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「Catch up Premier League」~2024.5.14 プレミアリーグ 第34節 トッテナム×マンチェスター・シティ ハイライト

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可能性を感じさせる奇策を跳ね返しタイトルレースに王手

 いよいよプレミアリーグもクライマックス。優勝争いとCL出場圏争いをかけた大一番はシティファンとノースロンドンの2チームのファンにとっては高い注目度の一戦となる。

 基本的には大枠が決まっている両チームだが、どちらのチームも仕掛けてきたなという印象。よりわかりやすかったのはトッテナムの方だろう。最前線は敢えて置くとすればサールなのだろうが、基本的には0トップでシティの基準を乱しにかかる。

 トッテナムのプランはとにかく左サイドの低い位置でフリーマンを作ること。ホイビュア、マディソンが低い位置に降りて、大外のソンを使って、フリーマンを作り左サイドの大外で抜け出す選手にボールを届けることである。抜け出す選手は誰でもOKというのがミソ。左サイドはロメロやベンタンクールなどむしろ後方の選手がラインブレイクを行うシーンが目立っていた。この点でも基準点乱しは今日のトッテナムのキーワード。やや強引ではあるが、普段の崩しの結末を普段と違うプロセスで持ってこようというイメージだろう。

 それでもホイビュアやマディソンが落ちる位置は守備における機動力に最も欠けるデ・ブライネ周りだったので理には適っている。カバーにロドリを釣り出すところまで粘ることができれば、カウンターの成功率は明らかに高まるのでトッテナムはポゼッションのチキンレースで裏抜けの成功率を高める賭けに出たと言っていいだろう。元々正面からぶつかっても劣勢なのは明らかなので、賭けとしては個人的には分が悪くはないかなとは思う。

 ちなみにサールは落ちるアクションという0トップでのプレーをしつつも、時折シンプルに推進力を生かした独力の陣地回復も見せたりした。こちらも前進のオプションとして持って置けたらな!ということだろう。

 しかしながら、やはり抜け出すところまでに力を使っている感があるトッテナム。速いパスじゃないとシティの守備陣相手には引っ掛けるという意識もあるのだろう。セカンドを狙った押し上げまではセットだった感があったが、拾う部隊のポロの足元が物足りず効果的な二次攻撃につなげられなかったのも手痛かった。

 一方のシティは初手でベルナルドが列落ちを披露。DFの列上げ以外は基本相手を見ることが多い今季のシティにおいてはこれも亜流の対応である。デ・ブライネは右の大外のレーンを空けて、そのレーンに攻め上がるのはウォーカー。トッテナムはインサイドに注力していたため、大外のウォーカーはガラ空き。しかしながら、クロスは刺さらなかった。

 ライン間のフォーデンがドリブルで運びながらより内側に視線を集めることで大外のウォーカーを解放していたので、トッテナムとしてはその手前の段階で大外を空けるように仕向けられていた。ただ、大外のウォーカーにトッテナムが対応しないまま、シティがさっさとこのプランを辞めてしまったので、シティの本命は大外に慌てて出て行ったウォーカーを捕まえにいくことで空いたハーフレーンからのデ・ブライネの強襲だったのかもしれない。

 ウォーカーの大外をやめて以降はベルナルドが外に張るオーソドックスな形に移行。シティは繋ぎの局面での不安定さを露呈しており、徐々に敵陣で運ぶフェーズがぐらつくように。ディアスやコバチッチあたりがこの辺りでミスをしたせいでやや基盤が緩くなっていた。前半は大きなチャンスも少ないスコアレスで折り返す。

 後半は前半に比べればオーソドックスな展開だったと言えるだろう。トッテナムはそこまで左偏重ではなかったし、シティは時間の経過とともにワイドでボールを落ち着かせることと、ハイプレスに出ていくことをやめることで普段着に回帰しつつあった。

 そうした中で出てしまったのはトッテナムのミス。パスは引っ掛けるよりも速くつけましょう!というこの日のトッテナムのスローガンはマディソンが受け手の時はより顕著だった気がする。そりゃ無理だろう!という強引なパスをマディソンが収められず、ここからシティはカウンターを発動。ロメロとカードを持っているベンタンクールを振り切ったフォーデンが敵陣まで運ぶとベルナルドとデ・ブライネの大外→ハーフスペースアタックからハーランドがゴール。何度も見てきた王道パターンを作ることに成功したシティが前に出る。

 反撃の機運を高めなければいけないトッテナムはクルゼフスキを投入。サールとは異なる収まり方で存在感を見せる。エデルソンの怪我のあとはややふわふわした時間帯でミスも多かったシティ。そういう意味ではこの時間帯を凌ぐ立役者になったオルテガは素晴らしかった。クルゼフスキ、ソンという2つの決定機を凌いでシティが輪郭を取り戻すまでの時間稼ぎをする。

 右はベルナルド、左はグバルディオルと徐々に幅を使ったポゼッションを落ち着かせるために使うようになったシティ。そこに最後に残された攻めのイケイケ要素であるドクがフォーデンの展開からPKを獲得。これをハーランドが仕留めて試合は決着する。

 2日前のアーセナルと同じく、シティもまた鬼門を突破。正真正銘の首位に立ち、タイトル争いに王手をかけた。

ひとこと

 今日この日をこの地力の差で迎えたという状況の中ではポステコグルーはできることはやったなという感覚。緩む時間もある中で試合を締めたオルテガが明らかなMOMであった。

試合結果

2024..
プレミアリーグ 第34節
トッテナム 0-2 マンチェスター・シティ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
Man City:51′ 90+1′(PK) ハーランド
主審:クリス・カバナフ

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