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「序盤で慌てさせることが一歩目」~2024.4.13 J1 第8節 セレッソ大阪×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第8節
2024.4.13
セレッソ大阪(3位/4勝3分0敗/勝ち点15/得点11/失点5)
×
川崎フロンターレ(15位/2勝1分4敗/勝ち点7/得点10/失点10)
@ヨドコウ桜スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦でC大阪の4勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。

C大阪ホームでの戦績

直近10戦でC大阪の5勝、川崎の4勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 川崎は直近6試合の公式戦のC大阪戦で勝利がない(D3,L3)。
  • 2023年の対戦では川崎は2試合合わせて得点を挙げることができていない。
  • ヨドコウでのリーグ戦はC大阪が2連勝中。勝てば2017-19年以来2回目のホーム川崎戦3連勝。
  • 直近9回のC大阪ホームへの遠征において川崎は2勝のみ(D1,L6)

スカッド情報

セレッソ大阪
  • 西尾隆矢は代表活動のため不在。
  • 香川真司、清武弘嗣は練習には復帰しているが、メンバー入りはまだ先か。
  • 進藤亮佑はハムストリングの負傷で長期離脱中。
  • 喜田陽も離脱が続く。
川崎フロンターレ
  • 高井幸大は代表活動のため不在。
  • 大島僚太、宮城天、車屋紳太郎は負傷離脱中。
  • バフェティンビ・ゴミスは帰国してトレーニングを再開。
  • マルシーニョは出場停止から復帰。
  • 三浦颯太、橘田健人は前節メンバー外。
  • ジェジエウは前節負傷交代、丸山祐市もコンディション不良と見られる。

予想スタメン

Match facts

セレッソ大阪
  • 広島と並び、ここまで7試合のリーグ戦で無敗。
  • ここまでの全試合で得点を決めているが、3点以上ゴールを決めている試合はない。
    • ホームゲームはいずれも2得点。
  • 今季ここまで先制された試合がない。
  • 直近6試合のリーグ戦の敗戦は全て無得点。
  • ここまで5失点は広島(3)に次いで少ない。
  • 山田寛人は川崎との対戦で計3得点。キャリアで最もゴールを決めている相手。
    • 得点は全て等々力で決めたもの。ホームでのゴールはまだない。
川崎フロンターレ
  • 直近6試合のリーグ戦で4敗。
  • アウェイでのリーグ戦では2試合連続退場者を出している。
    • どちらもマルシーニョ。
  • リーグ戦では4試合連続でどちらかのチームに退場者が出る試合を経験している。
  • リーグ戦では2試合連続無得点。
  • 今季勝利した2試合のリーグ戦ではいずれも脇坂泰斗がゴールを決めている。
  • エリソンは加入直後の公式戦4試合で得点を決めた後、3試合連続でノーゴール。

予習

第5節 湘南戦

第6節 柏戦

第7節 新潟戦

展望

SBを軸に確固たる保持のスタイルを確立

 クラシコでの快勝、そして神奈川ダービーでの粘りで見せたいい流れは町田戦の敗北で一気に消し飛んだ感がある。ここで待っているのは苦手な大阪遠征。近年の成績では天敵と言っていい小菊監督のC大阪である。

 川崎とは対照的にC大阪は絶好調。開幕7試合で広島と並び無敗、首位の町田とは1ポイント差のところにつけている。

 監督は継続しているが、メンバーとフォーメーションは入れ替えが目立つ。これまで4-3-3をベースにアンカーに田中、左のSBに登里、右のWGにルーカス・フェルナンデスと新戦力をきっちり登用するシーズンになっている。

 基本的には自陣からのショートパスの組み立てが今のC大阪の軸になっている。後方のビルドアップ隊は4バック+アンカーが基本、ヘルプでたまにIHが降りてくる形になっている。

 今季のC大阪のビルドアップを支えるのはなんといっても両SBだろう。中でも新加入の登里の存在感は抜群。インサイドに絞るアクションを見せて田中の相棒として君臨。ゲームメイカーの田中へのマークを分散するだけでなく、自身からも効果的な縦パスを差し込んでボールを前進させることに貢献する。

 この辺りのポジショニングセンスは川崎時代からすでに見られていたもの。古巣では彼のビルドアップスキルはオプションの1つの位置付けであったが、今のC大阪では紛れもなくビルドアップの中心として機能している。

 もう片方の毎熊は枚数調整役。後方のビルドアップの右サイドの幅取り役と前線への攻め上がりからサイド攻撃の3人目の役割を両立。低い位置でも高い位置でも貢献できる毎熊の攻撃センスと、この2つを試合の中で両立できる運動量を武器にC大阪の攻撃を支えている。

 ポジションを動かしながらゲームメイクするSBと対照的にWGは幅をとる位置で固定されることが多い。カピシャーバ、フェルナンデスなどが大外に張って相手のSBをピン留め。動のSBと静のWGで相手の陣形を動かした歪みをIHが利用するというのが大まかな流れになる。例えば下記のように。

 WGに少しキャラクターの違う選手、例えば直近でカピシャーバと入れ替わって投入される山田が入った時はIHとのポジション交換を増やすなど個性に合わせた変化をつけている。後方の登里は動き出しによる盤面の変化に敏感な選手なので、定点で構えているカピシャーバがいなくなっても攻撃のメカニズムは異なった形で機能している印象だ。

 サイドからの抜け出しのフィニッシュ役はレオ・セアラ。サイドからのチャンスボールに対してきっちりと飛び込み、決定機をゴールに変える役割を果たしている。中央が甘い相手であれば、ポストからのチャンスメイクもこなせる万能型。安心と信頼のマリノスブランドの外国籍選手である。

 守備は基本的には積極的に前から。CFのレオ・セアラのワンサイドカットからボールをサイドに誘導し、IHとSHで一気に強度を上げて奪っていく形が基本。後方も高いラインを維持してなるべく敵陣でプレーする。

 もっとも、守備においてはこの形にこだわって心中するという感じはない。セアラと北野を併用してスターターとしていた新潟戦ではより静的でプレス控えめな4-4-2を採用していたし、リードした後は4-5-1→5-4-1とマイルドに後方の枚数を増やしていくローブロックで自陣の守備を固めるプランを採用している。

 攻撃の強固なベースプランを提示しつつ、守備ではハイプレスをベースに展開と人選に合わせた柔軟な対応で失点を抑えている。攻守にバランスがいいC大阪は今のJリーグで最も完成度と安定感の高いチームの1つと言えるだろう。

トランジッションには隙はあるが・・・

 川崎がどう立ち向かうかを考える上でまずはC大阪のつけ入ることができそうな隙から述べていこう。まずは強度の高いハイプレスへの対応である。バックスのプレス耐性が低いというわけではないのだけども、SBの可変が絶対的なベースになっている分、ボールを前に進める陣形を整えるために少し時間がかかる。その可変の時間を稼げない時間帯は強引な縦パスから受け手が厳しいチェックを受けることで奪われてしまい、自陣に押し込まれる時間を作られてしまう。今季で言えば鳥栖戦や柏戦の前半などはこの流れの一例と言えるだろう。

 トランジッション局面を活用した狙い目は他にもある。例えば、ボールロスト時の陣形が挙げられる。先に述べたようにC大阪のSBは左右どちらも攻撃において重要な役割を担っている上に、保持時にはSBのスタンダートな立ち位置を離れていることが多い。よって、C大阪の対戦相手がまずカウンターで狙えるのはこのSBが空けたスペース。ここから一気にサイドを押し下げつつ、CBを外に引き出してフィニッシュを狙う形からの得点というのは想像しやすいし、柏や湘南はここから得点の可能性を見せた。

 C大阪がハイプレスに出てきた時のフォーメーションも活用できなくはない。4-3-3でC大阪がハイプレスに出てきた場合、WGを外されてしまうとIHが外のフォローにいく。このインサイドハーフの外に流れた選手のカバーがいない。川崎ファンならイメージの湧きやすいメカニズムだろう。4-3-3で家長の外切りプレスのカバーに入った脇坂が出ていったスペースを埋められないみたいなイメージである。

 ざっと、こういったあたりがC大阪の狙い目である。ただし、こうした部分はあくまでC大阪を得意な保持のメカニズムから遠ざけるためのものであり、C大阪がこうした展開がとても苦手というわけではない。サイドの背後を取られてそのまま斬られる形はどうしようもない部分もあるが、押し込まれる展開であっさりと失点をするほどバックラインには脆さはない。

 かつ、C大阪から主導権を取り上げるための強度の高い展開は90分持たせるのが難しく、必ずどこかでC大阪に保持からのメカニズムを作られてしまう。今の川崎よりは強度が高そうな柏でもそんな感じなので、おそらく川崎も90分こうしたプランを遂行し続けてC大阪からボールを取り上げ続けるのは難しいように思う。

 それでも、リスクなしに勝てるほどC大阪は甘くない相手だ。自分たちが斬られるのが仕方ないとしても出ていかなければ勝機は掴めない。及び腰になれば押し込まれてタコ殴りにされて終わってしまうだろう。

 正直、CBがごっそり抜けているのは不安材料以外の何者でもない。ビルドアップでの安定感がない大南と今季ここまで説得力のあるパフォーマンスを見せることができていない田邉のコンビになれば、おそらくハイラインでもローラインでも受け切るのはキツイので、そこは割り切って前からいけたらいいのだけども。強力なWGとの対峙が予想されるSBも含めて、バックラインでの真っ向勝負はおそらく劣勢になるだろう。

 得点を取る手立てがないわけではないと思う。ロスト後にホルダーに強気のプレスをかけてC大阪に可変の時間を与えないというプランは町田戦の後半のプランであれば遂行できそうではある。左の大外にマルシーニョが帰ってくるのは大きい。相手は代表SBだが、ここを置き去りにすることができれば一気に得点のチャンスが見えてくるはず。ブロック崩しが苦手な分、試合の展開が定まらない行ったり来たりする時間で先制点を挙げたい。

 川崎側に得点が入ろうと入るまいとどこかで試合がC大阪ペースに流れるのは間違いない。そうなった場合はきっちりブロック守備に移行することが重要。地味に横浜FM戦と町田戦でできなかったのは中盤のコンパクトな守備である。特にFW-MFの間を狭めることができなかったことで、相手に中盤の切れ目を利用されてしまった感がある。

 例えば、登里がインサイドに絞る形がセットされてしまうと、町田戦の仙頭のようにトップ下とCHの切れ目に入り込んでゲームメイクしてくることが予想できる。ここは脇坂とエリソンのコンビできっちりとケアしたい。エリソンは前向きのベクトルを優先するあまり守備の間延びを呼ぶことがある。C大阪相手には致命傷になりかねないだろう。展開したいでは流れに逆らわずに我慢する時間が必要だと思う。

 時間帯、展開によって求められるスキルやプランは変わってくる。DFラインの並びに不安があるが、それでもリスク覚悟で先手を取りに行ってほしい。どっしりしているC大阪をまずは今季未経験の先制点を奪われる展開で慌てさせることができるかどうか。トランジッションマシマシの展開でゴールを奪い切るところまで辿り着ければ無敗狩りの第一歩目になる。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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