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「ターンオーバーで味変を」~2021.3.6 J1 第2節 ベガルタ仙台×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第2節
2021.3.6
ベガルタ仙台(昨年17位/6勝10分18敗/勝ち点28/得点36/失点61)
×
川崎フロンターレ(昨年1位/26勝5分3敗/勝ち点83/得点88 失点31)
@ユアテックスタジアム仙台

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年の対戦で仙台の1勝、川崎の9勝、引き分けが3つ。

仙台ホームでの戦績

図2

直近10試合で仙台の2勝、川崎の5勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・川崎はリーグ戦での仙台との対戦は直近14試合負けなし(W9,D5)
・しかし、川崎の直近5試合の勝利のうち、1点差のものが4つ。
・ユアテックスタジアムでの公式戦での川崎戦において仙台は直近4試合で1敗のみ。
・ユアテックスタジアムでの直近2試合で同一チームが10分以内に複数得点を3回挙げているカード。

 川崎にとって仙台はかなり相性がいい相手。最後に負けたのは8年前の2013年。直近の8試合では6勝と近年は特に調子がいい。しかしながら、試合は僅差決着が多い。昨年の2点ビハインドを跳ね返したユアスタでの試合のように苦しい展開になることもしばしばだ。

 ユアスタに限れば昨年を除けば近年は勝ち切れていない。ルヴァンカップ戦での対戦では仙台が勝利を挙げている。また、畳みかけるように得点が生まれるのが特徴で、昨年は長沢⇒道渕の得点、小林⇒山根⇒小林の得点などが短い時間に連続して片方のチームが点を取るケースが多いカードだ。

スカッド情報

【ベガルタ仙台】

・前節退場したシマオ・マテは出場停止。
・選手登録が完了した西村拓真は出場可能な見込み。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太、登里享平は前節欠場。

予想スタメン

画像3

Match facts

【ベガルタ仙台】

<仙台のMatch facts>
・リーグ戦は直近4試合で無敗(W2,D2)
・昨季、トップハーフ相手に1勝のみ(D4,L13)
・直近4年のホーム開幕戦で無敗(W2,D2)
・昨年リーグ戦のホームゲームで未勝利。
・ユアテックスタジアム仙台で決めた川崎戦の直近4得点のうち、3得点は長沢駿が決めたもの。
・手倉森監督が率いたユアスタでのリーグの川崎戦は4戦無敗(W2,D2)

 昨年からリーグ戦は4試合無敗と好調。ただし懸念はある。まずは昨季、トップハーフのチーム相手にはわずか1勝のみで、ことごとく勝ちに恵まれなかったことである。

 また昨シーズンはホーム戦では勝ちなし。最後のホームゲームの勝利は2019年11月30日の大分戦。およそ1年4か月ほどホームゲームでは勝てていないことになる。しかしながらホーム開幕戦の戦績は好調で直近4年間は負けていない。戦績の悪い浦和相手でも引き分けに持ち込めるほど相性は◎。

 ユアスタでの試合に限ればリーグの川崎戦負けなしの手倉森監督の復帰もジンクス的には心強い。ただし、昨年川崎相手に点を取った選手はいずれも退団済み。特に川崎キラーの名高い長沢の不在は痛い。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・J1開幕3連勝になればクラブ史上初
・直近3試合のリーグ戦はいずれも複数得点を記録した選手がいる。
・アウェイ開幕戦は直近6年無敗(W5,D1)
・直近5試合のアウェイのリーグ戦で1勝のみ。
・小林悠は公式戦における仙台戦で13得点。キャリアでもっとも得点を決めている相手。
・山根視来は今季公式戦3試合の出場で4アシスト。

 昨年は多くの記録づくめのシーズンだった川崎。今季1つ目に狙うクラブ記録は開幕連勝記録。J1での3連勝は過去3回のチャレンジ(06,10,12年)でいずれも失敗。4回目の正直はなるだろうか。こちらも相性のいいアウェイ開幕戦で新記録を決めたいところ。ただ、アウェイでの昨季終盤の戦績は芳しくはない。

 仙台戦が得意な小林悠は昨季も途中出場で大暴れ。直近のリーグ戦の流れに乗って複数得点を狙いたいところだ。その得点のお膳立てをしているのが山根。ゼロックスも含めて今季全ての試合でアシストを決めている右サイドバックからの再びのゴールのお膳立てを期待したい。

展望

■ズルはなし、1つずつ着実に

 第2節の相手は手倉森監督が帰還した仙台。水曜日に対峙したクルピに続いて出戻り監督再びである。クルピと同じく、第一次手倉森政権の時は自分はまだJリーグにどっぷりではなかったので良くわからない。

 というわけで前節同様開幕戦を見ながら試合の展開を考えていきたい。まずはボール保持の局面。基本の並びは4-2-3-1だが、CHの片方が降りる動きを採用。開幕戦のスタメンの並びだと、最終ラインに降りるのは吉野の役割である。

 吉野が最終ラインに落ちることでCBは開き、SBは高い位置を取る。SHは内に入っていきハーフスペース付近で受けたがる。特に右のSHに入ったマルティノスは引く動きも非常に多く、縦横無尽に動いていく。確かにマルティノスはキープ力はあるが、爆発的な加速力を伴って低い位置から一気に持ち運ぶタイプではない。引く動きも不規則で、中盤でとどまる上原はマルティノスとのバランスをとるために試行錯誤していた。マルティノスをどう生かしていくか?という面は引き続き検討していかなければいけないだろう。

 仙台の攻撃においての最も大きな武器はSBのオーバーラップ。とりわけ右サイドの蜂須賀が高い位置を取ってのクロスは最もいい形が多い。だが、こちらのサイドは先に述べたように摩訶不思議なマルティノスである。確実な計算が立つわけではない。

 前線の期待を請け負っていたのはむしろ左サイドを務めた氣田だろう。縦パスを引き出す動きから同サイドのオーバーラップを促すことができる。個人でもクロスまで行けるシーンもあった。マルティノスと同じ新入りでもどちらかと言えばこちらの方がフィットが速そうである。秋山や石原など早めに連携を深めて、左サイドからのクロスも武器にしていきたい。

 前進はアバウトな形では難しい。皆川、マルティノス、関口、氣田は独力で陣地回復ができるタイプではない。クエンカが戻ってくればまた別なのかもしれないけど。したがって、地道に1つずつ相手のプレスを交わして前に進む作戦しかない。内に絞るSH、外に流れるSBを武器にエリアにいるFWにクロスを上げるという形である。

 非保持の局面ではコンパクトな4-4-2を採用。特に同サイドへの圧縮が顕著で、広島戦ではファーサイドに流れるクロスに対しての対応がおざなりになるケースが頻発した。ファーのケアは甘くなるので、川崎としては逆サイドのSH、SBがクロスに飛び込んでいきたいところ。

 圧縮した際の守備はマンマークが主体で保持側を追いかけまわるスタイル。ボールサイドでの人数の均衡が取れた段階で自分の近くの選手を人基準強めで捕まえに行く。したがって同サイドの裏に抜けていく相手にはついていけないケースも出てくるはずだ。

 より気になるのはトランジッション時の対応。SBが上がった時にボールを失ってしまうと、後ろはスカスカの状態に。苦しい状況のツケはばっちり後方には残っており、カウンターはファウルで止めて何とかするケースが多い。シマオ・マテの退場を呼んだタックルもこうしたギリギリの状況を両CBが何とかしなくてはいけないという状況が続いたからと見ることができる。

 仙台としては何とかトランジッションの局面だけは防ぎたいところ。とはいえシマオ・マテが欠場の状態ではエリア内の空中戦の強度は怪しいのも悩ましい。それでも速い攻撃から攻め落とされるよりはいいはずなので、まずは1stプレスで相手を捕まえて攻撃をスローダウンさせながら、徐々に川崎に攻撃の難易度を上げさせるアプローチを取りたい。

■テンポを司れるか

 完全に単なる予想なのだが、川崎はこの試合では大胆なターンオーバーを敷くのではないだろうか。今年のここ2試合の川崎の選手のプレータイムのマネジメントは昨年とは明らかに違う。主力を2試合連続で継続起用するのは昨年と同じだが、スタメンのプレータイムがとても長い。このペースで主力を使い倒していたら多分持たない。中2日になるこのタイミングはターンオーバーのしどころだと思う。

 というわけでここからはターンオーバーが敷かれる予想スタメンの面々が先発という頭で読んでほしい。その前提に立つならば、川崎のこの試合のテーマは入れ替えた選手たちが開幕2試合と同じようなパフォーマンスを見せられるかどうかである。ターンオーバーを予想する中でもっとも重要な役割はこの試合ではIHだと思う。内側に絞る氣田やマルティノスと後方でゲームメイクを司る上原や吉野のどちらにプレスをかけるかのバランスを取るのが難しい。

 ここまでのプレータイムがあまり多くないメンバーが主体なのだとしたら、強烈なプレスから縦に速い攻撃を基軸とするアップテンポなサッカーになるはず。狙いとしてはワンサイドのハーフコートゲームになるのではないか。橘田や塚川などの選手がスタメンでプレーするのならば、ペースを握れずにプレスがハマらない時間において試合のテンポをどう制御するかが重要になる。戦績は良好だが仙台相手にはなかなか思い通りに時計を進められない試合をすることが多い。舵取りを間違えれば畳みかけられる可能性は十分にある。

 90分間のゲームのコーディネートも見どころの1つ。これまでのスターターがベンチから出てくるのだとしたら、試合の締め方もポイントになる。これまでは試合終盤まで点を取りに行くことで3得点や3点差をつけに行ったが、特に点差が少ない時はきちんと逃げ切れるスタイルも見せてほしいのが正直なところ。ターンオーバーで終盤に見せる味変にも注目したい。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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