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「FA杯は好き、でも再試合は嫌い」〜勝手にプレミア定点観測21−22 中間報告 part1〜

 もうシーズン半分終わっちゃった!というわけで20チームの2021年をプレイバック!まずはトップハーフから!

目次

【1位】マンチェスター・シティ

17勝2分2敗/勝ち点53

■空位となった絶対的存在と心身ともに消耗の少ないスタイル

 シーズン序盤から優勝争いを牽引してきた3チームの中で年末年始に抜け出した感のあるマンチェスター・シティ。三つ巴の大混戦がシーズン終盤まで続くかと思いきや、過密日程で一気に差をつけて前に出た。

 年末年始に勝ち点を落とさなかった理由は他のチームに比べて病気や負傷による離脱をある程度抑えられたからだろう。加えて特定の選手に対する依存度は他の2チームに比べて低く、ある程度はだれが出てもスタイルを担保できているというのも大きい。

    今季でいえばベルナルドとカンセロへの依存度は比較的高いと思うが、それでも抜けたらどうにもならないというレベルではない。絶対的な存在だったデ・ブライネは前半戦あまりいいところがなかったが、それでも首位というのが今のシティの力である。

 彼らのスタイルも負傷者が少ない一因のように思われる。ボール保持基調のスタイルはトランジッション頻発型のスタイルに比べれば肉体的にも精神的にも負荷は少ないはず。年末年始はさすがにハイプレスに陰りが見え、クオリティがガクッと落ちたが、それでも勝ち点積み上げのペースはキープ。延期なく試合を続けているのはチェルシーとシティだけなので、順調に勝ち点を積んでいるだけでOKである。やたらセットプレーから得点が増えているのも心強い。

 あえて気になる点を挙げるとすれば、伸びしろの部分だろうか。今季の前半戦のシティはいつもと比べて試験的な試合が減り、遊び心が少なかったように思える。普通にプレーして、普通に勝ち点を積んでいる。もちろん文句はないが、割と例年の場合、シーズン序盤の遊び心あるフォーメーションいじりが後半になって効いてくる(大一番での逆噴射もあるけど)印象なので、そうした部分が見えてこないのは、シーズン後半の楽しみが少し見えにくいかなという感じ。コミュニティシールドではあれこれ試していたのを思うと、そこからメンディがいなくなり、グリーリッシュがそこまでフィットしなかったという2つの想定外が効いている気がするけども。

    夏に獲得を見送ったCFもフェラン・トーレスで決着するかと思いきや、負傷でおじゃんでバルサ行きという謎の結末。いろいろやってみた結果、今季はWGやで!としていたはずのジェズスを真ん中に置くのが一番しっくりくるんじゃね?という感じなのも、ちょっとふわふわ感が否めない。

 とはいえ現状の成績は上々。CLだって、結局普通にやった方がいいんじゃね?という結論で遊び心がないのがプラスに作用するかもしれないし、そこは蓋を開けてみなければわからない部分でもある。

    個人で気になるのはちょっとパフォーマンスが低調気味のルベン・ディアス。CBのクオリティがCLで問われない!というのはさすがのシティにおいても無理がある話がする。理不尽なカウンターを食い止める力が落ちているのと、警告を受ける頻度の増加はやや目につく。単なる一時的な不調であり、ここが昨季の水準に戻るならば、今年も欧州制覇の有力候補の一角であることは間違いない。

Pick up player:ジョアン・カンセロ
 テクニシャンぞろいのチームの中でも唯一無二のトリッキーさを兼ね備えている。とりあえず5レーンを埋めての撤退!というやり方がシティに通用しないのは、相手のブロックの外側からピンポイントパスとミドルという一撃必殺の武器を持っている彼の存在が大きいからである。

今季ここまでの歩み

【2位】チェルシー

12勝7分2敗/勝ち点43

■やりくり上手さにやや陰りが

 3-4-3というシステムをベースに選手起用、戦い方に幅を持たせながら豊富な戦力で試合をあらゆる方法で制御するトゥヘルのやり方は今季も健在。多くの選手を起用しながら最適解を模索するスタンスでスカッドの底上げを図りつつ、2つのコンペティションを秋先までは順調に消化していったといっていいだろう。

 だが、他の2チームとしのぎを削っていたマッチレースは年末年始の引き分け地獄でややシティに水を空けられてしまうことに。年始に行われたリバプールとのフォロワー決定戦も引き分けに終わり、ただただ首位と離されただけというシティ以外誰も得しない結果に終わってしまった。

 特に不調なのがホームゲームでの成績。リーグ戦に限れば直近7試合でわずか1勝。バーンリー、ブライトン、エバートンのような決して好調とは言えないチームに対してもリードを守り切れずに追いつかれるケースが非常に多い。

 内容面を見ると、90分間あらゆる手を使って支配し続けることができる試合が減っていったのが大きい。シティと違って、開催できるギリギリの状況での試合があったのも単純に一因といえるだろう。エバートン戦やウルブス戦はもうスカッドがボロボロで何か手を打ちながら90分試合を支配することはそもそも無理筋だった。

 とはいえ、そうしたCovid-19絡み以外は完璧だったかというとそういうわけでもない。潤沢な戦力を使いながら過度にメンバーを固定化せずに、試合ごとに入れ替わる持ち味を生かすというのがトゥヘルのチェルシーの定番だったが、今季はなかなかその蒔いた種から目が出ない感が否めない。

 とりわけ苦しんでいるのが加入2年目の人員たち。飛躍のシーズンにしたい面々が軒並みいい流れをつかめないのがチームの幅を広げるのを妨げている。ヴェルナーはルカク加入のあおりを受けて序盤戦からプレータイムが減少。流れをつかめないでいるとCovid-19に感染し、フィットネスを取り戻すのに苦戦中。

    ツィエクとプリシッチも負傷離脱が多く、なかなか継続的に出番を得ることができない。チルウェルは秋ごろにもらった出番をモノにして、レギュラーの座を掴みかけたところで大怪我などツイていない。

    Covid-19からようやく戦列に戻ったハフェルツが唯一順調な存在といっていいだろう。間受けよし、フリーランよし。相手を選ばない万能性はチェルシーの前線の中でも屈指で徐々に欠かせない存在になりつつある。

 新加入選手も同じく苦しんでいる。目玉のはずのルカクは中央に鎮座する基準点型としての起用法に終始しており、持ち味の半分しか生かせていない印象。彼の本来得意なサイドに流れる動きはチームの仕組みとして組み込まれる領域には至っていない。インタビューが火種になった騒動は徐々に収束しつつあるが、起用法での最適解はまだ模索中だ。

 より悲惨なのがサウール。プレミア特有の早い流れにほとんど対応できず、試合では出るたび決定的なミスに絡んでしまうという非常に苦しい状況。カンテ、コバチッチが離脱を繰り返す中盤の一角を補える存在としての期待には応えられず、序列としてもバークリーロフタス=チーク、あるいは最終ラインから中盤に回されるチャロバーの方が上となってしまった。

 なんか、めっちゃ厳しい感じのチーム!っていう書き方になってしまっているが、あくまで優勝争いで遅れをとった要因を挙げているだけで普通にめっちゃ強いチームである。最終ラインは空いているところならどこからでも運べる万能性を持っているし、シティほどではないにせよ押し込んだ時にブロックを外から叩き壊せるWBもいる。最後尾に控えるメンディは相変わらず強固で打ち破るのは簡単ではない。

 苦しいスカッド事情で上向かないパフォーマンスを後半戦でどこまで取り戻せるか。タイトル獲得のチャンスを残したままなんとか春まで粘りたいところだが。

Pick up player:リース・ジェームズ
 大外からクロスよし、飛び込んできての得点もよし、さらには内側に絞ってビルドアップのパスコースを作ることすらできるという万能型WBに成長。今季頭の段階ではアスピリクエタとのレギュラー争いだったが、絶対的な地位をあっさり確立。それだけに怪我が悔やまれる。彼がいつどの状態で戻ってくるかはチームの後半戦の目標設定に大きな影響を与えそうだ。

今季ここまでの歩み

【3位】リバプール

12勝6分2敗/勝ち点42

■他チームより早くやってきた今季の正念場

 CLでは死の組と目されたグループを全勝という驚異的な成績で難なく突破。どんなチーム相手でもねじ伏せる力強さはシティと互角かそれ以上。上の2チームと同じく秋先までは完璧なシーズンといっていい出来だった。

 こちらもチェルシーの項と同じく、ベースとしてべらぼーに強いのだけどあえて水を空けられる要因を探せばここ!というテイストで話を進めたいのでご了承いただきたい。リバプールも同じく年末年始の試合で苦しんだ勢。直近3試合で得た勝ち点は2のみとシティに大きく差を付けられてしまった。

    個人的に今のリバプールに物足りない部分はどこからでもどうやってでも殴り切ることができる!という部分だろうか。

    もっとも右サイドの攻撃は絶好調。特に中心人物であるサラーははっきり言って異次元の活躍。早い攻撃で相手をあっという間に切って捨てた2シーズン前と、PA内に特化してフィニッシュの精度を高め続けた昨季のハイブリッドといっていい出来。昨季よりも行動範囲を広げ、崩しに関与しつつ、最終局面への脅威は昨季並みというよくわからない進化を遂げている。

 同サイドのアレクサンダー=アーノルドも攻撃面では別格。カンセロとはまた違った形でエリアの外から相手を打ち抜ける存在としてリーグでも稀有な攻撃型のSBとして昨季の不調から見事にリカバリーした。

 一方で左サイドの攻撃はピンボケしている印象。マネは個人の出来で見れば復調気配ではあるが、同サイドのSBのロバートソンは違いを見せられておらず、ツィミカスもバックアッパー止まり。ワイナルドゥムが抜けたIHにはジョーンズ、ケイタ、チアゴ、オックスレイド=チェンバレン、ミルナーといろんな人材を試してはいるが、どの選手の個性もぴったりとはハマらない印象だ。

 中盤の構成の歪みは非保持でも。トランジッションの局面が増えるとIHがサイドに流れたり、あるいは前線にあがる頻度が高いこともあり、全体が間延びした状態でカウンターを受けることが常態化。ファン・ダイク、ファビーニョがいる分、昨季よりは強度を保ててはいるが、やはり気になる部分である。時折、がっつり殴り合いに行った結果、普通に収支がマイナス!みたいな試合も出てきている。

 スカッドの世代交代がうまくいっていないのも気がかりだ。ジョッタを除けばここ数年補強で獲得した選手が確固たる地位を築くことができておらず、ビックイヤーを獲得した時のレギュラーを取って代われない状態がダラっと続いている印象を受ける。

    今はまだ衰えは見えてきてはいないが、短期的に障害になりそうなのはアフリカネーションズカップ。両翼がもがれ、フィルミーノはなかなかコンディションが整わない状態で突入するこの期間をどう乗り越えるかは今後のリバプールを展望する上でのヒントになりうるかもしれない。

 ここを乗り切ることができればチェルシーと同じくまだまだタイトルの可能性は十分。特にCLというピーキングが出来る舞台においてはリバプールと当たりたいチームなどこの世にいないはずである。コロナでの離脱者が増えているという気がかりなニュースも聞こえてくるが、まずはマネとサラー、ケイタが不在のこの1か月をどのようにしのぐか。他チームよりも早くリバプールは今季の踏ん張りどころを迎えている。

Pick up player:モハメド・サラー
 まぁ、異次元以外の何物でもない。得点よし、ドリブルよし、ラストパスよしという現状は実質メッシのようなもの。彼のいない間にリバプールと当たれるチームはその幸運に感謝すべきである。

今季ここまでの歩み

【4位】アーセナル

11勝2分7敗/勝ち点35

■悪癖とのおさらばができればCL復帰が見えてくる

 3連敗での最下位スタートという絶望的なシーズンのスタートに頭を抱えたファンは多かっただろう。だが、あれから4カ月。アーセナルはかつての『定位置』である4位争いに加われるところまで調子を取り戻している。

 何よりも大きいのはバックラインの強化だ。冨安、ホワイト、ガブリエウ、ティアニーの4枚の強固さはここ数年のアーセナルにおいては間違いなく最強。最後尾を支えるラムズデールはあっという間に獲得懐疑論を吹き飛ばし、プレー面でもメンタル面でもアーセナルファンのハードを掴んでいる。

このバックラインと共にエミレーツでは快調に勝ち星を積んでいる。正月にシティに敗れるまではホームでは5連勝。完封勝利の増え方を見ればバックラインの強固さがいかに成績を助けられているかがうかがい知れるだろう。

 そしてこのバックラインからの攻撃の組み立ても非常に安定。新生バックラインは非保持だけでもなく、保持でもキックの技術の高さを見せられるのが特徴である。ビルドアップにおいて予想外だったのは両WGのサカとマルティネッリの貢献度の高さ。前者はSBを背負うポストが日を追うごとに上達、後者は体を入れながらSBを制して裏に抜ける動きで収めどころとして機能。彼らの活躍でアルテタ政権発足後、生かすことが出来なかったロングボールからの前進に目途が立ったのは非常に大きい。

 そのマルティネッリにレギュラーこそ譲ったものの、スミス・ロウも好パフォーマンスを披露。昨季課題だった決定力が一気に覚醒。限られたプレータイムの中で得点のチームリーダーとなっている。ウーデゴール、トーマスも徐々に本領を発揮し始め、ジャカがキャプテンが不在となったチームをまとめようと中盤からチームを引き締めている。

    今のスカッドはバランスがよく、チームとしての雰囲気も上々。4位争いをリードする存在としてチームとしては登り調子といっていいだろう。

    格下にしか勝っていない!と揶揄されることもあったが、正月のシティ戦では互角以上の戦いを披露。残りのシーズンで対強豪でも十分にやれることは証明されてもおかしくない出来だった。勝ち点は取れなかったが、アーセナルファンは今季残りのビックマッチを恐れではなく楽しみに迎えることができるはずだ。

 懸念はかなり小さいスカッドでここまで成果を上げてきているチームだということ。5枚の交代枠を使える欧州カップ戦がない弊害もあり、お世辞にも選手起用に幅を持たせられているとはいえない。怪我人が出たり、過密日程に直面した場合にどのようにしのげるかは未知数だ。

 少ないスカッドの問題と関連してくるが、潜在的な不満分子の多さは気がかりだ。アルテタは主力選手に非常に強く慕われる一方で、規律面で問題を抱える選手との衝突を就任以降繰り返している。現スカッドでもすでに売却のうわさが絶えないオーバメヤン以外にもペペ、サリバなど『爆弾』になりうる存在はいる。

    無論、誰が悪いのかは外から見ている我々にはわからないが、欧州カップ戦に出場することになればより大きなスカッドを抱えながらシーズンを戦う必要がある。現状のチームマネジメントではその部分に対する不安を明確に拭い去ることは難しい。

 とはいえ、その心配は欧州カップ戦出場権を確保してからの話。一番気を付けたいのは時折、積み上げてきたものをすっぽりどこかに置いてきてしまう『ドわすれ』という悪癖。12月もエバートンやユナイテッド相手に発現したこの悪癖と完全におさらばできれば、5シーズンぶりの夢舞台の復帰は非常に現実的なものになるだろう。

Pick up player:ブカヨ・サカ
 失意のEUROからしばらくは低調なパフォーマンスに終始していたが、チームのパフォーマンスと比例するように調子を上げている。大外の1on1からの仕掛けはもはやチームの1つの武器。ワンダーボーイからチームの中核に順調なステップアップを果たしている。

今季ここまでの歩み

【5位】ウェストハム

10勝4分6敗/勝ち点34

■2つのリスクを回避し2季連続の躍進を果たす

 昨季躍進した中堅チームがリピーターとして2季連続の躍進を見せることは非常に難しい。多くの選手は引き抜きに遭う可能性が高いし、固定メンバーで戦った多くの試合を分析されることにより対策も進んでいく。チーム解体の危機と敵の解析にさらされるという2つのリスクを背負って戦う必要がある。

 今季のウェストハムはまさにこれにあてはまるチームだが、この危機にうまく対応しているといっていいだろう。レンタルバックとなったリンガードを除けば主力の慰留には軒並み成功。チーム力の維持は問題なく達成できた。

 プレースタイルも前年度の躍進のベースとなった強固なブロック守備だけではなく、積極的なプレッシングからのボールを奪い返す動きにもトライすることでチームの幅を広げる仕組み作りに取り組んでいる。

 個人のレベルで圧巻なのはライス。軒並み、出遅れたEUROイングランド代表組のレギュラーの中では唯一といっていいくらい開幕から好パフォーマンスを披露。プレスやサイドに流れての攻撃参加などの新境地にも積極的に取り組み、自身の幅を広げる挑戦を続けている。

 2列目の面々も好調。フォルナルスはつなぎの局面での貢献度が高まり、積極的なプレスを敷いてくるチームに対してのアントニオ以外の対抗手段としての新しい顔を見せた。ボーウェン、ベンラーマはスコアリングの精度が向上。ジョーカーのランシーニと共にフィニッシャーとして昨季以上の活躍を見せている。

 チーム成績で目を見張るのはビックマッチの勝率の高さである。リバプール、トッテナム、チェルシーにはホームで完勝。伝統的に苦手としているアーセナル戦を除けば、負けた試合も相手を最後まで苦しめたといっていい内容だった。

 11月下旬からやや勝ち点のペースが落ちたのはバックラインの離脱者が増えたことが大きな原因。ドーソンやディオプといった面々が悪いパフォーマンスというわけではないが、オグボンナやクレスウェルといった中央やサイドを支えてきた功労者の不在はさすがに苦しく、ブロック守備というベースにややもろさが目に付くようになった。CLの出場権争いをリードできる位置から脱落してしまったのはこの下地の部分が揺らいだせいで順位が下のチームに勝ち点を落とす試合が増えてきたからである。

 アントニオ不在における攻撃の手段にも一抹の不安が残る。2列目のアタッカー陣は個人個人ではコンディションの良さを見せられても、体を相手に当てながら収めることができるアントニオの代役は実質不在。期待がかかるヴラシッチもオプションには現状なれていない。まだ老け込む年齢ではないが、離脱の頻度は増えてきている。

 年明けから負荷が上がるELとの二足の草鞋を履きこなすには、大エース不在時のプランはほしい。質実剛健なチーム作りで名将としての地位を再び確立しつつあるモイーズはこのチームのさらなる伸びしろを引き出すことができるだろうか。

Pick up player:マイケル・アントニオ
 ウッド、バンフォード、キャルバート=ルーウィンといった昨季の中堅チームのエースストライカーにとってはなかなか厳しいシーズンになっているが、この男だけはそんな状況どこ吹く風である。ゴールだけでなくアシストも決められるチャンスメイク力はあらゆるポジションをこなしてきたポリバレントな経験に基づくもの。自身の得点だけなく、好調な2列目のアタッカーを活かす存在としても非常に貴重な存在である。

今季ここまでの歩み

【6位】トッテナム

10勝3分5敗/勝ち点33

■半年たってようやく落ち着いてきた

 一言でいうならばあらゆるものに振り回されたまま時間が過ぎてしまった前半戦といっていいだろう。開幕前の移籍市場からバタバタは始まっていた。まずは大エースの去就。シティがケイン興味を示していたのは公然の秘密と化しており、おそらくある段階までは本人も移籍を希望していたように思う。最終的には残留を決めたが、代理人も含めた移籍報道のゴタゴタにだいぶ振り回された感がある。

 加えて、監督選びも難航。フォンセカ、ガットゥーゾとイタリア方面の関係者と合意と破談を繰り返しながら、最終的にたどり着いたのはヌーノ。パラディチらしい強引なかじ取りで選ばれた新監督は秋口にあっさりと解任されることになる。

 最後はCovid-19。英国のサッカークラブ内ではいち早くチーム内でクラスタ感染が発生してしまい、欧州カップ戦は最終節を戦えないまま敗退。プレミアも数試合飛ばすこととなり、苦しい日程のやりくりを強いられることとなった。

 途中就任したコンテが落ち着き、プレミアの日程が再開した12月下旬がようやく再スタートが切れるといった状況が整ったことになる。

 コンテにとって幸運だったのは前任者が自身と同じ5バックを基調とする監督だったこと。しかも、レギロン、エメルソン、セセニョン、ドハーティといったWB陣はヌーノのような撤退第一主義の監督よりも、コンテのようなWBに積極的に攻撃参加を促すチームの方が活きるキャラクター。スカッド的には比較的フィットするチームといってもいいだろう。

 チームは構築中でコンテ色に染まっている最中。本人も示唆しているように完成までには時間のかかるチームだ。得意な展開と苦手な状況がはっきりしている現状はシーズン中盤というよりは秋に差し掛かったくらいのフェーズといってもいい。

 両方WBに攻撃参加させることができれば今のトッテナムは比較的強い。早い攻撃を使いつつ、ピッチを横断しながらWBからのラストパスで攻撃を完結させる。それがコンテのトッテナムのスタイルだ。レギロン、エメルソンが抜け出してあげるクロスをラストパスにできる形になれば彼らの攻撃は刺さる。

 その一方で、幅をとる形が作れないときは苦しい。撤退しながら5レーンを埋める相手はかなり苦手。WBは攻撃的ではあるが、止まった状態で相手を抜くことができるキャラクターではないので、手詰まりにさせられてしまうと一気にサイド攻撃は停滞する。

 こうなると、全ての命運はケイン、ソン、ルーカスの3人のアタッカーに託されることになる。彼らが個人で違いを作らなければ光は見えてこない。決して撤退型の守備が根付いているとは言えない10人のサウサンプトンに対して崩しの形が見えなかったのは象徴的。得意分野と同じく、苦手分野もはっきりしていることの現れといえるだろう。

 今後は静的な状況からどれだけ得意なWB→WBの揺さぶりを作り出せるかにかかっている。そのために必要なのはバックラインのビルドアップへの関与。特にワイドのCBがここで大きな貢献を果たせれば外に起点を作るのは難しくはない。SBのデイビスを起用したり、タンガンガに持ち運びを促したりなどすでにトライは始まっている。

 今後激化するであろう4位争いを考えると試してばかりではなかなか勝ち点を積み上げるのは難しい。良さにたどり着くための幅を広げながら、1つでも多くの試合を自分たちの得意なフィールドに引きずり込めるかが今後のシーズンのポイントになっていきそうだ。

Pick up player:ソン・フンミン
 序盤戦の落ち着かない日程の中である程度の結果を出せたのは彼がいたからこそ。ケインの出遅れも意に介さずにチームを支え続けている。4位争いに踏みとどまれているのは彼の功績が大きい。

今季ここまでの歩み

【7位】マンチェスター・ユナイテッド

9勝4分6敗/勝ち点31

■変化が目的化していないか?が懸念

 ロナウドの加入という華々しいシーズンの開幕を飾ったユナイテッド。しかしながらここまでの状況は芳しくないといえるだろう。

 まず、誤算だったのは新戦力をチームに組み込むのに四苦八苦だったこと。ロナウドは得点こそ取っているものの、組み立てや守備などその他の局面での計算は難しく、手放しで成功とは言い難い。まぁこれはわかっていたことではあると思うけど。

 サンチョも久しぶりのマンチェスターの地で適応に苦しんだ序盤戦となった。徐々に兆しは見えているとは言え、本格的な活躍はまだ先と感じられる内容である。ただ、もっとも誤算だったのはヴァランからもしれない。即戦力として引き込んだものの負傷が多く、まだ最終ラインの柱として君臨できる稼働率ではない。新戦力は三者三様の形で適応の難しさを感じる立ち上がりとなった。

 ロナウドの加入で頭を悩ませたのはスールシャールも同じだろう。彼が率いるユナイテッドが強い時は前線からバックラインまでサボらずに守備をする規律があるファーガソン型のやり方が機能した時である。特別なロナウドをトップに置く形はこのやり方とは逆方向。

 CLのグループステージ突破こそ果たしたが、リーグ戦の苦戦で常に解任の危機にさらされ続けたスールシャール。クビがかかったトッテナム戦では返り討ちにして、逆にヌーノを解任に追い込んだが、ワトフォード戦の大敗でついにスールシャール政権は終止符を打った。

 後任を務めるのは期間限定と噂のラングニック。就任直後から見せた両SHがかなり狭い幅でボールサイドによって行く守備を行う4-2-2-2はここまであまりハマっているとは言い難い。スカッドとの相性も個人的には合わないのではないかと思っている。

 大外は限られた人数、内側には密集という形はアウトサイドで打開ができる個人がいないことと、中央に絞るアタッカー陣が組み立てに関与できず、持て余してしまう状態を誘発。アタッカー陣は中央の狭いスペースでのプレー選択になれておらず、ボールロストを連発。アタッキングサードにそもそも迫ることが出来ず、被カウンターに間延びした陣形がさらされ続けるという悪循環を呼んでいる。就任間もない段階ではあるが、ちょっとミスマッチな感じはする。

 バックラインがボールをもってもどうしようもないので、幅を網羅しつつ中央を固める5-3-2のような形と対峙するのは苦手。逆に守勢に回り相手に大外を使われながらバックラインが横にグイっとスライドさせられてしまう場面も目立つ。すなわち幅を使われるのも苦手である。

 現状では整備された状態を目指すというよりは、対人強度の強さを生かし、カオスの局面を作り出して、攻守の切り替えが多い展開に持って行く方が向いているように思う。そうなると、当然ハイプレスが必要になる。となると、またしてもロナウドの意義が難しくなるように思える。

 危惧されるのはスールシャールの反動。彼にはなかった確固たるシステムと方法論を有しているという衝動的な理由だけでラングニックに舵を切っていないか?という点。ユナイテッドにとって変わることが目的化した監督交代でなければいいのだが。

Pick up player:メイソン・グリーンウッド
 今季、最もコンスタントに活躍を見せている前線の選手をチョイス。大外からの仕掛けや献身的な守備などユナイテッドのスタイルを多面的に支えることができる。スールシャール時代にはワントップでのプレーも経験。幅も広がった年になった。

今季ここまでの歩み

【8位】ウォルバーハンプトン

8勝4分7敗/勝ち点28

■トップ2であり、ワースト2でもある

 アーセナルと同じく開幕3連敗という痛恨のスタートを切ってしまったウルブス。しかしながら、第4節からの巻き返しでトップハーフまで返り咲きを果たしたのは非常に見事。ブルーノ・ラージ監督はチームを立て直してみせた。

 と言ってもそもそも立て直さなければいけないほど壊れていたのか?というのが疑問である。敗れた開幕3試合にしても全て0-1での敗戦。紙一重で勝ち点が取れていなかっただけとも言えなくもないし、その後の戦いぶりを見ればむしろそちらの仮説のほうが有力と言ってもいいくらいだ。

 14得点14失点という少ない出入りは決め手に欠けるとは言えるが、手堅さも感じる数字である。得点はノリッジについでワースト2、失点はシティについでトップ2である。直近8試合は3得点、2失点とロースコア化にさらに拍車がかかっている。

 ベースとしてはヌーノのチームを引き継いでいると言っていいだろう。5バックは動かされない前提でPAの手前にドンと構えて相手を待ち受ける。相手にボールを持たせながら主導権を握ることができるプレミアでは希少なチームの一つと言える。

 これを支えるのは出ていくか行かないかのバランス感覚に優れているモウチーニョやネベスといった中盤、そして出ていった時は確実に相手を前に向かせる前に潰してくるキルマンやサイスと言ったワイドなCB。新守護神のジョセ・サもローラインのチームを支えている。

 ロングカウンターに向いているアタッカー陣が多いのも大きな要素。お馴染みとなったアダマ・トラオレはもちろん、新加入のファン・ヒチャンが瞬く間にフィットし、ロングカウンターの一角を担うことができている。本格復帰を果たしたラウール・ヒメネスはパワーヘッダーのイメージは強いが、抜け出しの巧みさも持ち合わせている。

 WGが2人も3人も剥がさなければいけない!という状況だった昨シーズンに比べて攻撃陣は少し様子が違う。個人的には今季の方が好きである。

 弱点を挙げるとすれば最終ラインの機動力だろう。攻守の切り替えが目まぐるしい早い展開に持ち込まれると、カウンター対応でのかけっこで最終ラインが力負けしやすい。特にワイドのCBが出ていった裏のスペースのケアには少し怪しさがある。

 というわけでこの最終ラインの脆さを隠すためにはローラインを維持する必要がある。アタッカー陣のコンディション低下や負傷が続けば陣地回復が難しくなってしまう。前線が守備陣の弱点を補える活躍を続けることができるかどうか。今の調子ならば、十分台風の目として後半戦もリーグをかき回すことができるだろう。

Pick up player:ファン・ヒチャン
 ヴェルナー、サンチョ、ベイリーとブンデス産アタッカーは割と苦しむスタートを切ることが多いのだが、開幕からバッチリフィット。ネトの不在を感じさせないハイパフォーマンスでチームを牽引した。

今季ここまでの歩み

【9位】ブライトン

6勝9分4敗/勝ち点27

■主軸の期間と共に、呪いも戻ってくる

 シーズン開幕5試合で4勝というロケットスタート。開幕から連勝スタートで序盤戦のダークホースに。昨シーズンからの課題であった大量のチャンスを全てクソシュートでフイにするというムーブはどこへやら。チャンスを続々とゴールに叩き込みまくり、白星を重ねまくった。

 その代表格がモペイ。肝心なところでシュートを枠に飛ばせない残念ストライカーの代名詞と言っていい存在だったのだが、序盤戦は覚醒。少ないチャンスを生かすエースとしてブライトンの攻撃を牽引した。

 だが、中盤戦は苦戦。開幕5試合のあとは11試合の未勝利が挟まってしまい、ここで一気に順位を落とすことになった。大きなブレーキの一因となったのはビスマの欠場。高い位置からのプレッシングでできた広いスペースをカバーできるビスマの存在は積極的に相手にプレスをかけるフェーズでは必要不可欠。彼がいない時期においては全体の間伸びを解消できる存在がおらず、前線のプレスを掻い潜られてしまうと一気にシュートまで持っていかれるシーンが増えるようになった。

 攻撃面においても対角パスが通せるパスが減ったことで大きな展開が停滞。ホワイトの移籍もあり、最終ラインからのフィードの出し手がサンチェスに負荷がかかる形になってしまっていた。

 ビスマがようやく復帰を果たしここから!と思ったところで、誤算だったのは前線のすっとこどっこい病が再発してしまったこと。ビスマと一緒に戻ってこなくていいものまで戻ってきてしまった形である。チャンスは作るものの、全然決まらない昨シーズンのブライトンがシーズン半ばにして戻ってきてしまった。もちろん、モペイもあの日のモペイのままである。

 とはいえ、しっかりしたビルドアップの形を持っているチームではあるので、どこが相手でも十分に戦うことができる。特定のフォーメーションに頼るチームではないので、相手の噛み合わせを見ながらメンバーを使い分けることができるのが持ち味。

 加えて、ランプティとククレジャというサイドのアタッカーを固定できたのも強み。ランプティは受けに回った時の不安要素でもあるが、それを差し引きても1on1での破壊力は魅力。サイドアタックの核が定まっているのは頼もしい。

 というわけで待たれるのはエースの再到来。今季頭のモペイのような少ないチャンスをゴールに変えられるアタッカーの登場だ。この冬に戻ってくるかはわからないが、三笘がこれまでの環境のように数字を残すことができればあっという間にレギュラー奪取まで辿り着いても不思議ではない。

Pick up player:マルク・ククレジャ
 ファン・ヒチャンと同じくこちらも他国移籍即フィット勢。仕組みがしっかりしているチームの中で溶け込むのは結構難しいように思うが、高い位置での攻撃の起点と、プレミア特有の強靭なアタッカーにも当たり負けすることない守備で最終ラインの主力になった。

今季ここまでの歩み

【10位】レスター

7勝4分7敗/勝ち点25

■火の車の最終ラインに泣かされた前半戦

 まだ半分ではあるが、非常に浮き沈みが激しいシーズンだったと言えるだろう。戦力としてはもう少し上の順位にいてもいいように思うのだが、今季ここまでの手こずり方を見ればこの順位は妥当のようにも思える。

 なんと言っても痛かったのは最終ラインに集中した怪我人である。開幕前のフォファナの大怪我からスタートし、ジャスティンも復帰の目処が立たず、エバンスとリカルド・ペレイラも負傷離脱を繰り返すシーズンに。トドメとなったのは新加入のヴェスターゴーアとバートランドも負傷の波に飲まれてしまったことである。

 これにより、最終ラインの構成がちっとも安定しなかったのが非常に誤算。試合によってはMFのンディディがCBに入らなくてはいけない試合もあった。

 煽りを喰らった中盤も苦戦。EUROの影響かティーレマンスがなかなかエンジンがかからないシーズンになってしまい、ンディディも不要なファウルでPKを献上するシーンも。昨シーズンチームも牽引した両者をすんなり中軸に据えることができなかった。

 前線は4-2-3-1においてバーンズ、ルックマンの両翼が不発。ソリストのアタッカーを2人抱えることで攻撃に無鉄砲さがすぎる場面が増えて、4局面を制御するロジャーズのチームとは異なる仕上がりになってしまった。

 それでも徐々に調子を上げつつあるのはさすがロジャーズ。イヘアナチョ登用の2トップ回帰や、中盤の構成を変える形でチームを試合ごとに手当てしながら勝ち点を積み重ねて少しずつ順位を上げている。シティ戦からの中1日で1週間試合の空いたリバプールを撃破した年内最後の試合が今季のハイライトだろう。

 個人レベルで見ても徐々に新戦力はフィットしてきている。中盤ではデューズバリー=ホールがプレータイムを増やし、スマレやダカなど伸びしろもある。開幕時はコンディションや連携に問題もあったバーンズとルックマンも徐々に決定的な働きができるようになってきた。マディソンのパフォーマンスも軌道に乗りつつある。

 上積みが見込める中盤と前線には明るい展望を持つことはできるが、最終ラインはシーズン終わりまで苦しいやりくりが続くことになることが想定される。最終ラインの脆さを中盤より前でいかにカバーできるかが後半戦のテーマになるだろう。

Pick up player:ジェームズ・マディソン
 移籍に揺れた開幕はやや落ち着かないパフォーマンスだったが、徐々に復調。強度の強さに振り落とされることなく、アタッキングサードにおける決定的な働きを徐々に果たしていくように。後半戦のパフォーマンスが楽しみな選手の1人だ。

今季ここまでの歩み

 後半はまた今度!

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