの1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- クリスタル・パレスは47回のアーセナルとのリーグでの対戦で勝利は5回だけ。そのうちアウェイでの勝利は2つ。1994年のハイバリーでの2-1と2019年のエミレーツでの3-2。
- パレスはロイ・ホジソンの指揮下での直近3回のエミレーツでのアウェイゲームで無敗。昨季の敗戦は暫定監督のパディ・マッカーシーによるもの。
- しかし、アーセナルは直近3試合のプレミアでのパレス戦で全勝。それ以前の8試合では1勝だけだった。
スカッド情報
- 膝の怪我でFA杯を欠場していたガブリエル・ジェズスには復帰の可能性。
- オレクサンドル・ジンチェンコは評価が必要だが、2ヶ月の負傷が続いたファビオ・ヴィエイラには復帰の可能性。
- ジェルサン・ラク=サキはハムストリングの負傷からトレーニングに復帰したが、依然として欠場。
- ジョーダン・アイェウはAFCONにより不在で、ミカエル・オリーズは離脱が続く。
Match facts from BBC sport
- 直近の獲得できる15ポイントのうち、手にしたのは4ポイントのみ。開幕15試合ではわずか9ポイントしか落としていなかった。
- アーセン・ヴェンゲル最終年度の2018年の3月以来の公式戦4連敗の危機。
- 無得点で敗れれば1908年以来のホームでの3試合連続無得点での敗戦になる。
- 直近3試合において61本のシュートから1得点しか挙げられていない。
- 今季のエミレーツでのロンドンダービーではいずれもポイントを落としているが、それ以外のホームゲーム7戦では全勝している。
- 1993年以来のロンドンダービー3連敗の可能性。
- 直近の19本のオンターゲットの被シュートのうち、10本が失点に繋がっている。
- ブカヨ・サカは今季6得点でクラブのスコアリーダー。20試合を終えた時点でのこの数字は4人の選手が5得点を挙げていた89-90以来最少。22-23においてはマルティン・ウーデゴールが8得点を挙げており、ガブリエル・マルティネッリとサカが7得点を挙げていた。
- サカは18試合のロンドンダービーで6得点9アシスト。そのうち、3つの得点関与は昨季の4-1で勝利したパレス戦で記録したもの。
- 20試合時点での勝ち点21はロイ・ホジソン第一次政権時代の18-19シーズンの19以来最少。
- 勝てば、ホジソンが再就任した4月以来のリーグ連勝。
- その年のリーグ初戦となったロンドンダービーは過去8戦全て負けている。
- アウェイでのロンドンダービーは2022年のウェストハム戦を除き、直近17試合で勝ちがない。
- ラスト15分以降の失点が11でこれより多いのはシェフィールド・ユナイテッド(16)だけ。
- オドソン・エドゥアールは23-24の15試合のリーグ戦出場で6得点で、シーズンの自己ベストタイ。リーグ戦の出場は敗れた12月9日のリバプール戦以降ない。
- エベレチ・エゼは出場すればプレミア100試合出場。100試合目で得点を決めたパレスのプレイヤーは2020年2月8日のエバートン戦でゴールを決めたクリスティアン・ベンテケただ一人。
予習
第18節 ブライトン戦
第19節 チェルシー戦
第20節 ブレントフォード戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
新機軸の着地点は?
年末年始恒例の過密日程が2023年内に終わったアーセナル。FA杯からのプチウインターブレイクを挟んだためだいぶ時間がかかったが、この21節が2024年のプレミアリーグ初陣となる。
対戦相手となるクリスタル・パレスは絶賛苦戦中。直近の対戦相手であるブレントフォードにこそ勝利したが、それ以前の8試合では未勝利。ブレントフォードに関してもムベウモという最後の砦を失ってふらふらという台所事情は鑑みないとだめだろう。
パレスといえばローラインブロック守備とロングカウンターの掛け合わせ。序盤戦はロングカウンターを繰り出す方に苦戦していたように思えたが、エゼやオリーズといった前線のタレントの復帰によってこの部分が賄えるのならば何も問題はないように思えた。
しかしながら、なかなか攻守が噛み合わない状態が続いているのが実情だ。1つ1つの試合を見ていると、ある時間帯では勝てそうに思えるのだがあるきっかけで失点をしてしまうとそれを覆せないという状況が続いている。
セットプレーでの失点の多さは伝統的なパレスの悪癖と割り切るとしても、リバプール戦の不用意なアイェウの退場などは純粋な盤面とは少し違う次元のもの。そうしたミスが出ない日に限ってオリーズ頼みの攻撃が火を噴かないなど攻守のかみ合わせの悪さが目に付いてしまう。
そうした状況が続いているうちに試合の流れも悪くなってしまった印象。悪い成績に内容が引きずり込まれてしまった。離脱者の状況も気がかりだ。先に挙げたオリーズは多くの試合においては別格の働きを見せているが、1月に再びハムストリングを負傷。中盤ではドゥクレが離脱してしまっている。
アイェウもいない2列目に関してはやや人手不足が気になるが、ドゥクレに関しては代わりに入ったリチャーズがうまく埋めている。中盤に抜擢された彼が高パフォーマンスを見せているのはパレスにとってはせめてもの救いとなっている。
少し気になるのは2節前のチェルシー戦からハイプレスに取り組んでいること。パレスのトレードマークであるローブロック+ロングカウンターを捨てて、高い位置から相手を捕まえに行くアクションを見せている。
そのチェルシー戦ではこのプレッシングはやや不発気味だったが、続くブレントフォード戦ではアップテンポな流れの中から相手を飲み込み、押し込みながら主導権を完全に握ることができていた。ただし、先に述べたようにブレントフォードの今のスカッドは緊急事態に陥っている。このプレッシングがどこまで通用するか、そして完成形をどこにもっていくかは気になるところである。
強度よりも制御
アーセナルは直近のFA杯からは間隔は2週間、そしてこの試合の後のフォレスト戦までは1週間半の期間が空く。パレス戦は少なくとも短期的な疲労が抜け、そして後ろの試合もひとまずは気にしなくていい久しぶりの試合となる。
ウインターブレイクに入る前のフラム戦のレビューにも書いたが、今のアーセナルの課題はできることを試合の中でどのように緩急をつけていくかである。めでたくCLを順調に勝ち上がっていったり、あるいは来年以降も欧州の舞台を踏み続けたりするのならば、出力を上げきらない中でどのように勝ち点を拾っていくかが重要になる。まさしくシティがモデルとなる部分だ。
アーセナルは要素的にはそのモデルを達成するポテンシャルはあるように思う。クオリティというよりは方向性として。開幕当初の慎重すぎる試合運びはリードした試合で相手にペースを渡さないという点では役に立つ。強度の出力という観点では怪しいのでは?と思われた今季のアーセナルだが、ウルブス戦やブライトン戦を見る限り、整ったコンディションをキックオフから解放すれば相手をねじ伏せる試合もできそうな感じである。
問題はその使い分けだ。年末のフラム戦は速い時間にリードを奪いながらもいたずらにインサイドにパスをつけて相手のカウンターを許した。もちろん、こちらのコンディションが整っているのならば問題はない。後方ブロックのカウンター迎撃はプレミアでも胸を張って勝負できるレベルだからだ。
だが、フラム戦は明らかにその状態には至っていなかったし、相手も動きもシャープだった。試合の中でその状況に気づき、先制点を盾に展開を制御する方向性のアプローチを見せてほしかったのが正直なところである。そういう意味ではまだこのチームは欧州を戦えるチームになっていない。
よってこの試合は状況にあったプレーをきっちり心掛けてほしいところだ。前後に間が空くということで強度で押し切りやすい部分もあると思うが、ド派手に勝つことよりも試合の流れを相手に渡さない90分ができるかを個人的には大事にしてほしい。
ただし、年末の3試合未勝利、そしてロンドンダービー連敗という状況を踏まえてもこの試合は一戦必勝となる。ドバイのキャンプで何を仕込んできたのかはわからないが、アーセナルの直近の課題を考えてみると、サイド攻撃の整理は必要な要素になるだろう。
大外のWGの調子がなかなか上がらないということもあるが、サポートキャストも含めて今のアーセナルのサイドはユニットで機能しているケースが少なくなっている。ジンチェンコがいない左サイドをどうするかとか、あるいは右のホワイトがどこまでオーバーラップする力が戻っているかとか。休養を挟んだアーセナルの現在地を確かめる試合になるだろう。
追いかける展開での武器もできれば増やしたいところ。ウェストハム戦やフラム戦で見せた3-5-2はジェズスとエンケティアを並べた以上の成果を見いだせなかった。IHに起用された攻撃的なタレントの特性が埋もれてしまったのと、サイドからクロスを上げる工程のところにあまりいい面が見当たらなかったので、そうした部分に新しい引き出しは欲しい。
アーセナルと異なり、パレスは水曜の夜にFAカップのリプレイを戦っており中2日でのランチタイムキックオフ。エバートンとの180分はチェックしていない(配信なかったかも?)ので、どのような試合を見せたのかはわからないが、過密な日程と人繰りはチェルシー戦からの流れを汲んだハイプレスでくるにはややリスキーな状況にも思える。アーセナルからすれば撤退してのローブロックや5バック採用を視野に入れてあらゆるプランを頭に入れて臨みたいところだ。