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「似た者相手に足切り回避を」~2024.3.9 J1 第3節 川崎フロンターレ×京都サンガF.C. プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第3節
2024.3.9
川崎フロンターレ(9位/1勝0分1敗/勝ち点3/得点6/失点6)
×
京都サンガF.C.(16位/0勝1分1敗/勝ち点1/得点2/失点3)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は7勝、京都の2勝、引き分けが1つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の8勝、京都の1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7試合の公式戦での対戦で川崎は京都に1敗のみ(W5,D1)
  • 昨季の等々力での3-3の引き分けはこのカードにおいて19試合ぶりのドロー。
  • 直近3試合のホームでの京都戦で川崎はいずれも3得点を挙げている。
  • リーグ戦において川崎のホームで京都が勝ったことは過去に2回だけ(W7,D2)だが、その2つはいずれも第5節より前の開催。うち1つは3月開催の第3節(2001年のJ2)。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • ベンチ外が続いている大島僚太、ジェジエウ、宮城天はグラウンドでの練習を再開。
  • 車屋紳太郎は左膝外側半月板損傷で離脱中。
京都サンガF.C.
  • 主だった離脱者はいない。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • リーグにおける最多得点チームであり、磐田と並ぶ最多失点チームでもある。
  • 開幕2試合で6失点はクラブ史上ワーストの失点数。
  • 昨季も等々力でのリーグ戦初陣は敗戦。2戦目は湘南に引き分けている。
    • 初勝利は6戦目の5月の鳥栖戦。
  • 直近3試合の公式戦はいずれも10分以内に先制ゴールを献上している。
  • エリソンは今季ここまで公式戦4試合の出場で5得点。出場したすべての試合で得点を挙げている。
    • 昨季のレアンドロ・ダミアン、小林悠のゴール数にすでに並んでいる。
  • 小林悠にとって京都は昨季ホームとアウェイのリーグ戦で両方得点を挙げた唯一の相手。
京都サンガF.C.
  • 開幕3戦で勝利がなければ2018年以来6年ぶりのこととなる。
    • 昨季は3試合目で初勝利。
  • アウェイでのリーグ戦は直近3試合で負けがない(W1,D2)。
  • 今季のリーグ戦ではいずれも先制点を献上している。
  • 関東のアウェイ遠征における最後の勝利は2023年3月の横浜FC戦。
    • 以降、8試合は勝ちなし(D5,L3)。現在は3試合連続ドロー継続中。
  • 豊川雄太は昨季の等々力での一戦で2ゴール。
  • 曺貴裁監督は等々力における直近7戦未勝利(D3,L4)

予習

第1節 柏戦

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第2節 湘南戦

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展望

ランダム要素を強みに変えられるかは過負荷を担うIH次第

 リーグ戦はここまで最多得点であり最多失点。合計スコアACLも含めてここまでの川崎は非常に出入りの多いシーズンを過ごしている。今節の対戦相手は今季ここまで勝利がない京都である。

 京都のフォーメーションは昨シーズンと変わらない4-3-3を採用。3トップを置いているにも関わらず前線にWGタイプがいないという特徴は今年も継続されている。原と豊川をサイドに置き、中央にはトゥーリオもしくは山﨑が立つことになる。

 京都の保持の方向性はとてもシンプル。3トップがボックス内にいる状態でいかに多くのボールを入れられるかにかかっている。手段不問でこの形を作ることができれば、勝利は見えてくるということである。

 保持の始点としてはIHが落ちてボールを引き出す動きが湘南戦では多く見られた。特に右はこの動きが顕著。IHの川﨑がSBの位置に入って、SBの福田を押し上げるような形がよく見られていた。

 サイド攻撃が多いが、サイドでの手数は多くないのも京都の特徴である。攻守ともに人が集まってごちゃごちゃするよりはとっととクロスを上げきってしまう方が優先。どうしてもというときはサイドチェンジを敢行して薄いサイドを作るときもあるが、多少対面を抜き切れない山なりのクロスとなったとしてもインサイドにボールを入れることを大事している。

 逆に言えばそれだけインサイドの攻撃力には自信があるということだろう。特に両サイドのWGは要注意。豊川はわずかな切れ目となるスペースを見つけるのがうまく、飛び込んでの得点感覚も充分。左の原はシュートの威力もさることながら空中戦での優位も充分。サイドではボールを収めることもできる。もっとも、彼らの凄みはすでに3失点している昨季の等々力の対戦で川崎側も十分身に染みていることだろうが。

 手段不問で前に蹴ることができれば湘南戦のようにごちゃっとした形でもボールを取ることができる。そうした京都の特性を踏まえると、開幕戦でリードした柏が終盤に敷いた5バックで受ける選択は京都の良さを引き出してしまう選択だったかもしれない。

 ただ、基本的に京都の攻撃はロングキックがベースになるので前進の安定感自体はそうでもない。ショートパスで自陣から丁寧にという感覚はなく、サイドと中央の攻め筋に関わらず直線的に3トップにボールを送り込む形を志向していく。そのため、中盤にはかなりの運動量が求められる。右IHの川﨑が担う低い位置での組み立てから前線への飛び出しまで!というフルコースはかなりの過負荷だろう。

 ただ、チームとしての機能性は中盤が前後分断をつなぎとめることができるかどうかがポイントになる。中央を縦に進むような一直線な展開であれば3トップだけで仕留めることも可能だが、サイドからのクロスはセカンド回収も含めて中盤は高い位置を取りたいところ。

 しかしながら、サイドでの攻撃にタメはないので時間を作るアクションはあまりない。だから根性でカバー!である。先の柏の人海戦術のような進んで相手が引き込んでくるようならそうした問題は解消するが、中盤を前に送り込む時間を能動的に作るのが難しいのが今の京都の課題といえるかもしれない。

 守備も前から追う意識はあるが中盤と連動しているかは微妙なところ。IHのスライドからの同サイド圧縮や攻めあがったSBの裏をケアするアピアタウィアといったカバー範囲の広さが大事にされている節がある。

 ただ、ボールハントの狙いどころを外された時はもろい。ピッチを横断するようなパスワークもそうだが、湘南戦では裏抜けからあっさり1on1を作られるのが致命的。WGもしくはSBの背後を使われて、サイドに起点を作られて、そこから裏に一発で抜け出すという形は川崎も充分に意識しやすいものである。

 京都としてはそうした背後を使われる攻撃をする前に中盤で取り切るのが青写真なのだろう。だが、なかなかそれで支配力を発揮するのは難しい。明らかな劣勢とまでは言わないが、行ったり来たりというランダム要素が強い時間が延々と続く傾向が強い。

対策の話と対策以前の話

 はっきり言って今の京都の問題点は川崎に似ている。前線の特性に乗っかる形でアップテンポな流れに逆らうことなく乗っかり、得点を狙いに行くが、前後分断に中盤とDFの強度がついていけずに危うい形を作られてしまう。京都の特徴を書いていて既視感しかなかったのが正直なところである。

 本来であればテンポを制御できない京都を保持で落ち着かせながら解体していきたいところであるが、開幕からここまでを見る限りはそうした状況を期待しにくい展開にもなる可能性はある。ただ、少なくとも攻撃の形は再現性を持って狙いやすいので、そこはきっちり狙っていきたい。具体的には右サイドでタメを作って裏に蹴りこむ形である。

 開幕後のコンディションを見る限り、個人的には山田が右WGでスターターの形をそろそろ試してもいい頃合いかなとは思うが、この形をきっちり再現できるのはおそらく家長の方だろう。逆に言えば、家長には張って大外の起点の役割を果たすことを期待したい。

 CB→WGの形を意識するのであれば、川崎はSBのポジションを気にしておきたい。右のCBから家長にパスをつけるとすれば、京都のWGを務めるであろう原の守備の仕方次第でポジションを変えるのがベターになるだろう。

 原が片側のみを切って川崎のCBにプレスに行く、もしくはフラフラしているのであれば、SBは外のレーンを維持するのがベター。WGが監視しない場合のマッチアップ相手である京都のIHからも遠ざかることができるし、壁パスもしくはダイレクトにパスを受けることは可能だろう。無論、どこにもパスが出せないくらい寄せられているのであれば、もうその時点で負けである。受けた時点で負け。

 仮に原が川崎の右SBを気にしたポジションを取るのであれば、インサイドに絞ればいい。そうすれば直接WGへのパスコースは空くことになる。どこから進むかの舵取りをするのはSB。これができなければ必然的に家長は業を煮やして降りてくることとなり、磐田戦のような各駅停車のパス大会の再現がまったなしになる。

 降りてきて各駅停車の例はまさにであるのだが、本来ならば京都対策みたいなことを一週間かけて準備してほしいところであるが、磐田戦の川崎を見れば自分たちのやるべきことに目を向けるフェーズなのかもしれないとも思う。無意味に降りてパスコースを潰してミスをするのはいい経験でもなんでもなく、ただの無駄な失点である。そもそもそれで失敗しなかったとしても、その先にいい形が見えないのであまり失敗する価値を感じないように思える形だった。

 中央に強引に刺すパスも含めて、ロストの仕方が悪いシーンが多いのは確か。だが、それはそれとして後方の受け方も悪い。CB、SBには注文が多々あるのは前提で出ていってはすれ違われる橘田、バックラインのカバーに入ったかと思えばふらふらと勝手に持ち場を離れる脇坂、戻りが遅れるWGなどなどが磐田戦の水準のままだったら、正直何から手を付けるべきかもわからないレベルである。

 今の川崎で一番やばいなと思える形は大きく2つ。1つ目は川崎の右の裏を使われて高井が出ていったときに発生する大南との間のスペースである。磐田戦では2失点目の時に脇坂が入ったふりをして結果的に捨てたスぺ―スである。

 単純に出ていったときに高井が潰し切れずにプレーの流れが切れないというのが問題点の1つ。そして、出ていった時のカバーの決まりが見えないのがもう1つの問題点である。個人的にはこちらのサイドのCBは原とのマッチアップもあるし、少なくとも潰し切ることをやり切ってくれる大南を使うのがベターかなと思う。

 逆サイドにおいては左IHの背後が非常に怖い。なぜかはわからないが、今季の川崎の左IHは前に出ていって2トップ化するプレスをすることが多い。いわゆる4-4-2にも見える変形なのだけども、これに伴って橘田がポジションを変えないので左のIHがぽっかり空けたスペースを使われてしまう。

 はじめはIHに山本を起用することによる属人的な問題かと思ったが、瀬古がIHになっても出ていく姿勢は変わらないし、アンカーが橘田→山本になっても特に変わらないので、システムの問題なのだろう。これにより左のCBが出ていく頻度がやたらと上がっている。

 これはシンプルに非保持時にきっちりと4-2-3-1へのスライドを行ってほしい。そうすれば右サイドでCBが出ていった時のカバーの責任も明確にわかる。

 前プレしにくくなる副作用はあるが、今の川崎の前プレはほぼエリソンとマルシーニョが2人で取り切っているからあまり変わらない。攻撃で前に人を送り込みにくい構造的な問題も少人数で攻撃を完結させて得点を取っているのだから今更あまりマイナスにならないだろう。もちろん、将来的にはプレスの精度向上や後方からのゆったりとした攻め筋の改良はしたいけども、今はやっちゃいけないことをやりまくっている守備の改善が明らかに先のように思う。

 今の川崎は「5点取って4点取られて勝つ!」みたいな開き直りが通用すればまだいい方で、得点をエリソンとマルシーニョの単騎プレスとカウンターにかまけている今のスタイルで言えば「1点取って4点取られて負ける」が関の山になってもおかしくない。単騎ハイプレスはシンプルに蹴ってしまえば直接的な失点は回避できる。今の川崎の得点パターンになっている以上、意識的に回避されても不思議じゃないし、回避するだけなら難しくはない。

 普通に考えれば4失点すれば大体負ける。そして守備で分かりやすい穴ができてしまうのは明らかにまずい。それは鬼木監督のコメントからも明らか。J1で磐田戦水準の守備は足切りだと思う。よって、改善はそこからである。

 相手がどう、相性がどうとかよりもどこが相手でもやったらまずいラインを平気で踏み越えているのが今の川崎。まずはここの改善から。正直ここの改善の跡が見える類の失敗や敗戦は個人的には受け入れていいフェーズだと思っている。それくらい、磐田戦で繰り返したピンチや失点には失望している。

 似た問題を抱える京都相手に今度こそ足切り回避なるか。プロセスを大事した1週間の準備の成果をぜひとも披露してほしい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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