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「Catch up Premier League」~Match week 24~ 2024.2.10-2.12

目次

マンチェスター・シティ【2位】×エバートン【18位】

エバートンを真綿で締め上げて暫定首位奪取

 24節の開幕はエティハドから。未消化分を勝てば首位に立つことができるシティはホームに降格圏で苦しむエバートンを迎えての一戦である。

 エバートンの選択は4-4-2。ただし前線で残り気味のキャルバート=ルーウィンとは異なり、ハリソンは中盤をケアしがち。ロドリにマンツー気味ではあったが、流れ次第ではCHに受け渡すことも。エバートンの優先事項はまずはシティの中盤を消すことである。シティはアカンジを1列上げる3-2型でビルドアップを行っていく。

 エバートンのミドルプレスのフィーリングは悪くなかった。特にエバートンの右サイド側の追い込み方は見事。ロドリに比べると細かな動き直しが少ないアカンジは捕まえやすく、選択肢を狭める形でホルダーを誘導しやすかった。

 中央でフリーマンを作るためのパスワークはミスが出ていたシティ。カウンターを受けるシーンもあるが、前半のうちはディアスとアカンジが余裕を持って対応できるものばかりではあり、エバートンはミドルプレスで跳ね返せても得点の匂いはしない展開だった。

 こじ開けたいシティはならばとサイドでドクにボールを渡す。ヤングとのダブルチームが基本線のエバートンだが、徐々にSBがサポート色を強めていく。特にストーンズ→ドクの対角パスは1stタッチでゴッドフリーを外すことができるなど手応えのあるものに。エバートンのボックス内の守備は基本的にはシュートブロックが間に合っていることが多かったが、少しずつドクの解放によりピンチに陥る。

 30分が過ぎるとエバートンはカウンターの機会すら作れずに苦戦。救いだったのはシティが即時奪回以外のハイプレスに意欲的ではなかったこと。保持では休むことを許されていたエバートンだった。

 終了間際のCK連打も凌ぎ切ったエバートン。ハーフタイムをスコアレスで迎えることに成功する。

 後半、シティはアカンジ→ウォーカーの交代でロドリの相棒をアケに変更する。方向性としても左右にテンポよく動かしながら奥に入れるようになっていく。エバートンはファウルで止める機会が増えていく。

 相変わらず前進の機会がないエバートン。苦しい状況は増すばかりのところにデ・ブライネが途中交代で降臨する。中央でのパス交換を駆使した密集打開でエバートンを窮地に追い込んでいく。

 そして、セットプレーからようやくシティは先制。ファーでシュートの時を待ち構えていたハーランドが強振したシュートを撃ち抜いて、初めての枠内シュートで試合を動かす。

 前に出て行かなくてはいけなかったエバートンは人数をかけて攻めていくが、これによって生まれた広大なスペースをハーランドがひっくり返す形でカウンターを完結。ブランスウェイトを吹っ飛ばして試合を決める。

 長い追加タイムも無風で終わらせたシティ。順当な勝利で暫定首位に立ち、リバプールにプレッシャーをかけた。

ひとこと

 枠内シュートがなかっただけでずっと首の皮一枚のブロックが続いていたエバートン。勝ち点を取る手段が正直あまり見えないくらい苦しい戦い方になっていた。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
マンチェスター・シティ 2-0 エバートン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:71′ 85′ ハーランド
主審:ジョン・ブルックス

ウォルバーハンプトン【10位】×ブレントフォード【15位】

頼れるエースと強固な守備ブロックで連敗ストップ

 トニーが帰ってきてようやくすがるものができたブレントフォード。この2試合は先制点を決めながらも、トッテナムやマンチェスター・シティといった力のあるチームに逆転負けを喫している。後方の状況を踏まえても、そろそろ勝利が欲しいところである。

 立ち上がりから仕掛けたのはブレントフォード。ウルブスのバックラインに対して、強豪仕様の3-5-2でのハイプレスを敢行。ウルブスは何とか陣地を押し返す手段を探す。立ち上がりはロングボールを軸にしていたが、ショートパスから2トップのプレスを外す手数をかけたアプローチの方が有効と感じていたようである。

 2トップを外すと降りるクーニャがボールの収めどころに。ここからファーサイドの大外に蹴るなど、中盤のボールの預けどころとして十分に時間の作れるクーニャは非常に頼りになる存在である。

 敵陣に追い込むことができたら、今度はウルブスがハイプレスを敢行。互いに陣地回復の手段をどのように使うかの一戦となっていた。ブレントフォードはシンプルなトニーへのロングボールから前線にボールを運ぶ。やはり頼れるのはトニーである。

 ウルブスは前進の手段の1つになっていた左サイドのクーニャの負傷が痛恨。自陣への戻りもブレントフォードは非常に速くコンパクトだっただけに、ボールを預けてスピードアップが期待できるクーニャの不在は痛い。

 そうした中で先制点を決めたのはブレントフォード。セットプレーからあっさりとゴールを奪うことに成功する。ジョゼ・サは落下点の目測を誤ったのか、キャッチの動きの手前で相手に触られてしまい、無人のゴールにシュートを叩き込まれてしまう。

 ビハインドとなったウルブスは3バックを維持したまま人選を攻撃的に変更。速攻でいけるときはネトに。そうでないときは右サイドを中心にクロスを上げるルートで戦っていく。

 ブレントフォードは前半よりも低い位置で構えながら強固なローブロック5-3-2を披露。堅い中央と高さのあるボックス内を前に、なかなかウルブスは得点を奪う糸口を見つけることができなかった。

 どうしたものかと迷いが出てきたウルブス。すると、その瞬間にジャネルトがフイにプレスのスイッチを入れて一気にショートカウンターに移行。そのままトニーのゴールを演出する。

 残りの時間は見事にブレントフォードに寝かされてしまったウルブス。頼れるエースの奮闘がようやく勝ち点に繋がったブレントフォードはついに連敗がストップした。

ひとこと

 トニーは偉大。プレー面は安定で信頼ができる。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
ウォルバーハンプトン 0-2 ブレントフォード
モリニュー・スタジアム
【得点者】
BRE:35‘ ノアゴール, 77’ トニー
主審:サイモン・フーパー

フラム【13位】×ボーンマス【12位】

好調のウィリアンとムニスが勝利の立役者

 直近の試合ではハイプレスから相手のビルドアップを強襲することで先制点を手にしてきたボーンマス。この試合でもその流れに乗るようにハイプレスからフラムのバックスを襲っていく。

 しかしながら、フラムはこの流れに対してロングキックで応戦。これまでのチームと異なり、繋ぎへのこだわりを見せないことでボーンマスの前からのプレスを無効化する。

 むしろ、非保持に回った時は4-4-2で積極的なプレスを行うことでボーンマスのバックスを追い詰める。長いキックを使おうにも前に収まるポイントを作れずに苦戦。中央がコンパクトなフラムのブロックに対して、締め出されてしまう攻撃が続く。

 すると、プレッシングからフラムは先制点をゲット。リームの縦パスのカットから一気にカウンターに移行すると、先制ゴールを決めたのはボビー・リード。足を滑らせてボールを処理できなかったクックからボックス内でボールを奪い取ると、あっさりとゴールを決めて先行する。

 以降もペースを握ったのはフラム。サイドではウィリアンの仕掛けが光り、ブロックの外からボックス内を強襲していく。前線ではムニスが存在感。ボールをきっちり収めることでハイプレスの回避役として非常に効果の高い働きを見せる。

 ボーンマスは30分以降はボールを握れてはいたが、ブロックを崩せる一手が見つからず。サイドの崩しは枚数を合わせてくるフラムの守備を前に沈黙していたし、ミドルシュートは安定感バッチリのレノによって弾き出される展開が続いていた。

 クロスの折り返しをムニスがゲットしてフラムは前半終了前にリードを広げる。ほぼ完璧な内容とスコアで前半を折り返すことに成功した。

 後半もフラムは好調を維持。ウィリアンの好調さを感じさせるミドルからボーンマスのブロックを強襲するシーンからスタートする。

 セットプレーからセネシに1点を返されることを許してしまったフラムだが、直後に再びウィリアン→ムニスの流れからゴールを奪って無効化する。

 押し込みながら反撃に出ていきたいボーンマス。だが、サイドからの仕掛けのアバウトさは相変わらず。要所を切ることができているレノにより、なかなかその先に進むことができない。

 ボーンマスはウナルのデビュー戦というところくらいしかその後も見せ場を作ることができず。攻撃のメカニズムが機能したフラムが完勝でボーンマスを下した。

ひとこと

 ムニスとウィリアン、素晴らしいね。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
フラム 3-1 ボーンマス
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:6′ B.リード, 36′ 52′ ムニス
BOU:50′ セネシ
主審:ダレン・イングランド

トッテナム【5位】×ブライトン【8位】

前節と真逆の歓喜の後半追加タイム

 前節はエバートンにギリギリのところで勝ち点を落としてしまったトッテナム。今節はホームで負傷者が絶えないブライトンとの一戦である。

 序盤は積極策のブライトンペースと言えるだろう。降りてくるトッテナムの前線に対して、マディソンについていくファン・ヘッケなどが代表例として襲いかかっていく。

 トッテナムも非保持側になれば前からプレスに潰しにいくが、縦パスで相手を狭く集約しつつ、広げるパスから三笘とウェルベックを預けどころにするプレス回避が炸裂。ブライトンが落ち着いてトッテナムをパスワークでいなしていく。

 先制したのはブライトン。中盤中央でドリブルを始めたベンタンクールをグロスが潰し、ウェルベックが細かいタッチからファン・デ・フェンがPKを献上。グロスが決めて先行する。

 ハイプレスがハマらず、自陣からのビルドアップは捕まっているトッテナム。特に、中央に簡単につけるパスは失点以降もブライトンのショートカウンターの温床になっていた。

 そのため、トッテナムは裏抜けスピード勝負を中心に挑む。だが、重心が上がりきらない分、ブライトンが選択肢を読み切れる場面が多かった。

 30分を過ぎるとトッテナムが徐々にプレスを決め切るようになり、ブライトン主導の流れが少しずつ変化が起きるように。敵陣に襲いかかるプレーが増えているが、最後の最後に体を投げ出すブライトンのCBとスティールのファインセーブが立ちはだかる。

 ブライトンは前半を無失点で凌いでハーフタイムに。トッテナムはビハインドを許したまま前半を終える。

 後半、ビハインドのトッテナムは圧力をかけていくスタート。保持では少し低い位置でのポジションチェンジを増やしながら、前半に狩りどころにされていた中央でのボール奪取を回避していく。インサイドにSBが入り込む分、サールがきっちりと右にフローするなど内と外のバランスを維持する工夫はなされていた。

 ブライトンも後半にプレス回避は安定し、再びボールを持てるように。互いにアタッキングサードに侵入できるようになった中でゴールに至ったのはトッテナム。前半に足りなかった前線以外の最終局面の関与という課題をハーフスペースに裏抜けしたサールが見事に解決。試合を振り出しに戻す。

 ここからの3枚替えで勢いに乗りたかったトッテナムだが、オープンな展開でむしろ勢いがついたのはブライトンの方。ハイプレスからのカウンターの連打で押し込み返し、主導権を再び握る。

 終盤はDF陣がリスク覚悟の斬り合いに。1つのミスが命取りになりうるハードなプレー選択の連続で互いにリスクをかけたクライマックスに。緊張感のある最終盤に笑ったのはトッテナム。リシャルリソンの丁寧なプレーでCBを外しつつ、ソンがクリーンに抜け出す状況を作ると、最後に決めたのはジョンソン。

 劇的な追加タイムのゴールでトッテナムは勝利。アジアカップ帰りのソンのアシストによる決勝ゴールで、前節と真逆の歓喜の幕切れを果たした。

ひとこと

 どちらが勝ってもおかしくないスリリングな後半戦はなかなかの見応えだった。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
トッテナム 2-1 ブライトン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:61′ サール, 90+6′ ジョンソン
BHA:17′(PK) グロス
主審:サム・バロット

ルートン・タウン【17位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

アーチャーの推進力が順風満帆なルートンに待ったをかける

 徐々に残留に向けての道筋が見えてきたルートン。同じく昇格組のシェフィールド・ユナイテッド踏み台にさらなる上位進出を狙いたいところである。

 立ち上がりは直線的なロングボールを軸とした展開に。こうした展開はいかにもルートン向きなような感じもするが、この試合ではマカティ―のドリブルでのカットインやホルゲイトのロングスローなど直線的な流れに乗れる武器を存分に生かしたブレイズが互角に渡り合っていたのが印象的だった。

 もちろん、ルートンもガンガンアデバヨにクロスを放り込んでいく。セットプレーではGKの妨害が云々やっている時代にひたすらアデバヨで相手のDFの上からたたく!を見せていたルートンはとても健気だと思う。

 先制点を奪ったのはブレイズ。左サイドでオショーを振り切り独走モードに突入したアーチャーがそのままゴールを奪いきる。ブレアトンの加入でベンチに追いやられていた10番が引き続き好調をアピールするゴールでブレイズが先行する。

 ルートンはこれ以降保持で相手を崩す機会が増えるように。ブレイズはボールホルダーへのマークが甘く、バックラインもコンパクトではなかったので、ルートンは保持からでも十分にスキが作れそう。だが、肉弾戦では思ったより主導権を握れず、またパスワークの精度が低いせいでなかなかチャンスをつかめずにいた。

 すると、ルートンはボックス内でバークが競り合いの際に上げた腕にボールが当たりPKを献上。これをマカティ―が決めてさらにリードを広げることに。

 2点を追いかけるルートンは後半もポゼッションから反撃を狙う。すると、今度はルートンにPK。同じく競り合いの際に上がった腕にボールが当たるという前半のPKのリバイバルのようなプレーで今度はルートンにPKが与えられる。今日もモリスが見た目と異なりPKがとてもうまい。

 それ以外にも交代で入ったタヒス・チョンを中心にルートンがブロックの外からブレイズを殴る時間帯が続く後半に。こうした展開でチョンの強引さは非常に頼りになる。

 後半はほぼ前に出ていけなかったブレイズだが、アーチャーの推進力を生かしたワンチャンスで3点目をゲット。勝利を大きく手繰り寄せる。

 このゴールが終盤の勢いを完全に決めた感がある。ルートンは押し込み続けるが攻め手が見つからず、ブレイズはバックパスに対して前線が二度追いすることができるように。

 試合はそのまま終了。順風満帆だった後半戦のルートンの足首を掴む勝利でブレイズがバーンリーとの勝ち点に並ぶことに成功した。

ひとこと

 アーチャーを長いこと冷凍保存していた時間もったいなさすぎ。次から全試合使うべき。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
ルートン・タウン 1-3 シェフィールド・ユナイテッド
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:62‘(PK) モリス
SHU:30’ アーチャー, 36‘(PK) マカティー, 72’ ソウザ
主審:クリス・カバナフ

リバプール【1位】×バーンリー【19位】

アンフィールドで再起動成功

 前節アーセナルに敗れてしまったリバプール。三つ巴の様相である優勝争いはさらに混迷を極めることになっている。

 この試合からはアジアカップに出場していた遠藤が帰還。早速アンカーとして先発で起用される。アンカーの相棒役はIHのマック=アリスターとSBのアレクサンダー=アーノルドがシェアする形だった。

 バーンリーの4-4-2は縦にも横にもナローでコンパクトな陣形を維持することを優先。そのため、より有望だったのはアレクサンダー=アーノルドが外に入る3-2-5の形だろう。大外への展開に対して、バーンリーのサイドのケアは遅れがちに。大外のアレクサンダー=アーノルドから裏を狙う前線にダイレクトにラストパスを狙うというパターンはそれなりに効いていた。

 逆にインサイドに差し込む形からはバーンリーはカウンター。奪ったらスムーズに縦に。2トップを軸にダイナミックに縦に進む攻撃を仕掛けていく。特にクアンサーとアレクサンダー=アーノルドが揃っているリバプールの右サイド側からは前進ができそうな予感。ボールを収めて前向きのアタッカーから敵陣に攻め込む機会を作っていく。

 そういう意味では内容面では序盤はむしろバーンリーの方が優勢だったと言ってもいいかもしれない。しかしながら、それをひっくり返す形でリバプールは先制。セットプレーからジョッタが仕留めてゴール。飛び出したトラフォードはボールに触れず、ジョッタは無人のゴールにシュートを入れるだけだった。

 だが、バーンリーも前半終了間際に同点ゴールをゲット。こちらもセットプレーからオシェイのゴールで試合を振り出しに戻す。

 後半はアレクサンダー=アーノルドが交代し、遠藤のサポート役はマック=アリスターに固定されるようになった。保持から押し込むリバプールは順当に追加点をゲット。ややピンボール気味のボールが最後にディアスの前に転がり込むという幸運なゴールで試合をリードする。

 ビハインドとなったバーンリーはオープンな状況を作り出したいところだが、リバプールは保持で平定。ワイドに開くロバートソンやジョーンズを軸にバーンリーにポゼッションの機会を渡さない。

 バーンリーは裏抜けのフォファナから単発でチャンスを作ることに成功するがゴールを奪うまでは至らず。逆にアクロバティックな難しいシュートを決めたヌニェスが試合を決定づける一撃を披露する。

 ホームで見事なリバウンドメンタリティを見せたリバプール。アンフィールドから優勝に向かって再始動を決めた。

ひとこと

 ヌニェスは難しいシュートの方が得意なのかな。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
リバプール 3-1 バーンリー
アンフィールド
【得点者】
LIV:31′ ジョッタ, 52′ ディアス, 79′ ヌニェス
BUR:45′ オシェイ
主審:ティム・ロビンソン

ノッティンガム・フォレスト【16位】×ニューカッスル【9位】

逆境を跳ね返してのリベンジ達成

 裏の対戦カードではウッドがセント・ジェームズ・パークでハットトリックを決めた一戦。フォレストにとってはダブルのチャンスが、そしてニューカッスルにとってはリベンジのチャンスが与えられる試合となる。

 立ち上がりから出足が良かったのはニューカッスル。高い位置からのプレスでフォレストのバックラインに自由を与えない。保持ではマイリーをアンカー、ギマラインスをIHに配置する新しいチャレンジも。ここ何試合かでトライしているSBを内側に絞らせての3-2-5ビルドであれば、アンカーにマイリーをおいても問題ないという発想かもしれない。

 ボールを動かすことができたニューカッスルはセットプレーから先制。ショートコーナーからファーに走り込んだギマランイスが先制点を決める。直前のセットプレーでも全く同じ狙いが見えたので、ニューカッスルとしては根性勝ちといったところだろうか。

 保持からはボールを持って押し返すことができないフォレストはカウンターから同点に。これしかない!というギブス=ホワイト→エランガへの抜け出しからゴールを奪う。バーンとのスピードのミスマッチを使うのはもはやお馴染みのニューカッスル崩しのパターンと言ってもいいかもしれない。

 その後は互いに1点目と似た形で得点を重ねる。セットプレーの流れからシェアが仕留めたニューカッスルがリードを奪うが、カウンターからハドソン=オドイが虚をつくゴールを決めたフォレストが終了間際に追いつく。試合は2-2のタイスコアでハーフタイムを迎える。

 後半の立ち上がりはフォレストのポゼッションという前半にあまり見かけなかった座組から。サイドから押し下げると、ハイプレスでの波状攻撃で主導権を握る。

 押し込まれるニューカッスルはたじたじ。フォレストのテンポでボールを動かすことを求められるようになると、パスミスが目立つ。前半から見られていたタヴァレスのポジトラへの積極性が一層際立つ展開だ。

 チャンスとなる場面を作ったのはフォレスト。中でもアウォニイの裏抜けが効いていた。オフサイドながらネットを揺らしたり、あわやPKの場面を作り出したなど暴れ気味。後半頭に存在感を最も放っていた。

 しかし、結局一番いいところを持って行ったのはギマランイス。ミドルシュートを突き刺してこの日2点目を決める。

 エランガ、タヴァレスなどのチャンスもあったフォレストだが、三度同点に追いつくことはできず。ホームのリベンジを達成したニューカッスルが敵地で3ポイントを積み重ねた。

ひとこと

 追い縋られた時には脆さを見せたニューカッスルだが、全体的には妥当な勝利のように思う。

試合結果

2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
ノッティンガム・フォレスト 2-3 ニューカッスル
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:26′ エランガ, 45+6′ ハドソン=オドイ
NEW:10′ 67′ ギマランイス, 43′ シェア
主審:アンソニー・テイラー

ウェストハム【7位】×アーセナル【3位】

鬼門を余裕で突破し上位追走

 レビューはこちら

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 前節の勝利で首位争いに踏みとどまることができたアーセナル。今節はかつて得意にしていたものの、ここ2年は振るわない戦績となっているモイーズのウェストハムとの一戦である。

 ウェストハムのフォーメーションは4-2-3-1。2トップは縦関係を形成し、ウォード=プラウズはライスのケアをする。バックラインはボーウェンが1枚で見る格好である。

 アーセナルはウーデゴールが移動を開始。ライスと並行ポジションに降りることで、アルバレスを1列手前に引き出す。すると、このアルバレスが空けたスペースにトロサールが侵入。中盤中央で反転して前を向く。

 前を向くことができたらアーセナルはミドルゾーンから加速。サカにボールを渡して右サイドから勝負を仕掛けていく。サカはジョンソンがダブルチームに間に合うときはやり直しを選択。この辺りで焦らないのは今のアーセナルのいいところ。また、サカがダブルチームで受けるようなタイミングで無理にボールをつけないのも今のアーセナルのいいところである。

 ホワイト、ウーデゴール、トロサールなどのサポートを受けて右サイドからアーセナルは攻撃に着手。ファーへのクロスやミドルシュートなどを駆使しながら、アレオラを脅かしていく。

 押し込むことに成功したことで増えるのはセットプレー。アーセナルはおなじみとなってきたホワイトのGKの邪魔をいかし、サリバが先制ゴールを奪う。

 立て続けにアーセナルは2点目をゲット。ミドルゾーンでアンカー付近まで降りたトロサールから前線にタッチダウンパスが送られてサカがPKを誘発。これで点差は2点になる。

 以降も勢いが止まらないアーセナル。ミドルゾーンからウェストハムに起点を許さない守備での跳ね返しからさらに2点を追加。前半だけでリードは4点となった。

 後半はウェストハムが中央の縦関係を変更。クドゥスとボーウェンを縦に並べる形で配置。ボーウェンからすれば正面からガブリエウに立ち向かうのでは突破は不可能。ならば、サイドに流れてしまおう。フィニッシャーはクドゥスに任せてという判断だったのでないだろうか。

 しかしながら、アーセナルの勢いはそれでも止まらず。前半以上にトランジッションゲームになった展開で右のハーフスペース付近からウェストハムの制圧に成功。ここからさらに2得点を加える。

 アルテタにしては早めの交代、そしてヌワネリ久々の出場とうれしい話題が多かったアーセナル。ウェストハム戦という鬼門を突破し、上位対決に踏みとどまる大きな1勝を手にした。

ひとこと

 大量のゴールはもちろんだが、アーセナルは崩しの前のアプローチもよかった。

試合結果

2024.2.11
プレミアリーグ 第24節
ウェストハム 0-6 アーセナル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
ARS:32‘ サリバ, 41’(PK) 63‘ サカ, 44’ ガブリエウ, 45+2‘ トロサール, 65’ ライス
主審:クレイグ・ポーソン

アストンビラ【4位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

カルトヒーローが上位進出の望みをつなぐ

 前節、ウェストハムを下して5強追走のポールポジションに立つことができたユナイテッド。ビラ・パークでの一戦は5強下ろしのターゲットとしてチェイスしやすいアストンビラを相手に迎えての試合となる。

 序盤、ボール回しに手応えがあったのはアストンビラの方だろう。思い切ったモレノのオーバーラップから左の大外を押し上げながら前進。ここからのクロス、もしくはハーフスペース裏のパスからアストンビラは攻撃を仕上げにかかる。

 ユナイテッドはこの攻撃を受けると素早くリスタート。高い位置に出ていく前線に直線的にロングボールを当てていく。徐々にこのカウンターに手応えを感じていたユナイテッド。セットプレーからホイルンドが仕留めて先行する。

 以降もこの流れは大きくは変わらず。アストンビラは左の大外のモレノを起点に攻め続けることができていたし、ユナイテッドはそのお返しとしてポジトラでの勝負にフォーカス。互いに相手のバックラインに対してはボールを持たせつつ、アストンビラのモレノのオーバーラップからは一気にそれぞれが攻め手を見つけるという流れが延々とつづく。

 比較的チャンスの多い展開ながらもチャンスは生まれず。試合はセットプレーからのユナイテッドの先制点のみでハーフタイムを迎える。

 後半も試合の大まかな流れは同じ。左サイドを軸に押し下げるスタートとなったアストンビラはいきなりオナナを脅かすチャンスを迎える。ごちゃっとしたところから中盤でマイボールを持つと、一気に縦パス一本で大きく前に進めるところがアストンビラのいい部分である。

 一方のユナイテッドもガルナチョを中心に反撃。両チームともラッシュからボックス内に侵入しつつ、決め手を欠いては試合を動かすことができない展開が続くこととなる。

 すると67分についにアストンビラは同点。セットプレーからの流れでこぼれ球をルイスが押し込んで追いつく。

 以降もビラが押し込むフェーズが続く。なかなか状況を打開できないユナイテッドは切り札と言っていいマクトミネイを投入して勝負をかける。

 すると、注文通りにゴールを奪ってみせたマクトミネイ。またしても終盤にゴールを決めてチームを勝利に導く。

 ビラ・パークの一戦はユナイテッドに軍配。後半は右サイドの攻撃を軸にシュートを作り続けたビラを撃破し、上位との勝ち点を縮めた。

ひとこと

 カルトヒーロー・マクトミネイ、最高。

試合結果

2024.2.11
プレミアリーグ 第24節
アストンビラ 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:67′ ルイス
Man Utd:17′ ホイルンド, 86′ マクトミネイ
主審:ロベルト・ジョーンズ

クリスタル・パレス【14位】×チェルシー【11位】

崖っぷちのロンドン・ダービーを制したのは?

 2試合連続の4失点での敗戦を喫してしまったチェルシーとストレスフルな敗戦が積み重なり続けているクリスタル・パレス。マンデーナイトに開催されるロンドン・ダービーは今最も監督の去就が不穏な2チームによる一戦と言ってもいいかもしれない。

 立ち上がりからプレスをかけたのはパレス。思えば、このパレスのプレス攻勢はスタンフォード・ブリッジの一戦から始まった流れである。高い位置からボールを奪ってはマテタにボールを預けながらなんとか起点を作るのがこの日のパレスのプランである。

 しかしながら、チェルシーは保持で時間を作ることでパレスのプレスを撃退。試合はチェルシーがパレスのブロックを攻略できるかどうかという異なるフェーズになっていく。効果的だったのは右サイドにきっちりボールを運べたシーン。マドゥエケを追い越すグストのオーバーラップからパレスのブロックにギャップを作れたシーンである。

 だが、これはまだパレスにプレスの色気が残っていたからこそ生まれたチャンス。2CBとカイセドが深い位置をとるチェルシーのポゼッションはなかなかパレスの中盤を引き出せずに苦戦。この辺りは割り切ったパレスのブロック守備のクオリティを見た気がする。ギャラガーのボックス内に飛び込むシュートが唯一のチェルシーのすがりどころになっていた。

 パレスはボールを奪うとサイドからの速攻でファストブレイクを狙っていく。SBの追い越す動きの速さなどは非常に効果的でチェルシーを上回っていた部分と言えるだろう。

 そして、パレスは押し込んだ数少ないチャンスを仕留めることに成功。レルマのミドルから先制ゴールを奪い、先行する。

 まさかのリードを奪われてしまったチェルシー。しかしながら、後半早々に同点に追いつく。深い位置をとる右サイドからグストの折り返しをギャラガーが仕留めるという前半と陸続きのゴールで試合は振り出しに戻る。

 以降もチェルシーが押し込み続けるという構図は変わらず。パレスは左右に流れるマテタがボールを収めることで奮闘するが、前半よりもサイドの押し上げが効かずに苦戦。起点を作れない状況が続く。

 スターリング、エドゥアールというそれぞれのジョーカーが攻撃を活性化するなど交代選手の動きが目立った終盤戦。しかし、またしても仕事をしたのはギャラガー。大外からの折り返しを見せたパルマーのパスを押し込んでまたしても古巣に恩返しゴールを決める。

 終了間際にはエンソが速攻からゴールを奪い、試合は決着。目先の勝ち点がとにかく必要なロンドン・ダービーはアウェイのチェルシーに軍配が上がった。

ひとこと

 ホジソン、潮時かもしれぬ。もうちょっといい別れの舞台を用意してあげたいところだが、エゼもオリースもいないのではどうにもならない感しかない。

試合結果

2024.2.12
プレミアリーグ 第24節
クリスタル・パレス 1-3 チェルシー
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:30′ レルマ
CHE:47′ 90+1′ ギャラガー, 90+3′ エンソ
主審:マイケル・オリバー

今節のベストイレブン

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