MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 22~ 2024.1.30-2.1

目次

ノッティンガム・フォレスト【16位】×アーセナル【3位】

アウォニィが作り出した流れに乗ったアーセナル

 レビューはこちら。

あわせて読みたい
「化学反応を利用する」~2024.1.30 プレミアリーグ 第22節 ノッティンガム・フォレスト×アーセナル レ... プレビュー記事 https://seko-note.com/27292/ 【レビュー】 やりくりが厳しいフォレストのプラン  日程的には両チームには明確に差があるスケジュール。フォレストは...

 AFCONと負傷者のコンボでかなり悩ましいスカッドのやりくりを強いられているフォレスト。得意のホームでのアーセナル戦とはいえ、かなり慎重な構えでスタート。アーセナルにボールを渡して、ひとまずリトリートを最優先。中盤はバックラインのヘルプに入る形を取り、ほぼロングカウンターを放棄する形で自陣に引きこもっていく。

 というわけで前半はほぼアーセナルの保持が一方的に続くモノトーンな展開になった。サイド攻撃が基調になるのはいつもと同じだが、ドミンゲスが自陣まで戻ってサカのダブルチームに入る献身性を発揮しつつ、マンガラが構えるフォレストの左ブロックはかなり突破が難しくなっている。

 その分、チャンスがあったのは右のブロック。アーセナルの左のユニットはマルティネッリを中心に攻め手を探っていく。効いていたのはジンチェンコのオフザボール。フォレストのバックラインへのプレスがほぼなかったこともあり、いつもと比べてビルドアップのタスクを負っていなかったジンチェンコはその分サイドでの崩しで存在感を見せる。

 ただし、ハーフスペースに陣取ってしまうとスミス・ロウとプレーエリアがかぶることも想定される。ジェズスがサイドに流れる分、インサイドの仕事が増えているマルティネッリの役割を踏まえて、この日は大外でボールを受ける機会がいつもよりも多め。状況を見た適切なレーン埋めだった。インサイドに入った時も意外性のあるパスからチャンスが見られるなど、左サイドから崩しの根幹を担う。

 それでもロングカウンターを犠牲にして自陣のブロックを強化することに専念したフォレストに対して、アーセナルはなかなか崩しのきっかけをつかむことはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半、フォレストはアウォニイの投入を機に、攻め上がりの人数を増やしてのカウンターを打つように。フォレストの面々には前半よりも明らかに現実的にゴールに迫る画が見えたのだろう。前半は上がることがなかったサイドの選手も積極的に攻めあがるようになっていた。

 しかし、アーセナルにとってもこれは追い風。展開がオープンになり、ファストブレイクの可能性が広がる流れは悪くはない。フォレストの作り出した流れに乗ったアーセナルは先制点をゲット。冴えているジンチェンコのスローインから裏に抜けたジェズスが角度のないところからゴールをゲット。ターナーの股下を抜いて先制点を奪う。

 攻めにかかったフォレストを跳ね返す形でアーセナルは立て続けに追加点を奪う。数的優位のカウンターを完結させてサカが2点目を仕留めた。

 終盤にフォレストはアウォニイの追撃弾で1点差に縮めるが反撃もここまで。アウォニイの投入で自らが作り出したアップテンポな流れからアーセナルに主導権を渡してしまい、フォレストは力負けを喫してしまった。

ひとこと

 この日はやや流れ自体が裏目ったとはいえアウォニィのパワーはさすが。残留に向けて大きな戦力が帰ってきた。

試合結果

2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
ノッティンガム・フォレスト 1-2 アーセナル
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:89‘ アウォニイ
ARS:65‘ ジェズス, 72’ サカ
主審:サイモン・フーパー

ルートン・タウン【18位】×ブライトン【7位】

埋められない強度の差で圧殺

 少しずつ内容に光が差しているように見えるルートン。17位より上のチームとの勝ち点差は節を追うごとに詰まっている。逆転の残留に向けて今季無得点試合がないケニルワース・ロードでさらなる勝ち点を狙う。

 立ち上がり、1分もしないうちにルートンは先制。降りていく選手についていったバークのパスカットから一気に縦にボールをつけると、収めたアデバヨからオグベネを経由。サイドのオグベネから再びアデバヨ目がけたクロスで先制。ブライトンはPA内での圧力に屈してボールを掻き出すことができなかった。

 さらに2分後にはルートンに追加点。ロコンガの大きな展開から抜け出したオグベネが独走。中途半端な飛び出しを見せたスティールを交わし、無人のゴールに押し込んだ。

 飛び出したスティールもひどいが、裏抜けにほとんど無頓着な対応を見せたエストゥピニャンとイゴールのパフォーマンスもなかなかにひどい。ロコンガのパスやオグベネの裏抜けは確かに見事ではあったが、あれでGKとの1on1が作れるのであれば、あまりにもサッカーは簡単である。

 2点をリードしたことにより、どこまでプレスに行くかに少し迷いが出始めたルートン。その隙を見つけたブライトンは自陣からのつなぎでレイオフを連打。フリーの選手を作り出して、左サイドから抜け出すシーンを作っていく。しかしながら、序盤の決定機をウェルベックが外してしまい、ゴールラッシュの波に乗ることができない。

 立ち上がりは強気のマンツーからペースを握っていたルートンだったが、時間の経過と共にそうした高い位置からのボールハントは見られないように。その分、展開は落ち着いていたのだが、エストゥピニャンのパスミスがルートンのカウンターを引き起こしてしまい、あっさりと3失点目。まぁ、パスミスする側が悪いのだけども、イゴールの対応はあまりにも無力感しか感じないものであった。

 後半も展開としては対照的。ネジを巻きなおして高い位置からのプレスに出ていくルートンに対して、ブライトンの高い位置からのプレスはことごとくファウルに。ボールをクリーンに奪うことができず、ファウルを重ねてしまう。

 この日のブライトンは縦パスのレンジが少し長いからなのか、1つくらいであれば通されても特にルートン側に問題を引き起こさないパターンが多数。落ち着いてリトリートに移行されている間に何もできなくなるケースが多発していた。

 ルートンは後半にアデバヨがハットトリックを達成。最後まで強度の差を見せつけられたブライトンは成す術なく大量失点で敗れることとなった。

ひとこと

 スピード系のアタッカーに対して後手を踏むことは確かにこれまでもあったけど、この日のブライトンの守備ブロックからは規律の部分の不具合が想起される内容だった。いくらケニルワース・ロードとはいえコテンパンにされ過ぎである。

試合結果

2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
ルートン・タウン 4-0 ブライトン
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:1‘ 42’ 56‘ アデバヨ, 3’ オグベネ
主審:ロベルト・ジョーンズ

フラム【13位】×エバートン【17位】

深刻化するエバートンの決定力不足

 立ち上がりは互いにロングボールの応酬。ファストブレイクから敵陣に直接的に迫っていく攻撃が目立つ展開となった。

 しかしながら、エバートンがだんだんとCBにプレスをかけないようになっていく。この辺りはゲイェ、ドゥクレ、オナナという暴れられる面々が揃って不在であり、いつもほど中盤のアスリート能力勝負に振り切ることができないという側面もあるかもしれない。

 というわけでボールを持つ側に回ったのはホームのフラム。プレッシャーのないバックラインから左右にボールを散らしつつ、サイド攻撃を狙っていく。パリーニャの位置がいつもと比べて左右異なっているが、構造としては同じ。左CHに入ったケアニ―が左サイドの崩しに加わり、トップ下のペレイラが右サイドのパス交換に参加する。パリーニャはお決まりのアンカーロールである。

 ボールを動かしながらブロックのスキを探すフラム。4-4ブロックを整えるエバートンの前でウィリアンを軸に大きく左右に動かす展開からスキを狙っていく。しかしながら、エバートンはこうして受ける守備はお手のもの。SHの献身的な守備はこの日も健在であり、サイドのスペースを埋めて、人についていくことでフラムにスキを与えない。

 さらにカウンターからは十分なチャンスを創出。押し込んだ後のセットプレーも含めてフラムと同じ程度にはゴールに迫る機会を作ることができていた。

 後半の立ち上がりも試合のペースは同じ。エバートンにボールの保持を一方的に押し付けられたフラムがボールを持ち続ける。

 しかしながら、試合が続いていくと徐々にオープンな展開が出てくるように。保持一辺倒だったフラムもファストブレイクからゴールに向かうシーンが増えていく。ハーフタイムでヒメネスがピッチを退いており、インサイドに高さがなくなったフラムからすれば、縦に速い展開の応酬に回帰したこと自体は非常にありがたいといえるだろう。

 だが、どちらかといえばゴールに迫る機会はアウェイチームの方が多かった。相変わらずポゼッションでは低い数値を出しながらも、縦に速い攻撃とセットプレーでフラムに脅威を与えていく。

 ピックフォードがファインセーブで絶体絶命の危機を救ったときはエバートンに勝ち筋がめぐってきたかと思われた。予想通り、終盤にエバートンはゴール前で決定機を迎えるが、ベトのシュートは枠外。今季を通して泣かされているFWの決定力はこの日も振るわず。両チームとも多くのシュートを打ちながら、試合はスコアレスドローでの決着となった。

ひとこと

 かなり、エバートンの勝ちパターンだったように見えた試合だったのだけども。年明けから前線の決定力がさらに一段深刻化している。

試合結果

2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
フラム 0-0 エバートン
クレイブン・コテージ
主審:トーマス・ブラモール

クリスタル・パレス【15位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

2人のエースがブロックを撃ち抜く

 苦しい戦いの続くクリスタル・パレス。前節のアーセナル戦の後にはフロントに対する不満を書いたバナーがファンによって掲げられた。そうした中で迎えたホームのブレイズ戦は勝たなければ何かが起きてもおかしくはないプレッシャーのかかった試合となる。

 しかし、ブレイズは1stチャンスをものにする形で先制。マクバーニーのフリックから攻撃のスイッチを入れると、左サイドで横断を引き取ったブレアトンが技ありのシュート。新加入のブレアトンが2試合連続のリーグ戦ゴールを決めてブレイズが幸先のいいスタートを決める。

 高い位置からのプレッシングを外される格好になってしまったパレス。失点してもプレスを強気で行っていく姿勢は継続していく。奪ったら縦に!という形はかなり意識されていたが、ブレイズが得点以降は素早くリトリートにシフトするようになっていたため、徐々に試合はパレスがブレイズの4-5-1ブロックをどのように攻略するかにテーマが移っていった感があった。

 その状況に答えを出したのは2人のエース。ブロックの外からボールを上げたオリーズのクロスにアクロバティックに合わせたのはエゼ。ホットラインがつながり、パレスが押し込む状況から同点に追いつく。

 しかしながら、すぐにブレイズも反撃。速攻からまたしても輝きを放ったマクバーニーのキープからボールを引き取ったマカティーがゴール。またもリードを奪う。

 だが、再びブロックの外から撃ち抜く形でパレスは同点に。エゼのミドルシュートが突き刺さり試合は振り出しに戻る。試合の展開によらず、パレスは一方的に押し込んでいる。だが、インサイドに差し込むようなパスを入れ込むことはできず。アウトサイドから解決できるオリーゼとエゼがなんとかしてくれる状況を待っている形だった。

 後半、ブレイズは5-3-2にシフト。5-4-1との合いの子のような組み方。ただ、バックラインが下がって受けることを意識したというわけではなく、ライン自体はそれなりに高い位置に設定されていた。

 というわけで後半のアップテンポな展開はどこまでブレイズの意図だったかはわからない。パレスは少しオープンな形の中で裏をとることで勝負を仕掛けていく。その狙いの中でグルビッチが負傷してしまったのは本人にとってもブレイズにとっても不運だった。

 結局はこの深さをとるプランが刺さったパレス。後半に繰り返されていた右の裏抜けで深さを作ったマテタにより、スペースをもらったオリーズがミドルシュートを仕留める。これもブロックの外からのアプローチではあるが、裏抜けの分、意図的に相手を動かした感もあった。

 80分台後半に猛攻を仕掛けたブレイズだがここを凌がれると、後半ATはパレスにボールを持たれて試合を寝かされて終戦。長いATを活かすことができず、ホームチームに逃げ切りを許した。

ひとこと

 ホジソン、首の皮一枚繋がった!!

試合結果

2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
クリスタル・パレス 3-2 シェフィールド・ユナイテッド
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:17′ 27′ エゼ, 67′ オリーズ
SHU:1′ ブレアトン, 20′ マカティー
主審:トニー・ハリントン

アストンビラ【4位】×ニューカッスル【10位】

霧が晴れたビラ・パーク制圧

 霧がかったビラ・パークでは年末年始で突き抜けられなかった両チームが激突。ホームのビラは昇格組相手の恵まれた対戦相手に手を焼き、ニューカッスルは絶賛連敗中である。

 ボールを持つ側に回ったのはアストンビラ。バックラインでボールを引きつけながらポゼッションの糸口を下がる。ニューカッスルは高い位置でプレスに行っていたが、インテンシティは控えめ。中盤はあまり列を上げてのプレスは行わず、マーフィーが少し外切りプレスをするくらいだった。

 その代わりに降りてくる選手には厳しくチェック。ニューカッスルはアストンビラに対して中央に起点を作ることを許さない。

 ニューカッスルの攻め筋はカウンター。手数をかけない一発の裏抜けからゴードンやイサクがシュートまで持っていくことができる。そこまで漕ぎ着けるとカウンターからのセットプレーで先制。短い時間で立て続けにシェアが2ゴールを挙げることに。

 アストンビラはカマラの列落ちなどで少しずつ駆け引きをしている。降りる選手がフリーになることもあるが、インサイドに差し込むパスは相変わらず出すことができないまま。ディアビのハーフスペース裏へのアタックなど少し珍しい形で攻め込むトライを見せていた。

 なかなか肝であるインサイドに入り込むことができないビラ。2点のリードを詰めることができないままハーフタイムを迎える。

 後半もボールを持っていたのはアストンビラ。ニューカッスルはカウンターでの迎撃に専念するという前半と似た構図が続くことになった。

 結果を出したのはニューカッスル。後半早々にカウンター一閃で追加点をゲット。オウンゴールを誘発し、決定的な3点目を手にする。

 点差的には完全に安全圏に入ったニューカッスル。しかしながら、ミドルゾーンに構えるものの、バックラインにプレスに行かないため、裏は取られ放題に。ビラは長いボールを中心に一気に前進。マッギンへのロングボールから、ワトキンスがボールを受けて、裏のディアビが抜ける形で決定機を迎える。

 ベイリーが登場すると、さらにアストンビラの優位は加速。右サイドから一気に押し下げてからそのままフィニッシュに向かう動線を確立することに成功。ワトキンスの追撃弾を生み出す。

 終盤は両チームともオープンでグロッキーな撃ち合いが継続。ビラのさらなる得点狙いに対して、ニューカッスルはなかなか方向性が定まらないままの終盤戦になる。

 ようやく、80分をすぎたところでブロック守備を組んだニューカッスル。グロッキー気味に間延びした中盤で攻め込んでくるアストンビラに対して、時折カウンターからチャンスを作っていく。

 ビラの反撃は1点まで。難所で連敗を止めたニューカッスル。トップハーフで踏みとどまることに成功した。

ひとこと

 ついに連敗ストップ。だが、イサクが負傷するなどニューカッスルの試練は続く。

試合結果

2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
アストンビラ 1-3 ニューカッスル
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:71′ ワトキンス
NEW:32′ 36′ シェア, 52′ モレノ(OG)
主審:ジョン・ブルックス

マンチェスター・シティ【2位】×バーンリー【19位】

上位互換となりシティがコンパニに立ちはだかる

 ホームのシティが順当にボールを持つ立ち上がりとなった。バックラインは3枚が基本線。列を上げる役割を果たしていたのはCBのストーンズ。時折、ルイスとシェアする形でアンカーのロドリのサポートを行っていく。

 バーンリーとしてはボールを持たれるにしてもなるべく高い位置で4-4-2を維持したいという狙いだったはずである。しかしながら、実際のところはシティのポゼッションに屈するケースが多く苦戦。リトリートを余儀なくされて、SHが列を下げながら2-2-6のような形で迎え撃つ。中盤も重心を低めにして、とにかくバックスをプロテクトするイメージである。

 シティの狙いはまずはサイド。できればバーンリーのSHのリトリートによる手当てが間に合う前に崩し切りたいはずである。ストーンズ、ルイスがいる右サイドをメインに相手を動かしながらの攻略を狙っていく。先制のきっかけになったのはヌネス。デ・ブライネの引力を使い、浮いた状態を生かしてサイドを破壊すると、アルバレスの一瞬の抜け出しから先制する。

 先制点を許したバーンリーは高い位置からボールを奪い返しに行く。しかしながら、シティのミドルブロックをさばきながら壊す作業の前には屈服。徐々に押し返すことはそこまで難しい作業ではなかった。

 押し込むシティはセットプレーから追加点。デ・ブライネから虚を突いた弾道のFKがアルバレスに送られて、点差を広げる。

 プレスを後方で引き寄せつつ、加速してのブロック破壊狙いが基本線。止まってしまったら左に展開してドクで勝負を仕掛けるという形でシティはバーンリーを制圧する。

 シティのペースは後半も揺らがず。早々に右サイドから裏を取って3点目を決める。以降は一方的にボールを持ちながら試合をコントロールする展開が続いていく。

 このシティの3点目で試合は完全に落ち着いてしまった感。攻め続けられるような圧迫されている感じはないのだけども、試合自体の得点の可能性自体がシティの保持によってぐっと引き下げられてしまい、なかなかチャンスを作ることがバーンリーは難しくなってしまった。

 オドベールにボールをつけることができれば希望はありそうなバーンリー。できれば横断で勝負をしたいところだが、試合自体が落ち着いてしまっている中でなかなかそういう状態を作るのも難しい。

 アル=ダヒルが1点を返すがバーンリーの反撃はそれで一杯。90分間を華麗に制圧したシティが順当に勝ち点3を積み重ねることに成功した。

ひとこと

 保持型チームの上位互換がきっちり押し切った試合だった。

試合結果

2024.1.31
プレミアリーグ 第22節
マンチェスター・シティ 3-1 バーンリー
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:16‘ 22’ アルバレス, 46’ ロドリ
BUR:90+3‘ アル=ダヒル
主審:サム・バロット

トッテナム【5位】×ブレントフォード【14位】

ファストブレイクからの得点ラッシュで勝ち逃げ成功

 週末のFA杯ではお得意様のシティに敗戦。これで狙うことができるタイトルはリーグ一本。ソン・フンミンの不在が続くトッテナムはなんとか踏ん張りながら勝ち点を積んでいきたい状況である。

 ブレントフォード相手に一方的にボールを持つ立ち上がりとなったトッテナム。ブレントフォードの2トップの脇に立ちながらサイドでの破壊を画策。大外レーンにボールを運び、そこからブロックの背後を狙う形を作りながらゴール前に折り返しを入れていく。アクセントになっているのはSBの攻撃参加。ウドジェとポロはオーバーラップから積極的にボックス付近に顔を出していく。

 一方のブレントフォードはカウンターからファストブレイクを狙っていくスタンス。人数はかけずにカウンターは2トップと左WBのルイス-ポッター、そしてIHのイェンセンで完結させるイメージである。

 先行したのはブレントフォード。ウドジェを捕まえてのカウンターを発動し、トニーとモペイの2トップで攻撃を完結。トッテナムは2トップの脇という狙いどころを襲撃されてあっさりとカウンターから失点をすることとなってしまった。

 以降もブレントフォードはトッテナムの保持のリズムを破壊。セットプレーと右サイドからの裏抜けを軸に散発的に敵陣でのプレーを増やしていく。トッテナムがボールを持つことになれば、素早くブレントフォードはリトリートとメリハリのある守備を見せる。トニーとモペイを軸に時折小競り合いを仕掛けていくのはいかにもという感じだろう。

 しかしながら、トッテナムは後半早々に同点。左サイドの2人で押し下げてあっさりとウドジェが仕留める。すると、間もなく全く同じ形で逆転。今度はファーサイドで待ち構えていたジョンソンが起点となり、あっさりと逆転に成功してしまった。

 後半のブレントフォードは反撃の攻め筋が全く見えなくなってしまった。トッテナムの勢いのあるファストブレイクにかなり苦戦。2点目はプレゼントパスを渡してしまうなど、保持からいいリズムを生み出すことができず苦境に追い込まれる。トッテナムはさらにファストブレイクから3点目をゲット。ヴェルナーを囮にマディソンとウドジェを絡めて最後はフリーになったリシャルリソンがゲット。

 70分前にはようやく押し込みながら左右のクロスを入れていくが、逆にこれはトッテナムのファストブレイクを促進してしまうという側面もあるのが難しいところ。それでもトニーのゴールで1点差に迫り、終盤にはトッテナムを追い詰める。

 バプティストの決定機が決まっていれば勝ち点を落としていたトッテナム。最後は冷や汗をかくこととなったが、なんとか逃げ切りに成功し勝ち点3の積み上げに成功した。

ひとこと

 終盤のバタバタ感はいかにもトッテナム。ドラグシンを入れての後方のテコ入れしてもなおクローズの不安は残る印象だった。

試合結果

2024.1.31
プレミアリーグ 第22節
トッテナム 3-2 ブレントフォード
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:48‘ ウドジェ, 49’ ジョンソン, 56‘ リシャルリソン
BRE:15’ モペイ, 67‘ トニー
主審:デビッド・クート

リバプール【1位】×チェルシー【9位】

ハッピーエンドに向けて加速は続く

 クロップの退任が発表されて初めてのリーグ戦。アンフィールドでチェルシーを迎え撃っての一戦である。立ち上がりからリバプールはエンジン全開。一方的にボールを持ってのスタートになる。

 リバプールの前線の配置は5レーンを意識。3トップがナローに立ちながら、大外にジョーンズやブラッドリー、ショボスライが流れてチェルシーの4バックを広げながらのスタートになる。大外からシンプルにクロスを上げる形もあるし、4バックの横幅が広がるとDF間のスペースを使ったヌニェスの抜け出しが効いて来るという算段で中央とサイドをバランスよく使い分けていた。

 さらにはプレスでチェルシーのCHを自陣側につり出すと、その背後に潜むリバプールの3トップはDF-MFのライン間で反転して前を向いて加速。裏だけでなく、ライン間も活用して攻撃を進めていく。

 チェルシーは自陣に押し込まれる苦しい展開。スターリングの左サイドの裏抜けが生命線ではあるが、抜け出しきれることは稀。リバプールは特に中盤に対してマンツーで広範囲に捕まえるアプローチをしており、ここからのポジトラで優位に立つ。

 チルウェルが高い位置を取った際のロストが発生するとさらにチェルシーの傷口は広がる。ジョッタの先制点の場面もその形だった。CB2人が間を割られるという最もまずい形でやられてしまったチェルシーだが、オフザボールで動き回る選手を気にしながらジョッタに対応していたことがこうした状況を間接的に招いているといえる。つまり、失い方が悪い。

 一方的に攻撃を続けるリバプール。ファストブレイクから右の大外を駆け上がったブラッドリーが追加点を奪うと、前半終了間際にはディザジが空中戦の対応をミスした流れからバディアシルがPKを献上。ヌニェスはPKを仕留め切れなかったが、リバプールが一方的にぶん殴り続ける45分となった。

 後半のチェルシーは3枚の交代カードでスカッドを入れ替え。前線をメインにテコ入れを行い、スピードを生かした裏抜けで勝負する頻度を増やす。全体の枠組み自体は大きく変わらなかったが、勝負する局面のクオリティは少し上がった。リバプールが前半ほど中盤のプレスが間に合ってないシーンが増えたのも、わずかにチェルシーに展開を押し戻す格好になっていた。しかし、得点を決めたのはリバプール。またしても得点に関与したブラッドリーがアシストを決めて3点差とする。

 試合は完全に終わったかのように思えたが、エンクンクのゴールからチェルシーは追撃。4人交代をしてなお、リバプールは中盤の締め直しができず、この時間帯はチェルシーの反撃を受けることとなった。

 しかし、再びリバプールはゴールを決めて3点差をキープ。抜け出してのシュートを延々とバーに当てる形を繰り返していたヌニェスが裏抜けを人のために使い、ディアスにアシストを決める。

 このゴールで試合は完全に決着。週末に続くゴールラッシュでハッピーエンドのエンディングに加速し続けるリバプール。勢いに乗った状態でエミレーツでの一戦を迎えることになる。

ひとこと

 チェルシーはワンサイドで受ける時間が長く、かつスコアを動かされてしまったのが痛かった。後半の面々自体は長いトランジッションで勝負できなくはなさそうだったので、前半の踏ん張りの利かなさはしんどかった。DF人のこの日のクオリティはそうした踏ん張るプランにそぐう水準になかったように思える。にしてもブラッドリーはすごいね。

試合結果

2024.1.31
プレミアリーグ 第22節
リバプール 4-1 チェルシー
アンフィールド
【得点者】
LIV:23′ ジョッタ, 39′ ブラッドリー, 65′ ショボスライ, 79′ ディアス
CHE:71′ エンクンク
主審:ポール・ティアニー

ウェストハム【6位】×ボーンマス【12位】

粘り勝ったクドゥスが同点弾を引き寄せる

 アーセナル戦の快勝以降、2試合連続ドローとやや勢いが停滞気味のウェストハム。前節はブラモール・レーンの魔物に飲み込まれてしまった格好になったが、今節はホームに戻ってきて再起を図る一戦になる。

 プレッシングの積極性という意味では少し差が出た両チームだったが、結果を出したのはより高い位置から相手を追い込んでいったアウェイのボーンマス。ズマの雑なパスをつけられたフィリップスのところでボールをカットし、ソランケがあっという間にゴールを沈める。開始から3分でボーンマスが先行する。

 それ以降もセットプレーからチャンスを作っていくボーンマス。序盤は完全に彼らのペースで試合が進んでいく。押し込まれるウェストハムはサイドの裏からカウンターを狙っていくが奪うところからカウンターまでがなかなかつながらずに苦戦する。仮にサイドの高い位置まで侵入することができたとしても、そこからのパス交換でもズレを作ることができない。

 特にキーマンであるクドゥスを抑えていたケリーのパフォーマンスが前半は見事。崩しの切り札を試合から見事に締め出すことができていた。その一方でクドゥスもまた39分に抜き切らない状況でクロスを上げるなどらしさを垣間見せる。

 この間もボーンマスは中盤のボール奪取からのカウンターからセメンヨが決定機を迎える。だが、これはアレオラがセーブに成功。1-0のキープに貢献し、前半にさらなる劣勢に陥ることを防いで見せた。

 後半、ウェストハムは少しずつ前にプレスに出ていくことでペースを握る。明らかに序盤よりも高い位置からボールを取り、非保持でも敵陣でのプレーを増やしていく。ボーンマスは前半とは異なり押し返せない状況に苦戦。なかなか反撃の一手が見えない後半の立ち上がりとなった。

 すると、決め手になったのはクドゥス。ようやく対面するケリーを出し抜いてのPKを獲得。これで同点に追いつく。

 以降は展開としてはオープンな状況に。こうなるとボーンマスも反撃を開始できる。試合はフラットな撃ち合いになっていく。

 互いにゴール前での攻防が増える展開となった終盤戦。ウェストハムはちょっと攻撃がクドゥスに偏り過ぎていたのが気になった。2人を引き付けてなお、抜き切ることを求められている様子はちょっとあまりにも苦しい。その分、浮いた周りがボールを引き取ってあげるなどもう少し工夫はあってもよかった。

 ボーンマスもまたゴール前で決定的な機会を作ることができずに苦戦。最後はサイドの崩し合いで互いに活路を見出すことができず、試合は勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 ウェストハムのクドゥスへの依存度の高さは結構気になるレベルだった。

試合結果

2024.2.1
プレミアリーグ 第22節
ウェストハム 1-1 ボーンマス
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:61‘(PK) ウォード=プラウズ
BOU:3’ ソランケ
主審:ティム・ロビンソン

ウォルバーハンプトン【11位】×マンチェスター・ユナイテッド【8位】

激流となった乱戦をメイヌーが救う

 開幕戦での裏の対戦ではオナナがカライジッチをぶん殴ったもののお咎めなしという裁定が下った因縁の一戦。モリニューでのリマッチは立ち上がりから一方的にユナイテッドが攻め続けるスタートとなった。

 カゼミーロのイエローというスタートこそ若干不穏ではあったが、ユナイテッドは5分に先制。右サイドからの斜めのパスの差し込みでホイルンドが深さをとり、ポストからラッシュフォードのミドルを演出する。

 この先制ゴールを受けてか、それともそもそものプランだったかはわからないが、ウルブスのプレッシングは積極的。しかしながら、ユナイテッドはこのプレスを苦にするどころか利用して前進。マイヌー、カゼミーロでウルブスのCHを釣り出すと広大に広がった中盤でブルーノがレシーバーとして機能。右サイドでトティ・ゴメスと駆け引きを続けるガルナチョと2人で縦パスの引き取り役に。

 チャンスメイクではガルナチョが圧巻だった。2点目のシーンに代表されるように、横断するパスから味方の上がる時間を作りつつ、ゴールに向かう動きを止めないチャンスメイクでユナイテッドの攻撃を円滑に流していく。ホイルンドのゴールは最後のところは少し運もあったが、追い越すショウを使った形はユナイテッドの鉄板のアタッキングサードの攻略パターンだ。

 ウルブスも押し込むことができれば全くチャンスがないわけではなさそう。バイタルなどユナイテッドの引いた守備はそこまでコンパクトではなかった。しかしながら、サイドからのハイクロスに終始してしまうなど、ユナイテッドとは逆に加速するポイントを見つけられないまま苦戦が続く。

 前半の終盤にはユナイテッドが3点目としてネットを揺らしたように見えたがオフサイドというシーンが立て続けに発生。ウルブスとしてはなんとか2点のビハインドでハーフタイムを迎えた格好である。

 後半、ウルブスはワイドなCBが出ていく形でプレスを強化。ユナイテッドがそれをひっくり返すところから試合が始まる。

 しかしながら、ウルブスもセットプレーから決定機。リサマルがなんとか食い止めるが、オナナの不用意な飛び出しからユナイテッドは大ピンチを迎えることに。

 互いに決定機の応酬が続くオープンな展開になったが得点の匂いがよりしていたのはウルブスの方。なんとかラッシュを耐え切ったようにも思えたが、少し落ち着きかけたところでカゼミーロがネトを倒してPKを献上。これで1点差に迫る。

 ここからゲームは不安定に。そのカゼミーロに代わり交代で入ったマクトミネイがセットプレーから得点を決めて試合は決着かに思われたが、同じくセットプレーからキルマンがゴールを決めて再び1点差に迫る。

 アントニーの不用意なロストから見られたこの日1番のウルブスのカウンターからネトがゴールを決めた時間はすでに後半のAT。同点に引き戻されたユナイテッドを救ったのはメイヌー。左サイドからのカットインからのコースを狙ったシュートでわずか数分後にやり返すことに成功。

 激流となった乱戦を制したのはユナイテッド。後半ATになっても終わらない得点の奪い合いを制し、3試合ぶりのリーグ戦勝利を手にした。

ひとこと

 リアタイ推奨。バタバタの後半は眠気が吹き飛ぶこと請け合いだった。

試合結果

2024.2.1
プレミアリーグ 第22節
ウォルバーハンプトン 3-4 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:71′(PK) サラビア, 85′ キルマン, 90+5′ ネト
Man Utd:5‘ ラッシュフォード, 22’ ホイルンド, 75′ マクトミネイ,90+7′ メイヌー
主審:ジャレット・ジレット

今節のベストイレブン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次