Fixture
明治安田 J1リーグ 第2節
2024.3.1
川崎フロンターレ(4位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点2/失点1)
×
ジュビロ磐田(18位/0勝0分1敗/勝ち点0/得点0/失点2)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で川崎は6勝、磐田の1勝、引き分けが3つ。
川崎ホームでの戦績
直近10戦で川崎の7勝、磐田の2勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 川崎は直近6試合の磐田戦で無敗。
- しかしながら、直近の対戦である2022年のリーグ戦では2試合とも引き分け。
- 磐田が川崎とのリーグ戦において直近26試合クリーンシートがなく、勝利はいずれも複数得点によるもの。
- 最後のクリーンシートは2005年の第32節の0-2。等々力で前田遼一とカレン・ロバートのゴールで勝利。
- 等々力のリーグ戦でも川崎は磐田相手に直近8戦6勝と好調だが、うち5勝は1点差と均衡している。
スカッド情報
- 車屋紳太郎は左膝外側半月板損傷で離脱中。
- 遠野大弥と小林悠は練習に完全合流。
- 大島僚太はメンバー外が続いている。
- 小川大貴は故障で出遅れたが既に実戦復帰済み。
予想スタメン
Match facts
- リーグ開幕2試合で連勝をすれば2021年以来3年ぶりのこと。
- 鬼木政権では2021年が唯一。それ以前は2012年までさかのぼる。
- 等々力でのホームでの公式戦では7試合連続の複数得点中。この間25得点を挙げている。
- しかし、ホームの開幕戦は直近11試合で2勝のみ。
- 昨季は負け、それ以前の2試合は連勝、それより前は8試合連続で引き分け。
- 2年連続でアウェイでの開幕戦を逆転勝利による1-2で制したことになる。
- 脇坂泰斗がゴールを決めればキャリア初めてのホームでのリーグ戦3試合連続得点となる。
- キャリア初めての等々力でのリーグ戦の得点は2019年の9月の磐田戦。
- エリソンがリーグ戦で2試合連続ゴールを決めれば、2022年5月以来。個人としては約2年ぶりのこととなる。
- J1での開幕戦敗戦は川崎相手に0-3での敗戦した2018年以来6年ぶり。
- 前年王者にホームでの敗戦は今年と全く同じ構図。
- 2018年はホームに続き、アウェイでの開幕戦でも敗れている。
- J1での最後の勝利は2022年10月の横浜FM戦。今回と同じく神奈川でのアウェイゲーム。
- 上原力也は川崎相手に過去に2得点を記録。複数得点を挙げている相手は川崎相手に水戸のみ。
- ただし、キャリアを通して川崎相手に勝利はない(D1,L5)
- ジャーメイン良は出場した直近27試合のJ1リーグで1得点のみ。
- 磐田所属のJ1で記録した得点は3つすべてアウェイで決めている。
- 川島永嗣は出場した川崎とのリーグ戦で4戦無敗。うち、3試合はクリーンシートに抑えている。
- 2002-03の大宮時代に記録。
予習
第1節 神戸戦
展望
フィニッシュルートの構築が可能かどうか?
開幕戦は湘南相手に何とか勝利を挙げた川崎。2021年以来3年ぶり、鬼木政権では2回目となるリーグ開幕戦における連勝を狙うこととなる。ホーム開幕戦となる今節はホームに磐田を迎えての一戦。前回対戦した2年前は2戦していずれも引き分けに終わった相手である。
磐田の開幕戦は神戸とのホームゲーム。0-2での敗戦を喫している。内容としては専らデュアルベースの蹴りあいと表現して差し支えないだろう。前線にどれくらい起点を作れるかという勝負を挑み、それに敗れたという格好だ。
もちろん、神戸には大迫がいるので蹴りあいに持ち込まれた時点で磐田はだいぶ勝ち目が薄い戦いを強いられていることになる。そうなってしまったのは神戸の前線からのプレッシャーに対して、磐田が前線に蹴る以外の対抗策を持っていなかったからだろう。
磐田のボールの回し方を見ているとショートパスから相手を動かすことに全くトライしていないわけではなかったが、神戸のプレスはハード。バックラインは常に息ができないというほどではなかったが、やはり中盤から飛び出してくる井手口に一気に距離を詰められると余裕がなくなってしまうのは仕方がないのだろう。
かといって引き付けることなく中盤にボールを刺しに行くと、シンプルに山口や扇原にボールを刈り取られてしまう。というわけで前線の蹴りあいに挑みに行ったというよりは消去法的に前線にボールを逃がすしかなかったというように見えた。
前線のターゲットはジャーメイン。右に流れてボールを収めるもしくは抜けきってのシュートというのが磐田の前進の手段の生命線である。
そうなってしまうと、今度はフィニッシュの型が難しくなる。もちろん、中央を抜けきるシーンが作れればそのまま1on1でシュートに持ち込むことができるため、決定機を作るという観点では問題はない(ジャーメインの決定力は正直もう少し欲しいところである)のだが、バックラインが苦しいプレスを受けている最中に一気に裏に抜けきるシーンを作るのは至難の業。ジャーメインがサイドに流れるのはまずは押し下げるためのポイントを作るためという判断なのだろう。
フィニッシュの形が見えないというのは現状ではジャーメインがサイドに流れた先の設計が怪しいということである。神戸が相手ならば、前進のフェーズで起点を作るところまでで力を使い切っているということだろう。
無論、神戸はJ1王者。神戸に通用しないからJ1で通用しないと考えるのは早計ではある。だが、どこが相手にせよフィニッシュまでのルートが見えないと試合は厳しいものになるのは確実。おそらく、こうした部分を新外国人選手がどれだけ補えるかが磐田の残留のキーになるのだろう。
前進手段という意味で効き添うのはやはりペイショットだろうか。190cmという上背は魅力的。開幕戦ではオフサイドが多く、あまり起点としては効いている感はなかったが、おそらく彼を軸に前線を組むのが完成形になるだろう。収めどころでペイショットが機能すれば、ジャーメインがロングボールの次の攻め手になれれば面白い。
それ以外にもウェベルトンやブルーノ・ジョゼ、あるいはすでにスタメンを飾ったレオ・ゴメスなどの新外国人がどこまで攻撃の型を作れるか。こちらも外国籍であるグラサを軸とした守備陣がどこまで踏ん張りを効かせられるかが残留のキーになるだろう。
開幕戦の甘さをどこまで消せるのか
まずは川崎が磐田相手にやってはいけないことから考えていきたい。まずはネガトラのゆるみ。ボールをロストした後に即時奪回を利かせられないのであれば、背後のスペースは簡単に陥れられる可能性はある。神戸以上に前後の布陣のバランスが悪いのが今の川崎なので、ジャーメインに抜け出されてしまえばあっさりと決定機を作られるパターンは想定できるだろう。
逆にロスト後にホルダーをきっちり捕まえる構造を作れればワンサイドゲームを作ることはできるはず。即時奪回の成否は磐田の決定機創出の頻度にダイレクトに効いてくる。きっちりとバックスから時間を奪うアプローチをしていきたい。
狙いとしては押し込むフェーズ。湘南との開幕戦でいえば60分付近のシーンを再現したい。この圧倒的に優勢な時間帯が短かったのは川崎の開幕戦の課題。安定して勝ち点を積むにはこの時間をもっと伸ばす必要がある。
そのためには自陣からの安定した前進が必要になる。バックラインの1stプレスを回避し、オープンな前進を図るためにはバックラインの立ち位置は大事。磐田は湘南や山東と同じく4-4-2ベースの2トップがアンカーを受け渡す形で監視する(もしくは2トップが縦関係固定)ので、バックラインには余裕がある。距離を取り、選択肢を複数作る形を意識して磐田の中盤をさらす形で前進したい。
磐田も中盤でボールを刈り取ってショートカウンターを狙うような素振りは見せてきたが、湘南に比べれば強度面は怪しい部分がある。ペイショットがスターターになればプレスの連携面も未知数である。
逆に川崎の非保持では中央に無理に差してくる傾向がある磐田の中央ユニットのパスは狙っていきたいところ。出し手を制限し、受け手を潰すという構造を徹底し、ショートパスからのカウンター発動による決定機創出を狙っていきたい。
もちろん、下図のような4-3構造が晒される強引なプレスの抑制は避けたいし、3センターのスライドの機能不全によるリトリート時のブロック守備の強度不足といった慢性的な課題は存在する。
優勝候補を名乗るには個人的には出来はまだ甘さがあると思う。磐田は構造的にも開幕戦の追試といった位置づけといえそうだ。攻守における課題をどこまで1週間で改善できたかを図るホームの初戦になるだろう。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)