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「Catch up J League」〜2024.2.17 FUJIFILM SUPER CUP ヴィッセル神戸×川崎フロンターレ ハイライトレビュー

目次

潜在的な課題に試合をこなしながら向き合う

 シーズン到来を告げるスーパーカップ。Jリーグ王者の神戸に相対するは中国の奥地ですでにシーズンを開幕している天皇杯王者の川崎である。

 11人を入れ替えた川崎は後方が保持仕様のメンバーが揃ったようにも思えたが、上福元はリスタートで蹴っ飛ばしていくなど特に保持には拘らない構え。必然的にボールは早く帰ってくることになるのだが、そうした際に間合いが合わないタックルを高井、瀬古、田邉が繰り返すなど、展開に見合わない状況を招いている感があった。

 後方のつなぐ意思の薄さの割に互いのチームがそれなりに攻撃を構築できていたのはひとえにCFがそれなりに収まるからだろう。川崎はゴミス、神戸は大迫と佐々木へのロングボールを軸に前進を図っていく。

 序盤に川崎の攻撃を成り立たせていたのは山田の貢献が大きい。右サイドの奥を取る山田により、中央でのゴミスが解放される場面もちらほら。アウトサイドで我慢するポジションを取る山田に瀬古やファン・ウェルメスケルケンが合わせてマイナスのフォローやインサイドへの侵入を敢行するのはとても良かった。家長-脇坂-山根のうち誰もいない右サイドが機能するのはかなり新鮮だった。

 左サイドではパトリッキ・ヴェロンが独特なボールタッチから存在感を感じさせる。ただし、現状ではオフザボールには課題ありという感じ。抜けて欲しいところでライン間に止まってしまう場面が多く、左サイドの攻撃がノッキングするシーンも少なくなかった。ゴミスへの折り返しを抜け出しながら行ったシーンなどが増えてくれば面白い。少なくともJ1で通用する部分は見せたのでベンチ入りを争うところまでは来ているのかなというのが現状の印象だ。

 非保持ではパトリッキは怪しい部分も。基本的に川崎のプレスは4-3-3。WGはCBとSBの中間ポジションを取りながら、隙あらばCBにプレスを仕掛ける。パトリッキはかなり無理筋でも前に突っ込んでは後方に負荷をかけていた印象だ。

 前に突っ込みやすいパトリッキがいたとはいえ田邉の出来は厳しいものがあった。ACLと課題は同じで強引につっかけては無理目のファウルを犯したり、裏を取られたりというシーンはかなり多かった。左サイドには3センターがかなり過剰にスライドしてなおあっさりと破られていたので、右WGには戻って守備して!というタスクが強制的に発生している状況だった。家長ではこなすのは難しいタスクをこなした山田は素晴らしい貢献だった。

 右サイドの守備では瀬古の後方部分にぽっかりとスペースがあるのが気になるところ。高井の迎撃のスタンスが消極的でこの部分や他の右サイドの守備者とミスマッチな感があった。高井からすれば大迫と宮代が交互に目の前に出てくるので、どうしたらいいねん!という感じだったと思う。

 15分を過ぎたところで川崎は自陣からのショートパスチャレンジをスタート。神戸のパトリッキの外切りを外してサイドから運ぶ形はかなり使えそうだったけども、特にその形にこだわる様子はなく、繋ぎはかなり気まぐれだった。山内、ゼ・ヒカルドといった選手の出来を考えれば、この辺りはもう少しチャレンジして良かったように思う。

 30分を過ぎたあたりからは川崎はそれなりにミドルゾーンでも繋ぎながら相手を動かすチャレンジを敢行。かなりミスが発生していたし、それに伴ったネガトラで上に示したサイドの守備の問題点は見られたがそれはそれで仕方ないなという感じだろうか。

 スコアレスでハーフタイムを迎えた試合は後半早々に動く。セットプレーから先制したのは川崎。FKに飛び出した前川が弾いたところをファン・ウェルメスケルケンが蹴り込み、そのボールがピンボール的な形でゴールイン。運を味方につけた川崎が先行する。

 後半に見られた神戸の変化は自陣からのビルドアップにこだわりを見せていたこと。ショートパスで繋ぐ手数は明らかに多かったし、大迫への単調なロングボールは無しという縛りプレイをしているかのような内容となった。これが縛りプレイなのか、あるいは川崎のサイドの守備の不出来を見れば繋ぐ方が得策と考えていたのかは不明である。

 個人的には神戸がこの試合に勝つということにフォーカスをするのであれば後半もガンガン蹴るべきだったように思う。前半を見る限り、大迫へのロングボールに対しては川崎のCB陣は後手を踏んでいたし、50分の上福元が飛び出したシーンに代表されるように予防的なマーキングを怠る場合も多い。

 川崎目線で言えば、この点を考えるとこの試合だけで高井と丸山コンビのCBが盤石と一概には言えない部分だなと思う。無理が効くかを問われる場面で力を発揮したと言える部分は少なかった(後半はそうした機会を神戸が作ろうとしなかった)し、DF-MF間が間延びしてしまう場面は大南やジェジエウが出ている試合よりもかなり多かった。この辺りは顕在化しなかった課題として頭に入れておく必要はあるように思う。

 繋ぐ過程でミスが出るようになった神戸は引っ掛けて川崎にカウンターの機会を与えるようになる。65分に川崎は左サイドにマルシーニョを投入。同じくHTに左サイドに入った三浦とともにこちらのサイドを軸に縦に攻めていく。それを受けて神戸は井手口と広瀬をこちらサイドに投入。同サイドへの圧縮という守備面での強化と、大外の広瀬を生かした大迫へのホットライン構築という攻撃面での評価を図る。ただ、総じてみればマルシーニョの走力を生かした川崎のチャンスメイクの方が有望だったと言えるだろう。

 後半は目立ったチャンスを作らせなかった川崎。交代の少なかったは最後まで献身的な守備を欠かさず、最後のCKの守備ではゴミスがスーパーなプレーを見せて試合をクローズ。後半頭のゴールを守り切った川崎が2024年のスーパーカップ王者に輝くこととなった。

ひとこと

 スーパーカップは勝利すれば嬉しいが、それだけで浮かれるのは良くない!というのは2019年の浦和との対戦で学んだことである。この試合でも良かったところはありつつ、潜在的な課題も多く見られた。試合をこなしながら修正するのは簡単ではないが、すべてのタイトルを狙うという言葉が本気であるならば、そこにチャレンジしていかなければならない。

試合結果

2024.2.17
FUJIFILM SUPER CUP
ヴィッセル神戸 0-1 川崎フロンターレ
国立競技場
【得点者】
川崎:49′ ファン・ウェルメスケルケン・際
主審:池内明彦

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