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「大敗のいいところを拾う」~2022.2.26 J1 第2節 鹿島アントラーズ×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第2節
2022.2.26
鹿島アントラーズ(2位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点3/失点1)
×
川崎フロンターレ(6位/1勝0分1敗/勝ち点3/得点3/失点4)
@県立カシマサッカースタジアム

戦績

近年の対戦成績

 直近5年の対戦で鹿島は2勝(PK戦含む)、川崎は10勝、引き分けは5つ。

鹿島ホームでの戦績

 直近10試合の対戦で鹿島1勝、川崎が6勝、引き分けは3つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・川崎は鹿島の公式戦において直近11戦無敗。直近の7試合で6勝。
・直近6試合のこのカードの対戦は両チームいずれも得点を挙げている。
・鹿島ホームでのこの試合は川崎が10試合無敗(W6,D4)
・鹿島ホームでの本カードの第2節開催は2012年以来10年ぶり。

 近年の成績で言えば圧倒的に川崎。リーグ戦では6年半以上負けていない戦績である。傾向としては殴り合いになることが多く、直近2年の対戦は全て両チームが得点を挙げている。

 鹿島のホームでも川崎優勢の傾向は変わらず。こちらはおよそ7年以上川崎には負けていない。第2節で鹿島ホームでの開催は2012年以来。この試合は前半終了間際の直接FKをレナチーニョが沈めて、川崎が1-0の逃げ切りを決めている。

スカッド情報

【鹿島アントラーズ】

・開幕戦ではアラーノ、カイキ、松村優太がベンチ外

【川崎フロンターレ】

・FC東京戦で肩を負傷した車屋紳太郎は欠場。
・長期離脱中のジェジエウも引き続き欠場。

予想スタメン

Match facts

【鹿島アントラーズ】

<鹿島のMatch facts>
・開幕2戦で連勝を決めれば2016年以来。
・開幕戦での複数得点は2014年以来。
・ホーム開幕戦は3連敗中。
・直近3試合のホームでのリーグ戦はいずれもクリーンシート。
・上田綺世は過去出場した7回の川崎戦で未勝利。ホームではノーゴール。
・樋口雄太は過去2回の川崎とのホームゲームで負けなし。

 伝統的に開幕戦が苦手な鹿島にとっては開幕の連勝は2016年以来のチャンス。この年は鹿島が最後にリーグタイトルを取った年でもある。開幕戦の勝利自体がこの年以来でこの年の開幕戦の相手も今年と同じくG大阪だった。開幕戦での複数得点となれば2014年以来8年ぶりのこと。苦手な開幕戦で好スタートを切れたのは大きい。

 次に止めるべき悪い流れはホームの開幕戦。現在は3連敗中。ちなみに最後にホーム開幕戦で勝った時の相手もG大阪だった。昨季のホームでのいい流れを継続し、川崎相手に連勝を目論む。

 開幕戦で好調を見せたのは上田。2得点という好スタートでチームを首位に乗せてみせた。未だゴールのないホームの川崎戦という舞台でキャリア初めての川崎戦勝利を掴みたい。逆に好相性なのは樋口。過去2試合の川崎とのホームゲームは無敗。川崎としては元鳥栖のエドゥアルドに前節やられたばかり。同じく元鳥栖の樋口相手には同じ過ちは繰り返したくないところだが。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・2019年11月以来の4失点でのリーグ戦の負け。
・2018年4月以来の先制した試合の逆転負け。
・リーグ戦で連敗になれば2018年5月以来。
・アウェイでのリーグ戦で連敗になれば2016年10月以来のこと。
・家長昭博が出場した鹿島戦は20試合負けなし(W13,D7)。
・山村和也は直近3年のカシマスタジアムの対戦で2得点。

 4失点という大敗ということで、大層メディアの方々にも仰々しく取り上げていただいた様子。記事なんて1つも読んでいないけども。先制した試合においては2018年のC大阪戦以来というおよそ4年ぶりである。

 連敗となれば、さらにメディアは騒ぎ立てるだろう。リーグ戦での連敗は2018年5月のゴールデンウィーク以来のこちらも約4年ぶり。この試合は等々力での連戦だった。アウェイでの連敗となれば2016年の10月の大宮、神戸との連敗以来という5年半ぶりになる。

 それでも鹿島には相性はいい。鹿島相手の無敗記録が川崎加入以来止まっていない家長と、キャリアにおける鹿島戦での得点を全てカシマスタジアムで決めている山村という縁起のいいコンビに縋ってでも、ここでの連敗は避けたいところだ。

予習記事

G大阪×鹿島

展望

■絶好調のストライカーをどう活かすのか

 ヴァイラー監督の来日はおそらく3月にずれ込む見込み。それまでは岩政コーチが暫定的に指揮を取ることになる。開幕戦のG大阪戦では3得点の勝利でチームとしては良いスタートを切れたと言って良いだろう。

 フォーメーションは昨年と大幅に変わらず4-4-2。昨シーズンはトップには上田のようなFWタイプの選手とMFが強い荒木や土居の組み合わせが多かったが、開幕戦では復帰した鈴木が上田と2トップを組む形だった。ただし、SHを含めた4人のポジショニングは流動的でレーンを入れ替えながら攻撃に絡む自由度を持たせている。なので、昨年のように土居や荒木がインサイドに入り込む場面も開幕戦では多く見られた。

 逆に鈴木優磨は左サイドに流れながらミスマッチを作るやり方に終始。そこから中に入ってくるやり方もないわけではなかったが、大外に張ったままクロスを上げてくるやり方も採用していた。相手からすると外から土居や荒木が入り込んでくるめんどくささより、鈴木が外に流れてくれるありがたさの方が正直上な気もしないではないが、とにかくそうしたプレーは多かった。

 基本的にFW陣は絶好調。トランジッションにおける早い展開は相変わらず大の得意。後方の選手もボール奪取直後はまず前を見る構造になっていて、前線も即バックラインとの駆け引きを始める。爆発的なスピードがあるわけではないが、抜け出してからのプレーのバリエーションは豊富で、G大阪戦のように完全に抜け出しきらなくても、得点を決め切れる破壊力がある。

 もう一つ、攻撃において目を引いたのは樋口とピトゥカの組み合わせ。近年の鹿島でも最もボール保持に傾倒した組み合わせと言っても良いだろう。懐が深く縦への推進力と展開力を併せ持つピトゥカとボールを積極的に受けながらピッチを広く使う樋口。

 樋口の加入により、サイドチェンジは増えてピッチの幅を使った攻撃は増加している印象。したがって、大外には必ず誰かしらが立っているケースは増えた。独力で大外を蹂躙できるアタッカーはいないが、外に張ることで相手陣を攻めやすい陣形を整えることは十分にできている。

 その分、守備においてはボールハント力はトレードオフにはなっているが、まずはボール保持が優先なのだろう。4-4-2フラットで守る形で組む守備陣は鹿島としては積極的というよりはまずは受ける姿勢が強い。ここも人選起因によるところは強そう。ピトゥカ、樋口の起用に加えて、異なるオプションになりうる三竿が関川の脳震盪の影響で最終ラインに回りそうなのもこの傾向に拍車をかけそうだ。

 レンタル復帰組や新加入組も含めて、まだチームとしての陣容は見えているとは言い難い。まぁ、監督が来ていないのだから当たり前といえば当たり前だけども。

 岩政コーチは川崎戦に並々ならぬモチベーションを燃やしているだろうし、G大阪戦を見ても細かくやり方を調整しながら展開を握ろうとするタイプ。モチベーターとしての資質も十分で、こうしたビックマッチでは川崎にとってはやりにくい指揮官と言えそうだ。

■保持では前節のいいところを

 すでに述べたが、カウンターにおける破壊力はすでにJリーグ随一と言って良いだろう。鈴木と上田の2トップはJでは別格の凶悪さ。鈴木に関しては開幕節を見てもオフザプレーにおいてもピッチの主導権を握る駆け引きをしてくるタイプで、川崎は開幕戦から彼に対する対応を学ぶ必要があるといえる。

 鹿島のボール保持はG大阪戦の後半頭から安西を左サイドに押し上げた3-2-5のプランも見せてきたが、おそらくこれはG大阪が数的不利に陥ったことが要因の積極策。終盤に得点が必要な場面はこのやり方を採用するとは思うが、長い時間攻撃に比重を引き上げるようなやり方を使うかは未知数である。

 FW陣はPA内から出たり入ったりできるのが面倒。サイドに流れていく鈴木、中に入ってくるSHはどちらも対応が難しい。

 サイドに流れる鈴木への対応は今の川崎ではなかなかに難しい。挟んで自由を奪わないと力関係的には厳しいように思うのだが、今の川崎は知念を使わない限りはサイドの自陣深い位置で挟む形は作りにくい。山根や登里が独力で対応するにはなかなか厳しい相手である。鈴木はプレーエリアにこだわるというよりもミスマッチを作れれば良い気もするので、川崎が大島のアンカーを採用するならば、サイドではなく中盤に降りる形で競り合いを仕掛ける可能性もある。

 シーズン序盤ということもあり、プレーブックに沿った感じのプレーを見せることが多かったので、まずは彼らがどう動くかの癖を短い時間で掴み、対策をピッチの中で素早く決めたいところである。ここは横浜FM戦で川崎ができた部分であるので期待したいところである。

 鹿島の非保持に対しては川崎には十分にチャンスがあると見る。プレスに出てくる気配はそこそこあるチームであるが、1stプレスを外されてからミドルゾーンでブロックを組むフェーズに移行してからの守備はスマートとは言えない。ボールホルダーへのチェックが遅く、ライン間のスペースもコンパクトに維持できていないので、縦パスを入れての前進は比較的容易だろう。

 要は4-4-2ブロックでミドルゾーンで我慢できずにズルズル下がってしまう傾向がある。最終ラインのミンテや関川は対応が遅れてしまう場面も多く、タフな状況においてはミスが出る組み合わせ。川崎としては狙い目である。

 CBに難があるため、縦に早くても壊せる組織ではあるとは思うが、ライン間のルーズさはうまく活用したい。一気にバックラインの裏を狙うというよりは、一手ずつ着実に良い形に持っていくパスを繋いで、確実性の高い前進の手段を選びたいところ。

 アタッキングサードの精度のところで勝負できれば十分に勝機はある。新しいトライを試みているゆえに生じている鹿島の脆さをつく形でしたたかに勝利を挙げたいところ。そのためには横浜FMでできたことをさらに精度が高く、長い時間行う必要があるだろう。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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