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「開拓せよ」~2020.10.25 プレミアリーグ 第6節 アーセナル×レスター プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第6節
2020.10.25
アーセナル(5位/3勝0分2敗/勝ち点9/得点8 失点6)
×
レスター(4位/3勝0分2敗/勝ち点4/得点12 失点8)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間でアーセナルの6勝、レスターの3勝、引き分けが2つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

直近10試合でアーセナルの8勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルは直近27試合の公式戦におけるホームのレスター戦で無敗。そのうち20試合に勝利している。
・レスターの最後のアーセナルホームでの勝利は1973年のもの、昨季の引き分けまでそれ以降11試合連敗が続いていた。

スカッド情報

【Arsenal】

・軽傷でラピド・ウィーン戦を欠場したウィリアンとダニ・セバージョスは当日判断。
・ロブ・ホールディングはハムストリングの負傷で欠場。
・メスト・エジルとソクラティス・パパスタソプーロスはPLのスカッド登録外。トーマス・パーティはプレミア初先発を飾る見込み。

【Leicester】

・ふくらはぎの負傷で直近2試合を欠場したジェレミー・ヴァーディは当日判断。
・リカルド・ペレイラ、チャグラル・ソユンク、ダニエル・アマーティ、ウィルフレッド・ンディディは負傷のため欠場。
・欧州カップ戦登録外だったイスラム・スリマニは戦列に復帰。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

2020年のプレミアでのホームゲームは無敗。昨年12月29日のチェルシー戦に敗れて以来11戦で9勝を挙げている。
・直近9試合のホームでのリーグ戦で8勝。唯一の例外は1-1で引き分けた7月のレスター戦
・直近73試合のホームゲームでのリーグ戦で無得点は3試合だけ。いずれもマンチェスター・シティを相手に迎えた試合。
10月のリーグ戦は直近32戦無敗(W26,D6)で、最後に敗れてから18年が経過している。

【Leicester】

リーグ戦3連敗になれば、クロード・ピュエルが解任された2019年2月以来のこと。
・勝てば史上初めてのアウェイ開幕3連勝になる。
シュート(ブロックを除く)の35.3%が得点になっており、これはプレミア最高の数字。
・ブレンダン・ロジャーズはアーセナル相手の7試合のアウェイゲームで勝利していない(D3,L4)。
ジェレミー・ヴァーディはプレミアでのアーセナル戦で10得点。これより多いのは12得点を決めたウェイン・ルーニーのみ。

展望

■弱点が少ない好チーム

 ブレンダン・ロジャーズの招聘から1年半が経過。すっかりレスターは彼のチームとなったといえる。就任直後に当時ボロボロのアーセナルと試合した時も、負けた相手の中では断トツで強かった記憶があるので、次のシーズンいいところまで来そうだなと思っていたら案の定来たという次第である。

 ウェストハム、アストンビラとここに来て連敗中のレスターだが、連敗してなおこのチームは完成度が高いといえると。彼らの強みは弱点が少ないこと。強いて言えば引いた相手を崩すのが苦手である。ウェストハム戦はこの典型で先手を取って引いたウェストハム相手に人数をかけて攻め込むも、ロングカウンターから刺されまくって大敗するという試合だった。

 ただ、引いた相手をどう崩すか?というのはボールを保持するスタイルのチームが最後にぶち当たる難問といっていいだろう。そこまでは十分なクオリティを見せていることの裏返しでもあると思う。

 特に目を引くのが中盤のクオリティの高さである。彼らは攻守にレスターを支える存在で、守備におけるハードワークも攻撃参加もお手の物。真骨頂だったのがシティ戦。シティ相手に5バックをベースに序盤は引きこもったやり方ができたのも、中盤の守備がそれに見合うスペックを持っているからこそである。

 そして、彼らの強みはボールを運ぶスキルだ。ティーレマンス、プラート、バーンズはカウンターの旗手となり、ドリブルで相手を動かしながらチームを前に進めることが出来る。こういう選手が複数いるのがレスターの中盤の厄介な点だ。シティ戦ではアンカーのメンディがフェルナンジーニョをぶっちぎったシーンが得点につながっている。

    攻守に無理の効く中盤の面々の万能性によってレスターはボール保持一辺倒のチームではなく、あらゆる展開に対応できるチームになっている。ンディディの離脱にも問題なく耐えている点やマディソンのスーパーサブ化はこの中盤の層の厚みを示している。

 ロジャーズ就任当初に真っ先に自分が感じたのは「ヴァーディ、どうするの?ボール持つスタイルに合わないのでは?」という点である。しかし、ドリブルでアクセントをつけられるレスターの中盤の面々はドリブルで敵の最終ラインを動かすことが出来る。前に出た最終ラインの重心を崩すことに関してはヴァーディはマエストロ。もちろん、ロングカウンターでの効能の高さは言うまでもない。ロジャーズの優秀な点はヴァーディを「理屈の上で機能する理不尽な存在」にまで昇華したところだ。

 最終ラインは離脱したソユンクの穴を埋める存在として期待されるフォファナがアストンビラ戦でデビュー。ビルドアップにおける存在感はまだまだだが、守備面ではあまり気になるところはなかった。アストンビラ戦のような質の高い試合において、そういう印象を持ったのはCBにとっていい評価なのかなと思っている。

■ルート開拓に向けたチャレンジは必要

 アーセナル戦ではおそらく負傷欠場していたヴァーディが戻ってくる。アマーティもセットで戻ってくるならば、シティ戦の5-4-1でアーセナルにブロック守備攻略を強いることができるが、離脱者が多いレスターの最終ラインではあの試合の再現は少し難がある。したがって、中盤でのボールの奪い合いが激しいゲームになると見る。スタメンデビューの可能性があるトーマスにはいきなり歯応えのある相手になる。

   ヴァーディではなくイヘアナチョが先発ならば、迷いなくアーセナルはボール保持を優先し、相手を押し込む時間帯を作ることが最優先になる。

   ただヴァーディがいたとしても、崩しの質が下がるわけではないので重心を下げるのがいいとは思えない。彼らが怖いのはロングカウンターだけではない。それならば、前線がレスターの最終ラインにチャレンジできる機会が多い方がいい。

 ボール保持でプレスをかわし、幅を取りながら左右中央で起点を作り前進していく。シティ戦ではボール運びが左に偏在化しているところを対策されて苦しんだ。

 そして苦しんでなお、左からのビルドアップのチャレンジに偏っていたのがシティ戦の残念な点である。シティ戦では見られなかった中央のラカゼットや、右サイドからの押し上げからの崩しにまずはチャレンジすること。主導権を握り、ボールを保持したいレスターとはボールの奪い合いになるはずだ。ならばその限られた機会を一か所からのビルドアップに固執するのはもったいない。たとえ失敗したとしても、ビルドアップルートの開拓には取り組むべき。なぜなら、できていた試合もあったから。そしてシティやリバプール、レスターのような強いチーム相手にそれを機能させることが今季上に行く条件だからである。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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