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「チャンスの前髪はつかめるか」~2021.2.20 プレミアリーグ 第25節 アーセナル×マンチェスター・シティ プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第25節
2021.2.20
アーセナル(10位/10勝4分10敗/勝ち点34/得点31 失点25)
×
マンチェスター・シティ(1位/17勝5分2敗/勝ち点56/得点49 失点15)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

 2015年以降の対戦でアーセナルの4勝、マンチェスター・シティの10勝、引き分けが2つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

 直近10戦でアーセナルの3勝、マンチェスター・シティの5勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

・シティはリーグにおけるアーセナル戦直近10試合で負けなし。うち9試合で複数得点を記録。
・アーセナルは直近7試合のリーグでのシティ戦全敗。直近3試合のホームでの対戦は無得点。
・アーセナルは同一相手の4試合連続ホームでのリーグ戦で無得点になれば歴史上初めてのこと。

スカッド情報

【Arsenal】

・キーラン・ティアニーは先発起用可能。
・トーマス・パーティは当日判断。

【Manchester City

・エバートン戦を腿の負傷で欠場したイルカイ・ギュンドアンは復帰の見込み。
・離脱者はナタン・アケのみ。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・前節のリーズ戦が直近4試合のリーグ戦における唯一の勝利。
・直近6試合のホームでのリーグ戦は負けなし(W3,D3)
・ホーム4敗目になれば、単一シーズンにおけるホーム戦での負け数のタイ記録に並ぶ。
・直近18試合の首位との対戦は3勝のみ(D4,L11)
・しかし、直近の首位との対戦である7月のリバプール戦には勝利。勝てば2007年以来のリーグ首位に対する連勝となる。2007年も連勝した2試合目の相手はマンチェスター・シティだった。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンはリーズ戦のハットトリックで369試合のトップリーグの出場で201得点を記録したことになる。

Manchester City

・2021年に入って10連勝中。
・エバートン戦の勝利で公式戦の連勝記録は17に。うち12はリーグで記録したもの。
・11月のトッテナム戦の敗戦以来、24試合公式戦負けなし。
・このスパーズ戦以降、リーグ戦でのビハインドの経験がない。
・2017年に記録したアウェイ11連勝のクラブ記録に並ぶ可能性。
・22のクリーンシートは5大リーグ及びイングランド4部までの中で最多。
・イルカイ・ギュンドアンはシティのスコアリーダー。11得点は直近の12試合の出場で記録している。

予想スタメン

画像7

展望

■きっかけはランパードへの『3-1』

 今季のプレミアリーグはいつどのチームとどのタイミングで当たるかによって難易度が大きく変わる。よりによってこのタイミングでシティかよ!といいたくなってしまう。正直、全然勝てるイメージがわかないチームである。

 昨年の大目標だったCLはリヨンの速攻の前に散り、今季の前半戦はどことなく動きがない状態でWGの突破頼みとなり「あれ?もうボール持つサッカー嫌になっちゃった?」と思ったのだが、それは自分の都合のいい思い過ごしだったことはそのあとのシーズンの歩みを見れば一目瞭然である。

 ちなみにシティの好転のきっかけは個人的にはチェルシーを1-3で下した試合だと思っているのだけど、これはアーセナルが未勝利を止めた試合と全く同じ。チェルシーに3-1。そしてランパードはいなくなってしまった。

 さて、上で述べたように今季のシティもボール持ってナンボのチームである。というわけでアーセナル戦でも当然ボールを握りに来ることが予想される。アーセナルはそういうチームに対しては昨季はロングカウンターに徹することで結果を出してきた。どういう戦い方になるのかはわからないが、アーセナルは非保持のパートから考えなければいけない相手であることは確かである。

地味だけど少しずつの積み重ね

 マンチェスター・シティの代表的なビルドアップは大きく分けて3パターン。

①3-2-5

画像3

 いわゆるカンセロロールって言われるのはこの形だろう。ライトバックのカンセロが内側に入る形。あとでもう少し説明するけど、カンセロがもともといた位置にはベルナルドやらマフレズやら、時にはフォーデンやらが降りてくる。

②4-1-2-3

画像4

 カンセロが内側に入ってからのロドリが最終ラインに落ちる動き。

③2-3-5

画像5

 カンセロとジンチェンコはインサイドハーフのように振舞う。

 以上、リバポ×シティのレビューからの抜粋。頑張ってレビューを書いておくと役に立つこともある。だが、今回はレビューではなくプレビューなので、どうなったらシティにとって嫌なのか?を考えなくてはならない。

 ちなみにシティは2節目のトッテナム戦はオーソドックスな4-3-3に近い明白な変形が少ない形、直近のエバートン戦はカンセロが内側に入っての3-2-5に近いやり方だった。前者の理由は何とも測りかねるが、後者の理由はIHがギュンドアン⇒フォーデンに変更されたことにより、IHをファイナルサードに近いところでプレーさせたくなったからだろう。カンセロはほぼ決め打ちで内側に絞っていた。

 アーセナル戦ではギュンドアンの復帰が見込まれるのでこの辺りは流動的ではあるが、おそらく上の3つのどれも使える前提でシティはフォーメーションを組んでくると見る。

 アーセナルが避けたいのは①の形。1列目を超えるためにカンセロとロドリという2人が1stプレスラインの後方に位置するこの形を機能させるのを避けたい。縦横無尽、ピッチの空いている場所に正確無比にボールを送ることができる彼らに視野がばっちり確保できるような形で受けられることこそアーセナルにとっては最も避けたい状況。ここがゴールへの最短ルートである。

 ②は相手の2トップ脇から大外のWGにパスコースを作るためのメソッド、③はボールを安定させるためのサリーである。守備側が中央を閉じることに成功し、落ち着きだすとズレを作ろうと動き回ってくるのがベルナルド・シウバ。特にカンセロが空けることが多いRSBの位置に落ちてきてからドライブを行ったり、縦へのパスコースを空けるパターンには要警戒だ。

画像6

 今のシティのインサイドハーフがめんどくさいのはIHが周りに合わせながら、位置を最適に変えられること。ギュンドアン、ベルナルドに加えて先日復帰を果たしたデ・ブライネもこの分類である。

 こういう人材が豊富にいるチームなので、中央を封じてカンセロやロドリの供給源を抑えたとしても結局ずれは作られてしまうだろう。前に進まれた後はサイドの攻撃が主体になる。

 エバートン戦で見られたのは右サイドでの工夫。ウォーカー、ベルナルド、マフレズの3枚以外は右サイドには近づかないことで、中央の人数確保及び3人で崩すスペースの確保を求めてのことだろう。これによりエバートンはニアのハーフスペースにスペースを空けた状態で3対3の対応を強いられることになった。

画像8

 アーセナルとしてはまずはニアサイドの分断を避けるべき。MFが最終ラインに落ちて入らなければ足りないこともあるかもしれないが、この試合ではこういう泥臭い部分をやっていかなければいけない。ファーへの長いクロスを蹴るという比較的難易度高い手段に誘導し、シティが少しでもミスをする確率を高めていく必要がある。

 もちろん、自陣でのスペースを埋めるのならばアーセナルも5-4-1での対応は可能だろう。だが、あまりにも位置が下がりすぎてしまっては難しい。アーセナルは昨季に強豪に撤退型5-4-1を主体とした深い位置からの守りで勝利していている。だが、あの時と比べていれば今のアーセナルには前進にスピード感はない。そして、シティはこうした撤退型の相手を打ち破るのはお手の物である。

 したがって、勝つためには撤退するだけでなく分が悪いことは承知である程度ハイプレッシングに行かなければいけない。当然90分は難しい上に、プレスに対しては時間経過とともに対処法を見出されるので、機能するのは長く見積もっても15分だろう。この15分にアーセナルは勝負をかけて何としても先手を取りたい。

 それ以降は変幻自在に変化し続けるシティに対応しながら、少しずつ時計の針を進めていく。地道だが、これ以上にシティから勝ち点を取る方法はないと思う。それくらい今のシティは厳しい相手だ。

 アストンビラ戦、ウルブス戦、そしてベンフィカ戦などここ数試合でアーセナルが勝ち点を落とした試合はプレスもパスワークもどれも少しずつ精度が悪く、その積み重ねでシュートチャンスを得る機会を逸してしまっている。シティ相手には逆に少しずつの積み重ねで彼らに簡単に前進させる選択肢を阻害しなければいけない。

 トンネルを抜けたチェルシー戦以降のパフォーマンスを見定めるには絶好の相手。というか少しハードモードすぎる気はするのだが、できるプレーを1つずつ遂行していき、シティから勝ち点を奪うためのチャンスの前髪を何とかつかみたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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