1st leg
アラウホの退場を契機に敵地でパリが大逆転
準々決勝で行われた4試合の中で唯一アウェイチームとして勝利を挙げたバルセロナ。現状においては最も突破に近い存在と言っていいだろう。
ビハインドとなったパリはハイプレスでスタート。高い位置から同数で捕まえにいく。ボールを奪ったら素早く縦に進みスピードのある3トップに。奪って攻撃に出るというサイクルを高速で回すことで反撃に出る。
パリの即時奪回の成否のポイントとなったのはレヴァンドフスキをノーファウルで抑えることができるかどうか。ここで収められてしまうとパリとしてはきつい。守備陣が完全にここで勝ちきれなかったことはパリとして強気に出ていくための足枷となっていた。
バルセロナはパリのプレスが緩んだところで持ち上がったアラウホを起点に先制点をゲット。右のヤマルに展開するとここからサイドを破り、ハフィーニャがトータルスコアでリードを広げるゴールを奪った。
先制したタイミングでパリがボール保持での局面が増えるように。3-2-5での初期配置から柔軟にメンバーを出し入れすることでバルセロナを揺さぶっていく。しかしながら、バルセロナは近頃磨かれているコンパクトな4-4-2でソリッドな守備を展開。ライン間でパリにポイントを作らせないことで保持を阻害する。パリにとっては左から押し下げるバルコラが唯一の希望という形であった。
だが、流れはワンプレーで変わる。両チームの運命を変えたのはパリの迎撃守備からのカウンター。立ち上がりのようなマンツーで噛み合わせる形からのメンデスのボール奪取から。先制点のようにやや浮いたことを利用して前にボールをつけようとしたアラウホのパスをカットし、素早く縦にボールをつけると抜け出したバルコラがアラウホに後ろから倒されてしまう。これでバルセロナは残りの30分強を10人で戦うこととなった。
4-4-1で守る選択をしたバルセロナに対して、パリは再び保持をベースに勝負をかけていく。ここでもやはり希望となったのはバルコラ。ファビアンとエムバペの助けを借りつつ左の大外からチャンスメイク。40分にはデンベレのゴールをアシストし、反撃の足がかりをともした。
後半の立ち上がりはバルセロナが高い位置からボールを奪いにいくが、パリはプレスを回避することで平定。前半と同じく押し込む展開に持っていく。前半と違いがあったのは、ヴィチーニャを中心に左右にバランスよくボールを動かして行ったこと。押し下げることを大事にすることでバルセロナをより自陣に閉じ込めていく。
押し下げたブロックをこじ開けたのはヴィチーニャ。押し下げる陣頭指揮をとった司令塔が自らのミドルでこじ開けて試合を動かす。
失点直後にバルセロナは反撃。ペドリとレヴァンドフスキでなんとかスペースを捻り出し、ギュンドアンのシュートチャンスを生み出してみせた。
だが、パリのペースは変わらず。逆転のゴールを掴んだのは右サイドのデンベレ。ドリブルでの仕掛けからPKを獲得する。確かに攻められ続けるのは得意ではない展開であるとはいえ、プロテクトされたボールに無理にアプローチしてしまったカンセロは軽率。軽いプレーでPKを献上してしまった。これをエムバペが仕留めてついにパリはトータルスコアを逆転する。
以降のパリは保持で歩きながらボールを動かして時計の針を進めていく。もっともバルセロナにはまだ追いつくチャンスがあった。気合の入ったアタッカー陣が中央を強引に切り拓いていく姿勢を見せてホームのファンの希望を繋ぐ。だが、その希望の前に立ちはだかったのはドンナルンマ。文字通りの最後の壁となり、自陣でのパリの軽いプレーの尻拭いをしていく。
縦に強引に進んでいくということはパリのカウンターを受ける覚悟があるということでもある。終了間際にそのカウンターから試合を決める追加点を決めたパリ。体を投げ出してシュートを防ぎ続けていたバルセロナの守備陣だったが、クンデのクリアが味方に当たってしまい、エンバペの前に転がってしまったのが運の尽き。両チームが勝敗が決したことを確信する89分のゴールが決まる。
180分の激闘を制したのはパリ。アラウホの退場から転がってきた好機を見事に生かした逆転勝利となった。
ひとこと
先制点に関与したアラウホが試合の流れを逆に回転させてしまうのはなかなかな因果であった。
試合結果
2024.4.16
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter-final 2nd leg
バルセロナ 1-4(AGG:4-6) パリ・サンジェルマン
エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス
【得点者】
BAR:12’ ハフィーニャ
PSG:40‘ デンベレ, 54‘ ヴィチーニャ, 61’(PK) 89’ エンバペ
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ