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「勝てばオフが増えるチーム」〜川崎フロンターレ 個人レビュー2020-MF&FW編-

前編はこっち。

目次

【MF】

6 守田英正

 アンカー候補としては田中碧に遅れをとった開幕。本人が回顧するには出場時間があまりにも短いために国内移籍も検討したとか。しかしながら、ひとたび出場するとレギュラーの座をがっちり奪取。鬼木監督ははじめは使わなかったにも関わらず、固定したらターンオーバーからも除外。鬼木監督はきっと便利家電をはじめは「いらない」って言うくせに、買ってみたら意外と「これって便利だね」っていって使い倒すタイプ。

 個人的には札幌ドームにおける札幌戦がターニングポイントだったように思う。防波堤としての役割に加えて、そこからの素早い縦パスで札幌の自陣からの脱出を未然に防ぐ。守備におけるフィルター役だけでなく、シーズン後半は司令塔としても奮起。チームを落ち着かせつつ、低い位置から危険な位置への差し込みができるアンカーとしてチームにとって唯一無二の存在に。明らかに一皮むけたシーズンとなった。

 というわけでそんなシーズンを過ごしたことが評価されたのかポルトガルでの挑戦権をゲット。早速入団動画でNARUTOにさせられていたということで、存分に川崎で鍛えられていたエンターテイメント精神はいかせそうである。「日本ではこういう風習がある」といいながら、その日一番活躍した選手にパイナップルを渡したり、長身CBより先にシーズン初得点を決めて「俺の方が先に点とったよ」といきったりしてほしい。元気でね!!

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 うちのはコード巻きこみがち。

8 脇坂泰斗

 前半戦は先発6回までのクオリティスタート!終盤戦は決定的なリードを奪うための途中交代という形で出場機会を得る状況に。1年間を通じて中盤を勤め上げたのは立派。この過密日程の中でなんだかんだ怪我なくフルシーズンをやりぬけたのはなかなかの自信になるに違いない。

 周りの状況を瞬時に見分ける能力に長けており、カウンター局面では特にその才能を発揮。目まぐるしく変わる展開の中でも正しい選択肢を取ることができる。右サイドでの家長や山根との連携も良好。オフザボールでのボールの引き出し方で家長の相方もしっかり勤め上げた。プレースキックの質も相変わらず高く、等々力でのC大阪戦では快勝のキッカケになる直接FKを決めた。

 一方でマンマークでプレッシャーをかけられたときにはやや消えやすいという傾向も。圧力がかかった時のいなし方は来季以降の課題になってくるはずだ。

 猫背という意味では圧倒的な中村憲剛の正統後継者。中村憲剛だけでなく、坂本竜馬も過去に猫背だったという説があるようなので、ぜひ中盤を牽引しながらACLの夜明けを川崎にもたらしてほしい。なお、坂本竜馬猫背説を唱えている下記のブログでは「坂本竜馬の姿勢は現代ならサッカー日本代表になれる。サッカー選手で言えばネイマール」といわれているので、中村憲剛2世改めネイマール2世として来季はガンガン得点取ってほしい。



『明治維新以前の日本人に背筋を伸ばした人はいない?』


私が書いた坂本竜馬は猫背だった。の電子書籍版の文章を引用しました。↓歴史書を思わせる堅苦しい文章(汗優柔不断で生きている私


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 本当なのでしょうか。

10 大島僚太

 チームのスタイルが変わるということは、そのスタイルを体現する大島のスタイルも変わらざるを得ないということ。したがって今年は新しい役割に挑戦した一年だったといえる。具体的にはビルドアップへの関与を減らし、より最終局面に関わる役割である。

 そういう部分でいえば味スタでのFC東京戦でのミドルシュートは理想的だったといえそう。一方で年間を通してファイナルサードでの貢献度が十分高かったかというと微妙なところ。例年通り、怪我でお休みする期間もありつつ、新しいやり方にはまだまだ適合中ということになる。

 普段は感情をほぼあらわにしないタイプだが、本人が大きく影響を受けた中村憲剛の退団に関するあれこれには珍しく涙を見せるというピッチの外でも新しい大島僚太を見せた一年であった。

 2021年はACLである。重馬場で重戦車を相手にしなくてはいけないケースは増えるだろう。どちらかといえば、苦手な分野。さらにもう一皮むけるためにキャプテンマークを谷口から奪い取ったり、ゴールパフォーマンス後に一発芸をやったりなど大島僚太2021年バージョンを俺たちに見せてほしいところだ。

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 おすすめは「まぁねぇ」です。

16 長谷川竜也

 おそらくキャリアで最も充実した序盤戦だったのではないだろうか。開幕から得点とアシストを量産し、家長とダミアンと共にチームを牽引。大きい展開を左サイド大外で受けとり、登里と連携してサイドを崩す役割+逆サイドからのクロスに飛び込んでいくフィニッシャーの役割の2つが序盤戦の長谷川のタスク。この2つの役割は彼に非常にあっていたように思う。

 しかし、仙台戦で負傷交代をするとその間に左WGは三笘薫が確固たる地位を完全に作り上げる。当初は1か月程度と見られていたケガも当時の見立てよりもかなり長らくかかってしまっており、アップされたちょっとしたトレーニング動画は幻ではないのかと思ってしまうほどであった。

 復帰後は三笘の後塵を拝する形で齋藤学と2番手を争う立ち位置になった。しかしながら、川崎がよりWGに時間を作ることが求められる役割を求めるようになってからは持ち味がやや活かしにくいように。自身のコンディションが上がってこないことも含めて、負傷前の勢いはなくなってしまった。

 そろそろ超主力として開花してほしいところだが、2020年も負傷で飛躍のきっかけを失ってしまった。そんなシーズンであった。2021年シーズンがそうならないように、とりあえず無病息災に効きそうなものを並べておきます。



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18 三笘薫

 開幕戦の鳥栖戦こそ球離れの悪さやドリブルジャンキーっぽさを感じる部分があったものの、出場機会を得られるようになってからは安定して存在感を発揮するように。とりわけ後半からの出場によるゲームチェンジャーとして圧倒的な実力を発揮。対面する相手を1人までなら軽々とかわしてしまうスキルの高さで徐々に相手チームからは嫌われる存在になっていった。どうやら海外はまだみたいですよ。すみませんね。

 頭の良さも特徴の1つで自らの課題を正しく把握し、改善しているのも印象がいい。先ほど挙げた鳥栖戦でのプレー課題もあの試合以降はほぼ見られなくなったし、常に最大出力のスピードでボールを運ぶ以外にゆっくり運ぶことで味方の押し上げを促したりなどプレーのバリエーションも増加。プレータイムを伸ばしても終盤の精度が落ちにくくなったりなどの90分のコーディネートも向上した部分だろう。

 前半戦はうまくいっているチームを中押し、ダメ押しする存在だったが、シーズン終盤にかかるにつれて徐々にチームは三笘なしではダメになってきた感がある。ちなみに僕のフォロワーさんにもやたら抱いてほしがっている人がいらしゃるので、そういう危ない人には気を付けて生活をしていったほしい。

 本人にそのつもりがありそうなので、海外からオファーがあれば引き留めるのは難しいだろう。チームのためにも本人のためにもその前にアジアでの実績は欲しいところ。ACLでも別格の存在感を示し川崎の三笘をアジアに知らしめることができるだろうか。

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 気を付けてくださいね。

19 齋藤学

 開幕とは絶好調のチームとは裏腹に、シーズン序盤はベンチ外が続いてしまい難しい状況になっていった。しかしながら、世は空前の過密日程。加えてレギュラーを張っていた長谷川竜也の離脱が重なれば、当然チャンスは回ってくる。多くのレギュラーメンバーが証言しているように出場機会を得るための準備を欠かさずにハードワークを取り組んでいた齋藤に白羽の矢が立つのは当然のことだろう。

 久しぶりの先発の機会だった清水戦ではやや空回りが目立ったものの、風向きが変わったのは2年前と同じ神戸戦。ルヴァンカップにおける一戦で攻撃はもちろん、守備においても大いに躍動。三笘とは異なる献身的なプレスバックで有用なオプションとなることを示すことに成功した。

 しかしながら、中期的にコンディションを維持できたかといわれると難しいところ。数週間を過ぎたあたりからは徐々にコンディションが落ちていき、ボール保持時における貢献度は下がっていってしまった。非保持におけるプレスも個人で見れば献身的なのだが、仕組み自体をチームが整えきれなかった感もあり、空回りが目立つ場面も多かったように思う。

 というわけでこの冬に名古屋への旅立ちが決まってしまった。どうか名古屋でも楽しく過ごせますように。鈍感、天然、愛され体質のあなたならきっとすぐに人気者になります。でも、何度振り返ってもやっぱり「量産型彼氏」のチャントの選曲は相当悪意あったなと思うね。笑

 僕じゃダメなのーはどうしてなのかなー。

22 下田北斗

 持ち味である左足のキックの精度は健在。オープンプレーだろうがセットプレーだろうが川崎にとっては貴重なレフティーとして中盤の一角を担った。攻撃においてもハーフスペースの裏抜けをサボらない姿は非常にまじめな下田らしい実直さが見て取れた。

 一方で他の中盤の選手に比べるとプレータイムが伸びなかったのも事実。特に中村憲剛の復帰後は割りを食ってベンチ外になることもしばしばで、終盤戦は出場機会を得ることは難しくなってしまった。

 プレッシャーをかけられたときのボールスキルはやや川崎の中では見劣りしてしまうのが正直なところ。今季インサイドハーフに求められた得点に絡む部分ももう少し数字を伸ばしたかった。守備においても齋藤と同じく献身的ではあるが、間が悪いタイミングで飛び出してくることもあったのが気になる点である。

 大分への移籍は本人にとってはいい転機になりそう。頑張っておいで!川崎ファンの中では左右に揺れながら歌う下田のチャントをもう歌えないことを残念がる人が多いよう。やはりあの左右に揺れながら選手を応援するムーブは日本国民のDNAに組み込まれているのだろうか。



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 楽しいもんね。

25 田中碧

 序盤戦はアンカー、中盤戦以降はインサイドハーフという形で異なるポジションで1年間主力を務め続けた。激戦区である中盤において守田に次ぐ出場時間を記録しており、年間を通してコンスタントに高いパフォーマンスを発揮した2020年であった。

 やや、守田に追いやられる感もあってインサイドハーフにポジションを移したが、アンカーとして鎖をつけられた経験は攻守に生きてきている。特にゲームメイクにおける緩急のつけ方はアンカーをやったからこそ意識が変わる部分もあったのではないだろうか。

 今季の中盤に求められた得点数も5得点とまずまず。本人としてはもう少し得点を増やしたいところかもしれないけども、ファンとしては先輩たちにたくさんお膳立てされながらなんとか初ゴールをマークしたデビュー戦から、放っておいても理不尽にゴールを決めるようになった姿は成長を感じさせる部分。すごく頼もしくなったなと思う。

 三笘とどちらが海外に行くかのチキンレース中。来季のユニフォームはどっちを先に買ったらいいだろうかと悩んでいる。遅かれ早かれ川崎から世界に羽ばたく選手だと思うので、もし海外に行くことになった際も頑張ってほしい。もしサッカー選手にならなかったらゴルファーになると答えているのが少し心配だけど。

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 いい顔してんな。

28 原田虹輝

 高卒2年目だったが今年も出番はなかった。くー!勝負の世界は厳しいですな。

 勝負の3年目は鳥取へのレンタルでまずはプレータイム確保を目標とすることになる。好きなお菓子を「ロッテ」と書ける気遣い力の高さならきっと鳥取でも成功できるだろう。頑張っておいで!!

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34 山村和也

 いぶし銀のベテランは今季も抜群の安定感であった。限られた出場機会にも関わらず、出番を確保した際にはきっちり水準以上の仕事を披露。無敵の強さを誇る空中戦に加えて、広い視野と高い技術からの組み立ては川崎においての大きな武器。スピードという欠点を補って余りある強みである。

 「試合に出られない選手の姿勢がチームの強さ」と良くいったりするが、2020年においての山村の真摯な取り組み方はまさしくこの格言に当てはまるもの。川崎の強さの秘訣は山村にアリといっても過言ではないだろう。

 中でも広島戦でのミドルは印象的。すでに2点リードしていた試合だったので得点後の感傷的な様子を見た時に「そんなに感慨深いのか」と思ったのだが、のちに第3子をなくしていたことが判明。寡黙な男の熱い思いは胸にグッとくる。

 ここまでまともな聖人感あふれる感じなのだが、いつか乗ってみたい車は「ヘリコプター」とあり、ちょっとしたとんちんかんさがあるのは安心した。

 と思いきや、世の中にはヘリに変形する車というものがあるよう。もしかすると山村はこのことを指して「ヘリコプター」といっていたかもしれない。聖人君子な山村のおかげで僕はまた一つ賢くなれました。



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    欲しくはないけど。

41 家長昭博

 チームが悪い時は非難を集め、好調の時は称賛を集める。どの選手においても当然そういう傾向はあるのだが、家長に関しては特にその波が大きいように思える。やはり異能の証なのだろうか。

 加入後、すべてのタイトル獲得に貢献してきた天才は2020年は絶好調。得点機会に絡めなかった2019年に比べれば、開幕からパフォーマンスは段違いの物だった。タメを作り、味方に時間を作る強さは健在。深さを出せるクロスは他の選手にはないもので、特に序盤戦は右サイドから巻いてゴールに迫る弾道は相手選手の悩みの種になり続けた。

 一時期は負傷で離脱したものの、不在時に停滞したチームをみた鬼木監督に強行出場を頼まれるほどの存在感の大きさでチームを今年もタイトルに導いた。

 近年は名言クリエイターとしての評判も名高い。2020年はやはり優勝を決めた時の「今日が終わらないでほしい」だろうか。歴代で言えば僕のお気に入りは「フロンターレのエースはお前だ」です。

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 この人は名言クォーターバック。

【FW】

9 レアンドロ・ダミアン

 サポーターからも他クラブのファンからもフィットしないフィットしないといわれ続けているせいで、フィットしているのかしていないのか毎試合見続けていてもわからなくなってきた。

 が、2020年は割といいシーズンだったように思う。フィールドプレイヤー唯一の全試合出場を記録したのは信頼されている証だろう。「これはセレソン」といいたくなるゴールも7試合に1回くらい決めていたし、終盤戦は三笘との連携が良好で得点に多く絡んだ。前半戦は家長、長谷川と相性良かったし、なんだかんだ今季はスターターとしてペースを作るのが上手かったように思える。

 一方で簡単に見えるシュートを決められなくて負のスパイラルに陥ることもしばしば。特に天皇杯決勝で決められなかったのは割とファンをやきもきさせた。

 ピッチ内ではクレーマー、ピッチ外では聖人という二面性も魅力。味方やレフェリーや敵にガンガン文句を言っていくスタイルは2020年も絶好調だった。

    2021年は「せっかく改名したのにOGが足を引っ張ってしまっては意味ない」とか「アイドル番組で大喜利ばかりやりすぎではないか」などぜひ日本のアイドルにおけるおかしいところもガンガン指摘してほしいところだ。

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 トップバッターとして完璧な回答。

11 小林悠

 シーズン序盤はケガで出遅れ。スターターとしてダミアンが定着したことに加え、今季は5枚交代での交代が前提として90分を組む意識が強かったこともありベンチスタートが増加。2020年は近年でもっともスタメンを外れることが多かったシーズンではないだろうか。それでも途中交代で出てくると三笘と共に大暴れ。ユアスタで仙台をぬか喜びさせて「5枚交代の川崎はずるい」といわれる原動力になった。

 非保持におけるスイッチの入れかたは明らかにダミアンよりも上。ハイプレスをかけ続けるというよりは中盤で構えながら1人目として味方が追いやすいタイミングでチェイシングを始めるさじ加減が見事である。

 2021年はピッチ内でのプレーもそうだが、中村憲剛不在のチームとどう向き合っていくかという命題にも挑むことになるだろう。もちろん、まとめるスタイルは異なるだろうが、違う形でチームを牽引する生え抜きの魂を引き継ぐことが求められる。新たな川崎の象徴として強い川崎を継承できるかどうか。その雰囲気を作れるかどうかは彼にかかるところが大きいだろう。

 インスタでは守田の移籍をフライング告知してしまうなどのやらかしも披露。相変わらずポンコツぶりだが、ポンコツがチームを率いるということに我々坂道ファンは慣れているのでそこは安心して来季もポンコツしてほしい。

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 頑張ってくださいね。

20 宮代大聖

 山口より帰還した川崎の大砲。最大のインパクトはホームの神戸戦。苦しい展開が長い試合になったが、試合終了間際に逆転弾を叩きこみチームを勝利に導くプロ初得点を記録。ってか神戸戦に強い選手多いですね。

 ただ、この試合を除くと継続的にインパクトを残すには至らなかったシーズンでもあった。右ワイドとトップの併用で起用法が定まらなかったのも大きいかもしれない。

 倒されたとしても無駄にアピールをせずにすぐに次のプレーに向かう真摯さは個人的には非常に好み。プレーにフォーカスできていて、次の機会を逃さないことに意識が向いているように見えるのは大物の雰囲気を感じるような気もする。

 たまに口が空きっぱなしになっているのがチャームポイント。かわいげを感じるところではあるものの、空きっぱなしでいると雑魚寿司を詰め込まれる恐れがあるので、できるだけ口を閉じた状態で徳島でも頑張ったほしい。

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 「みやしろ」は結構口が開きやすい名前。

30 旗手怜央

 序盤はなかなかゴールが決まらず、ゴールを欲するあまりプレーが堅くなるという悪循環も少し見られた。しかし、得点を決めると力が抜けてプレーにも柔軟さが出てくるように。

 パンチ力のあるシュート力はさらに磨きをかけたいところ。ラインに張って得点を狙う機会が増えた終盤戦のインサイドハーフの役割は結構うってつけのように思う。来季、そもそもどういうフォーメーションでやるのかはわからないけどね。

 攻撃時の推進力に加えて、非保持におけるプレスのかけ方はチームでもトップクラス。多くのポジションをこなすマルチ性はチームの幅を広げる助けになり、特に中盤戦においては大車輪の活躍を見せた。終盤戦はやや保持の部分でもたつくなど、少し息切れをした印象。年間を通してのコンディションが2021年の課題になるだろう。

 一方で新卒だということも割と忘れるくらいハードルが上がっていたことも確か。「もっとこうしてよ!」と要求するダミアンをガン無視するなど新人離れしたスケールを見せている。来季はぜひACLで躍進して「川崎はACL手を抜いている」といいがちなやつを黙らせてほしいところである。

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 これくらい大物になってほしい。

【レジェンド】

14 中村憲剛

 長くなってしまったので最後に回しました。

 13節の清水戦で前十字靭帯損傷からの復帰戦でシーズンを初得点、そしてホームの多摩川クラシコでは勝敗を決定づける決勝点をゲット。ゴールシーン以外においても2019年の精彩を欠いたボールタッチは輝きを取り戻しており、ボール保持の預けどころとしても、プレスの局面の旗振り役としても「川崎に中村憲剛健在」をアピールするパフォーマンスだった。

 それだけに引退発表は多くのチームのファンを驚かせた。個人的にはなにより驚いたのが彼がこの年齢で引退することを逆算してプレーを続けてきたことである。1年1年様子を見つつできるだけ長くやりたいタイプかと思っていた。

    が、そういう決意をしてからタイトルが転がり込んできたことを考えると、本人の中でそう決めたからこそ整理された部分や変わった部分があるのだろうなと思う。

   現役ラストゲームとなる天皇杯決勝には出場しなかった。これに関してはいろんな意見があるだろうが、本人は試合後に「今、世界で一番幸せなサッカー選手」と自らのことを評しているのだから、個人的にはこれが全てなのかなと。

   世代交代が激しい昨今のフットボールにおいてはクラブにおけるレジェンドでも、1つのクラブに身をささげて引退するのは非常に難しいことである。現役にこだわることは悪いことではないと個人的には思うが、現に長年愛着のあるクラブと複雑な別れ方をしているケースはJでも数多く起きている。

   中村憲剛が門出を迎える姿をリアルタイムで見届けることが出来て良かった。このチームで彼を応援できてよかった。川崎のため、ファンのため、そしてサッカーが好きな子供たちのため。どれも彼の口癖である。自分の引退セレモニーなのだから、もう少し自分の思い出を語ってもいいのに、川崎というクラブと街について、そして日本サッカーについての話をたくさんしていたのが印象的だった。

 タイトルを取った時も、MVPを取った時も、引退を発表した時も常に周りへの感謝が第一。でも、今回ばかりは自分たちにもたくさんの感謝を伝えさせてほしい。「ありがとう」を言いたいのはファンだって同じだ。

 18年間本当にお疲れ様でした。あなたが世界一幸せなサッカー選手なのだとしたら、我々は世界で一番幸せなサポーターです。ありがとう。またどこかで。

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