目論見通りの90分
アンフィールドから覚醒気味だったパレスの勢いは少しずつ落ち着きつつある。もちろん、順位的にはそれでも大きな影響はないが、パレスが欲しいのは来季に向けた勢い。グラスナーが作り上げるチームのポテンシャルを広く知らしめることだろう。
立ち上がりはユナイテッドが高い位置から出ていくスタート。前の5枚はパレスの3バックとCHにそのままプレッシャーをかけていく。その一方でアンカーのメイヌーはマテタへのロングボールに対して迎撃を見せる。そういう意味では前後分断気味の守備と言える序盤戦となった。
保持でのキーマンもメイヌー。アンカーとしてどっしり中央に構えるのではなく、左右に動きながらのフリーマンとしてボールを自由に引き出していく。パレスは高い位置からボールを捕まえにいこうとしていたが、この動き回るメイヌーへの対応は迷いが見えていた。
そうした中でパレスは先制点をゲット。オリーズがドリブルであっさりと時間作り出すとそのままあっさりとフィニッシュまで。ユナイテッドは枚数を合わせた分、自己責任論が強くなってしまった感があったのと、カゼミーロの抜かれ方がそれにしてもあっさりとしていたというのが明らかな反省点だろう。
失点以降、ユナイテッドは保持の時間を増やしていくが、なかなか決めてとなる反撃のきっかけを掴むことができない。幸い、パレスはリード以降もプレスに出てきてはいたので、有望だったのはその背後をサイドの縦関係で抜け出すくらいだろうか。
そんなユナイテッドを尻目にパレスはカウンターから追加点をゲット。好調のマテタがネットを揺らし、さらにリードを広げる。こちらはエバンスの対応が淡白。ユナイテッドはまたしてもCBの対応の軽さから失点を喫してしまう。
後半もユナイテッドは保持の王様をメイヌーとしてパレスに挑んでいく。ゴールに迫るアクションは少しずつ増えていたのは事実だが、オフサイドやヘンダーソンのセービングに阻まれる場面でネットを揺らすことはできない。
パレスはマテタ、エゼへの縦パスから安定したカウンターを発動。ユナイテッドの選手は寄せてはいるのだが、もう一歩入り込む鋭さがなく、若干寄せているだけになってしまったのが残念だった。
パレスはセットプレーからさらに追加点をゲット。同じくセットプレーからのヒューズのミドルで脅かした後に、二次攻撃のクロスをファーのアンデルセンが折り返して、ミッチェルが仕留める。
それでもパレスの攻撃は止まらず。カウンターからの即時奪回でカゼミーロを狙い撃ちにしてゴール。オリーズのこの日2つ目のミドルで4点目を奪う。
グエイの復帰や80分以降は保持で試合を制圧したことも含めて、パレスにとっては充実の一日になったはず。いいところのなかったユナイテッドを粉砕し、目論見通りの90分を過ごした。
ひとこと
パレスの強さがきっちり詰まった90分だった。
試合結果
2024.5.5
プレミアリーグ 第36節
クリスタル・パレス 4-0 マンチェスター・ユナイテッド
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:12′ 66′ オリーズ, 40′ マテタ, 58′ ミッチェル
主審:ジャレット・ジレット