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「かさぶたは剥がれてしまうのか」~2024.5.15 J1 第14節 サガン鳥栖×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第14節
2024.5.15
サガン鳥栖(18位/3勝2分8敗/勝ち点11/得点16/失点23)
×
川崎フロンターレ(12位/4勝4分5敗/勝ち点16/得点19/失点15)
@駅前不動産スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で鳥栖の1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。

ホームでの戦績

直近10戦で鳥栖の2勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 川崎は公式戦の鳥栖戦で29勝を挙げており、鹿島と並んで最も多くの勝利を挙げている相手。
  • 鳥栖は直近4試合の川崎戦で得点を挙げることができていない。
  • 直近5試合の鳥栖ホームでの対戦で複数得点を挙げたチームは両軍合計で1回だけ。
    • 2021年の鳥栖のみ。
  • 水曜日の対戦では直近4試合で鳥栖は無得点(D1,L3)。

スカッド情報

サガン鳥栖
  • 楢原慶輝は右膝全十字靭帯損傷で離脱中。
  • 本田風智も離脱が続いている。
川崎フロンターレ
  • エリソンは累積警告による出場停止から復帰。
  • 宮城天、大島僚太、三浦颯太は離脱が続く。
  • 丸山祐市、車屋紳太郎は完全合流。
  • 広島戦で負傷した小林悠は練習に合流。

予想スタメン

Match facts

サガン鳥栖
  • リーグ戦の立ち上がり15分で4得点を挙げており、リーグトップタイ。
  • 勝てば2021年11月以来のリーグ戦連勝。
  • 今季勝利した3試合のリーグ戦はいずれも3得点以上を挙げている試合。
  • リードした状況から3回の逆転負けを喫しておりリーグ最多。
  • 昨季同時期と比べて勝ち点は4少ない。
  • 今季勝利した3試合はいずれもマルセロ・ヒアンがゴールを決めている。
川崎フロンターレ
  • 勝てば今季初のリーグ戦連勝。
  • 5試合負けなしは今季最長のラン。
  • しかしながら、アウェイでは5試合連続勝ちがない(D3,L2)。
  • 立ち上がり15分で得点がないチーム。
  • 鳥栖での直近のリーグ戦9得点はいずれも後半に決めている。
    • 前半のゴールは2015年の中村憲剛の得点が最後。
  • エリソンは出場した直近7試合のリーグ戦で無得点。

予習

第11節 東京V戦

第12節 湘南戦

第13節 磐田戦

展望

苦しいアタッキングサードに登用される可能性があるのは

 毎シーズン「今年はしんどい」と言いながら脅威の残留力を発揮している鳥栖。例によって「今年もしんどい」闘いになっている。13試合終了時の勝ち点は直近4年で最低であり、昨季の後半からの不調を引きずってシーズンインしてしまった感じである。

 岩崎、小野、ソッコなど主力の退団は例年並みにはあったが、今季は代わりの補強にも積極的ではあった。トップに入ったマルセロ・ヒアンはすでに超主力として定着しているし、テヒョンもバックラインの柱の一本に。入れ替わった分の新戦力はすでにスタメンを張っている。

 スタイルとしては例年と同じく低い位置からのビルドアップが軸となっている。GKのイルギュがビルドアップに参加し、CBが大きく開いてCHの2枚を加えた組み立てが基本。CHは自由に移動し、組み立てすることを許されている。噛み合わせてくるプレスをしてくるチーム相手であるならば、例えば相手の2トップの脇に立ったりなど、ズレを作るのはCHの役目になる。

 それでも枚数が足りない時はSBが低い位置に止まったり、あるいはトップ下の菊地や堀米が中盤に降りてきたりなどしてビルドアップの枚数を増やしていく。問題となるのは降りてきた場合にどのようにボールと共に人を前に運ぶかである。やり方の1つは中盤で横断して逆サイドのWGまでボールを届ける方法。しかしながら、降りてくるトップ下にタイトなチームであればこの動きは通用しにくい。

 欲を言えばバックラインはもう少し運びたいところ。DFがボールを低い位置で受けることは怖がってはいないが、相手がプレスに来た場合に逆をとって外して運ぶアクションなどがやや少ない。そのため、バックラインからズレを作れない上に、パスの距離が長くなる。相手の矢印の逆をつけない上にレンジが長いとなると、パスの出た先が捕まえやすくなる。その点ではポゼッションの物足りなさがある。

 例外なのは中盤の河原。彼に時間を与えた状態でボールを渡すことができればここから自在に配球をすることが可能になる。プレスをかけられた相手に対して、時間を作って人と共にボールを前に進めることができるかどうかは重要である。

 あるいは磐田戦のようにマルセロ・ヒアンにとっとと渡せばハイラインは問題なく壊せるという場合もある。相手のCBとの力関係は間違いなく重要になるだろう。ただ、基本線はショートパスでの解決になる。

 アタッキングサードの攻め手の少なさは近年で言えばかなり苦しい部類。サイドの崩しには枚数をかけているが、オフザボールの動きで相手のDFラインを前後に揺さぶれる場面が少なく、あまりサイドに人数をかける意味を見出せていない。

 そうした状況の打開策になりつつあるのは横山。ここまでは控えからのジョーカー枠からの出場が中心ではあるが、単独での強引な仕掛けからのクロスで存在感を発揮すると、先発起用された磐田戦ではドリブルからのクロスからオウンゴールを誘発。その磐田戦では快勝したこともあり、序列を覆しての連続先発もあり得る。強引なミドルも備えているし、逆サイドにクロスには飛び込める富樫を使っている。ユニットでの相性を考慮すると、左の先発に再び横山を起用することは今の鳥栖の最も有効なブロック打開策なのかもしれない。

 守備においてはもっともプレスに関して消極的だったのは3バック相手だった湘南戦。しかしながら、磐田と東京Vという4バック相手にはかなり積極的なプレスを行っていたので相手のバックスの枚数によって使い分けている可能性はある。

 プレスに出ていく場合はCBに対して同数で守り、FW-MF間を圧縮しながら高い位置から圧力をかけていく。中央をプロテクトすることで相手のボールをサイドに誘導すると低い位置のSBに対してかなり速いスピードでSHがかなりの速度で寄せていく。3バックの相手であれば2トップは縦関係になる。

 少し悩ましいのは自陣ブロック。ハーフスペースに突撃してくる相手に対しては少し後手に回りやすい。特に戻りが遅れがちな富樫のいるサイドは相手の攻撃の狙い目にされやすい。すでに述べた通り、右サイドの富樫はそれなりに効果がある配置ではあるので、それをプラスに転じることができるかが重要になるだろう。

エリソンの活用法を改めて考える

 川崎からすれば非常に匙加減が難しい相手だなと思う。人同士の距離が遠い上に次のパスを読みやすいので、プレスをかける見返りはある。しかしながら、アンカーの河原は相手の組み立てにおいての最重要人物。ゴミスと遠野のコンビは札幌戦でアンカーの受け渡しに難を抱えている。いくら鳥栖側が運ぶのに難があるとはいえ、パスをつけてターンをされれば思うように運ばれてしまう。札幌に比べれば鳥栖という相手はこの難が致命傷になる可能性がはるかに高い。この傷は川崎にとってはゴミスの3得点で強引に蓋を被せたいわばかさぶたのようなもの。無理に剥がされれば血が出るような傷である。

 なので、プレスはなんとかする必要がある。札幌戦の水準のゴミスであれば、物理的なスピードがあるエリソンの方がプレスに出ていく適性は高いだろう。トップ下もプレスだけを考えれば脇坂を優先してもいい。ハットをしたゴミスの継続起用を優先するのであれば、プレスは控えめでバックラインにはボールを持たせる機会は増やしながらスペースを開け渡さないことに重きを置きたい。

 非保持でも特に完璧というわけではないけども、エリソンにを起用するとなればやはり遠ざかっている得点が気になるところである。エリソンのここまでのプレーを見ると、相手を置き去りにできるパワーとスピードがある反面、背負ったままでのプレーの精度に難があり、そのせいか強引なターンを簡単に咎められる傾向がある。

 さらには抜け出すアクションを使うにしても左右に角度がついてしまうと、そこから先のプレービジョンが見えているタイプではないため、角度のないところから強引なシュートを放つことで相手のGKにコースを絞られてしまい、枠に飛ばしてもセーブされるというプレーが続いている。つまり、裏抜けをフィニッシュと結びつけない形で活かせていない。

 まずは本人からすれば1点得点が欲しいところだろう。鳥栖相手にCBとのスピードはアドバンテージは握れるだろうから、フィフティーな状況でも抜け出せばクリーンなレーンを狙いたい。そのためには角度をつけずに中央で背後を狙う。イルギュの裏ケアもあるため、難易度としては高いけども狙う価値はあるだろう。

 逆に組み立てには関与する必要はない。その代わり2人のCBを揃えてピン留めすること。できれば中央のポジションを取ることでどちらが対応するかをファジーにしつつ中央に固定することがミッションである。その分、ロングボールのターゲットは絞る家長が担当。DFライン手前に絞るアクションでロングボールを収めて、マルシーニョとエリソンの裏抜けの両睨みを狙いたい。

 こちらはファストブレイクが前提の形。ショートパスでプレスを回避するのであれば、相手のSH。特に富樫のいる川崎から見て左サイド側が狙い目になる。SHはプレスのスイッチ役になる+このサイドは戻りが遅れるという2つがポイント。ここをアドバンテージに転じるためにはSBが動き直しのアクションで振り切るか、もしくは開くCBがSHをつるアクションがいいだろう。

 個人的には後者を支持。GK上福元は前節のクリーンシートで継続濃厚となれば、CBは広く角度を取ることができる。ただし、ジェジエウと大南のコンボではショートパスから相手のプレスを外すことは難しいので、CBは高井の復帰を推薦したい。上福元で2トップの右サイド側のプレス隊を釣り、高井と佐々木で富樫の前後を挟むイメージで中央を壁にサイドからのキャリーを進めたい。SBはマルシーニョできっちりとピン留めをするイメージだ。

 ファストブレイクではマルシーニョとエリソンを両睨みする家長という構図、ショートパスの組み立ては上福元起点の数的優位を生かした高井と佐々木を生かした前進。この2つを使い分けながら1週間半ぶりの九州遠征で勝ち点3を奪い取りたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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