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「連覇してやったぜ」〜川崎フロンターレ 個人レビュー2021-FW編

これまではこんな感じ!

目次

9 レアンドロ・ダミアン

■『ブラジル代表』×『チームにフィット』=『MVP』

 MVP+得点王とったぞおおおおおお!!!!!!川崎に来て3年。加入当初はフィットしていないやんけ!の大合唱だったブラジル人FWは3年かけて徐々にJリーグと川崎のスタイルにフィットしていくという、まさかの成長曲線を見せてチームタイトル&個人タイトルで充実の2021年となった。

 副キャプテンを任されたことで、スタメン次第ではキャプテンマークを巻くことも。巻かれた腕章にふさわしい働きをピッチで示し、積極的に審判に抗議する姿勢を見せた。と思ったけど、抗議する姿勢は腕章を巻く前からずっと見せていたので特に変わりはない。

 プレーにおいてはゴールからやや離れた位置からのシュートや難しい角度や体の向きからの得点が増えた印象。チームとしてどのように彼を使うか、そして彼自身がチームの中で自分の持ち味をどのように活かすかがわかってきたのだろう。単純なポテンシャルだけでなんとかしてきた感があったこれまでに加えて、川崎のダミアンワンランク上の段階に突入したと言っていい。

 無理筋なプレスも今年は減少。ただし、プレス自体は勝負所としたところでのゴーサインは依然としてかけられるし、体力面に関しても衰えはまだ感じない。クロスを主体とするチームスタイルにクロスの入り方がうまいダミアンの存在は依然として必要不可欠。契約延長はハッピーである。

 ただ、おそらくこの契約延長にはたくさんのお金がかかっているであろう。『ジョガムイトまんじゅう』とか『バイシクルシュラスコ』などの適当にダミアンを絡ませてくれたコラボグッズを出してくれれば、サポーター的にはいくらでも金を払うので、関係者の方には是非とも検討をお願いしたい。

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 もっともっと!

11 小林悠

■持ち味と2桁得点はさすがではあるが

 小林にとっては2021年はどんな一年だっただろうか。限られた出場機会の中でリーグ戦の二桁得点を達成したのは立派。相変わらずのキラーぶりを見せつけた仙台戦や、ワンチャンスで大仕事をやってのけた鹿島戦など印象的な試合も数多い。

 一方でリーグ戦の最後の得点は8月28日の札幌戦。終盤戦は3ヶ月以上、得点がないままでシーズンを終えてしまったことになる。途中交代からのワンポイント起用としてゲームチェンジャーとして試合のペースを変えられたかは微妙なところ。ハイテンポな試合の中で精度が物足りない部分と、試合を落ち着かせることができなかった部分はやや気になった。

 背負ってのプレーに関してはやや存在感が薄れているのも気がかり。ただし、DFとの駆け引きに関しては相変わらずの超一級品。ガッカリさせるようなシュートミスが目立つのは、そもそも彼の動き出しで生み出すチャンスの質が高いということの裏返しでもある。

 報道も出てこないので、おそらく残留が基本線なのだろうが、数字だけ見ればこのクラスのストライカーがこのプレータイムでチームに残ってくれるのだとしたら感謝しかない。

 個人的にはインスタでの他選手とのコミュニケーションがほっこりするランキング1位。これからも癒し要素満載のやりとりを多くの選手とかわしてほしい。

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 ジョガムイト!

19 遠野大弥

■条件が整う必要のあるジョーカー

 福岡での武者修行で結果を残しまくり、満を持してのレンタルバックとなった2021年の遠野。実質川崎所属としては1年目となった今季はバックアッパーとして貴重な役割を果たした。

 ダイレクトな動きが魅力でシュートにパンチ力と精度があるため、チームに得点力をプラスアルファしたい時の交代カードとして年間を通して重宝した。

 インサイドハーフとWGでそれぞれ起用されてはいたが、基本的には中央に近い位置でプレーする方が効くことが多かった。幅をとってどうこう!という選手ではなかったので、どちらかといえばIHの方が彼自身の特性を活かしやすいのかもしれない。最終局面に顔を出すMFとしてはチーム随一の存在である。ちなみに福岡、大分、鳥栖という今年の川崎にとっては憎き九州三兄弟相手に全て得点をあげている。

 器用なタイプではないので、使い方と展開によっては持ち味は消えてしまいやすい。ボールコントロールが流れやすかったりするし、狭いスペースでのプレーはそこまで得意ではない。ここからプレータイムを増やすならば、狭い場面での精度を上げながら展開を選ばないスタイルを身につけたいところ。

 デジっちでは猫ひろしのモノマネをして盛り上げてくれたが、カンボジア国籍をとってまでオリンピックに出るなどの本家の幅の広さを見習い、器用さを備えて欲しいところである。

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 本家は結構器用に水を飲む。

20 知念慶

■最終列車に間に合った2021年

 今シーズンの頭のレンタルバックは正直意外だった。2020年は20番を宮代で埋めていたし、実質片道想定の大分へのレンタルだと思っていたからである。なかなか大分で定着しなかったという部分もあるのかもしれないが。

 波に乗り切れなかった2020年を引きずるかのように、序盤戦はかなり苦しんだシーズンと言えるだろう。リーグ戦初めの9節でプレータイムは30分にも満たなかった。持ち味どうこう以前にまずは出場時間を勝ち取らなければいけない状況でのシーズン序盤となった。シーズン中盤は序盤に比べればプレータイムは伸びたものの、今度は内容で納得できるものを見せることができずに苦しんだ。

 そんなもどかしい流れが変わったのが29節の徳島戦。2得点でチームを牽引した上に、縦横無尽にボールを引き出し深さを作る決定的な働きを見せる。この徳島戦のパフォーマンスでなんとか最終列車に間に合った感がある。

 そこからはチームの流れを変えるジョーカーとして機能。特に終盤戦は一部から待望論が上がっていたWG起用でマンジュキッチ化という形で他のWGとは異なる形でチームに貢献してみせた。

 三笘以降、絶対的なWGが不在となっている状態を考えれば来季もこの形での期待は高いはず。CFももちろん起用可能なマルチ性能で前線の争いに割って入る2022年にしたいところだ。

23 マルシーニョ

■愚直なタスクワークで迅速にフィット

 三笘の移籍に伴い、シーズン途中補強で夏から川崎に移籍。無所属の期間があったり、前任者の偉大な影があったり、フィットに時間がかかる外国籍選手も珍しくなかったりするため、即戦力としては難しいか?と思っていたのだが、割とスムーズにフィット。川崎が終盤にペースを落とさなかったのはマルシーニョが早い段階で確固たる地位を築けたことも大きかった。

 なんと言っても特徴はスピード。それもオフザボールの動きで抜け出しながらボールを受けるのがとても上手い。キャラも相まってフリーダムに見えがちだが、中央に寄ってくることも少なく、大外に張りながら裏抜けを繰り返せるタスクワーカー型の選手。広く攻めたいという保持での意図や、一気に攻撃を完結させたいカウンターの場面で重宝された。

 来日当初は、ピッチの上で大の字になるなどフィットネス不足を露見することもあったが、むしろスタミナは徐々に持ち味の一つになっていた感。ランを繰り返しできる耐久性を持っており、浦和戦では酒井宏樹を後半になって徐々に苦しめる!みたいなシーンもあった。正直、全然歯が立たないと思っていたので驚いた。

 最も大きな課題はフィニッシュワークだろう。シュートは速度、精度ともに不足しており、1対1でのGKとの駆け引きも苦手。打つにはここしかない!というタイミングで放つシュートが一番得点の可能性がある感じ。スコアラーとしての開花の可能性は正直あまり高くない。

 ただ、得点は取れるに越したことはないものの、枠組みの中で役割がハマっている感じは十分にする。スピードに乗れていない状態でのコンビネーションの精度と守備面での規律が高まれば、さらに上積みが見込めるだろう。

 ダミアンが得点王争い真っ最中のG大阪戦では『どう見てもダミアンしか見ていない!』という感じのラストパスがバレているのが可愛かった。多分、ドッキリの仕掛け人とか向いていないタイプだと思う。『アスリートが仕掛け人のドッキリ大根すぎて逆に面白い説』でジェジエウにドッキリを仕掛けるマルシーニョの様子が見てみたいので、TBSの関係者の方は何卒よろしくお願いします。

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24 宮城天

■もっともっと勝ち取って欲しい

 2021年のシンデレラボーイ枠。追い込まれた天皇杯の長野戦でのデビューにおいて、大胆不敵なプレーで等々力に押しかけた観客を魅了。放送がなかったこの試合ではなかなか多くの人の目に触れることはなかったが、ACLとリーグ戦ですぐにメジャーデビューし、多くのファンを驚かせる。シーズン終盤は完全に長谷川との序列が入れ替わり、控えの一番手の地位を確立した。

 これだけでも十分よくやったといえる1年ではあるのだけども、個人的にはもっと終盤戦でできて欲しかったという気持ちはある。大外で幅をとりながら愚直に!という部分ではマルシーニョの方が規律正しくできていたし、肝心のコンビネーションでの崩しは強みと言えるほどの武器までには消化できなかった感じ。

 ミラクルショットでラストプレーでの勝利を呼んだ鹿島戦でも『何もできていなかったからとりあえず打つしかなかった』という旨のコメントを残していることからも、流れの中で思い通りのプレーを見せられた終盤戦ではなかったように思う。もう一つ殻を破れなかった印象だ。

 タスクワーカータイプのマルシーニョと比べると、プレーの幅で勝負できるタイプだろう。そして、マルシーニョに足りないスコアリングの部分で差をつけることができればレギュラーの奪取も見えてくる。

 天皇杯・長野戦をみた時の個人的な感想は『若手だからプレータイムを与えるという先行投資的な戦力ではなく、プレータイムを自ら勝ち取って欲しい選手』というもの。来季はよりプレータイムを勝ち取るためのプレーを期待したいところである。

47 旗手怜央

強靭なフィジカルとマルチ性能で圧巻の1年に

 FW登録なんだってさ!ベストイレブンのインタビューでも『なんでFW?』みたいなことを本人が言っていたように、非常にあらゆるポジションで使われた選手である。

 登里が出遅れた序盤戦は左のSBとして起用。まさかの役割だったが、内側のレーンでも体を張れる強靭さで、他のSBとは一風異なる持ち味を発揮していた。ただ、代表でも終盤のリーグ戦でも対人守備の部分でSBとしては軽い部分があったのは間違いない。やはり、SBはオプションだろう。

 田中がいなくなってからはIHに主戦場を移して活躍。脇坂と共に背負える軽い中盤の相手に対してはドリブルにサイドチェンジに大暴れ。列を降りて受ける場面もあるが、その分ゴリゴリ自分で前に運べるのも大きな強みである。レイヤーを移動しながら受ける動きも多く、守備側からすると単純な捕まえにくさがあるだろう。攻守のインテンシティも高く、WGのカバーリングに走り回らなくてはいけない川崎のIHの守備のタスクもこなしてみせた。欲を言えば得点能力の部分でもう少し違いを見せたかったか。

 終盤戦はチームを背負う責任をめちゃくちゃ表面に出しまくっていたので、泣きまくり悔しがりまくりという感情表現が豊かな仕上がりになった。同年代の三笘、田中の移籍で背負うものが多かったのだろうなと思う。そこの是非はともかく、それだけチームの責任を背負える圧巻の一年になったことは間違いない。

 というわけでどうやらセルティックに向かいそうな気配である。交渉の続報がなかなか出てこない現状だと、ビザの問題かパンデミックの問題があるかもしれないのが心配である。だが、大卒という境遇を考えても海外挑戦としては妥当な時期だろう。持ち味を知っているであろうポステコのおっさんにお預けし、プレイヤーとして更なる成長を目指したいところである。

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 1月2日の試合間に合わすんじゃなかったのかよ。

 おしまい!!

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