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「前後分断が問題点を覆い隠す可能性」~2024.4.28 J1 第10節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第10節
2024.4.28
サンフレッチェ広島(3位/4勝5分0敗/勝ち点17/得点14/失点5)
×
川崎フロンターレ(16位/2勝2分5敗/勝ち点8/得点10/失点11)
@エディオンピークウイング広島

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で広島の2勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。

広島ホームでの戦績

直近10戦で広島の4勝、川崎の5勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 昨年のエディオンスタジアムでの勝利により、広島は川崎戦の連続無敗記録を8で止めた。
  • 川崎は直近11試合の広島戦で無得点がない。
  • GWでの対戦は2015年以来。この時は等々力で広島が0-1での勝利を挙げている。
  • 広島ホームでの対戦は直近8戦で川崎が5勝。
    • 広島の直近2回の勝利はいずれも3-2、川崎の直近2回の勝利はいずれも0-2。

スカッド情報

サンフレッチェ広島
  • 川村拓夢、加藤陸次樹は別メニュー調整。
  • 荒木隼人、エゼキエウ、茶島雄介は負傷で不在。
  • ドウグラス・ヴィエイラは治療で一時帰国中。
  • 山崎大地は右膝前十字靭帯断裂で長期離脱中。
川崎フロンターレ
  • 宮城天、車屋紳太郎、ジェジエウ、大島僚太は練習に合流。
  • 高井幸大は代表活動で不在。
  • 三浦颯太、丸山祐市は負傷のため欠場。

予想スタメン

Match facts

サンフレッチェ広島
  • 開幕以降無敗。昨季から遡ると9月30日以降負けなしが続いており、15試合連続リーグ戦無敗はクラブ記録。
  • ホームでのリーグ戦は4試合で1失点のみ。
  • 59本の枠内シュートはリーグ最多であり、他のチームよりは13本以上多い。
  • ただし、シュートがゴールになる確率は5%でG大阪と並びリーグ最低。
    • 加藤陸次樹はここまでリーグ2位の29本のシュートを打ちながら無得点。
  • PK獲得本数は4本でリーグ最多。
  • 昨年8月以降、大橋祐紀は出場したリーグ戦の22試合のうち12試合で得点を挙げている。今季は9試合で4試合でゴールを決めており6得点。
川崎フロンターレ
  • リーグ戦直近8試合で1勝のみ(D2,L5)
  • 4試合連続無得点継続中。直近4試合での合計スコアは0-2。
  • 今季敗れたリーグ戦は全て1点差での負け。
  • 昨季の段階では9試合終了時でのリーグの勝ち点は9。
  • エリソンは加入後4試合連続でゴールを決めた後、5試合連続ノーゴール中。
  • 今季勝利した2試合のリーグ戦はいずれも脇坂泰斗が先制ゴールを決めている。

予習

第7節 湘南戦

第8節 福岡戦

第9節 札幌戦

展望

強固なベースにトライを上乗せ中

 結構、自分は早い段階でこの広島戦への遠征参加を決めていた。開幕当初はなかなか調子が上がらない状況が続いていたけども、まぁこの試合くらいまでにはなんとかなっているだろう!FC東京戦で勝利したタイミングではそれ見たことか!こっから!とか思ったりもした。

 しかし、蓋を開けてみればこの試合を迎えるタイミングでは4試合無得点と状況としては苦しい形。そのFC東京戦以降は勝利どころか得点すらない状況である。対する広島はここまでリーグ戦無敗。少し引き分けの多さが気になるところではあるが、順調にここまでのシーズンを過ごしていると言えるだろう。

 フォーメーションとしては3-4-2-1。なんといっても特徴はリーグ随一の強度の高さである。守備と攻撃を早いサイクルで繰り返した時の強さはリーグではおそらくナンバーワン。瞬間的な強度はもちろんのこと、繰り返した時の強度の落ちなさもさすがであり、試合終盤でもその強度は落ちることがない。

 このスタイルを支えているのは強靭なバックラインである。荒木、塩谷、佐々木のバックラインは後方を同数で受けることを前提として設計ができるため、広島のスタイルの根幹を支えているといってもいいだろう。川崎でいうところの谷口とジェジエウである。

 現在は荒木が負傷中ということで中央に中野が入っている。強度的には厳しいかなと思ったが、かなり奮闘。さすがにザハディ相手にはしんどそうではあったが、並のFWであれば当たり負けをしない強度を披露。広島の苦境を支えている。

 負傷者といえば目立つのは前線である。加藤と川村(CHとの併用なのでどこまでカウントするかは難しいが)はそれぞれ試合中の負傷で離脱。ヴィエイラ、エゼギエウは離脱が続いており、この試合では満田を前にスライドさせる可能性もある。ソティリウとマルコスはルヴァンカップで復帰を果たしたが、コンディションはどこまで戻っているかどうか。

 前線から外国籍選手が消えた影響がどこまであるかは図りにくいのだけど、広島の今季の変化でいえばショートパスでの崩しにも手を出していることだろう。自陣でのボールの扱いの時間は増えて、前線に強引にボールを当てるケースは減った。特に右サイドは枚数をかけての打開をすることも。ハーフスペース裏抜け至上主義であることは全く変わっていないが、やり直しやサイドにスウィングする頻度は上がっている。

 ただし、大外のアイソレーションへの信頼度は高くはなさそう。より動的な状態で渡し、薄いサイドではスペースで抜ける形を作ることが作ることが理想という感じだろう。WBの面々はかなり人によって特色が異なる。越道、新井、志知、東のうちの誰かがスターターを飾る可能性は高いだろうが、誰が出てくるかによってテイストは少し異なるところ。特に左のWBは東が受けに回るとやや苦戦が強いられている印象であり、志知とのチョイスがどちらになるかは気になるところである。

 強度という強固なベースがありながら、その上にトライを重ねつつ、負傷者とも付き合っているのが今の広島。そうした中で無敗なのだから、まず間違いなく強いチームと言えるだろう。

松本の収支がどちらに転ぶか

 広島の気になるスタッツといえばなんといっても(枠内)シュート数の多さとその決定率の低さである。決定機を創出することができているが、なかなかそれを決め切ることができないというジレンマもある。

 基本的には強いのだけども、少し気になるのはやや個人への依存度が高いところ。特定の個人のスキルというよりは、1人1人で頑張りましょう!という精神が染み付いているところである。相手を外すところが個人での頑張りに寄与するところが多く、外したアクションからの勢いでシュート!となることが多い。ミドルシュートとかもそうなのだが、シュートへの意識が高い分、攻撃で早めにシュートを選択することで相手のブロックにあってしまったり枠を外れてしまうことが多い。

 そうなると、周りは1人の選手のアクションに対してあまり動かなくなる。悪い時の広島はこれが続く感じ。ボール周辺で起きるアクション以外のところが乏しく、相手を外す最後の一工夫が捻り出せずに相手に粘りきられるという感じだろうか。

 守備でもそうした傾向は残っている。挟み込むアクションが少なく、個人でなんとかしましょう!という傾向は強め。基本的には1on1を重視する侍のようなスタイルである。それでもかなりなんとかなっているので、特に問題があるというわけではないのだけども。

 川崎からすればこうした傾向はなるべく使っていきたいところ。守備面では大外での1on1はある程度は許容できるはず。ここは両SBには絶対に踏ん張って欲しい。その上でハーフスペースの封鎖を明確に行うこと。中盤がその部分をカバーする機会が多くなることを考えれば4-2-3-1をベースに採用することがいいだろう。

 攻撃は少ない人数での完結が前提になるだろう。プレッシャーがかかる中でバックスから動かして時間を前に送るというのは今の川崎からすると現実的ではない。だが、前に送られた少人数の中では繋がりたいところ。DF-MFのライン間は広島はかなり空きやすいので、ここのスペースを意識した崩しをしたい。

 であれば、個人的にはCFはゴミスを推奨する。低い位置で触りに来ようとするのではなく、高い位置で踏ん張ってライン間を広げるスペースを作り出し、ライン間の家長や脇坂と関係性を作り、マルシーニョの抜け出すアクションを促すのが理想である。リトリートの速さは鬼なので4人で攻撃を完結するイメージは持っておきたい。特にCHに松本がいる場合は保持において前線に突撃するパターンが多い。今の川崎は攻めきられてしまう可能性も十分にあるのだけども、跳ね返すことができれば中盤には広大なスペースが広がることになる。ここの収支を反転できれば川崎には十分得点のチャンスがあるだろう。

 プレスに関しても高い位置から捕まえにいくよりはコンパクトに中央を守る方がベターだとこの試合に関しては思うので、運動量は問題にはなりにくい。試合の展開をコントロールするタイプの相手ではないので、エリソンは後からでも十分に脅威になれると思う。いずれにしても中野相手にここで起点を作ることができなければその時点で展開としては厳しい。

 相手の力量としては強いタイプのチームであることは無論前提ではあるのだけども、時間を前に送らなくてもスペースを与えてくれるという点ではそこまで相性は悪くはないはず。前後分断の形式になることで押し込むフェーズで発生する問題点(例えばオーバーラップした瀬川の背後を使われてしまう問題)などは逆に覆い隠される可能性がある。ワンチャンスの成否が分ける展開にはなると思うが、ここは前線の奮起に期待したいところだ。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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