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「Catch up Premier League」~Match week 35~ 2021.5.7-5.10

目次

①レスター【3位】×ニューカッスル【17位】

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■止められなかった悪循環

 ここ数試合はDFからのボール運びにおいて相手を動かすことができずに苦しんでいたレスター。特に前節は10人のサウサンプトン相手に引きこもった陣形を打ち破ることができなかった。それに比べれば、この試合の立ち上がりはニューカッスルを引き出すことができていたように思う。ニューカッスルのプレス隊はサウサンプトンよりも前から積極的に取りに来てくれた分、レスターに前進する隙を与えるようになる。

 しかし、この日のレスターは組み立ての段階でのパスにやや難がある。キックオフ直前にエバンスが負傷で離脱し、DFラインの並びが変わってしまったこともあるかもしれないが、非常に不慣れな形で普段にはあまり見られることのない低い位置からのパスミスが見られるように。せっかくニューカッスルが前進するチャンスを与えてくれたにも関わらず、その機会を活かすことができない。

 そうしている間にレスターはあっけなく失点。先発に抜擢されたウィロックの追いなおしが効き、先制点を奪取する。失点を境にパフォーマンスがさらに落ちていくレスター。カウンターではスピードアップができず、プレスはかからず、ニューカッスルは徐々にポゼッションの時間を増やしていく。

 この日のレスターは普段は相手のMFラインの手前にいるティーレマンスが1列前に入る頻度が多かった分、攻撃の途中でボールをカットされての被カウンターで悪い形になりやすかった。ンディディが下がるとその傾向はさらに顕著に。レスターはスピードアップできない攻撃を引っかけ、ニューカッスルにカウンターとプレスの雨あられを食らう。あれよあれよという間に4失点。レスターにとってはアーセナル戦と並ぶひどい出来だった。

 それでも終盤に押し込む機会を得るとなんとか2得点までは盛り返すことができたレスター。それでもニューカッスル相手には勝ち点を得るには十分ではなかった。レスターはこの2戦で痛恨の勝ち点1。CL出場権争いにおける貯金を減らしながらマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、トッテナムの3連戦に臨むことになってしまった。

試合結果
レスター 2-4 ニューカッスル
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:80′ オルブライトン, 87′ イヘアナチョ
NEW:22′ ウィロック, 34′ ダメット, 64′ 73′ ウィルソン
主審:ダレン・イングランド

②リーズ【11位】×トッテナム【6位】

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■得意な展開で分かれた明暗

 共に理想のスタイルを貫けば試合の展開が速くなってしまう両チームの対戦。リーズはつなぎと大きな展開、そしてホルダーを追い越すオフザボールの攻撃と非保持における積極的な『追い込み漁』で試合のテンポを上げにかかる。一方のスパーズは前線のカウンターの破壊力はリーグでの随一のレベル。速い展開は得意分野で、ボールを持たされた時の停滞感を補って余りある部分である。

 試合は当然両者の望むところである速い展開になった。しかし、この展開に対する明暗はくっきり。のびのびとしていたのはリーズの方。アンカーのコッホに制限がかからないことをいいことに縦横の大きな展開でトッテナムを翻弄。あっさりサイドを崩し、クロスまでたどり着ける状況を作り続ける。

 特にリーズらしかったのは2点目のシーン。ハリソンでオーリエをピン止めすると、それを追い越すアリオスキが仕上げのクロス。ピン止め+追い越しからのクロスでバンフォードのフィニッシュという鉄板のリーズの方程式でスパーズ相手に勝ち越しゴールを手にする。

 逆についてくるマンマークの相手を振り切れずに苦しんだのはトッテナム。余る噛み合わせになるCBはボールを運べず、余っている状況を全く使うことができない。特に前線はストライク、ジョレンテ、エイリングの粘り強いマンマークでケインとソンに自由を渡さない。唯一、反撃の姿勢を見せることができたのはデレ・アリ。彼が前をボディコントロールを見せることで、味方に前を向かせる隙を作ることができる。

 先制点のシーンもその後のオフサイドのシーンもデレ・アリが前を向いて作り出したチャンスから。マンマークに風穴を開ける役割として孤軍奮闘していた。しかしながら、試合全体の流れはリーズの手中から動かない。マンマークに苦しんでいるトッテナムをリーズが90分間押し切り完勝。トッテナムとしては上位から離されてしまう手痛い一敗となった。

試合結果
リーズ 3-1 トッテナム
エランド・ロード
【得点者】
LEE:13′ ダラス, 42′ バンフォード, 84′ ロドリゴ
TOT:25′ ソン
主審:マイケル・オリバー

③シェフィールド・ユナイテッド【20位】×クリスタル・パレス【13位】

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■欲しかった武器で殴られる

 最近、お気に入りの4-3-3をクリスタル・パレスはこの日も採用。ただし、この日の対戦相手であるシェフィールド・ユナイテッドも3センター。ガッツリかみ合わせるマッチアップになってしまっていた。

 どうやってずれを作るんだろう?と思っていたら、早々と先制点でその答えを教えてくれたクリスタル・パレス。タウンゼントの落としからエゼのボールの持ち運びで、アッサリとシェフィールド・ユナイテッドのゴールを陥落させてみせた。

 エゼの推進力はこの日の両軍の中で抜きんでていた。せっかくシェフィールド・ユナイテッドが前に進んでも、引っかけてからのエゼのドリブルで台無し!なんて場面も結構あった。

 シェフィールド・ユナイテッドはサイドを使うことでクリスタル・パレスの4バックの外側を攻める選択をするのだが、どうしてもサイドの突破力という観点ではクリスタル・パレスに見劣りしてしまう。後半の右のバードックへの長いレンジのパスは一つのパターンとなり、クリスタル・パレスのラインを下げることには貢献出来てはいたが、そこから先のフィニッシュに至るまでの道筋は物足りない。

 結局はアタッカー陣の破壊力で差を見せつけたクリスタル・パレス。彼らがこの日見せた前線の爆発力はシェフィールド・ユナイテッドにとっては、1年間手に出来なかった武器だった。

試合結果
シェフィールド・ユナイテッド 0-2 クリスタル・パレス
ブラモール・レーン
【得点者】
CRY:2′ ベンテケ, 88′ エゼ
主審:シモン・フーパー

④マンチェスター・シティ【1位】×チェルシー【4位】

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■ジリジリの前半におけるシティの狙いは?

 真っ先に目につくのはマンチェスター・シティのフォーメーションだろう。中盤中央を務められるMFを思しき選手はロドリの1人だけ。5-1-4みたいな感じになるの?と思ったけど、意外と遠からずなその数字に近い並びになっている。

 多くの人の頭の中に「?」が浮かんだであろうシティのフォーメーションだが、おそらく目的は中盤の恒常的な3対2の状態の維持。スターリングとトーレスはやたらインサイドに絞ってくるので、カンテかギルモアを釣りだすことができれば彼ら2人への道筋が空くという算段だ。

 このインサイドの位置にいるスターリングとトーレスにCBが出てきたら、2トップがそのDFが出てくるサイドから裏を取る。これがシティの狙いだったのだろう。シティの狙いは部分的にはうまくいった。

 例えば先制点のシーンはその狙いが実った典型。釣りだしたリュディガーの裏をジェズスが突いて、クリステンセンを振り切り最後はアグエロ。チェルシーはクリステンセンを負傷で欠いた上、そのあとはPKを取られる踏んだり蹴ったりな展開に。だが、アグエロのチップをメンディがキャッチしたことで事なきを得た。

 ただ、前半のシティがうまくいったかというとそういうわけではない。理由は大外を制することが難しかったからである。左のメンディはオーバーラップはするのだが、精度やタイミングがあまり噛み合わず。右のカンセロはそもそもの走力的にオーバーラップを期待するのが酷。ということで、前半は中盤と裏のスペースをにらみ合いながらシティとチェルシーがバチバチ動かしあうジリジリした動きの少ない展開になった。

 後半、追うチェルシーはプレスへの意識を高め、試合自体のテンポアップを狙う。結果となったのは63分。ロドリからボールを回収すると最後は後半に推進力になっていたツィエク。ここしばらくはレギュラーからは遠ざかっていたがここでは結果を出して見せた。

 さらに終盤のチェルシーはハドソン=オドイを投入。大外からの抜け出しや崩しが狙えるようになったことで、シティの陣形を横に引き伸ばす。これが効果てきめんであった。ハドソン=オドイを気にするようになるシティの守備陣の意識を利用し、彼が内に絞る動きと入れ替わるようにヴェルナーが外に流れる。ヴェルナーがパスを引き出すと、最後のクロスをマルコス・アロンソが合わせる。

 決勝点は後半追加タイム。シティの目前の優勝を阻止したチェルシーがCL出場権争いで一歩前に出る大きな1勝を挙げた。

試合結果
マンチェスター・シティ 1-2 チェルシー
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:44′ スターリング
CHE:63’ツィエク, 90+2′ アロンソ 
主審:アンソニー・テイラー

⑤リバプール【7位】×サウサンプトン【15位】

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■バックライン前の防波堤の機能が大きな争点

 フォロワーながらもトップ4争いには何とかギリギリ食いついていけているリバプール。立ち上がりから積極的に動く。前線は前からの外切りプレス。その後方には同サイドのSB及びIHが後ろからフォローに入る形。サウサンプトンのビルドアップが攻撃的なSBを擁する右攻めに傾倒したこともあり、ワイナルドゥムとロバートソンは高い位置からチェイシングに加わることになった。

 久しぶりに高い位置からプレスに行った理由として考えられるのは、後方のCBコンビの経験だろう。ここ数年のリバプールが高い位置からプレスに行くのは後方のCBが広いエリアをカバーできる自信があったから。ただ、ウィリアムズとフィリップスのコンビでは後方のカバーは厳しく、逆に前で全てカタを付けてしまうためにプレスに行っているようにおもう。

 その証拠にリバプールのSBの攻めあがりは控えめ。彼らはできるだけ少ない手数で攻撃を狭いスペースで完結させて、攻め上がりを抑えながら後ろに負担をかけないように動いている。先制点の場面もかなり狭い範囲の動きでサラー⇒マネのクロスで完結。ただ、なるべく横幅は狭くの意識での攻撃の完結はリバプールといえどハードルが高い。得点力の停滞の理由はここら辺にあるように思う。

 だが、そのリバプールの心配を実証するかのようにサウサンプトンの攻撃が機能するか否かは右サイドのカイル・ウォーカー=ピータースが攻めあがれるかどうかにかかっていた。ロバートソンやワイナルドゥムの網を突破したウォーカー=ピータースの攻め上がりはリバプールの急所を突くものに。ここの網をサウサンプトンが突破するか、それともここに至る前でリバプールが食い止めるかがサウサンプトンの攻撃の成否を分けた。

 後半になるとややリバプールが丸め込むことに成功した印象だが、アームストロングが運ぶ役割を買って出たこととディアロやオバフェミなど機動力の高い戦力の投入で再び運ぶ機会を作るサウサンプトン。終盤までもつれた試合は90分にチアゴがミドルを沈めるまではどちらに転がるかわからないスリリングな展開となった。

試合結果
リバプール 2-0 サウサンプトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:31′ マネ, 90′ チアゴ
主審:ケビン・フレンド

⑥ウォルバーハンプトン【12位】×ブライトン【14位】

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■フレッシュな持ち味で逆転勝利に

 ボール保持と言えばブライトン。ウルブスは停滞感ばかりが目立ち、WGの個の打開力頼みになっている苦しい後半戦を過ごしている。絶対的な活躍を続けていたネトの離脱以降はその状況に拍車がかかっている状況である。

 しかし、この試合のウルブスのボール保持はとてもよかったように思う。特にヌーリとポデンスが結成した左サイドの縦関係が良好。前節はトラオレとヌーリという『まぁ、それぞれ頑張っていきましょう』系のコンビになってしまっていたが、この日の縦関係は内外を使いながら、相手の深い陣地まで進んでいくこともしばしば。

 ネベスが2トップ横に入り、左サイドの入り口となって攻撃を主導。相棒のジョアン・モウチーニョは逆サイドへの大きいサイドチェンジを駆使することでウルブスの保持は左右に広く行うことができていた。

 当然、ブライトンも保持型なので試合の展開は攻守の切り替えが少ないゆったりとしたものになる。ウルブスも非保持の時はあっさりとラインを下げてしまうので、ブライトンも敵陣深くまで入り込むことが可能。神出鬼没のウェルベックが起点となり、ポストで味方の前を向く手助けをしていた。

 そうした中でセットプレーから先制したブライトン。結構得点以前の状況においても、ウルブスのセットプレーの守備は先に触られる感じだったので失点は全く不思議ではない。

 しかし、この日のウルブスはそこから試合をひっくり返す。きっかけとなったのはファビオ・シルバの抜け出し。エリア内の力強さでは物足りなくても手前のラインの駆け引きで勝負したことで、ダンクを決定機阻止の一発退場に追い込む。

 終盤は終始ウルブスが押し込む展開に。ファビオ・シルバがワンツーでのアシストでトラオレへのお膳立てを決めると、後半追加タイムにおいてはギブス=ホワイトが決勝弾。新しいメンバー、新しい組み合わせ、新しい持ち味を見せたウルブスが10人のブライトンに逆転勝ちを決めた。

試合結果
ウォルバーハンプトン 2-1 ブライトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:76′ トラオレ, 90+1′ ギブス=ホワイト
BRI:13′ ダンク
主審:ジョナサン・モス

⑦アストンビラ【10位】×マンチェスター・ユナイテッド【2位】

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■ゴリゴリの逆転劇

 立ち上がりに主導権を握ったのはマンチェスター・ユナイテッド。光明を見つけたのは左サイド。パワーあふれるポグバでキャッシュを食いつかせると、大外にショウがオーバーラップするコースができる。終盤のマンチェスター・ユナイテッドの1つの武器になっているポグバを使ったパワー系の作戦で先に押し込む。

 しかし、すぐさまアストンビラも攻勢に。サイドから反撃しつつ狙ったのはマンチェスター・ユナイテッドのロングカウンターの起動の部分。反撃に向けて中央でユナイテッドの選手がパスを出すところを伺っているところを、アストンビラの中盤が即時奪回で再びやり返しショートカウンターという流れになっていた。

 だいぶ、このくだりでやられているなと思っていたら、そこからスーパーな先制点まで持って行かれてしまうのだから恐ろしい。決めたのはトラオレ。ネットの超隅をとらえる威力も十分なシュートはこの世に止められるキーパーなどいるの?と思ってしまうくらい強烈だった。

 ユナイテッドは前プレの勢いに苦しむが、30分過ぎから押し返すと後半は再びゲームの主導権を取り返す。逆転劇はあっという間でカバーニのPK弾、グリーンウッドと後半の15分も経たないうちに一気に逆転まで持って行った。相手陣の中にさえ入りこんでしまえば、PKのシーンのようにポグバが半ばズルっぽいフィジカルモンスターぶりを発揮することで得点機会を得ることが出来る。ズル。

 押し込むタイミングさえ作ればゴリゴリのフィジカルを生かした持ち味を発揮することが可能。後半、前に出れなくなったアストンビラに圧力をかけ切ったマンチェスター・ユナイテッドが見事な逆転勝利を手にした。

試合結果
アストンビラ 1-3 マンチェスター・ユナイテッド
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:
Man Utd:
主審:クリス・カバナフ

⑧ウェストハム【5位】×エバートン【8位】

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■エースの組み込みの成否が勝敗を分ける

 欧州カップ出場権を争う位置で終盤戦を迎えた両チーム。より高い目標を持てるウェストハムがボールを握って攻める展開となった。狙いはエバートンの管理が甘くなりがちなライン間。ここに楔を入れまくることで前進していく。最後の仕上げの直前で左にアントニオが流れることが多いのは良し悪しで、最後の最後の部分でエリア内に迫力がなくなったこともしばしばだった。

 一方のエバートンは普段に比べるとキャルバート=ルーウィンが低い位置で楔を引き出して前進する場面が目立った。キャルバート=ルーウィンのポストの精度は確かなのだが、エースを組み立てに使って、最終局面に絡む頻度が下がってしまう難点はウェストハムと全く同じ。リシャルリソンを相手のラインの駆け引き役に指名するなど工夫はしていたが、こちらも最終局面における関与の薄さは否めなかった。ちなみにCKの際にファーでキャルバート=ルーウィンに競りかける一辺倒だったのは前節の成功体験をけなげに追いかけている感じがしてかわいい。

 共にエースの組み込み方が悩ましいところだったが、先制点を取ったのはエバートンの方。ゴドフレイのカットインでゴール前までの進出の導線の手助けが完了すると、最後に仕上げたのはキャルバート=ルーウィン。エースにフィニッシュを集中させることに成功したエバートンが先制する。

 ウェストハムはアタッカーの逐次投入で、反撃に出る。しかし、最後の最後までアントニオがサイドに流れてクロスを上げているタスクは変わらず。同サイドのクロッサーであるクレスウェルの負傷は痛かったのは確かだが、前半と異なり内側を固めているエバートンに対して、ひたすらアントニオが外に流れる形はあまりいいとは言えない。エースを攻撃の最後に持ってこれたか否かが両軍の勝敗を分けた印象だ。

試合結果
ウェストハム 0-1 エバートン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
EVE:24′ キャルバート=ルーウィン
主審:スチュアート・アットウィル

⑨アーセナル【9位】×ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】

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■貫いた一本の槍

 ELの敗退を受けてひとまず今シーズンの大目標は全て終了してしまったアーセナル。困ったものですね。というわけで再構築を始めねばである。直近のアーセナルでいろいろわちゃわちゃしていたのは左サイドバック。ELのウォーミングアップで負傷したジャカはこの試合でも不在で、この試合では久しぶりにサカが先発から起用されることになった。

 これまでは片方はインサイドハーフ、片方はアンカータスクだったCHの縦関係はこの試合ではひとまず解消。セバージョスとエルネニーがフラットに並ぶ状態で組み立てを行うこととしたよう。

 ただ、この試合のアーセナルのビルドアップがどこまでうまくいったかといわれると答えに窮するのが正直なところ。特に深刻だったのは右サイド。ただわらわらと人が集まっているだけに見えて、誰を基準にどう動くのか?という部分が整理されていなかったように見えた。

 スピードアップの意識も低く、戦えていたのは左サイドでウィリアンが内に絞る分、アイソレーションになったサカのところだけ。この部分にしても、ウィリアンとのボールを通じての縦方向の連携はほぼなし。確かにサカのスピードは今のアーセナルにおいて前面に押し出すべき武器ではあるが、それしか通用しないのであればこのチームもそこ止まりであり、それは今シーズンにアーセナルが打ち出してきた多くのほかの武器と活かし方の代わり映えがない。

 この試合ではこの武器は勝敗を決するだけの力はあったし、その部分はポジティブである。だが、多くの機能不全を覆い隠す1つの武器ではもうプレミアは勝てるリーグではない。残りのシーズンにおいて、より全体最適にフォーカスした試合を見たいところである。

試合結果
アーセナル 3-1 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:29′ スミス=ロウ, 35′ ペペ, 90′ ウィリアン
WBA:67′ ペレイラ
主審:ピーター・バンクス

⑩フルハム【18位】×バーンリー【16位】

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■スイッチが入ったバーンリーになす術なし、力不足が露呈する降格決定

 負ければ降格が決まってしまうフルハム。迎え撃つのは少し前まではフルハムのラビットとして降格圏の手前をさまよう終盤戦を過ごしていたバーンリーである。

 先に主導権を握ったのはフルハム。やや緩慢な4-4-2で構えるバーンリーに対して、間のパスをバシバシ通りながら押し込んでいく。ただ、この日のフルハムのメンバーはミトロビッチ、カバレイロ、そしてトップ下にコルドバ=リード。CHはレミナとザンボ=アンギサという硬質なメンツ。はっきり言って、ちまちました細かいことは似合わないスターターである。

 したがって、フルハムは頑張って押し込んだ状態まで持っていったとしても、仕上げるところまで至ることができない。押し上げが効かないバーンリーのロングボールも収まらない状態だった。まぁそれならいいのかなと思っていたら、そのバーンリーのロングボールからあっさりと失点してしまうのが切ない。ゆるふわモードの4-4-2を打ち破れずに、最終的にはロングボール一本で仕留められるというのはフルハムにとってはプレミアでは力不足感を突き付けられている感がして苦しいところである。

 この先制点で息を吹き返したバーンリー。積極的なプレッシングを行うことで、フルハムのビルドアップを咎め、敵陣に押し込んだ状態からのカウンターで2得点目。これで前半で試合を決めてしまったバーンリーであった。

 後半もDF陣を削ってロフタス=チーク、マジャを投入して総攻撃を行うフルハムだが、最後までバーンリーのブロックは崩せず。プレミアでの力不足を突き付けられる内容で正式な降格が決まる試合終了のホイッスルを効くことになってしまった。

試合結果
フルハム 0-2 バーンリー
クレイブン・コテージ
【得点者】
BUR:35′ ウェストウッド, 44′ ウッド
主審:デビット・クーテ

  おしまいじゃ!

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