MENU
カテゴリー

「ACL最終便に間に合うのは?」~2021.6.2 J1 第21節 横浜FC×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第22節
2021.6.2
横浜FC(20位/1勝4分12敗/勝ち点7/得点12/失点42)
×
川崎フロンターレ(1位/16勝4分0敗/勝ち点52/得点49/失点15)
@ニッパツ三ツ沢球技場

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で川崎の10勝。

横浜FCホームでの戦績

図2

直近10試合で川崎の10勝。

Head-to-head

<Head-to-head>
・川崎は公式戦における横浜FC戦11連勝中。
・横浜FCは直近4試合連続川崎相手に得点中。
・横浜FCホームでの公式戦は川崎が12戦全勝。
・J1の舞台で横浜FCが川崎相手に奪った4得点は全て後半のもの。

 川崎にとって横浜FCは超お得意様。5月のリーグ戦の勝利で公式戦での連勝を11に伸ばした。しかし、直近4試合は横浜FCも得点を決めておりポテンシャルを示している。それ以前が6試合中5試合で無得点だった時に比べれば手も足も出ない状況ではないはずだ。

 ただ、横浜FCにとってホームの川崎戦は勝利はおろか勝ち点すら取ったことのない厳しいデータがある。得点が取れている後半まで川崎を何とかスローダウンさせて、終盤勝負に持ち込みたいところだが。

スカッド情報

【横浜FC】

・マギーニョは契約条項によって出場不可。
・齋藤功佑は脱臼により欠場。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太は長期離脱中。
・山村和也は練習に合流済み。

予想スタメン

画像2

Match facts

【横浜FC】

<横浜FCのMatch facts>
・昨季同時期よりも勝ち点は10減。
・直近5試合のリーグ戦で複数失点回避は3回。
・ホームでの公式戦は3試合負けなし。
・今季勝ち点を得た5試合中4試合はホームゲーム。
・クレーベは直近5試合の先発した公式戦で3得点。
・ハン・ホガン出場時の平均失点は1.57、チーム平均より0.5以上少ない。

 依然1勝と苦しい状況の横浜FC。ただ、スタッツを見ると徐々にではあるが改善の兆しが見えないこともない。まずは断トツでリーグ最多である失点。直近5試合の公式戦では3試合で複数失点を回避し、うち1試合は今季初のクリーンシートを達成している。開幕以降の12試合で複数失点回避は1試合だったことを踏まえれば進歩といえるだろう。

 ホームゲームで強みを見せているのもプラス材料。公式戦では3試合負けなしで、川崎相手に勝ち点を獲るチャンスをモノにできるか。

 勢いに乗っているのはクレーベ。すっかりスタメンに定着しているエースが川崎戦での2戦連発を虎視眈々と狙う。守備面でのスタッツで光るのはハン・ホガン。徐々にプレータイムを伸ばしている秋田からの新加入CBが固定起用されてから失点の減少が始まった印象だ。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・勝てば今季5回目の連勝。
・勝利で2019年シーズンの勝利数を超える。
・9試合連続で前半の失点はない。
・3試合連続でクリーンシートなし。今季ワーストタイ。
・小塚和季はキャリアにおける横浜FC戦で4戦全敗。
・2020年に山根視来不在だった3試合はいずれも勝利を収めている。

 鹿島戦で何とか2試合連続引き分けを回避した川崎。横浜FC戦に勝てば今季5回目の連勝になる。勝利数は振るわなかった2019年にすでに並んでおり、昨年に続き好調さを維持している。

 前半の失点は福岡戦以降9試合連続でなく、締まった立ち上がりを披露している。一方で後半は3試合連続の失点。クリーンシートから4試合連続で遠ざかれば今季ワーストとなる。

 今回のリーグ戦は代表招集組は出場不可となる。ここまで出ずっぱりだった山根は今年初めての欠場になる。2020年のリーグ戦は3試合欠場している。ちなみにこの3試合はいずれもホームゲームでクリーンシート。川崎加入後初めてアウェイでのリーグ戦でメンバーから外れることになる。

 横浜FC戦でいい思い出がないのは小塚。なにしろ4戦全敗の上にキャリア唯一の退場を経験しているのも横浜FCが相手の試合。ここまで苦しいシーズンになっているが、過去のトラウマごと全て吹き飛ばしてしまいたいところだ。

展望

■強みと修正のコンボが必要

 5/22に対戦したての両者のリマッチが早くも実現である。当然最も参考になるのは直接対戦した試合における出来事ということになるだろう。

 詳しくはレビューを読んでほしいのだが、ざっくりといえば前半は川崎が左サイドのオーバーロードを中心に攻め立ててペースを握り、後半は横浜FCが川崎の中盤を振り回しながら主導権を握り返したという流れである。

 一番スマートなのは、この日うまくいった時間帯を再現し、うまくいかなかった時間帯を抽出して焼き直しを行うことである。川崎目線でいえば最もうまくいったのは緩急をつけた縦方向への破壊ムーブである。効果的なのは止まった状態から急にスイッチが入る動きだ。

1. ポストプレー
2. ホルダーを追い越す動き
3. ダイレクトな縦パス

 ほかにもあるだろうが大きく分けるとこの3つである。今までの川崎はこの要素1つ1つを高次元でこなしており、これらを織り交ぜることで守備側にプレーを絞らせないことで攻略が出来ている。

 だが、今季これらのプレーで光を放っている選手の多くは今回の試合においては代表活動において不在となる。したがって、こういった違いを生み出すプレーを代表選手以外で行わなければいけないというのがこの試合の最も大きなポイントである。

 まずは前線。期待されるのは長谷川竜也だろう。序盤戦に比べれば、前節の決勝点など試合の中で持ち味を出す機会は増えてはいるものの、もはやバリバリの中堅である年齢を考えればこれだけでは満足はできない。

 中盤でいえばその長谷川と相性がよさそうなのは小塚和季。上でいえば③のダイレクトな縦パスと長谷川の得意な斜めの走り込みを組み合わせれば横浜FCの5バックを壊すことは十分に可能である。

画像3

 旗手、田中碧が不在のインサイドハーフはこの代表活動で最も煽りを食いやすいところ。プレッシングで存在感を見せている橘田や遠野、強度をもたらす塚川にも保持においてできることを証明するチャンス。特にインサイドハーフ起用が想定される前者2人は重要。今季の川崎のやり方の肝はインサイドハーフといってもいい。

 横浜FCの縦方向の面を一気に破壊するには単に走りこむだけでなく、2,3手先を予測したタイミングが重要になる。連携面とオフザボール、さらには縦パスの出し手として機能すれば完璧。最低限、自分が今季の川崎の崩しの中でどの部分で関与できるかの証明はしたいところである。

 守備面における課題はアンカー脇のケアとWG裏のカバーになる。今季これまではこういった守備のアキレス腱はインサイドハーフの運動量にモノを言わせながら解決している感が強い。その中核を担ってきた旗手と田中が不在ということで、相手のテンポをどう落としながらアキレス腱を覆い隠すのかがポイントになる。全体をコンパクトに維持しつつ、ミドルゾーンをキープしてクレーベの競り合いを拾うスペースや、WG裏で受ける選手を挟み込んだりなどが考えられるだろうか。

画像4

 最終ラインでの注目は何と言っても右サイドだろう。代替不可だった山根が不在となるのはチームにとっては大きなチャンスともいえる。車屋をスライドさせるというやり方もあるだろうが、ファンが期待するのは専門職の台頭だろう。イサカ・ゼインに出場機会はあるだろうか。

 いずれにしても攻守に前向きな推進力を与えた右サイドバックの重要性は明らか。2019年に解決しなかった問題にひとまずこの試合では山根とは別のソリューションを持ち込んで解決しなければならない。

 横浜FCのここ数試合は守備時は4-4-2の状態を維持しつつ、攻撃時は上の図のように片側のSB(右の前島が上がることが多い)が高い位置にスライドする形で3バックに変形する。右のSHが内に絞り、クレーベの相方のFWとクレーベを挟む形である。

 川崎戦の後半では3バックに移行することにより、だいぶボール運びが整理された印象。この保持時の変化だとナチュラルな立ち位置でアンカー脇と大外に人員を配置できるというメリットがある。エースのクレーベは得点を取った川崎戦以降は好調を維持している。

 したがって、川崎はボールをスイスイ運ばれた前回対戦の修正も同じく行う必要がある。それだけではなく、90分で自分たちが起用されるべき理由を彼らは示さなければならない。この試合と天皇杯がここまで出番がなかった者たちの『ACL最終便』になることは間違いない。

 前回対戦の修正に加えて自分たちの持ち味を出すということは並大抵のことではない。だが、昨年は山村や齋藤を中心とした控え選手の活躍がチームとして厚みを増すための大きな原動力になった。今年の選手たちにも掴んだチャンスを離さないでほしい。相手を見ないサッカーは個人的には大嫌いなのだが、さすがにこの試合はまずは自分たちが何ができるかという部分になるだろう。ACL最終便に乗れるのは誰だろうか。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次