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「挑戦者としての最終試練」~2024.4.28 プレミアリーグ 第35節 トッテナム×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第35節
2024.4.28
トッテナム(5位/18勝6分8敗/勝ち点60/得点65 失点49)
×
アーセナル(1位/24勝5分5敗/勝ち点77/得点82 失点26)
@トッテナム・ホットスパー・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5シーズンの対戦でトッテナムの4勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。

トッテナムのホームでの成績

過去10回の対戦でトッテナムの6勝、アーセナルの2勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • トッテナムは直近6回の対戦で1勝のみ。
  • アーセナルはトッテナムホームにおいて1988年以来の連勝を狙う。
  • しかしながら、トッテナムはホームでのアーセナル戦で直近15試合のうち2回しか敗れていない。

スカッド情報

Tottenham
  • 膝の負傷をしていたリシャルリソンは4月2日以来の復帰予定。
  • ペドロ・ポロは同様に起用可能。しかしながら、ディスティ・ウドジェはシーズン絶望でオリバー・スキップも離脱中。
Arsenal
  • 新しい負傷者の話はなく、ユリエン・ティンバーは復帰が近い。

Match facts from BBC sport

Tottenham
  • 直近のリーグ戦である4-0での敗戦は1年前のセント・ジェームズ・パークでの6-1以来の大量得点差での敗戦。
  • 直近4試合のホームゲームは1勝のみ(D2,L1)。それ以前の5試合では全勝だった。
  • 25試合連続ホームのリーグ戦では得点中。2012年と2017年の29試合以来、3番目に長いストローク。
  • しかしながら、49失点を喫しており14-15以来2年連続の50失点以上を喫する可能性。
  • グリエルモ・ヴィカーリオは2000-01のニール・スリバンに続きデビューシーズンで50失点を喫する2人目のトッテナムのGKになる可能性。
  • ホームでのクリーンシートは2つでこれより少ないのはバーンリーとシェフィールド・ユナイテッドだけ。
  • ソン・フンミンは9月のアーセナル戦で2得点を挙げている。NLDにおけるソンの7得点以上を記録している選手は5人だけ。同一シーズンのNLDの2試合で複数得点を共に決めたのはアーセナルのテッド・ドレイクただ1人だえk。
Arsenal
  • ミッドウィークのチェルシー戦で24勝目。34試合終了時のクラブ記録タイの勝利数。過去3回この記録を達成しており、そのうちの1回は昨季ミケル・アルテタによって達成されたもの。
  • ハーフタイムまでリードした15試合のリーグ戦で全勝。
  • 16のクリーンシートはリーグハイで、08年のチェルシーと09年のユナイテッドに続きアウェイでの7試合連続クリーンシートを達成するプレミア史上3つ目のチームになる可能性。
  • しかしながら、アウェイでのトッテナムで2年連続でクリーンシートを達成したことがない。昨季は0-2で勝利している。
  • カイ・ハヴァーツは今季リーグ戦11得点を決めており、チェルシーに在籍した3シーズンを超える得点数。
  • レアンドロ・トロサールは直近4試合のリーグ戦出場で3得点。
  • ブカヨ・サカは93-94のイアン・ライト以来初めてのホームとアウェイでのNLDでの得点者になる可能性。
  • マルティン・ウーデゴールは直近6試合のアウェイでのプレミアのリーグ戦で6得点に関与(3G,3A)

予習

第31節 ウェストハム戦

第32節 ノッティンガム・フォレスト戦

第33節 ニューカッスル戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

勤続疲労の中でスタイルを維持してシーズンを終われるか?

 長かったミッドウィークでの激闘に別れを告げて、アーセナルは残り4試合のリーグ戦を週末に戦ってシーズンを終えることとなる。シティを脅かすフォロワーでいるためには残りの試合では勝ち点を取りこぼすわけにはいかない。しかしながら、残り2つのアウェイゲームはいずれも難敵。まずはトッテナムとのダービーに挑むこととなる。

 行うサッカーの内容というよりはシーズンの過ごし方やチームとしての強度の部分で今季のトッテナムは昨季のアーセナルを見ているかのようだった。主力が離脱すると一気にパフォーマンスが低下し、強度で制御できない時の試合運びは不安定、そして終盤戦に訪れる勤続疲労。今のトッテナムを襲っている苦境はいずれも昨年アーセナルファンとして見覚えのあるものだった。

 無論、この辺りは監督が就任初年度であることやリーグにおける今現在の立ち位置からすればいずれも仕方のないこと。チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドに比べると、やりたいサッカーの提示とスタイルへのコミットという2つの点で明らかに先をいっており、その2つが十分に提示できたということが今のトッテナムには一番大事なことのように思える。

 スタイルという点ではここ最近のトッテナムはかなり先鋭化しているように思える。重要なのはスペースを生み出す形でアタッキングサードに侵入すること。ここは徹底的にやっている。特に前線の面々はこのスタイルにコミットする選手が選ばれている。ジョンソン、ヴェルナーはいずれも相手の最終ラインに対して裏へのランを繰り返し行うことができるタイプであり、かつスピードに乗った状態でボックスに侵入し、逆サイドからのクロスを仕留める役割を担うことができる。

 リシャルリソンの復帰でこの序列は変わる可能性もあるが、クルゼフスキはスタイルへの適応と個人のキレの両面で序列を明らかに落としている。撤退守備を崩すのであれば必要な選手ではあるのだが、プレータイムが減っているからか、周りを使いながら崩すアクションが減っており、サイド攻撃はノッキングしがち。こうなると、チーム全体での押し込むフェーズにおけるクオリティが下がってしまうという問題点もある。

 WGはボールを前に運ぶタイプではなくなったしまったため、組み立てにおけるマディソンの負荷も増大。めちゃめちゃ調子が悪いというわけではないのだけども、アタッキングサードでの存在感の絶対性はシーズン前半に比べると割引。バイタリティで勝負できるような強靭さがあるタイプでもないので、少しタスクを軽くできればいいのだが・・・という感じだろう。

 CHには絶対的な司令塔が不在で序列が混迷。シーズン序盤には絶対的な存在だったビスマ、サールとベンタンクール、ホイビュアの差は縮まっている。こちらもどちらかといえば前者のパフォーマンス低下が起因となっている印象である。

 結局のところ、今のトッテナムはどんな相手に対してもスタイルを維持しながら勝負していくチーム。この辺りの頑固一徹さはプレミアにおいてはルートンと双璧な感もある。多少苦しくともここは走り切ってしまってくれ!というのはポステコグルーの本音だろう。

 そういう意味でキーになるのはSBである。手前で受けるアクションとボックス内の突撃の両面を繰り返してできるSBはこのサッカーにおいて根幹を担う存在。ウドジェのシーズン絶望はラストスパートに向けてはかなりの大打撃になるはず。ヴェルナーをそのまま起用するのかを含めて、ウドジェ抜きで今季のらしさを体現できるのか。彼らにとってもまた今季の力強さが試されるダービーになるだろう。

縦を切ることの優先度

 中2日の連打に比べればアーセナルは余裕を持ってこの試合を迎えることができる。ここの乗り切れば次の試合までは1週間が空く日程になる。苦しいのは確かではあるが、他チームに比べればシーズン終盤の青息吐息感は少ない。そういう意味では強度ベースで戦いを仕掛けてくるローカルダービーとの一戦は残りの試合の中で最も難易度が高いものとなるだろう。

 先に述べた通り、トッテナムは相手によってスタイルを変えるイメージが少ないチーム。オープンな打ち合い上等の勝負を挑んでくる可能性は相当高いだろう。疲れの溜まっているであろうアーセナルのバックラインに対して、トッテナムは一撃で置いていかれると失点や退場といった致命的なエラーを引き起こすことができる力を持っているチームである。

 ウルブス戦、チェルシー戦では特に立ち上がりは強度を抑えながらの試合運びとなったが、この試合においては再び強度を復活させた形で前半から臨みたいところ。CHのパフォーマンスが定まっておらず、SBにレギュラーが欠けているというトッテナムの状況はビルドアップに不具合を引き起こす可能性が高い。バックラインも少なくとも高さではアーセナル側にアドバンテージがある。ある程度のプレッシャーさえかかればロングボールに逃げられたとしても十分に戦うことはできるだろう。

 キーポイントになるのは当然マディソンのところを抑えられるかどうか。低い位置で詰まったとなればトッテナムは当然彼が助けに来るはず。彼が降りてくるであろう低い位置のスペースの潰し役はCHになるはず。

 強度勝負となればトーマス、ライスの併用が予想できるアーセナル。ライスは問題ないだろうが、トーマスはチェルシー相手には反転を許してしまう場面がないことはなかった。ここを逃がされると一気に戦況は苦しくなる。前半戦のNLDでもヴィエイラの後半の強度低下が一気にトッテナムペースに流れる引き金になっただけに、中盤のデュエルで後手を踏まないことはポイントになるだろう。

 サイドの守備対応で言うと、気になるのは縦に生かせるアクションへの許容度である。前節のレビューでも述べたけども、今のアーセナルはある程度縦に生かせる分にはOKという守り方で守っている。しかしながら、トッテナムはこの縦に抜けるアクションからの速いクロスに人をなだれ込ませるやり方が十八番。以下のような縦に抜けても内側を信頼するというやり方が通用するかどうかはポイントになる。

 おそらくトッテナムはロングカウンターなどのよりスペースがある形でのサイドの駆け引きを狙ってくるはず。折り返しに対してボックスの中が整った状況で対応するのは難しい局面が出てくるかもしれない。ヴェルナーはやはりシュート精度に問題があるし、ジョンソンはカットインになれば利き足と逆足でのシュートになる。縦に生かせる許容度は状況によっては変えてもいい相手だと思う。

 保持に関してはここ数試合の水準ができれば何も問題はないだろう。オフザボールの動きの豊富さで選択肢を突きつけながら勝負を仕掛けることを繰り返すことができれば、トッテナムの守備をバラすことはできるはず。ヴィカーリオを乗せる前にまずは1点が欲しい。

 昨シーズンはシティに対してアーセナルは最後まで良い挑戦者であることができなかった。もちろん、優勝のためなんだけども、仮にここから全勝して2位で終わってしまうことと星を落として2位で終わることは同じ順位でも少し未来が違う気がしている。なんとなくだけども。

 今現在、優勝はシティが落とさないと叶わないという意味で相対的なものになってしまった。けども、自分たちにできることを最後までやれるかは絶対的に自分たちにのみ依存する話。その姿勢を見せることは当然シティにもプレッシャーになる。今季は最後までいい挑戦者であれるかどうか。トッテナムを下すことができれば、その目標のゴールがいえてくることになるだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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