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「Catch up COPA AMERICA 2021」~Match day 5~ 2021.6.27-28

前節分はこちら。

目次

①【グループB】ブラジル×エクアドル

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■ペルーに苦しみ、ペルーに助けられる

 ペルーに追いつかれたことで一転窮地に陥ったエクアドル。最終節でブラジル相手に勝ち点を奪わなければ、敗退の可能性もある緊張感のある試合となった。

 エクアドルは立ち上がりはブラジルをきっちりリスペクト。SHが自陣深くまで下がる6バック的な振る舞いも見られる。トップのラインも低い状態で自陣で構えるスタンスだ。

    それに対してブラジルはエリアの外からのアプローチが多め。CHのファビーニョとドウグラス・ルイスはブロックの中で受けるよりも、外からポンポン放り込むことで組み立てに挑む。CBに運べるマルキーニョスがいることもこのやり方の後押しになる。エクアドルが自陣寄りにシフトする分、ブラジルは後方の選手に前後に移動の自由を許していた。

 左右の深い位置まで運べる状態は作れるので、押し込んでカウンターの危険性は少ない。しかしながら、なかなかブロックを崩すのも難しいブラジルであった。

   時間が経つと戦況に徐々に変化が出てくるようになった。エクアドルのプレスの位置が高くなるようになってきたのである。理由として考えられるのはブラジルの長いボールの攻撃の精度がイマイチだからだろう。ネイマールと同じようにガブリエル・バルボサにも縦横無尽に移動する自由は与えられていた。しかしながらネイマールがいない分、長いボールでのカウンターでの威力は割引だった。

 長いボールでの脅威が薄いということで、エクアドルは躊躇なく前からプレスにいくことができたということだろう。ということで、押し込むという優位も失ってしまったブラジル。試合は互角な展開に徐々に流れていく。

 困ったときに頼りになるものはセットプレー、そしてレアル・マドリー。というわけでブラジルの先制点をCKからこじ開けたのはミリトンである。今夏も各所の国際大会で猛威を振るっているレアル・マドリーのDNAだが、コパアメリカでも相変わらず脅威である。

 勝ち点は必須なエクアドルは後半の立ち上がりから一気に攻めに出る。立ち上がりの押し込む時間帯においてどうしても点が欲しかったはず。特に体を張るのが目立っていたのがエネル・バレンシア。寄せにも屈さないフィジカルで狭い位置を打開するためのキープを見せる。同点ゴールも彼のアシストから。交代出場のメナがポストプレーからの裏抜けを叩きこんだ。

 その後は互角の戦いが続いた両チーム。勝たなければ自力突破はないエクアドルだが、どうしてもその1点を手に入れることができなかった。しかし、他会場でペルーがベネズエラを下したおかげでエクアドルは無事にノックアウトラウンド進出。ペルーに苦しめられて、ペルーに救われたグループステージとなったエクアドルだった。

試合結果
ブラジル 1-1 エクアドル
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
BRA:37′ ミリトン
ECU:52′ メナ
主審:ロベルト・トバル

②【グループB】ベネズエラ×ペルー

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■初陣の選手で臨む賭けは

 大会直前で選手8人がコロナウイルス陽性反応。慌てて自国から15人の選手を新たに呼び寄せるなど完全にバタバタだったベネズエラ。グループステージでは明らかに弱者の戦いを強いられたものの、驚異的な粘りでコロンビアなど格上から勝ち点を奪ってきた。しかし、粘り切ることはできても勝ち切ることができないベネズエラ。攻撃に打って出ても、なかなか得点を得ることができないことが課題となって立ちはだかっている。

 対するペルーも他会場の結果次第ではまだ敗退の可能性がある状況。内容的には悪くないサッカーが続いているが、少なくとも引き分け以上で突破を決めたいところである。

 ベネズエラはこの試合に向けて大幅にメンバーを入れ替えてきた。パパっとtransfermarktを見てみると、今回スタメン入りした選手たちは大会前にの代表戦には出場していた選手たちばかり。おそらくなのだけど、コロナの影響で隔離していた選手たちを戻したということなのだろう。

 ベネズエラは保持をしながらペルーのプレスの合間をかいくぐりながら前進を試みる。しかしながら、なかなか相手のゴール前にはたどり着ける状況にはない。これまでは右サイドのゴンサレスとマルティネスを軸に推進してきたが、彼らはこの日はベンチ。攻め手がハッキリしない分どこから進むかがぼやけた印象を受けた。それだけに17分に右サイドから進んで得たコルドバの決定機は決めたかったところ。あとは押し込むだけだったのに。

 時間が経つとともに主導権はペルーに。ベネズエラは高い位置から止めに行くものの、保持の部分で力があるペルーはプレスをいなしながらスイスイ進む。これまでのベネズエラは撤退型の5-4-1を主体としてきたが、さすがにそれだけでは勝利は遠いと感じたのだろう。だが、結局高い位置からは止められず、ずるずるとラインを下げてしまうことが多かった。

 その結果、ライン間の適正な距離を保てないベネズエラ。ペルーは同サイドを打ち破りながらラインを押し下げる動きを増やしていく。押し込む時間が増えたペルーは後半にセットプレーから先制する。

 困り果てたのはベネズエラ。保持における武器も定まらない。かつ、高い位置で相手を止めることもできない。大会初戦となる選手たちを入れ替えて投入したベネズエラの賭けは事態を好転させることはなし。グループステージを盛り上げたが、残念ながらここで敗退となってしまった。

試合結果
ベネズエラ 0-1 ペルー
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
PER:47′ カリージョ
主審:パトリシオ・ロースタウ

③【グループA】ウルグアイ×パラグアイ

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■流動性で得た優位

 次ラウンドへの進出が決まっている両チームの一戦。比較的リラックスした形でこの試合を迎えることができたはずである。ウルグアイはスアレスを温存。カバーニと共に前線に入ったのはデ・ラ・クルスとデ・アラスカエタの2人。彼ら2人をシャドーとして4-3-3のフォーメーションでパラグアイの4-4-2に挑む。

 アンカーのベシーノが降りる役割を果たす分、後方は数的優位を組みだすことができるウルグアイ。その分、パラグアイは中盤4枚でウルグアイのSBとIHの4枚をホールド。中盤を硬直させて、保持の展開を停滞させることを狙う。

 これを打開したのがウルグアイの流動性の高い前線。ボールを引き出すスキルは天下一品のカバーニはもちろん、デ・ラ・クルスとデ・アラスカエタの2人もスペースに入り込んでくるランはとてもよくできていた。ウルグアイは最終ラインからの前線のスペースに向けたフィードで相手を押し下げると先制点につながるPKを得る。

 その後も前線の3枚を中心にパラグアイの最終ラインに対して優位を取るウルグアイ。パラグアイは彼らの機動力を止めることができず、最終ラインを押し下げながら、ウルグアイが入り込めるスペースを作ってしまう。そのスペースにシャドーや後方の選手が入り込むことで好機を作り続ける。

 一方のパラグアイは攻撃機会は少ないものの、カウンターを中心に反撃に出ようと試みる。特に頼みの綱になったのはアルミロン。中央で受けるとここから左右に散らす役割を担当。クラブよりもひょっとすると重要な役割をまかされている感のあるアルミロンであった。

 しかし、そのアルミロンが腿裏の負傷で交代。決勝トーナメントを見据えても、パラグアイには非常に痛手となりそうだ。これにより、敵陣でのボールの収めどころを失ったパラグアイであった。

 後半も引き続き試合のペースはウルグアイ。パラグアイとしても引き続き負傷者が出る可能性を踏まえると勇猛果敢に出ていくのはリスクに直結する。2点目は取れなかったが、手堅く勝利を決めたウルグアイ。ベスト8の舞台で今日の両シャドーにはもっと大暴れしてほしいところである。

試合結果
ウルグアイ 1-0 パラグアイ
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
URU:21′(PK) カバーニ
主審:ラパエル・クラウス

④【グループA】ボリビア×アルゼンチン

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■果敢なトライも先制点まで

 最終節を前に敗退が決まっているボリビア。アルゼンチン相手に爪痕を残すには撤退している場合ではない。というわけで高い位置からアルゼンチンを食い止めに行く。

 両チームのフォーメーションを比較すると4-4-2同士(アルゼンチンは厳密には4-4-1+メッシだけど)なのでボリビアが高い位置からプレッシングにいけばある程度噛み合う。

 しかしながら、アルゼンチンはこのボリビアの気合の入ったプレスに対してあっさり解決策を見出す。非常に簡単な列落ちであっさりとボリビアのプレスは外されてしまう。狙い目になったのはボリビアの2トップの脇。この脇にアルゼンチンの選手が降りてくることでフリーでボールを受けることができる。ボリビアのプレスもここまで追い回すほど気合が入っているわけではなかった。この位置でメッシがボールを受けてしまえば自分で運んで加速が十分にできてしまう。それだけで解決である。

 崩しに関してもあっさりと解決策を見出す。アルゼンチンの崩しは広くサイドを使ってボリビアを横に揺さぶる。これに対しては、ボリビアはSHが低い位置まで降りて対応。2トップは前に残るため、ボリビアは6-2のような中央がスカスカな形で受けることになる。ボリビアが横に広がったせいで中央でフリーの選手を作りやすくなったアルゼンチン。先制点はコレアが深さを作り、メッシからアレハンドロ・ゴメスが裏を取り、アッサリと仕留める。

 その後もアルゼンチンはワンサイドで押し切る。中央を起点とした横断は先制点以降もすぱすぱ決まる。メッシがこの位置でフリーになることもしばしば。逆サイドへの展開や自らの仕掛けで自由自在にボリビアを攻め立て放題。順調に得点を重ねていく。

 ボリビアは先制点ですっかりと戦意喪失してしまった感。自陣から進むビルドアップに対して、間受けにピッチを縦横無尽に走っていたサーベドラにご褒美のゴールはあったものの、よくまぁ1点決めたなというのが正直な印象。アルゼンチンがボリビアを完勝で下し、決勝トーナメント進出に弾みをつけた。

試合結果
ボリビア 1-4 アルゼンチン
パンタナル・アリーナ
【得点者】
BOL:60′ サーベドラ
ARG:6′ ゴメス, 33′(PK), 42′ メッシ、65′ ラウタロ・マルティネス
主審:アンドレス・ロハス

続きはこちら!

  おしまいじゃ!

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