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「楽をしない」~2021.8.21 J1 第25節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第25節
2021.8.21
サンフレッチェ広島(11位/7勝10分6敗/勝ち点/得点25/失点23)
×
川崎フロンターレ(1位/19勝5分0敗/勝ち点62/得点55/失点15)
@エディオンスタジアム広島

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で広島の2勝、川崎の7勝、引き分けが1回。

広島ホームでの戦績

図2

直近10試合で広島の5勝、川崎の4勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近4試合の対戦では川崎が広島に無敗。
・広島が川崎に負けなければ、川崎は2015年以来の広島戦未勝利の年になる。
・広島ホームにおいて川崎は直近5戦で4勝
・しかし、それ以前の5試合で広島は川崎に4勝を挙げている。

 今年の等々力での一戦は川崎ファンからしたらしてやられた感の強い試合だったはずだ。攻めていた前半に試合を決めることが出来ずにジュニオール・サントス起点のカウンターから速攻で裏返されてしまった。川崎がこの試合でも勝利を逃せばシーズンダブルを食らった2015年以来の広島戦未勝利になる。ただし、相性でいえば近年は川崎が優勢。ここ4試合は負けていない。

 広島のホームに話を移しても川崎は優勢。直近5試合で勝利は4試合。うち3つはクリーンシートを挙げている。かつては苦手だった広島の舞台は克服しつつある。厳しい遠征の日程が続くが、なんとかここも乗り切りたい。

スカッド情報

【サンフレッチェ広島】

・鮎川峻、茶島雄介、永井龍は欠場予定。
・ドウグラス・ヴィエイラ、柴﨑晃誠は出場不透明。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太、塚川孝輝は欠場が続いている。
・谷口彰悟は天皇杯にて足首を負傷し途中交代。

予想スタメン

画像3

Match facts

【サンフレッチェ広島】

<広島のMatch facts>
・直近の公式戦7試合で1勝のみ。
・直近6試合の公式戦で複数得点がない。
・ホームでのリーグ戦は直近8試合で1勝のみ(D3,L4)
・リードを奪ったリーグ戦において今季12試合負けなし。
・25得点中MF登録の選手の得点が15点でリーグ最多。
・浅野雄也は今季リーグ戦4得点だが全てアウェイでの得点。

 ここ数試合の流れはあまりいいとは言えない。神戸戦の中止で休養を挟んだことで風向きを変えるチャンスだが、怪我人が多くやりくりに苦心している印象だ。

 深刻なのは得点力不足。天皇杯も含めて直近6試合で複数得点がない。理由としては確固たる得点源がないことが挙げられる。チームリーダーのジュニオール・サントスが5得点どまり、前線の選手は負傷もありほかに定期的な出番を得ている選手は少なく、得点はMF登録の選手に依存している。ただし、一度リードを奪えば逆転負けはない。川崎も今季逆転負けはないため、先制点が一段と大きな意味を持つ試合になりそうだ。

 ホームにおいてもなかなか調子は上がっていない。やはりこちらも得点力は課題になる。浅野雄也はジュニオール・サントスに次いで今季4得点だが、まだホームでの得点がない。そろそろサポーターに得点を届けたいところだろう。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・リーグ戦は直近29試合連続無敗(W22,D7)
・直近10試合のリーグ戦で3得点を達成したのは1試合だけ。
・リーグ戦は4試合連続のクリーンシート。
・直近7試合のリーグ戦で前半に得点を挙げたのは5試合。
・長谷川竜也は今シーズンここまでリーグ戦で得点を挙げられていない。
・小林悠は直近4試合の8月のリーグ戦でゴールがない。

 リーグ戦の無敗は継続中だが、少しずつ主力の離脱による停滞感を感じているところ。得点力不足は広島ほどではないが、直近10試合のリーグ戦で『1試合3得点』という掲げた看板が守られたのは最下位の横浜FC戦の1試合だけ。無得点こそ前節の柏戦だけだが、明らかに得点のペースは落ちている。

 得点にWGが絡めないのが非常にもどかしい。特に長谷川竜也はここまでノーゴール。2018年や2016年も初ゴールは11月だったが、これらの年は怪我や序列の問題で出場機会がそもそも限られている。すでにプレータイムとしては今年の方が多い。競争相手の宮城の方が相対的に得点の匂いはするが、まだリーグ戦でネットを揺らすまでには至っていない。夏男として名高い小林悠もここ数試合の8月のリーグ戦は低調気味。ダミアンに続くサポートストライカーの登場が待たれる。

 一方で守備陣は非常に頼りになる。あまり取り上げられないがリーグ戦は4試合連続クリーンシートを継続中。単年としては鬼木政権発足後最長である。直近2試合の引き分けはいずれも前半に点が取れなかった試合。なんとしても前半に得点を挙げて楽に試合を進めたいはずだが。

展望

■広島が見せる能動的変化、受動的変化

 中断期間に変化をしようとしているチームはやはり多い。事情はいくつかある。例えば大きな戦力が入ってきたりなどの能動的な理由や、あるいは中断前までにうまくいっていないことを改良したりなどもあるだろう。一方的で戦力の流出により、苦しいやりくりを強いられているチームもある。鳥栖が代表例であり、川崎もおそらくこれにあてはまる。出ていった選手ありきで成り立っていたシステムをどう塗り替えるかに取り組んでいる印象だ。

 広島も受動的な改変に取り組まされているチームといえるだろう。川辺の穴をどう埋めるか?システムを変えるのか、それとも他の選手を入れてシステムを維持する方向なのか?という変化を迫られている。広島の選択はシステムを維持し、代わりの選手を入れるやり方。広島が川辺の代わりに中盤CHに置いたのはハイネルである。

 狙いとしてはおそらく川辺と同様に行動範囲が広いプレイヤーをおいて、ピッチのあらゆるところをカバーしたいというところがあるのだろう。一方でこれは制御しきれているの?という部分もある。

 相方である青山との関係はその代表例である。川辺との組み合わせなら、まぁ青山が前に出ていくのはまだわからなくもない(それでも川辺が前に行く方がいいだろうけど)が、ハイネルとの組み合わせで青山がするする前に出ていくのはかなり不思議な感じ。最終ラインからボールを引き出して組み立てに取り組んでいるハイネルを見るとは思わなかったので、これでいいのかな感がすごい。

 他のポジションは大きなメンバーの入れ替わりはないが、能動的に変化をしたいのかな?と思う部分も垣間見える。保持においては直近の福岡戦ではこれまでよりも密集しながら同サイドを打開する意識がこれまでよりも向上。成功率はあまり高くないが、福岡戦では同サイドでの打開から退場者+PKを誘発するなど狭いゾーンでの突破が奏功した形。

 WBやシャドーが逆サイドに出張していくこともたびたびあり、両サイドの重心を変えながら狭いスペースをこじ開けることは意図的に狙っている感じが強い。川崎でもたまに見られるやつである。

 異なる趣の手法として用意していたのは右の密集からサントスのポストを利用して逆サイドの藤井に大きく展開すること。WBの突破力を生かすシステムへの回帰は、どことなく従来の広島っぽさがある。この試合では福岡が同サイドへのスライドが顕著だったため、逆サイドがやたら空いていたこともあり、藤井のドリブルからエリア内に迫る場面を創出していた。

画像4

 守備においては高いラインで押し上げる意識がアップ。そのコンセプトを活かすかのように攻撃において時間がかかる遅攻においては人がどんどん高い位置まで流れていく。特に右のCBの野上がPAまで飛び込んでくることも珍しくはない。引いた位置に2枚のCBとハイネル残しでは守り切れないのは明らか。だからこそのラインアップなのだろうなと思った。高いラインで回収し、保持しながら攻撃を続ける支配的なスタイルへの志向が垣間見える広島である。

 これが定常化しているのかどうかというのをもう少し見てみたかっただけに神戸戦の中止は残念。正直、もう1試合見ておきたいチームだった。

■急がば回れ

 正直、広島は読みにくいチームだなという感じ。とりあえず、支配的にふるまったここ2試合の挙動をベースに展開を想定したい。川崎としては守備においては同サイドに寄せてきっちりとクローズすること。その上でサントスのポストへのコースおよび、マイナスのパスを切り、やり直しやサイドチェンジを許さずに閉じ込めたい。いわば、悪い時の川崎のように同サイドの狭いスペース攻略に固執させてしまおうという方針である。

 仮にそこからボールが出てしまった場合、二次的な守備強度のポイントになりそうなのは広島の前線との対人。藤井とマッチアップする山根がどれだけ1対1を制せるか。

 そして、ジュニオール・サントス。仮にローラインで広島が受ける選択をしたとするならば、明らかに一番怖い選手だ。加速をさせてしまったらもうスピードもパワーも十分で止められないので、反転させる前に決着を付けない。もし、反転させてしまいそうになったら警告覚悟でファウルは仕方ないだろう。交互にカードを受けながら退場を回避しつつ、ファウルという持ち札を切ってでも加速を許したくない。

 サントスの持ち味を活かすならば、広島は明らかにローラインからのロングカウンターの方がいい。押し込んだ展開でもポスト役を頑張ってはいるが、爆発力はだいぶシステムによって抑え込まれている感じはある。

 川崎の攻撃の局面においては非常に前がかりな広島のバックスの狙いを突きたい。さすがに野上まで上げてしまうのは攻撃にバランスを傾けすぎな感じが否めない。荒木+佐々木の前の防波堤がハイネルというのはなかなかにハイリスク。

 なので広島が人数をかけて乗り込んできたときは縦に早い展開はありだ。ただし、同じく早めに縦に付ける意識が強かった福岡は素直にファンマに当てるも跳ね返されている。広島のCBは対人は強い。いくらスペースはあれど、まともに競り合ったらダミアンすらまともに勝てるかは微妙なところである。

 狙いとしてはロングボールをスペースに出すこと。ダミアンはもちろん、このやり方ならば知念が先発でも面白いだろう。サイドに流れながら自陣からボールを引き出し、味方が走りこむスペースを作る。そしてそこに後ろから追いかけた選手が走りこんでくる。

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画像6

 ポジトラでの後ろからのフォローは大事。最短ルートで川崎のFWと広島のCBの1対1での突破を狙うというよりは、一見やや遠回りに見えてもきっちりと広島に広いスペースを少ない人数で守っているツケを払わせるイメージで攻めるのがいいと思う。

 遅攻においては中盤がなるべく降りることなくDFラインのみで1列目を越えて、中盤で3対2を作ること。いわば今季の等々力の前半の再現だ。

画像7

 青山とハイネルはどちらも高い位置まで食いついてきやすいタイプ。前線の守備も含めて陣形をコンパクトに維持する方針はあまりない。

 中盤の数的優位を使って外した後も楽をしないことが大事。等々力での試合は三笘など前線の選手が中に中に入ってくることで直線的な突破を狙った分、数的優位のメリットは活きにくかった(下図参照)。急ぎすぎるのではなく、広島の最終ラインを広げて外に動かす動きを噛ませたい。

画像8

 楽をせず、動かしながら丁寧に。速い展開を意識しつつも。高いラインを守る粗を顕在化させたい。ハイライン、ハイリスクで長年やってきた先輩としてこのスタイルの厳しさを突きつけたいところだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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