Fixture
プレミアリーグ 第34節
2024.4.20
ウォルバーハンプトン(11位/12勝7分13敗/勝ち点43/得点46 失点51)
×
アーセナル(2位/22勝5分5敗/勝ち点/得点75 失点26)
@モリニュー・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でウォルバーハンプトンの3勝、アーセナルの6勝、引き分けが2つ。
ウルブスのホームでの成績
過去10回の対戦でウォルバーハンプトンの2勝、アーセナルの8勝。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルはウルブス戦6連勝を狙う。
- アーセナルは公式戦での32回のウルブス戦において全て得点を決めている。これは特定のクラブに対する連続得点のタイ記録。ウェストブロム相手にも同様の記録を持っている。
スカッド情報
- マテウス・クーニャはふくらはぎの問題で欠場。ネルソン・セメドも筋肉系のトラブルで不在の見込み。
- クレイグ・ドーソンは鼠蹊部の負傷で不在だが、ラヤン・アイト=ヌーリは当日判断。ファン・ヒチャンは45分間のみのプレーが可能。
- 新たな負傷者はおらずユリエン・ティンバーが唯一の欠場者。
Match facts from BBC sport
- 直近4試合のプレミアでは未勝利(D2,L2)。しかしながら、直近2試合のその日を首位で迎えたチーム相手とのホームゲームは連勝中(アーセナルは首位じゃないけど・・・)
- ホームでの直近5試合のリーグ戦で3敗しており、それ以前の15試合での敗戦数より多い(W9,D4,L2)
- 直近26試合のホームでの公式戦において得点をできなかったのは2月のブレントフォード戦の1試合のみ。
- 5大リーグにおいてPA外からのシュートを得点に結び付けられていない唯一のチーム。なお、PA外から放ったシュートがオウンゴールになったケースは除く。
- クラブ史上初のアウェイでのリーグ戦における6試合連続クリーンシートを狙う。プレミアにおいては14-15のリバプール以来。
- ボトムハームとの試合においては17戦15勝。勝ち点を落とした2つの試合はいずれもフラム相手のもの。
- 10-11に記録した39得点のアウェイでのクラブ得点記録まであと2つ。
- レアンドロ・トロサールはスタメンとして218分につき1得点を記録しているが、ベンチからの出場だと86分につき1得点を決めている。
- ブカヨ・サカは直近7試合のアウェイでのリーグ戦で8つのゴールに関与(7G,1A)
予習
第31節 バーンリー戦
第32節 ウェストハム戦
第33節 ノッティンガム・フォレスト戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
前線不在のウルブスのジレンマ
残留争いにしても、優勝争いにしてもそうなのだが、当該クラブと全て対戦を残しているチームというのがたいてい存在する。現状、優勝争いを演じている3つのチームがいずれも対戦する「運命請負人」は2チーム残っている。1つはトッテナム、そしてもう1つがアーセナルが今節対戦するウルブス。アーセナルは今節、1人目の運命請負人と対峙することになる。
アーセナルの事情は苦しい。先週のアストンビラ戦は後半にガス欠を起こしてしまったし、ミッドウィークのCLのバイエルン戦ではその疲労を引きずる形で敗北。精神的にも身体的にも大きなダメージを負っており、CL敗退から中2日で迎える今節も当然ハードな展開になるだろう。
しかしながら、タフな状況を迎えているのはウルブスも同じ。プレスカンファレンスのオニール監督の言葉を信じるのであれば、今のチームは怪我人だらけ。ネト、ヒチャンを始めとしたアタッカー陣、アイト=ヌーリやセメドの欠場見込みがあるWB、そしてドーソンがいなくなってしまったCBなど中盤CH以外は各ポジションで人数がショートしてしまっているという現状にぶつかっている。怪我人は少ないがコンディション面で不安があるアーセナルとは異なる切り口だけども、苦しいのは確かである。
特に前線メンバーが揃わない試合という意味でサンプルになるのはバーンリー戦。ボール保持をベースに戦ってくるバーンリーを相手に縦に早いカウンターを仕掛けようとして失敗し続ける流れとなった。特にカウンターは悪循環だった。まず、ボールを敵陣まで運ぶことができるドリブラーがいないから相手を押し下げることができない。押し下げることができないのでとにかく前に放り込む。チウォメが勤めた1トップは平然と跳ね返されるという流れ。
その流れを学習してか、ウルブスは以降の試合ではよりショートパスでの繋ぎにシフト。後方から丁寧に運ぶことで敵陣に手数と人数をかけて入り込んでいく形を作っていけるように。
アタッカーがいない分、2列目に多くのMFタイプを使うことは繋ぎの局面には役に立った。ジョアン・ゴメスが前にスライドしたことで出番の増えたドイルが司令塔然とした貫禄がついて来たのは成長を感じる部分である。
もう1人、存在感を発揮していたのはアイト=ヌーリ。左の大外の専門職のイメージが強かった選手だが、中央での絞りや逆サイドからのカットインなど多彩なポジションでの活躍をアピールしていた。前線の選手不在を埋めていた選手だけに出場が危ぶまれる状況なのはウルブスにとっては痛手だろう。
逆に非保持に回った時もウルブスのテーマは陣地回復となる。リトリートしてロングカウンターという手法は通用しないので、中盤はある程度高い位置から奪い取るアクションをする必要が出てくるはずだ。
全体として今のウルブスの命題は陣地回復をどこで担保するか。前線での爆発的なエネルギー注入がこの試合でも期待できない分、保持かプレスでその部分を補わないと前進すらままならない状況となる。
スターターで一息入れるラストチャンスの可能性
展開を掌握するという意味で最も有効なのは押し込みながらプレーすることだろう。ゴールを奪い切るというミッションに関しては苦しくはなるが、ウルブスがロングカウンターの質を担保するのが難しい以上、押し込みながら試合を運ぶのが一番の主導権を握る策になる。
前線のメンバー供給が足りないことを考えると、おそらく布陣は5バックがベースになるはず。後方のブロックは固くなるはずだが、手前へのやり直しを繰り返しながらなんとかライン間を広げていきたい。先に述べたようにウルブスの中盤はおそらく非保持においては陣地回復の狙いを見せたいはず。その誘いをくすぐるように保持では自陣の深さを使った組み立てを意識していきたい。それができればミドルゾーンからの裏抜けで前線のスピードを生かす展開も見えてくるだろう。
この先のスケジュールを見ると、直後のチェルシー戦を除けばミッドウィークの試合はない。つまり、ここが最後の山場となる。この後、中2日で迎えるチェルシー戦とそこからさらに中4日で迎えるノースロンドンダービーはおそらくメンバーを落とさずにコアメンバー数人を入れ替えるかの判断に止まると予想。コアメンバー外の選手をスタートさせるのであれば、CL直後のこのタイミングであると考えられる。
特に、アタッカーが枯渇気味のウルブス相手であれば、最終ラインの入れ替えにトライしてもいいかもしれない。アストンビラ戦前に出場可否が怪しいと報じられたガブリエウを筆頭に大胆なターンオーバーに挑む案が予想スタメンの並びとなる。最後の連戦の息の入れどころにするのか、それとも一気に走り抜ける選択をするのか。アルテタの手腕が問われることになる。
逆に中盤はタイトなマークが必要になる。ドイル、ジョアン・ゴメス、マリオ・レミナといった中盤の面々はいずれも好調。アイト=ヌーリ、セメドといったワイドの起点の出場が危ぶまれているとはいえ、彼らにはきっちりとタイトにマークに行きたい。そう考えるとウーデゴールやライスに休みが与えられるかどうかは微妙なところだろう。
バイエルンとアストンビラに連敗したことで好調だった2024年の過ごし方には厳しい視線が与えられるようになった。去年よりもどう見てもチームマネジメントには工夫が施されている。先にも述べたが疲労をコントロールするのであれば、おそらくこの週末がラストチャンス。監督側のプラン設計と選手側がパフォーマンスで応えることができるかどうか。2つの面でチームの底力が問われる一戦になるだろう。