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「コパアメリカ2021 チーム別まとめ」~コロンビア代表編~

目次

チーム情報

監督:レイナルド・ルエダ
FIFAランキング:15位
W杯2018⇒ベスト16
コパアメリカ2019⇒ベスト8

招集メンバー

GK
1 David Ospina
12 Camilo Vargas
22 Aldair Quintana

DF
23 Davinson Sánchez
13 Yerry Mina
24 Jhon Lucumí
4 Carlos Cuesta6
6 William Tesillo
3 Óscar Murillo
17 Yairo Moreno
26 Frank Fabra
11 Juan Cuadrado
16 Daniel Muñoz
2 Stefan Medina

MF
5 Wilmar Barrios
15 Mateus Uribe
8 Gustavo Cuéllar
25 Baldomero Perlaza
21 Sebastián Pérez
14 Luis Díaz
10 Edwin Cardona
20 Jaminton Campaz

FW
28 Yimmi Chará
7 Duván Zapata
9 Luis Muriel
18 Santos Borré
27 Alfredo Morelos
19 Miguel Borja

各試合振り返り

GS第1節 エクアドル戦

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■美しいゴールとしたたかなギアの入れ替え

 共に4-4-2で組み合った両チームだが、そのスタンスはそれぞれで微妙に異なったように見えた。まず、コロンビアは非保持においては4-4-2のコンパクトさを重視。内側を締めて、相手に間のスペースを使わせないことが優先されていた。

 逆に攻撃では中央を積極的に使うやり方。後方から中央への縦パスを起点として、ここからサイドに振るというのが思うなやり方。左サイドの10番のカルドナはインサイドに絞ることが多く、その分大外をSBのモレノが担当。内外で担当を棲み分けている印象だ。

 それに対してはエクアドルは比較的人を捕まえる意識を強くしての守備が主体。ややマンマーク成分が強めである。特にボール周辺は。ボール周り以外ではマンマーク色はやや落ちるので、相手のライン間に入ってくる動きに弱かった。コロンビアはこれをうまく活用し縦への楔を通していた。

 エクアドルの保持はサイドの攻撃が主体。SH-SBの連携でコロンビアのサイドを切り崩し、エリア内にボールを入れることが目標となる。

 しかし、そもそものエクアドルの布陣は4-4-2。サイドに人が多い陣形ではないし、そのために陣形を崩してサイドに人をかけることもしない。ただ、中央にボールを入れる手段を持っていない。したがって、攻めルートはサイドに偏っているのに、人の分布だけは中央とサイドで均衡しているという難しい状況に陥ってしまった。3人目なしでサイドを崩すのは難しい。

 支配的とは言えないまでも、どちらかといえば試合を優勢に進めていたのはコロンビア。先制点も彼らにもたらされる。にしてもすごいFKからの得点だ。是非見てみてほしい。多くのオフサイドポジションの選手たちをおとりに抜け出した2人で攻撃を完結。見事なプレーブックに基づくセットプレーだった。バスケみたい。どこまで練っていたのかはわからないが、完成度の高いゴールだったのは確かだ。

 先制点を取ったことで試合はやや展開を変える。受けるコロンビア、攻めに出るエクアドルの構図はよりはっきりと見られるようになった。しばらくは問題なく過ごしていたコロンビアだったが、エクアドルが75分くらいからエリア内への放り込みのタイミングを早めるとあわやのシーンが出てくるようになった。

 速かったのはコロンビアのリアクションだ。『エリア内に上げさせてはダメ』という方に頭を切り替え、ホルダーの自由を奪う方向にシフトチェンジ。数分での方針の切り替えの素早さは国際舞台での経験値を感じる部分だ。大人な振る舞いで前後半にエクアドルをいなしたコロンビアがまずは開幕戦白星スタートを決めた。

試合結果
コロンビア 1-0 エクアドル
パンタナル・アリーナ
【得点者】
COL:42′ カルドナ
主審:ネストル・ピターナ

GS第2節 ベネズエラ戦

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■溶かされかけた守備網を塞ぐ最後の砦

 コロナウイルスに対して比較的平穏なお付き合いをしているEUROだが、コパアメリカはコロナウイルスにかなり振り回されている感が否めない。というか開催国まで変えるハメになっているのだから当たり前なのだけど。

 そんなコパアメリカ出場国の中でもっとも被害を受けているのはベネズエラ代表。開幕直前に10人以上の選手が離脱してしまい、急遽自国から補充メンバーを呼び寄せるという羽目になった。そのせいかそもそも戦力差がえぐい初戦のブラジルには歯が立たなかった。

 2戦目のコロンビアも戦力的に差がある相手。ベネズエラは5-4-1で撤退守備を敷く。コロンビアはこのベネズエラのブロックを攻略するというミッションに挑む。コロンビアの大枠は前節と同じ。基本のフォーメーションの4-4-2から左サイドのカルドナが内に絞り、3バック変形という欧州チックな変形で5バック崩しに挑む。

 5バックを崩すには溶かすイメージを持てるかが大事!ということを自分はよくレビューで述べる。受け売りだけど。この日のコロンビアは溶かすために必要なことはやっていたと思う。ベネズエラの2列目をコロンビアの最終ラインで引き離す。大外を取って相手の横幅を広げる。そしてサイドに優位を作る。難しそうならば逆サイドに展開。この流れの中で本命のライン間にボールを入れられる際には楔を入れる。この選択は適切でやれることはやっていたように思う。

 ただ、エリア内のクロスに対してはそこまでコロンビアが優位をとれなかったこと、そしてベネズエラのGKのファリニェスのセービングが素晴らしかったことなどでなかなか崩すことができない。コロンビアは前節同様、プレーブックに沿ったセットプレーでネットを揺らすが、これはオフサイド。終始相手を支配するがなかなかゴールが遠い。

 一方のベネズエラも右サイドのゴンサレスとマルティネスの縦関係という竹やりで挑むも、これはゴールには迫れないのも無理はない威力。終盤は小競り合いに終始した両チーム。ディアスの踏みつけでの退場はややタイミングが合ってしまった感があり不運だったが、無駄にテンションが上がってしまったことは崩すためにプレーをつながなくてはいけないコロンビアにとってはありがたくなかったはずだ。

 結局、何とか無失点でしのぐことができたベネズエラ。ゴールは遠いが、なんとかコロンビア相手に勝ち点を取ることができた。

試合結果
コロンビア 0-0 ベネズエラ
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
主審:エベル・アクイーノ

GS第3節 ペルー戦

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■堅実なセンターラインが勝利を呼ぶ

 前節は勝ち点3を奪えなかったチーム同士の対戦。ベネズエラの5-4-1の壁を崩せなかったコロンビアにとってはどうしても落としたくない一戦だし、ブラジルにぺしゃんこにされたペルーとしては仕切り直しの再スタートを図りたい試合となる。

 試合はトランジッションが少ない丁寧な試合となった。攻めの局面においてやや優勢だったのはペルーの方だろうか。コロンビアのプレスをいなしながら左右にボールを振る。後方低い位置からサイドに振りつつ、狙うのはCHコンビにボールを入れること。

    ブラジル相手にはさすがに持ち味を出せなかったが、タピアとジョトゥンの両CHは非常に優秀。短いパスでリズムを整えること、薄いサイドにフィードを飛ばすこと、縦にボールを入れること。いずれもこなすことができる。

 特にレフティのジョトゥンは非常に印象的だった。16分の先制点のシーンにおいても、彼のミドルがポストをとらえたことがきっかけだった。ミドルも素晴らしかったが、ジョトゥンが無理なくシュートを撃てる位置まで押し上げられているというのもよかった。ペルーのそれ以前のビルドアップがうまくいっている証左であり、それが結実した先制点といっていいだろう。嵐のような派手な攻撃力はないものの、丁寧に前に進む堅実な攻撃をするチームという印象を持った。

 コロンビアのメンバー表で目立ったのはSHに起用されているサパタ。普段は間受けが得意なカルドナを置いているこのポジションに、ダイナミズムと推進力のあるサパタを起用する。狙ったのはより早い展開だろう。それでも、試合全体のテンポがそこまで上がらなかったということを踏まえると、コロンビアペースに転がった試合とはいいがたいだろう。

 同点ゴールのシーンではボルハのスピードが活きた場面であり、アスリート能力重視の人選が結果を出さなかったわけではない。だが、トップ下に起用されたカルドナは完全に消えてしまった感。はじめから欲しい位置に立たせると受けられないという典型例のように思えた。スピードを生かした突破もブロックが間に合ってしまう場面では効果が薄く、ペルーを切り崩せるシーンは少なかった。

 追いつかれたペルーは後半も丁寧な攻め口でチャンスを堅実に作る。縦パスを入れるCH陣も優秀だが、受けるCFも優秀。ラパドゥーラはポストを受けに降りるタイミングとゴール前に張る場面の使い分けが非常に上手。勝ち越しゴールとなるCKはラパドゥーラのポストをきっかけに前進した場面だった。

 センターラインを使った地道な前進で終始コロンビアを苦しめたペルー。見事なリスタートを決めて、大会初勝利を飾った。

試合結果
コロンビア 1-2 ペルー
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
COL:51′(PK) ボルハ
PER:16′ ペーニャ, 64′ ミナ(OG)
主審:エステバン・オストジッチ

GS第4節 ブラジル戦

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■再び遺恨を残した一戦に

 全勝のままグループリーグをひた走るブラジル。今節の相手はグループステージで最大のライバルになりそうなコロンビア。そのコロンビアはベネズエラ、ペルーに勝てずにやや苦しみ気味。4位通過のレギュラーションに救われて問題なくグループステージは突破すると思うが、なんとか復調の兆しを掴みたいところである。

 共に4-4-2のミラーゲーム気味になったこの一戦。コロンビアが苦しんだのは目の前の相手のプレッシングである。立ち上がりからコロンビアはマッチアップ相手の厳しいチェックに晒され、中盤でのボールロストで危ない場面を繰り返すことになった。

 コロンビアとしてはどこで剥がすか、あるいは剥がすためのスペースをどう作るかが重要な要素となっている。少しでもブラジルを引き出して、コンパクトな陣形を敷くことを防ぎたいところ。だが、低い位置でのつなぎはロストのリスクになる。

 そういった難しいバランス感覚が実ったのは先制点の場面。もちろん、ルイス・ディアスのアクロバティックなゴールが一番の主役であることに疑いの余地はない。しかし、ブラジルのプレッシャーの外側でコロンビアが大きな展開ができたことで、余裕をもってクロスを上げる時間を作れたのも事実。押し引きが上手く実ったコロンビアだった。

 先制点以降はこういった駆け引きは取らず、ロングボールに徹する安全第一の作戦を敷くコロンビア。ブラジルは左サイドの2トップ脇にフレッジを流しながらボールを前進させる。ブラジルの攻撃の目的は結局ネイマールに前を向かせることになるのだが、そのための左サイドでの循環である。

 ブラジルはネイマールがカットインする状況までは作ることができていたが、それ以降はコロンビアの守備はかなり整備されていた印象。同サイドや中央を締め、逆サイドに流すという比較的被害の少ない選択肢に誘導していたように見えた。割とネイマール以外の選手たちは裏を狙う傾向があったので、近めで受ける選択肢をネイマールが作りにくかったのもあるだろう。いつもに比べればややドリブル開始時に上手く絡めとられた印象を受けた。HTにフィルミーノを入れたのも中央にボールの預けどころを作るためともいえるだろう。後半半ばのチャンスシーンはフィルミーノがいたからこその物といえるだろう。

 それでも粘っていたコロンビアにとっては同点シーンは不運だった。偶発的に審判に当たったボールのせいで楽に左サイドに展開されてしまったことで、簡単にクロスを上げさせることにつながっていた。これまではうまく封じていた攻撃パターンなだけに悔やまれる部分。とはいえ、ボール保持チームが変わっていないのだから、審判の運用は正しいは正しいのだけど。ゴールが認められるまでコロンビアはおよそ6分間の抗議をしたが実らなかった。

 その抗議で長引いた後半追加タイムがブラジルの逆転弾を呼ぶのだから難儀なものである。ラストプレーでは圧倒的フリーだったカゼミーロがCKでニアに入り込み決勝弾を決める。コロンビアにとってはこの上ない悔しい敗戦。大一番をモノにできなかった上にブラジルとの遺恨を残す結果となった。

試合結果
ブラジル 2-1 コロンビア
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:77′ フィルミーノ, 90+10′ カゼミーロ
COL:14′ ディアス
主審:ネストル・ピターナ

Quarter-final ウルグアイ戦

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■ウルグアイよりウルグアイ?

 アルゼンチン、ブラジルの両雄へのチャレンジ権が欲しい両チーム。南米No.3を狙うウルグアイとコロンビアが準決勝進出を賭けて激突する。

 様々なフォーメーションを試しているウルグアイがこの日取り組んだ形は4-3-1-2。スアレスとカバーニの素直な2トップで決戦に臨む。4-4-2型のコロンビアに対してアンカーからボールを入れて、1stプレスラインを突破。サイドに流れて受けるアンカーから片側を狙い撃ち。そのため、ウルグアイの選手たちは同サイドに集結。トップ下のデ・アラスカエタもボールサイドに流れる役割。前線の流動性の高さを活かして、奥行きを作り同サイドを攻め切るやり方を狙っていく。

 しかし、ウルグアイは決め手不足。ソリッドな守備で自陣深くにブロックを敷くコロンビアに対して、同サイド打開の手法を見いだせずシュートまでたどり付くことができない。

 一方のコロンビアはロングカウンター重視。狭いスペースで受けられるカルドナや大外でデュエルができるクアドラードが不在なため、やや縦に速い攻撃が多かった。撤退しながらSHが内に絞りつつ素早くFWにボールを預ける。ローラインからのこのボールのつなぎ方はどちらかと言えば往年のウルグアイと重なるスタイル。ウルグアイよりコロンビアの方がウルグアイっぽい戦いだった。

 遅攻の際は左右に振りながらウルグアイの3センターをずらし、薄いサイドを作りながらクロスを上げる。しかし、ウルグアイのCBの水際で跳ね返す部分は健在。この部分はウルグアイの方がウルグアイである。

 停滞気味だった前半に引き続き、後半も非常に堅い展開。決定機はほとんどなかった。コロンビアはトップ下に入ったムリエルがアンカー番に入ることで、ウルグアイのビルドアップのスピードを遅らせる。ウルグアイは前線の動きの鋭さはあるものの、ロングカウンターが刺さるほどの長い距離をやり切る馬力はやや落ちてしまった印象である。対するコロンビアも前半と同じく、相手を崩しきれないまま試合は終了する。

 試合はPK戦に突入。GKの読みがさえていた両チームだが、キッカーのキックの威力が十分で方向が合ってても止められないシーンが多かった。だが、その中でもタイミングと強さがあってしまったウルグアイの2人がオスピナにばっちり止められて勝負あり。我慢比べとなった90分の末にPK戦を制したコロンビア。クアドラード不在の難局を乗り切り、見事準決勝進出を決めた。

試合結果
ウルグアイ 0-0(PK:2-4) コロンビア
エスタディオ・ニウトン・サントス
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ

Semi-final アルゼンチン戦

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■個には個で

 ブラジルの待つ決勝戦へ是が非でも駒を進めたいアルゼンチン。準決勝で迎えるのは、今大会における我慢強さはトップクラス。準々決勝ではクアドラードの出場停止という難局をウルグアイ相手に何とか凌ぎきったコロンビアである。

 コロンビアはどちらかといえばファルカオやハメスのイメージのように、攻撃的なタレントの優位を生かしどんな相手でも殴り返せるイメージだった。だが、今大会のコロンビアは我慢が出来るし、あまり苦手な展開が少ないように見えた。

 この試合でもアルゼンチン相手に十分に渡り合ったといえるだろう。準決勝ともなるとメッシも含めて守備も徐々に強度を増してくるのを見ると、コパアメリカもいよいよ大詰めなのだなと思ったりする。アルゼンチンもプレスの回避の耐性は十分。アルゼンチンの前線の守備をいなしながら縦パスでスイッチを入れて進撃する。

 縦パスをつけたあとのお決まりはサイドに流すこと。サイドからはルイス・ディアスとクアドラードの両翼がブロックの外側からアルゼンチンのDFラインにダメージを与えるようなクロスを放り込む。決定的な機会は少ないものの、外から打ち抜ける武器をアルゼンチン相手に有しているのは驚異的である。

 一方のアルゼンチンが狙うのはDF-MFのライン間。コロンビアが敷く4-4-2に対して、やや苦戦するも結局はこのチームはライン間でメッシに前を向かせてナンボ。試合開始早々にその形からラウタロ・マルティネスの先制ゴールを挙げることが出来たのは大きかった。

 先行を許したコロンビアはHTの交代でカルドナを投入。クアドラードを1列下げた。もっとも、1列下げたとはいえクアドラードの役割は大きく変わらずに幅取役のまま。内側で受けられる枚数をカルドナで増やしてリスクをかけつつ、アルゼンチンを押し込もうという算段である。

    これが非常に効果的だった。圧を強めるコロンビアにアルゼンチンはそもそも前進することが出来ずに自陣に押し込まれてしまう。頼みのメッシも相手のマークが厳しく、ボールを運ぶことが出来ない。

 押し込んでいるコロンビアに同点ゴールをもたらしたのは左のルイス・ディアス。クイックリスタートからペッセッラを出し抜き、そのままゴールに一直線。裏への駆け引きを制して得点までこぎつけて見せた。

 劣勢の状況で同点まで追いつかれてしまったアルゼンチン。打開策としては外に流れても切り裂けるディ・マリアを投入する。やや個人の能力に頼った部分があるものの、これでやや盛り返したアルゼンチン。大外から崩せるディ・マリアの登場で内側が少しマークが緩くなり、攻めどころを見つけられるようになった。

   一方で、オープンになった分非保持では広いスペースを守らなくてはいけなくなったアルゼンチン。ルイス・ディアスとクアドラードの両名は相変わらず面倒だったし、CHのバリオスはオープンな展開でも渡り合うことが出来たのでペースはイーブンに戻せてもコロンビアはややこしい相手である。

   PK戦まで持ち込まれた熱戦で大活躍したのはエミリアーノ・マルティネス。アルゼンチンに足りなかった確固たる正守護神の座をこの大会でしっかりつかんだ苦労人GKの活躍でコロンビアを下し、悲願の決勝進出を決めた。

試合結果
アルゼンチン 1-1 コロンビア
マネガリンチャ・スタジアム
ARG:7′ ラウタロ・マルティネス
COL:61′ ディアス
主審:ヘスス・バレンズエラ

3位決定戦 ペルー戦

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■らしさ全体の正面衝突

 共に持ち味が十分に出たスリリングな3位決定戦。より積極的な作戦に出たのはコロンビアの方。アルゼンチン相手にも効いていた両SHの元気さは据え置き。ルイス・ディアスとクアドラードは今日も元気に走り回っていた。4-4-2ながらSBがあまりSHにサポートに行かないのも彼らの特徴の1つ。近寄ってマークを引き寄せてしまうよりはなるべく広いスペースを与えて暴れまわってもらった方がお得!という算段なのだろう。

 前線ではサパタが相変わらず収まるし、カルドナの間受けも健在。サイドに散らす役割は彼らが担うことになる。特にサパタの存在はペルーに対して非常に脅威になったはずである。

 プレッシングに関しては高い位置からSBを食い止めるためにSHも積極的に高い位置を取っていくコロンビア。ここ数試合は相手との力関係もあり、あまり攻撃的なスタイルが全開というわけにはいかなかったが、この試合では持ち味を十分に出せていたと思う。

 対するペルーはやや慎重な入り。強力な個を有するコロンビアを前に撤退気味。特にSHが後方に構えることもいとわない6バック化も視野に入れる形でサイドの手当てを入念に行った。

 ただし、ペルーも保持の部分はGSで見せた良さがよく出ていた。CFに収まるのはこちらも同じ。前線の起点としてラパドゥーラのポストはよく効いていた。相変わらずつなぎの華麗さはさすがで、司令塔のジョトゥンを中心にペーニャとカリージョで右サイドにボールを流しながら徐々に押し上げていく。

 らしさ全開で先制したのは押し込まれる機会が多かったペルーの方。丁寧につないだロングカウンターでサイドを横断すると、最後は攻めあがったジョトゥンが押し込む。ペーニャの低い位置でのボールキープからの加速が秀逸で、低い位置からつなぐペルーの哲学を体現した得点となった。

 コロンビアのビハインドで迎えた後半はより激しい展開に。クアドラードのFKで開始直後に追いつくと、そこからは試合はオープンな展開に。となるとルイス・ディアス劇場の開幕である。アルゼンチン戦でも見せた長いパス一本で抜け出してからの独走フィニッシュで勝ち越しゴールをゲット。

 ペルーも一度はセットプレーから追いつくが、後半追加タイムにルイス・ディアスは再び大仕事。正直、細かいタッチは流れたが、横のドリブルでシュートコースをわずかに作り出すと外に逃げるミドルシュートで強引に打ち破って見せた。

 激流のような後半戦はノックアウトラウンドで絶好調だったルイス・ディアスが主役。3位決定戦らしいすがすがしい試合で最後に話題をかっさらっていった。

試合結果
コロンビア 3-2 ペルー
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
COL:49′ クアドラード, 66′ 90+4′ ディアス
PER:45′ ジョトゥン, 82′ ラパドゥーラ
主審:ラファエル・クラウス

大会総括

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■スタイルは百面相?

 コロンビアと言えば、ハメスとかファルカオのような攻撃的なタレントが目立つチーム!ということで、勝手にアタック祭りを決めまくっているチームなのかな?と思っていた。だけど、そのイメージは少し違っていた。

 ただし、グループステージにおいてはその裏切りは良し悪しという感じ。初戦のエクアドル戦は非常にしたたか。セットプレーからの攻撃が練られているのが非常に印象的でトリックプレーから決勝点をきめてみせた。まるでバスケットボールのプレーブックに載っているかのような準備されたような形で味方の飛び出しを使う。工夫されたセットプレーはグループステージの要所でたびたびコロンビアの武器として顔を覗かせることになる。

 ただ、グループステージでは悪い意味でやや気になる部分も顔を覗かせた。非常に淡白であっさり敗れてしまうこともしばしば。続く、ベネズエラ相手には圧倒的に攻め込みながらも崩しきることができない。この試合の内容自体は悪くなかったのだが、この試合からややリズムを崩してしまった感が否めない。

 攻めきれずにペルー相手には正面衝突で敗れてしまうと、続くブラジルには乱戦の中で後半追加タイムで致命的な失点を喫してしまい劇的な敗戦。コロンビアが判定に抗議したせいで長くなった追加タイムに決勝点を叩きこまれるという筋書きはどこか皮肉めいたものでもあった。

 だが、決勝トーナメントでは粘り強さを見せる。クアドラード不在で下馬評では不利とされていたウルグアイ相手になんとかPK戦まで持ち込むことで粘り勝ち。攻め立てられながらもウルグアイ顔負けの縦に早いスタイルで反撃を見せる姿はグループステージのどの試合とも異なるコロンビアのノックアウトラウンドの本気を見た。

 ここから先の主役はサイドアタッカー。クアドラードとルイス・ディアスのサイド攻撃という確固たる武器を軸に、速攻遅攻問わずにサイドから攻撃を攻め落とせるようになる。特にルイス・ディアスの出来は圧巻。出場停止(そういえばこの2人はどちらも途中で出場停止を食らっている)明けからはうっ憤を晴らすようにドリブルで相手マーカーを引きちぎり続け、得点も量産。特に3位決定戦でのペルー戦での決勝ゴールは圧巻。2強にも負けない強烈な個人技で鮮烈なインパクトを残した。

 残念ながらブラジルとアルゼンチンには及ばなかったものの、ポスト2強として南米の底力を感じることができるチームだった。

頑張った選手⇒ルイス・ディアス
 本編でも触れたけど圧倒的な個人技は圧巻。ポルトで中島翔哉のライバルだったらしいという話を聞いたけど、ちょっと完全な上位互換なのでこれは相当厳しいことになっただろうなとおそばせながら思った。

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