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「2つの変化で課題を解決」~2018.9.2 プレミアリーグ 第4節 カーディフ×アーセナル レビュー

 こっちのほうが読みやすそうなので、レビュー形式でやりますね。
勝てたね!スタメンはこれ!(バンバは22番です。ごめんなさい。)

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目次

【前半】
ーディフのプレスとアーセナルの修正

 アーセナルのビルドアップはおなじみとなってきたCBが大きく横に開く形。MF1枚が間に落ちて、もう1枚はカーディフのFWとMFが形成する四角の中央か2トップの横のレーンにいた。

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 後ろ3枚のビルドアップに対してカーディフは枚数合わせの作戦に出る。
相手の後ろ3枚に対して4-4-2で枚数を合わせるにはSHかCHに気合いが必要。
この試合ではCHのアーターが積極的にプレスをして枚数を合わせた。
アーセナルのSBはボール保持時には問答無用で高い位置を取るので、実質それしか選択肢がなかっただろう。

 1stプレスを突破されると、カーディフはFWがハーフライン付近までプレスバック。4-4-2ブロックを敷く。
ただ、カーディフの最終ラインはかなりばたつき気味で、前半早い時間にモリソンやマンガがエリア内で決定的なミスを犯してエザリッチを慌てさせていた。

 そのためアーセナルは相手陣PA付近まで行けば割とシュートまで持って行くことができた。

 というわけでまずはカーディフのプレスをアーセナルが交わせるかどうか、がこの試合のポイント。
序盤はがっちりカーディフの作戦にはまっていた。
SBが低い位置を取らなかったことに加えてソクラティスが左側に難しいパスが蹴れないことも要因だろう。上の図に近い配置だった6分のシーンはめちゃめちゃ危なかった。

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このシーンはソクラティスからチェフにボールが渡る。

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 リードはソクラティスへのパスコースを切りながらチェフにプレス。最終ラインはマンマークが付いているし、その前のゲンドゥージはパスコースを作れてなかったので、もう蹴りだすしかないのだが、チェフはゲンドゥージを狙った結果相手にぶち当てて決定的なピンチになった。

 ここまで対戦したどの試合でもこんな形でのピンチはあったので、ウォーノックもここは狙い所と踏んでいただろう。

 このシーンではチェフにボールが渡った時点でロングボール以外の回避手段がないので、レノだろうとこのビルドアップはうまくいかなかったと言えるシーン。蹴り出して決定的なピンチは避けたかもしれないけど。

 というわけで修正が必要。
アーセナルとしては数を合わせられてしまうなら数を増やせばいい。ということでジャカが左サイドの低い位置を取り、MF2枚とCB2枚で最終ラインを形成してGKも含めて5対3の形を作る。
空洞化した中盤に前線の誰かしらかが降りてくることでパスコースを確保。

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 カーディフが仮にこれもハメに行くのならばカマラサが出て行くことになるだろうが、そうすれば高い位置を取るモンレアルと左のハーフスペース付近に位置してるオーバメヤンをマンガ1人で監視することになる。
スライドするとラカゼットにはCB1人で対応することになるのでこれも怖い。というわけでジャカは左サイドの低い位置でオープンになる形が多くなった。

 そうなるとカーディフとしてはわざわざ3枚でプレスに行く意味がないので、アーターの位置が下がる。そうすれば最終ラインの数的優位は回復、ジャカは中央に戻ってもよし。またプレスに来たら最終ラインの枚数を増やせばいい。

 最終ラインの枚数を変えることで相手のプレスを回避。となるとカーディフの最終ラインは徐々に下がって試合はアーセナルのペースに。

 余談だが
・オーバメヤンのサイド起用
・ラムジーのトップ下起用
という自分の中でここまで理解できなかったエメリの起用法がこの試合では腑に落ちた。

 アーセナルの左サイドのプレスを弱めるのに裏を狙えるオーバメヤンは効果的だし、中盤にも降りてきつつ、崩しのキーになるサイドにも顔を出すマルチタスクはラムジーに合うものだ。

 あと試合中に「アーセナル2トップじゃない?」ってツイートしたけど、オーバメヤンは守備では左サイドを埋めてたかな。攻撃時は内側に絞ることが多くて、そのギャップは割と守備で弱点になってる感じはしますが。前4枚はそこの約束事はあいまいだった。

 用意されたセットプレーから見事に先制し、試合もペースを握り進めていたアーセナル。
しかし、前半終了間際に追いつかれてしまう。失点前に気になったのは17分のシーン。

 DFラインの横幅が狭い。ボールは中央にあるがプレッシャーがかかっておらず、カーディフ的にはベジェリンのサイドに素早く展開できる形。大外のホイレットは捨てて、人数が十分にいる中央を固める選択をしたことになる。

 失点シーンの形も似たような形である。ジャカが低い位置でロストした局面で先の場面より状況は悪い。最終ラインは3対4の形。大外からクロスを挙げられて失点する。外を捨てて中でモンレアルが対応できずに失点。中で跳ね返せる前提がないならば外には厳しく対応して中盤のヘルプを待ったほうがよかったかもしれない。

【後半】
プレーエリアが低くなるエジル

 前半の終わりに得点は入ったものの、試合の展開に大きな変化はなくアーセナルが押し込む形が続く。セットプレーがいつもより期待できたのはムスタフィがバンバに優位を作っていたから。

 60分を過ぎるとカーディフの中盤のプレスが弱まり始め、一方的な展開はさらに強まる。

 アーセナルが前半に見せた変化が最終ラインの枚数変更ならば、後半に見せた変化はエジルとラムジーの役割分け。60分くらいから鮮明になってきた。降りてきて中央低い位置でエジルがフリーでボールを持つ形が増えてきて、よりチャンスメイクの質が上がった。62分のオーバメヤンのゴールも中央でエジルが出した縦パスが起点になっている。ロールスが少しパスコースを開ける動きになったのは不可解だが、流れるオーバメヤンへのパスを警戒したのだろうか。エジルのパスを受けたラカゼットの落としも見事で、シュート以外にも複数選択肢がある形でオーバメヤンにボールが渡っている。ラカゼットにこのプレーをされてしまうと、中央では1対1を作られる形をカーディフが避けたいと思っても不思議ではない。

 試合が進むにつれて全体の重心が下がっていくカーディフにとってセットプレーが数少ない希望になるのは当然のこと。しかしながら65分のジャカのイエローから同点に追いつかれた69分のFKの間の4分でCK2回、FK3回、スローイン(ロングスロー)2回はいくらなんでも与えすぎだろう。こちらもアーセナル同様よくデザインされたセットプレーだった。

 カーディフに元気はでてきたものの試合の展開としてはアーセナル優位は動かず。トレイラを使ってより試合展開をがっちり握りに行く。選手交代しないのかウォーノックって感じだったけど、カウンターでの決定機まであと一歩くらいの場面は作り出せていた。

 エジルの低い位置でのボールタッチはさらに増えた印象。多少低くてもフリーで持つことでこの試合は効果を発揮していた。エジル自身がDF-MF間に侵入できなくても最前線にラカゼットへの縦パスが入ればチャンスになる。

 決勝点もラカゼットへの縦パスが起点。トレイラが見つけ出したパスコースは見事でそのあと自身がエリア内に侵入したのも好印象だった。っていうかここもバンバ負けてるじゃんか!!

 ウェルベックは何で投入されたんだろう。全然意図がわからん。高さと運動量補強でいいのかな。とりあえずアーセナルが逃げ切って勝ちました!

まとめ

 カーディフはこの試合ではこれ以上の得点は見込めなかったので3失点は厳しい。ことごとくCBがやられての得点というのはつらい。ラカゼットにボールが渡る前にウォーノックは何とか手を打ちたかったし、バンバはムスタフィには競り負けたくなかったところ。

 今季ここまではサイドからの崩しを中心に得点を重ねていたアーセナルだったが、この試合では中央での縦パスが起点になった崩しが2点。エジルの位置が下がることで縦へのダイレクトな局面を進めるパスが増え、攻撃にバリエーションが出てきた印象だ。中央のラカゼット起用はぜひ継続してほしいところ。

 一方でここまでで8失点は明らかに課題である。必ず上がらなければ攻撃が成り立たないSBのところがかなり狙われているので対策は必要。ほかにも前線の自由化によってブロック守備にしわ寄せは来ていたり、一対一での守備能力の低さを補う部分は見えてこなかったりなどもちろん課題はあるが、ビルドアップに関してはこの試合の中で改善が見られたのは明るい材料だろう。8失点で2勝2敗とはいえ、連勝で中断期間に入れたのはポジティブにとらえていいはずだ。

2018/9/2
プレミアリーグ 第4節
カーディフ2-3アーセナル
カーディフ・シティ・スタジアム
得点者 CAR:45+2′ カマラサ,70′ ウォード
ARS:11′ ムスタフィ,62′ オーバメヤン,81′ ラカゼット

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