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「Catch up Premier League」~Match week 38~ 2021.5.23

目次

①アーセナル【9位】×ブライトン【16位】

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■来季の設計図は描けた

 終盤に連勝を重ねて何とか7位までは狙える順位にこぎつけたアーセナル。何とかカンファレンスリーグの出場権とトッテナムとの順位争いというモチベーションを手にすることができた。

 この日のアーセナルの出来はシンプルにとてもよかったと思う。中央とサイドのバランスの偏りがそこまでなかったのが1つ。特にこれまではラカゼットなしで機能しなかった中央からの前進も見られたのが大きかった。そして、中央、サイドに限らずにこの日はボールホルダーへのサポートが非常に適切。孤立していたこれまでとは異なり、パス交換から前を向く選手を作ると狭いスペースから脱出するようにサイドに展開する。

 個人で見るとこのサポートの部分でよかったのはスミス=ロウとウーデゴール。ジャカやトーマスを前に向かせる役割や、サイドで深い位置を取るペペとティアニーをマイナス方向でサポートすることでフリーランの後の相手陣の攻略も買って出た。彼らの存在のおかげでサイドの攻撃も活性化。今季最大の功労者であるサカが不在でも、非常に円滑に攻撃を進めることができた。

 最終ラインも動き出しに強みがあるブライトンの前線も封じている。ここ数試合のブライトンのパフォーマンスの中でもほぼ完ぺきに抑えられたのではないのかなと思う。ELのビジャレアル戦で頻発したような、サイドを経由してアーセナルの中盤を引っ張り出した形からの前進では惜しい場面は作られていたけども、アーセナルは最終局面ではうまいことやらせていなかった。

 そして、なんといってもペペである。エリアに入り込む動きとフィニッシュワークは絶品。素晴らしいフォームでシーズンを終えることができた。それもこれも大外できっちり起点が作れているから。そして得点シーンではジャカの展開が手綱を握っていたことも見逃せない。来季は陣容が大きく変わるのだろうが、このブライトン戦はアーセナルが目指すべき攻撃のメカニズムを体現した試合だったといえる。あとは頻度をどう上げていくか。

試合結果
アーセナル 2-0 ブライトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:49′ 60′ ぺぺ
主審:ジョナサン・モス

②アストンビラ【11位】×チェルシー【3位】

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■大一番を前に気になる動揺

 試合そのものの展開だけで見るとどこかモノトーンで淡白な試合が多かった最終節。ビラパークの一戦は非常にヒリヒリするスリリングな展開となった。立ち上がりは一方的にチェルシーが押し込む。左サイドはプリシッチとチルウェル、そして右サイドはマウントとアスピリクエタのシャドーとWBのコンビでライン間と大外のスペースをそれぞれ制圧。特に左サイドをメインとしてアストンビラを自陣に釘付けにする立ち上がり。チェルシーはマルティネスにシュートをひたすら浴びせ続けるもなかなかゴールを割ることができない。

 20分を過ぎたころからアストンビラが徐々に反撃に出るように。グリーリッシュやトラオレなど、1人でタメを作れる選手を軸にファウル奪取から徐々にチャンスを作るようになる。相手陣までたどり着くとアストンビラはプレッシングも織り交ぜながら敵陣でのプレータイムを徐々に重ねていく。立ち上がりは一方的に押されたアストンビラだったが、時間の経過とともに機会の面で押し返せるようになった。

 そんな中で先制したのはアストンビラ。セットプレーから左足のタイミングを外すシュートを決めたのはかつてチェルシーに所属していたトラオレだった。この前半終了間際の先制点はチェルシーには少なからず動揺を与えたよう。ここからチェルシーはやたらとファウルと警告を連発し、前半が終わるまではやたら落ち着かなかった。ハーフタイムを挟めてチェルシーファンは胸をなでおろしたことだろう。

 後半も再びプレスに出るチェルシー。ただし、前がかりになる分、アストンビラにもロングカウンターの機会は十分にあり。前半の立ち上がりのようなワンサイドゲームにはならなかった。そんな中で決定的なミスを犯してしまったのはジョルジーニョ。引っかけた足はやや軽率だったか。後半はサイドの空いたスペースに的確にボールを配球していただけに非常にもったいなかった。

 エル・ガジのPKで追加点を得たビラは徐々に落ち着けて撤退モードに移行。チェルシーは右サイドの崩しからファーで待ち構えていたチルウェルが叩きこんで1点を返す。その後も引き続き攻撃の手を緩めないチェルシーだったが、アスピリクエタの退場もあり、最後まで得点を得ることができず。だが、同じロンドンのトッテナムがレスターを下したことに助けられ、4位に滑り込むという大目標は達成した。

 ただ、前半終盤の慌てぶりなどやや精神面も含めた仕上がりには気になるところを残してCL決勝に臨むこととなってしまった。

試合結果
アストンビラ 2-1 チェルシー
ヴィラ・パーク
【得点者】
AVL:43′ トラオレ, 52′(PK) エル・ガジ
CHE:70′ チルウェル
主審:スチュアート・アットウィル

③フルハム【18位】×ニューカッスル【15位】

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■ウィロックの独走ゴールを跳ね返せず

 フルハムのプレミアラストゲームはホームにニューカッスルを迎えての試合。フルハムは3バックで後ろを厚めに臨んだこともあり、ボールの保持の時間は十分に確保することが出来ていた。しかしながら、崩せるかどうかは別問題。どこから前進するかが不明瞭で、もたついているうちにひっかけてしまって攻撃終了という場面は結構見た。

 そんな中でも頑張っていたのは降格が決まってから出番がもらえるようになったカルバーリョ。バリバリのレギュラーシーズンで使ってはいけないの?と思うくらいの出来なのだが、まぁきっといろいろ出番を与えにくい理由とかあるんだろうなと思う。空気感とか。ともかく、この試合では彼の間受けがフルハムの数少ない前進の手段になっていたことは間違いない。

 ただし、フルハムがボールをひっかけてしまえば当然ニューカッスルのターンに。サン=マクシマン様のお通りである。相変わらず一人で全部ぶっ壊してやるぜ!という意気込みが感じられる破壊神ぶりで、ロングカウンターで暴れまわっていた。

    だが、先制点までこぎつけたロングカウンターはウィロックが発動したもの。独走のドリブルを最後に蹴っつまずいたようにひっかけてしまったのは格好がつかなかったけど、知らんうちにもう一回ボールが転がってきたから決めてやりました!って感じで先制点をゲット。めっちゃ点とるね。点とる選手の前にはボール転がってくるね。

   保持の局面になったニューカッスルは中盤の数的優位を生かすことが出来るので、スローダウンしてボールを落ち着かせる手段もあった。フルハムのプレッシングが刺さる場面も少なかったので、いつもよりは落ち着いた展開で試合を進めることが出来た。フルハムは逆に残留にはプレッシングの整備が欲しかったところ。攻撃にズルがない分、トランジッションで強みは欲しかったのが本音である。

   アタッカー総動員で挑んだ得点も不発。この日はニューカッスルに丸め込まれてしまった。チャンピオンシップで磨きなおして、再度プレミアの舞台に舞い戻ることが出来るだろうか。

試合結果
フルハム 0-2 ニューカッスル
クレイブン・コテージ
【得点者】
NEW:22′ ウィロック, 88′ シェア
主審:クリス・カバナフ

④リーズ【10位】×ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】

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■ハイプレス放棄の代償

 終盤戦、破竹の連勝でトップハーフを確定させたリーズ。直近は4-4-2殺しの3-3-3-1でサウサンプトンとバーンリーを下してきた。だが、この日のウェストブロムは5-4-1であるので、ひとまずいつもの4-1-4-1に回帰である。

 試合の主導権はリーズのものだった。確かにこの2チームならばリーズがボールを持ちまくるというのは当然あり得る話なのだが、それにしてもウェストブロムが前からのプレスを放棄しすぎだろう。フィリップスが自由にボールを持てるのは当たり前。さらにあまりにも前から来ないため、途中からエイリングが『お前も前いっていいんじゃね?』って感じでアンカーに入って、フィリップスを前に追いやっていた。

 そんなエイリングの供給から得たCKでリーズは先制。終盤戦は調子を上げてきたロドリゴが先手を取る。フィリップスの2点目でこの試合は実質前半のうちに終わりを告げたといっていいだろう。エリアに迫った時のクロスに破壊力はあったウェストブロムだが、その権利をハイプレスの放棄で自ら手放してしまうのがもったいない。終盤のプレスのリーズへの効き方を見れば、これを前半からやっておけばワンチャンあったのに!という気持ちになってしまう。

 それよりも後半の見どころはリーズのベラルディとパブロ・エルナンデスの交代の風景だろう。今季限りで退団となるベテランを敵味方関係なくねぎらう姿はさほどリーズに長年の思い入れのない自分でもグッとくるものがあった。FAカップ決勝もそうなのだが、最終節を根性で有観客にした意味というのは大いにあったのだなと思う。久々にエランド・ロードに入った観客たちが功労者たちの門出とトップハーフで終えたチームを称える機会を得たのだから。

試合結果
リーズ 3-1 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
エランド・ロード
【得点者】
LEE:17′ ロドリゴ, 42′ フィリップス,79′ バンフォード
WBA:90′ ロブソン=カヌ
主審:デビッド・クーテ

⑤レスター【5位】×トッテナム【7位】

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■CL出場権目前で現れた死神

 最終節の最大の注目カードはこの試合だろう。CL出場権を狙うレスターと欧州カップ戦出場権をなんとかキープしたいスパーズの直接対決。最終節で両チームが来季のコンペティション出場権を争っているカードはこれだけである。

 序盤に少し粗が目立ったのはレスターの方。チェルシー戦の悪い流れを引きずっている感じ。囲い込むフェーズにおける出足が一歩遅く、相手を推進力を持った状態で引き込んでしまう。布陣の関係もあり、トッテナムはサイドから悠々と運べる展開になった。

 しかし、スパーズの安定しない最終ラインは最終節まで健在。ヴァーディのカウンターから安直に倒したアルデルワイレルドの軽率なプレーでレスターに先制点をプレゼントする。前半の終盤に攻勢に出たスパーズは押し込む状況からケインの豪快なボレーで同点に。エースが粗相を帳消しにするのも今季のスパーズのおなじみの光景でもある。

 だが、後半もトッテナムのバックスはヴァーディに出し抜かれる。やや誘うようにサンチェスに絡みながらヴァーディが得たPKから勝ち越し点をレスターが手にする。勝ち越し点に加えてチェルシーのビハインドの報も把握しているであろうキングパワースタジアムのスタンドのファンの歓声は増していく。だが、これはややレスター側にプレッシャーになっただろうか。トッテナムのプレッシングに対して引っかける場面が目立つ様になってくる。

 押し込まれる時間が増えていくレスター。終盤にシュマイケルの痛恨のオウンゴールでトッテナムに追いつかれると、最後に死神として立ちはだかったのはギャレス・ベイル。望みを砕くカウンターからの2発でレスターのCL出場権獲得を絶望的な状況に追いやる。レスターのンディディもメンディも跳ね返しは頑張っていたのだけど、やはりこういう展開になるとフォファナの負傷交代は痛かった。

 昨季に続き、今季もまたCL出場権を逃してしまったレスター。終盤の失速がチームの癖にならなければいいのだけど。

試合結果
レスター 2-4 トッテナム
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:18′(PK) 52′(PK) ヴァーディ 
TOT:41′ ケイン 76′ シュマイケル(OG). 87′ 90+6′ ベイル 
主審:アンソニー・テイラー

⑥リバプール【4位】×クリスタル・パレス【13位】

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■悪戦苦闘でたどり着いたCL出場権

 勝てばほぼ確実にCL出場権の確保となるリバプール。最終節の対戦相手はホジソン監督のラストゲームとなるクリスタル・パレス。順位的にはモチベーションは難しいが、監督業の第一線から退くメモリアルゲームとなることを考えれば選手たちは恥ずかしい試合はできないはずだ。

 立ち上がりのリバプールは今季の悪いところの詰め合わせだった。クリスタル・パレスのプレッシングは勢いはあったものの、嵌める感じではなかった。だが、リバプールのバックスはこのプレスに苦戦。早い段階で引っ掛けることによって、クリスタル・パレスの最大の武器であるショートカウンターをガッツリ食らい、あわやという場面を何度も作られた。タウンゼントが独走から得点を決めていればCL出場権争いの景色は大きく変わっていた可能性もある。

 不調だったのは後ろだけではない。前の選手たちの精度もイマイチで、フィルミーノは攻撃のリンクがうまくいかず、マネはやたらトリッキーなプレーを連発し、シュートは明らかに精度を欠くという苦しい状況。今季終盤戦でやたら見られた攻撃陣のぎこちなさを発揮し、リバプールファンは不安がぬぐえなかったはず。

 だが、セットプレーから入ったマネの先制点で落ち着きを取り戻したリバプール。これ以降はクリスタル・パレスをゴールに近づけることを許さず、ワンサイドゲームを展開。終盤に再びマネの追加点を取り、CL出場権を確実に手中に収めた。

 苦しい1年を過ごしたリバプールだったが、最後はなんとか最低限の目的を達成。来季も欧州最高峰の舞台で戦えることでチームもファンも明るい気持ちでオフシーズンを過ごせることだろう。

試合結果
リバプール 2-0 クリスタル・パレス
アンフィールド
【得点者】
LIV:36′ 74′ マネ
主審:アンドレ・マリナー

⑦マンチェスター・シティ【1位】×エバートン【8位】

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■バッチリのラストダンス

 ボールスキルでできることの差がそのまま両チームの差として如実に表れた試合といっていいだろう。エバートンはボール保持で苦しんだ。マンチェスター・シティの前線の誘導に屈して、彼らの後方がボールを奪取しやすいようなルートでしかエバートンはボールを運べない状況に。それでもエバートンはデイビスがスタートから出てきた分、保持の部分は改善されたように思うけども。

 それでもシティの保持とは比較するのは難しい。エバートンの非保持におけるボールの取りどころの設定が甘かった部分もあるが、それでもエバートンの網をすり抜けて次々とボールを間に大外につないでいく様は見事だった。先制点はマフレズ、フォーデン、ジェズスのパス交換でエバートンの左サイドから脱出し、逆サイドのデ・ブライネまで届けるところでミッションコンプリート。デ・ブライネの圧巻のミドルで先制する。直後の2点目はトランジッション。この2点でシティは早々に試合の行方を決めてしまった。

 そうなると見どころは当然この試合がラストマッチになるアグエロの登場である。後半途中に登場したアグエロのためにこの試合の後半は存在しているといってもいいだろう。

 後半のエバートンは守備陣の足が止まるシーンが目立ったこともシティのゴールラッシュをアシストした。中盤のアランやサイドのゴドフレイが前に出ていったとしても後方からのフォローアップはなし。エバートンの右サイドに大きく空いたスペースからドリブルに裏抜けに簡単に前進ができるように。

 こうなればアグエロがエティハドでのラストダンスを踊るのは難しくはなかった。エリア内でのドリブルで相手を交わして1点、そしてクロスをフリーで合わせて1点である。大量得点での勝利、そしてレジェンドの花道を見事に飾ったマンチェスター・シティ。今季残るミッションはあと1つである。

試合結果
マンチェスター・シティ 5-0 エバートン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:11′ デ・ブライネ, 14′ ジェズス, 53′ フォーデン, 71′ 76′ アグエロ
主審:マイケル・オリバー

⑧シェフィールド・ユナイテッド【20位】×バーンリー【17位】

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■ラストワンを飾った孤軍奮闘のエース

 立ち上がりから勢いを持って臨んだのは降格がすでに決まっているシェフィールド・ユナイテッド。バーンリーの4-4-2ブロックに対して、大外のWBを効果的に使い相手のラインを押し下げていく。だが、それでもゴールのチャンスは遠い。高さでは分があるバーンリーに対して、単にクロスを上げたところで優位は取れず。それでも効果的なクロスを上げることが出来るほどサイドの崩しの質が高ければ、今季のシェフィールド・ユナイテッドはこんなことになっていないだろう。

 だが、違う点を獲れる形を持っている選手がシェフィールド・ユナイテッドにはいる。FW陣の中で今季1人だけ気を吐き続けたマクゴールドリックが最終節でもゴール。するすると中に入っていく動きから独力で点を獲る存在はシェフィールド・ユナイテッドにとっては唯一のよりどころ。来季もこのチームにいるのだろうか。

 バーンリーも黙ってみていたわけではない。むしろエリア内に入った時の迫力の部分ではこちらに分がある。マクニールをはじめ、アーリーなクロスでエリア内に迫ることはできていたし、おなじみのウッドを軸に怖さを見せることが出来ていた。

 ただ、先制点の後はハイプレスに出ていったものの、シェフィールド・ユナイテッドに跳ね返された分、間延びして受ける機会は増えてしまった。終盤は再び、バーンリーは敵陣まで押し込んでいく機会を得ることが出来た。ゴール前わちゃわちゃで得点は取れそうではあったけど、そこはシェフィールド・ユナイテッドが体を張って食い止め続ける。

 結局、シェフィールド・ユナイテッドが逃げ切って、試合は終了。ひとまずお別れとなるプレミアの舞台を白星で去ることになった。

試合結果
シェフィールド・ユナイテッド 1-0 バーンリー
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:24′ マクゴールドリック
主審:ケビン・フレンド

⑨ウェストハム【6位】×サウサンプトン【14位】

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■1年を象徴するラストゲーム

 地獄の序盤戦から生還したウェストハムだったが、最終節まで上位で安定したシーズンを過ごすことができた。最終節の相手はサウサンプトン。ウェストハムとは対照的にジェットコースターのようなシーズンを送った1年になった。

 試合はそんな両チームの1年を象徴したものになった。立ち上がりから落ち着いて攻めていたのはウェストハムの方。押し込むところまではいくものの、サイドに到達してからの崩しの決め手に欠いていた。

 一方のセインツはトランジッションからチャンスを生み出す。関係ないけど、最終節は全試合一斉キックオフだったため、ゴールシーンを積極的に映す番組があったのだけど、カウンターからの南野の決定機が初めてのピックアップシーンだったから入ったのかと思ってしまったよ。なんだよ。

 本当の先制点を決めたのはウェストハム。アントニオのキープ力を使ったシンプルなサイドの崩しからのクロスからの得点となった。ボーウェンの侵入から最後は逆サイドのフォルナルスが仕留めた。続く2点目も決めたのは同じくフォルナルス。今季はあまり得点に縁がないシーズンだったが、最後に固め取りを決めた。

 後半はカウンターから刺す機会が増えるサウサンプトン。レドモンド、テラを中心に反攻を試みる。しかし、点が入るのはウェストハムの方。3点目が入ったのはサウサンプトンのDF陣の怠慢といっていい。ベドナレクが取り残されたのは仕方ないとして、ヴェスターゴーアが速攻で位置を守ることを意識して、カバーに入らない判断は無責任といわざるを得ない。

 締めるところを締めて結果をだすウェストハムといいところはあったもののあっさり折れてしまったサウサンプトン。彼らが今年歩んできた1年間を象徴する一戦となった。

試合結果
ウェストハム 3-0 サウサンプトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:30′ 33′ フォルナルス 86′ ライス
主審:マーティン・アトキンソン

⑩ウォルバーハンプトン【12位】×マンチェスター・ユナイテッド【2位】

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■ためらったプレスで踏んだ後手

 最終節も若手を多く起用した中1日ローテスタイルを採用したマンチェスター・ユナイテッド。一足早く来季仕様のメンバーを試行錯誤している感のあるウルブスとの最終節に臨む。

 噛み合わせで言えばウルブスにとってばっちりだろう。4-2-3-1に対しての3-1-4-2はその気になれば前線から完全に噛み合う形である。しかし、ウルブスは思い切ったプレスに動けず。特に、WBの押し上げが甘く、ユナイテッドはSBから安定してボールを運べる。この辺りは去就が不透明な指揮官の下での難しい部分とかあったのではないかなと思う。

 別格だったのはマタ。このメンツに入ると圧倒的で、間受けからのチャンスメイクを欠かさずに行う。気の利き方が段違いで、他のユナイテッドの面々ともクオリティの違いを見せつけていた。だが、さすがに守備の強度はやや落ちてしまう感は否めない。ブルーノ・フェルナンデスがいる以上は、リーグ戦で常時出番をもらうのが難しいのも理解できる。

 立ち上がりに先制を許したウルブスは何とか前半のうちに追いつく。トラオレの上下動を中心にユナイテッドの左を揺さぶると、セメドがエリア内に侵入しフィニッシュまで担当、見事に崩しきって見せた。しかし、個人でギャップが作れるトラオレを負傷で欠くと、徐々にウルブスはじり貧の様相になっていく。

 ジリ貧だと後方にボロが出るのが今季のウルブス。PKを与えたサイスのタックルは不必要なもので、完全に慌ててしまった。これが決勝点となったユナイテッド。こうなるとトラオレなしで押し込まれたウルブスは非常に厳しい。ファビオ・シルバとジョゼの前線は悪くはないが、ただひたすら跳ね返すのはユナイテッドのDF陣の得意分野。あまり効果は高くないといっていいだろう。

 攻めあぐねたウルブスに対してユナイテッドが逃げ切りに成功。若手を軸に最終節を勝利を飾った。

試合結果
ウォルバーハンプトン 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:39′ セメド
Man Utd:13′ エランガ, 45+4′(PK) マタ
主審:マイク・ディーン

  おしまいじゃ!

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