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「それぞれのラストワン」~2024.12.8 J1 第38節 川崎フロンターレ×アビスパ福岡 プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第38節
2024.12.8
川崎フロンターレ(11位/12勝13分12敗/勝ち点49/得点63/失点56)
×
アビスパ福岡(10位/12勝14分11敗/勝ち点50/得点32/失点35)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近10回の対戦で川崎の7勝、福岡の1勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の9勝、福岡の1勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 5月のリーグ戦の引き分けで福岡が川崎戦の連敗を5で止める。
  • 直近5試合の福岡戦のうち、川崎は4試合で3得点以上を記録しての勝利。
  • 川崎ホームの福岡戦は川崎の5連勝中。この間のAGGは16-6。
  • 昨季は天皇杯を含み、川崎ホームでは2回対戦。いずれも、川崎が4-2で勝利をしている。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 瀬川祐輔は水曜のACLで太ももを負傷。
  • 大島僚太は欠場が続く。同じく欠場が続く脇坂泰斗は練習を再開。
アビスパ福岡
  • ドウグラス・グローリ、重見柾斗は出場停止。
  • 永石拓海はC大阪戦で顎を複雑骨折。奈良竜樹、城後寿、池田樹雷人、小田逸希とともに長期離脱。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 勝てば昨シーズンの最終勝ち点である50を超える。
  • 63得点は広島に次いで2番目に多いが、56失点は6番目に多い。
  • リーグ戦におけるホーム最終戦は直近4年連勝中。
    • 最後に負けたのは2019年の横浜FM戦。
  • 直近8年間のリーグ最終戦で無敗(W7,L1)
    • 唯一の引き分けは2021年の横浜FM戦。
  • 山田新がリーグ戦スタメン出場時に得点を獲った試合は直近6試合中5試合が複数得点。
  • 山田がこの試合で得点を奪えばリーグ戦で20得点。直近10年間の川崎の選手でリーグ戦20得点を決めているのは2015年、2016年の大久保嘉人、2017年の小林悠、2021年のレアンドロ・ダミアンののべ4人。
    • 34試合換算でもこの4例以外に2024年の山田以上にリーグ戦で得点を決めている選手はいない。
アビスパ福岡
  • 勝てば昨シーズンの最終勝ち点である51を超える。
  • 35失点は町田、G大阪に次いで少ないが、32得点は他のどのチームよりも7得点以上少ないリーグワースト。
  • 直近3年間はシーズン最終戦で勝ちがない。
    • ただし、アウェイ最終戦は3年連続負けなし。いずれも関東のチーム相手(2023、2022:浦和、2021:FC東京)。
  • 直近7試合のリーグ戦で負けは1回だけ(W3,D3)
  • この7試合の間に2失点。5つのクリーンシートを手にする。
  • ただし、直近9試合のリーグ戦のうち6試合で無得点。

予習

第35節 柏戦

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第36節 C大阪戦

第37節 浦和戦

展望

誘導がスイッチオンに先立つ

 長かった2024年も最終戦。マジで長かった。今まではあと1試合だ!という息切れが顕著だったのだけども、常にスケジュールを切羽つまらせてくるACLのせいで12月まで駆け抜けることが出来ました。今年も1年お疲れさまだ。DAZNはACLの視聴期限を延ばしてください。

 さて、というわけでラストゲームである。今年のラスト、鬼木監督のラスト、そして長谷部監督のラスト。いろんなラストが等々力に集結する日曜日となるだろう。

 福岡は看板に偽りなしという感じ。失点も得点も少なく手堅く試合を運んでいるという印象だ。攻撃のメインプランはウェリントン。左右に流れながらロングボールの起点となり、サイド攻撃を促していく。

 福岡の攻撃の理想的なパターンはWBに前が空いた状態で走らせること。福岡のWBは総じて走力はあるが、足を止められた時の突破力があるわけではないので、基本的には前が空いた状態で受けるのが理想。もちろん、バックスからのつなぎで相手のSH-SBにギャップが出れば、別にウェリントンで前に起点を作らずとも、WBからチャンスを作ることはできる。

 このWBからファーサイドのウェリントンをメインターゲットにクロスを上げていく。ただし、金森や紺野といったインサイドのアタッカーもファーのウェリントンを囮にニア側で動くことが多く、高さはないが相手を外してクロスに飛び込む動きを見せてくる。

 長谷部監督は山岸、紺野、金森がいてウェリントンがレンタルで出て行っていた昨季はもっと中央の3枚のコンビネーションを重視しての中央打開にもトライしていた。山岸が退団し、ウェリントンがレンタルバックした今季に向けてやり方を組み替えたという印象だ。

 非保持は5-4-1でのミドルブロックがベース。特に縦方向がコンパクトでライン間のスペースを簡単に明け渡さないのが特徴の1つである。

 福岡の守備の強みはプレスのスイッチを入れる前に誘導が先に来ることだ。CFがCBに横からプレスをかけて追い込む、シャドーがプレスのスイッチを入れるのはそこから。脱出される方向を規定することで前線のプレスに後方が無理なく追いかけることが出来ている。

 川崎のプレスがうまくいかない時は大体誘導の段階をすっ飛ばしてプレスに行ってしまう場合だ。距離があるところを一気にスプリントすることで相手に逆を取られたり、あるいは出て行く前のスペースを使われたりなど、より悪い状況を呼び込むことが多い。全速力で距離を詰めるということは、急に方向を変えられないということと同義なので、距離がある場所から速い速度で追ってくるプレスというのは非常に保持側が利用しやすい。

 福岡の守備はそういう点で攻撃側が利用しにくいプレスになっているということである。ややバックスの中では不用意に食いつくなと感じるのは右のワイドのCBのグローリ。だが、彼は出場停止。もちろん、ワイドのCBの出足の良さによってライン間のコンパクトさが保たれている側面もあるし、単純にパワーがある選手が抜けるということでもあるので、グローリの欠場がどちらに転がるかは非常に微妙なところだと思う。

穴を開ける2つの方策

 山東戦は4-0の快勝であったが、相手の守備が福岡のクオリティと雲泥の差があったので、あまり参考にはならないだろう。福岡の守備ブロックがあんなに簡単にバンバンライン間の縦パスを通すことを許してくれるはずがない。

 最悪のケースはコンパクトなライン間を強引にすり抜けようと、ワンタッチのパスをつなげるテンポアップで精度が破綻し、福岡にカウンターの養分を与えるケースだ。まさに先週福岡に敗れた浦和が陥った流れだったといえるだろう。

 よって、直近の試合に比べると後方からのつなぎに関してはとても丁寧に試合を進める必要がある。おそらく、CBのスターターには佐々木と高井が復帰をするはずなので、ボールを前に運ぶという点ではだいぶ改善が見込めるだろう。

 福岡はプレスに来ないわけではなく、ミドルゾーンに構えながら前プレでボールを奪いきる機会を狙うタイプの守備をしてくるチームなので、逆に自陣におびき寄せられた時にはチャンスととらえ、ここから一気に盤面をひっくり返すくらいに思っておきたいところである。

 ただし、福岡はリトリートがべらぼーに速いので、どこかでスローダウンをすると押し下げた位置でもう一度ブロックと立ち向かうというフェーズを迎える可能性もある。1人の選手の動き出しを連鎖的に、かつ相手が陣形を再構築する前に壊す。ただし、スピードアップに頼って精度をないがしろにすると、コンパクトなブロックにからめとられるという流れになる。

 川崎の個性を考えるとそれでもブロック攻略に挑んでほしいのだが、それ以外の攻略のパターンも考えられる。ガチっと組まれている5バックを攻略する時のきっかけづくりの候補として挙げられるのは「すでに人がいるところに穴を空ける」である。具体的には対面のマーカーを剥がせる選手の存在だ。東京V戦で言えば綱島を振り回し続けたマルシーニョがそれにあたる。

 だが、福岡戦ではよりスペースは限られており、背後にランを仕掛けるほどの余裕があるかわからない。むしろ「相手に捕まりながら剥がす」方が現実的かもしれない。それであれば、最も有力なのは山田新だろう。相手に捕まりながらも引きちぎる猛獣のような形で強引に反転が決まれば、川崎は穴を空けることが出来る。

 この方向性であれば、潰しに強い奈良やグローリを欠く福岡のCB陣のスカッドの現状ともマッチする。スモールスペースの駆け引きで出し抜くことが出来る小林もどこかで出番はあるだろう。

    もう1つ、意識したいのはミドルシュート。こちらは押し下げた後にブロックの外から叩くアプローチ。福岡の直近3試合の2失点はいずれもミドル。田中駿汰とマテウス・サヴィオの2人がブロックの外から撃ち抜いている。

    ミドルはシュートブロックに絡むとカウンターのピンチに陥るので無闇に打てばいいというものではない。けども、サイドからの押し下げ(田中のミドルはこれ由来)など目の前のスペースが空くアクションと絡めれば、有効な手段に変貌する。前を空ける手段とセットで考えたい。

 守備においてはやはりウェリントンへのファーへのクロス対応が出発点となる。東京V戦ではセットプレーを中心にファーへのクロスを狙い撃ちされており、ここの対処が出来なければ、福岡にとってはハイボールが入れ得になってしまう。

 できれば、クロスを入れる前の段階で制限をかけたい。同サイドにきっちりと圧縮すること。そのためには第一歩として噛み合わないサイドの守備に対する約束事が重要。ワイドのCBにどこまでプレスをかけるのか?前に出て行くのであれば、WBが浮かないタイミングにすべきなどいくつかの状況を勘案しながらクロスが上がる前に勝負を決めたい。

 さて、いよいよ泣いても笑ってもラストゲーム。それぞれのクラブにとって一時代の幕引きとなる指揮官の最後の90分を目に焼き付ける日曜日にしたい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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