Fixture
プレミアリーグ 第36節
2024.5.4
アーセナル(1位/25勝5分5敗/勝ち点80/得点85 失点28)
×
ボーンマス(9位/13勝9分13敗/勝ち点48/得点52 失点60)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去の対戦でアーセナルの8勝、ボーンマスの1勝、引き分けが1つ。
アーセナルホームでの戦績
アーセナルの6勝。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近7試合のプレミアでのボーンマス戦で無敗で、うち6試合に勝利。
- ボーンマスの公式戦直近15試合のアーセナル戦での唯一の勝利は2018年1月のホームでのプレミアリーグ。
- 前半の対戦ではヴァイタリティ・スタジアムでブカヨ・サカ、マルティン・ウーデゴール、カイ・ハヴァーツ、ベン・ホワイトのゴールで4-0で勝利。
スカッド情報
- ユリエン・ティンバーはボーンマス戦に起用可能。
- ミロス・ケルケズは3試合の出場停止の2試合目。
- アントワン・セメンヨは膝の怪我で出場が微妙。ルイス・シニステラとマーカス・タヴァニアは引き続き欠場。
Match facts from BBC sport
- 今季25勝でクラブ記録まであと1つ。
- 2024年のプレミアでは15試合で13勝。
- リーグハイの85得点でこれより多いのは昨季と04-05だけ。
- ハヴァーツは直近11試合のプレミアの出場で13得点に関与しており、それ以前の58試合と同じ数字。
- ウルブスのマックス・キルマンと並び、ウィリアム・サリバはここまでフルタイム出場を続ける2人のフィールドプレイヤーのうちの1人。
- 勝ち点48はトップリーグでのクラブ記録。
- 勝利数(13)とアウェイ勝利数(6)もクラブ記録に並んでいる。
- しかしながら、トップ5のチームとの9試合の対戦ではここまで1ポイント。ホームでのビラ戦のドローのみ。
- リーグ1時代の2005年以来、アウェイでのリーグ戦13試合連続失点中。
- ここまでの17試合のアウェイゲームのうち、無得点に終わったのは10月のグディソン・パークのみ。
- ドミニク・ソランケは18得点を挙げており、ボーンマスの選手としての最多記録を達成。
予習
第34節 アストンビラ戦
第29節 ウォルバーハンプトン戦
第35節 ブライトン戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
野心を見せてクラブ史に残るシーズンに
地獄のような4月の日程を終えて、迎える今季のプレミア最後の1ヶ月。5月の3試合の先陣を切るのはホームでのボーンマスとの一戦である。
全くもって悪くなかったオニールに代わってイラオラを招聘したボーンマス。かなり野心に偏りすぎてしまっているような決断にも思えたこの監督交代は、今現在トップハーフにつけているという結果が全てを示している。残留争いに後半は全く絡まなかったのはもちろん、一桁順位を狙える位置にいるということはそれなりにこの決断がうまくいった証拠。今季のボーンマスは賭けに見事に勝ってみせた。
イラオラが根付かせたのは従来よりもさらにアグレッシブなスタイルである。守備のプレッシングは非常に強気であり、高い位置から捕まえる意識は前任者の時代よりも明らかに強まっている。特に縦パスを受ける選手をターゲットにしたプレッシングは非常に素晴らしいものである。
攻撃に出る際もスピーティに。中盤より前の多くの選手はドリブルで自らがキャリーできる力を持っており、攻め上がりの意識も高い。
こうしたスタイルを支えるのはやはり好調の攻撃陣だろう。ボーンマスはアーセナルと同じくシーズン終盤特有の息切れを見せておらず。特に中盤より前のアタッカーは好調。クライファート、セメンヨの2人を軸にまだまだ勢いを見せている。
特に右のセメンヨは飛躍のシーズンとなった。多くの猛者が集まったボーンマスの2列目の中でもシーズンを通してコンスタントな働きを見せて、明らかに選手としてのステージを一段上げた。カウンターでボールを渡せば高い確率でゴールに迫ってくれる頼りになる存在である。
1人の好調な選手だけではなく、連携面でも好調。特に左サイドは追い越すアクションが盛ん。SBのケルケズもしくはワッタラは前のSHを追い越すことで相手のSBの外側のレーンからオーバーラップに成功し、ここからのクロスでゴール前に迫っていく。ケルケズは2節前の試合で一発退場となってしまったが、ここにフォーカスするのであればワッタラでも特に問題なく機能することが期待できる。
こうしたオフザボールの動きが多いスタイルは終盤になってもフリーズすることはない。2列目は特にメンバーが多いのでどんどんフレッシュなメンバーが投入されながら活性化されていく。試合の最後までガンガン攻撃を仕掛けていくエネルギーがある。
「終盤はこういう相手が怖い」という格言めいたものを引き合いに出すまでもない。侮るなかれ、クラブ史に残る快進撃を見せているボーンマスは普通に強い。さらなる高みを目指してアグレッシブさにシフトする賭けに勝ち、1桁順位までのし上がった彼らを甘く見れば、この36節がアーセナルのタイトルレース脱落の決定打になったとしても何ら不思議ではない。
いつも通りを貫くことが最優先
ボーンマスのスタイルは前からアグレッシブに相手を捕まえにいくスタンスであるが、枚数を合わせて捕まえることはしない。特に2トップは縦関係になり、ソランケの相棒は中盤の噛み合わせに尽力することが多い。なのでテイストとしてはトッテナムの4-4-2に近いイメージである。前からの圧力は強いのだけども、後方の枚数に余裕はあり、ボールを前に蹴る選手を作ることはできそう。さらにはバックラインにはトッテナムほど強力なCB陣はいない。
よって、自陣に引きつけつつ空いたCBから前線のアタッカーが裏のスペースを含めた駆け引きをできれば得点の可能性は十分に作り出すことができる。特にオーバーラップするSBがいる左サイド側は狙い目。このサイドをトランジッションで狙えばボーンマスの守備をカジュアルに揺さぶることができるだろう。
トッテナム戦でもそうだったが、中盤とサイドを噛み合わせることでプレス強度を上げてくる相手の弱点としてはアーセナルのWGのダブルチームに行きにくいという難点がある。アンカー、GKなどがまずサイドに預けるという形は取りやすい相手。まずはサカに集めて序盤戦は様子を見るというノースロンドンダービーの流れは十分に踏襲してOKである。
加えて、ハイプレスは立ち上がりから仕掛けていきたい。バックラインは枚数を確保かつショートパスでのビルドアップにはそれなりにこだわりのあるチームではあるが、プレス耐性にめちゃめちゃ強い相手ではない。こちらもいつも通り、右サイドに追い込む形からボールを奪い取るアクションは連戦中に比べると増やして欲しいところである。
つまり、いつも通りでいい。けどもその結果自陣側にスピードに乗って運ばれてしまうと怖い相手であることは間違いない。スペースを与えればセメンヨがフィニッシュまで持っていくことができるし、カットインからのシュートもある。冨安にとっては引き続き厄介な相手だ。ソランケは屈強なCB相手にもボールを収めることができており、この2人を軸に速い展開からシュートまで持っていく形はイメージがつく。それを防ぐためには敵陣でのプレーを増やし、連戦中より支配的な振る舞いを求めたい。
自陣でのプレーが増えてしまうと、セットプレーも出てくるはず。ボーンマスは高さがあるし、セットプレーからの得点も多い。前節ゴールを決めたセネシをはじめとして気をつけたいところ。前節のノースロンドンダービー最大の反省点はセットプレーでかなり相手に先に触られたことである。
ここまで走り抜けることができたのだからまずはどっしりと構えて良い。相手を見て臨機応変に対応する力も十分にある。しっぺ返しにビビらず、自分たちのやり方を押し付ければ道は拓ける。積み上げた35試合の自信を持ってすれば、貫いて道を切り拓くことをこのチームに期待できることは自明である。