MENU
カテゴリー

「W杯の予習は計画的に」~コパ・アメリカ2021全チーム総括 part1~

目次

ベネズエラ

画像1

■5バックと竹やりで望んだ緊急事態

 コロナウイルスでも強行した感のある今回のコパアメリカの最大の被害者。代表前に11人のチーム関係者がコロナウイルス感染。急遽、自国から14人の追加召集選手を呼び寄せて急造チームを作成した。

 コンディション作りもままならない中、初戦にブラジルとぶち当たったのは完全に不運としか言いようがない。力量差も含めて、ここの完敗は目をつぶって問題ないだろう。

 それ以降の試合では存在感を見せたといっていい。5-4-1の撤退での割り切った守備とマルティネスとゴンサレスの右サイドからの突撃という竹やりクラスの破壊力の武器しかなかった。だが、とにかく撤退守備は気合が入っていたのは確かである。

 コロンビア相手には5バックが前後に振り回されながらエリアに迫られるシーンをやたらつくられてはいたが、最後の最後で跳ね返す。特に目立った活躍したのは、GKのファリニェス。攻守連発でコロンビアをシャットアウト。格上からの勝ち点1獲得に大きく貢献した。

 続く、エクアドル戦ではブロック守備を打ち破られてしまったが、今度は割り切ったハイプレスで高い位置からのボール奪取に方向転換。5-4-1からの竹やりではビハインドの展開にはあまりにふさわしくないと判断したのだろう。小国ながらもこうした柔軟性を持てるのがベネズエラの魅力。そして実際にハイラインを活かした同点ゴールを決めるのだからアッパレ。再度勝ち越しされるも、終盤に再びヘッドで同点に追いつき2戦連続の勝ち点1を得る。

 ただ、どうしても勝ち切ることができず。突破のかかった最終節のペルー戦では先制点を奪われた後は盛り返すことができず。コロナウイルスから回復した主力たちを先発復帰させた一戦だったが、むしろここまでの勢いを失速させてしまった感が否めなかった。しかし、トラブルがありながらも相手に食いついていくスタイルは大変見ごたえがあった。次回はぜひ万全の準備でのビックトーナメント参戦を見たいところだ。

頑張った選手⇒ウイルケル・ファリニェス
 23歳の守護神。個人的にはGS最大の発見。圧倒的なセーブ力で、劣勢に立たされるチームを鼓舞し続けた。昨季レンタルしていたランスではほぼ出場機会がなかったようだが、ぜひリーグ戦でも見てみたい逸材だった。

今大会まとめ

ボリビア

画像6

やりたいことについてこないスキル

 グループBのベネズエラと同じく、ボリビアも弱者の戦い方を強いられたチームであった。基本的な戦い方としては4-4-2での自陣深くまでブロックを敷く。そしてSHが低い位置に降りることでサイドのスペースを埋める。時には前からプレスに出ていく時間帯も作り、自陣に深くこもる時間を減らす。自らがボールを持った際は大事につなぐことで、保持の時間を作り少しでも引きこもる展開を回避する。

 というのがおそらくボリビアの戦い方の理想論だったはず。しかしながら、現実は非常に厳しかった。ボール保持の局面では実際には前進するポイントがつかめずに、簡単に跳ね返されてしまう。プレスに出ていっても簡単にいなされてしまうことに。

 結局は自陣の深い位置の撤退守備の時間帯が非常に多くなってしまったボリビア。現実的な我慢の時間と向き合う時間が積み重なっていく。ボリビアの撤退守備についてもう少し掘り下げると、サイドはマンマークで低い位置まで降りていく。

 チリ戦ではこのサイドのマンマークの動きをオフザボールで外されてしまい先制点までつながれてしまう。アルゼンチン戦ではサイドからラインを押し下げる動きと中央のメッシを軸とした降りる動きのギャップについていけず。先制点を許すとあれよあれよという間に失点を重ねていってしまった。

    ウルグアイ戦では前線の積極的な裏に抜ける動きに歯が立たず、勝ち点を奪えそうなチャンスだったパラグアイ戦ではボールの預けどころになりそうだったクエジャールを一発退場で失いパワー不足に。延々と攻守が噛み合わない展開が続いてしまった。

 結局、最終節を前に敗退が決定。グループB全敗のノーインパクトで大会をあっさり去ることになってしまった。

頑張っていた人⇒カルロス・ランペ
 防ぎきれたとは言えないが、正守護神としてファインセーブを見せる場面は多かった。彼がいなければ失点はこの程度で収まることはなかったはず。負けてなおMOMに選ばれるタイプのGKである。

今大会まとめ

パラグアイ

画像4

堅実さの裏で足りないパンチ力

 5チーム中、4チームが勝ち抜けというレギュレーションにおいて、初戦にボリビアと当たれたのは幸運だった。多くの好機を作りながらもなぜかビハインドで前半を折り返しはしたものの、後半は10人になったボリビアを粉砕。まずは3ポイントを手にしたことは大きかっただろう。

 そのおかげかどうかはわからないが、この後のグループステージの試合においては非常にアグレッシブな姿勢が目立つ。特にそれが強く表れたのは守備の部分。アルゼンチン相手には引いて迎え撃つことはせず、ハーフライン付近から相手を追い回す。アルゼンチンはメッシやアグエロというワールドクラスが揃う前線が脅威。というわけで中盤より前でなんとか跳ね返すという意識で勇敢に立ち向かった。終盤にはメッシに徐々に受ける機会を増やされてしまい、敗れはしたもののアグレッシブに立ち向かうことができたと思う。

 続く、チリ戦でもその前向きなプレッシングは引き続き。加えて、セットプレーから手堅く得点を手にして、しぶとく勝利までこぎつけた。最終節となるウルグアイ戦で痛かったのは、前線の動き出しで完敗したことではなく、ここまでチームを牽引したアルミロンをケガで失ってしまったことだろう。

 それでも、決勝トーナメントではペルー相手に互角にやりあった。互いに退場者を出す乱戦の中で、強引に2トップにして点を取りいった結果、PK戦まで持ち込むことができたところは底力を感じた部分ではあった。負けてしまったけども。

 基本的には粘り強いチームで、アッサリと敗れることが非常に少ない。どこか淡白なGSを過ごすチームもある中で、堅実で手を抜かない好チームという印象だ。しかし、攻撃のこれといった形がないのが難しいところだろうか。大外のアルサメンディアは1つの武器にはなっていたが、アルミロンが負傷で欠場してしまうと、どうしても得点パターンといえる部分がなくなってしまう。

 手堅さと裏腹にかけているパンチ力を補えるかどうかが今後の課題になりそうだ。

頑張った選手⇒ミゲル・アルミロン
 守備に走りまくるニューカッスルの姿も個人的には好きなんだけど、横断するドリブルやポストから得点を演出する代表の姿の方が本来のキャラに近い気もする。

今大会まとめ

チリ

画像5

■小気味いいパスワークは徐々に見せたが

 3センターを採用する4バックが基本というチームということで、中央でアンカーが降りて、両サイドを押し上げるという若干今のトレンドとは異なる形でビルドアップをするチーム。といってもチリはこういうやり方をしているイメージはもともと強いのだけど。というわけでアンカーに入るプルガルがビルドアップの際に人数調整の役割に入ることが多かった。

 基本的には尻上がりのチームだったと思う。初戦のアルゼンチンは中盤にビルドアップのために降りる動きを許容しすぎたせいで、後ろに重たくなってしまった。その上、アルゼンチンと異なりドリブルで運べるわけでもないので、各駅停車の渋滞が後方で発生してしまった印象だ。

 しかし、徐々に時間が経つとともにこれは修正。大きな展開を織り交ぜることに寄って、前進のリズムをつかんでいく。相手によってはWBが存在する5バックを活用し、保持で幅を使う意識も強まってくる。こうなると保持で徐々にチリらしさという部分が垣間見えてくる。

 中盤はビダルを筆頭にダイナミズムがあり、サボる選手が少ないのが特徴。前線も体を張ることができるバルガスを軸に機動力を武器としてスピーディーな攻撃で相手を苦しめた。それでも勝ち切れない試合が多かったのは、高さ攻めで押しつぶされることもしばしばあるため。空中戦の耐性はあまり高くなく、パラグアイにはセットプレーで完全に押し切られてしまった。

 決勝トーナメントでは4位通過のバツとして初戦からブラジルというラスボスと対戦。5-3-2で中央を閉じるコンパクトな陣形で相手を苦しめたが、パケタとネイマールのコンビにかち割られてしまった。ブラジルに退場者が出たことで押し込む機会を得ることができたものの、ブロックを敷くブラジルを崩す武器はなし。10人のブラジルを崩せずに終戦してしまった。

 それでも代表チームにおいては練度の高いプレスでブラジルを苦しめることはできたし、徐々にコンディションを上げていくスタイルもどちらかと言えばトーナメント向きだろう。スペシャルなタレントであるアレクシス・サンチェスが残り1年でどこまでフォームを上げられればプラスアルファをもたらすことができるようになるのだが。

頑張った選手⇒ベン・ブレアトン
 チリに似つかわしくない重戦車系の選手でいいアクセントになっていた。所属を調べてみたらブラックバーンでなんか納得した。

今大会まとめ

ウルグアイ

画像2

流動性と柔軟性が武器の新生ウルグアイ 

 ウルグアイと言えば堅守速攻の4-4-2。堅く守り、縦に早くつけてカバーニとスアレスの2人に託すというのがイメージであった。しかしながら、4-4-2で臨んだのは開幕戦のアルゼンチン戦のみ。それ以外は多彩なフォーメーションで試合に臨んだウルグアイであった。

 確かに初戦のフォーメーションはアルゼンチンという相手を差し引いてもあまり機能したとは言えなかった。ポジションチェンジが少なく、硬直気味。往年よりは自陣深い位置からのロングカウンターが出せないようで、押し込まれたアルゼンチンに堅く運ばれた印象だ。

 その分、改良されたのはボール保持の意識。縦に早く進むことに特化できない分、中盤を中心に保持の部分で落ち着く頻度が高かった。3節のボリビア戦で徐々にリズムを掴めるようになると、チームのコンディションは段々と上がっていく。チリもそうだけど、南米は尻上がりのチームが多い。トーナメントだけは本気!みたいな。レギュレーションのせいかもしれないけど。

 特にコンディションがよさそうだったのは前線。スアレス、カバーニのコンビはもちろんだが、デ・アラスカエタも動き出しが鋭く、敵陣に迫る大きな武器になっていた。サイドを固定し、そこから前線の動き出しで奥行きを作り、相手のラインを押し下げる。そして、それと並行にボールサイドとは異なるFWがエリア内に入り込んでいくイメージで攻撃を進めていく。

 攻撃の部分ではウルグアイっぽさはやや失われたように見えたが、中央の堅さは健在。ムスレラ、ゴディン、ヒメネスのトライアングルは強固で簡単には崩されない。

 決勝トーナメントでのコロンビア戦は堅めにからめとられてしまい、PK戦で散ってしまった。上り調子だっただけに少し残念な気持ち。次のワールドカップはタバレス政権の集大成となる。スアレス、カバーニが万全で迎えられる最後のW杯でもあるだろう。節目となる大会に向けてあと1年。どのように仕上げてくるだろうか。

頑張った選手⇒ジョルジアン・デ・アラスカエタ
 ナンバー10らしく攻撃的な部分のアクセントとしての機能。カバーニ、スアレスに続く3本目の矢としてチームを牽引していた。

今大会まとめ

エクアドル

画像3

分かり易さは諸刃の剣

 4-4-2のフォーメーションを基本とし、攻撃はサイドが軸というオールドファッションな構成のチーム。全体的に南米の方が欧州よりもまだオールドファッションな香りがまだ残っていると思う。

 攻撃においてはSHが内側に絞り、大外はSBに任せるのが基本線。両SBのプレシアードとエストゥピニャンの攻撃力が高いのが特徴。特に左のエストゥピニャンの攻撃性能の高さは特筆すべきポイントだ。

    中にはエースのエネル・バレンシアがクロスを待ち受けている。クロスの入り方が非常にうまいFWで、あまりPA内に人数をかけることのないエクアドルの攻撃において、ボックス内の責任を一手に引き受けている。

 武器はハッキリしているのだが、その使い方がやや単調なのが難点だろうか。正直サイドからクロスでバレンシアに合わせるパターンはわかり切っている。しかも、サイドに中央の選手を流してクロスを上げるための仕組みを作っているわけではないので、サイドでの対人で劣勢になってしまうと手詰まりになってしまうという難点もある。

 武器はとがっているが使うのがばれている状態ではなかなか勝つのは難しい。何とか最終節で消化試合のブラジル戦相手に引き分けたことで滑り込みでノックアウトラウンドに進出したが、ベスト8に進出したチームの中で唯一勝利がない。

 アルゼンチン相手にもエストゥピニャンとプレシアードが駆け上がってのクロスは通用したが、フィニッシュがバレンシア1枚ではやや厳しかった感が否めず。もう少し攻撃面でのバランスを崩しながら相手の守備を壊す意識がないと、薄い糸をたどるような戦いになってしまうのは必至なのが苦しいところである。

頑張った選手⇒エネル・バレンシア
 娘に対する養育費を支払わないことで警察に追い回されるも、何とか捕まらずに試合に出場するというすご技をやってのけたキャラというイメージしかなかったけど、普通にエースをやっていた。娘さんは元気かな。

今大会まとめ

おしまい。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次