ブレントフォード【11位】×ニューカッスル【12位】
隙を逃さずに重ねた4得点
近頃はなかなか低い位置でつなぐことにこだわるケースが増えているブレントフォード。ニューカッスル相手でも低い位置からつないでいくことは特に問題なし。ショートパスでつなぐブレントフォードとハイプレスでこれを阻害するニューカッスルというハイインテンシティな構図で試合はスタートする。
ブレントフォードはあっという間に先制。低い位置で繋ぎ、相手のプレス隊をおびき寄せつつ、後方が同数になったところでアタッカーの破壊力を利用するという得意なパターンで、ムベウモが早々に試合を動かす。
しかし、ニューカッスルもすぐに反撃。マーフィーのクロスをイサクが仕留めてわずか数分で追いついて見せる。
スコアが動きやすい展開だったことからもわかるように、この試合はとにかく両チームの緩さが目立った。タイトなブロックが持ち味のはずのブレントフォードは相手の移動についていくことであっさりとスペースを明け渡してしまい、中央にサイドに抉られるケースを頻発する。ホルダーとの距離も遠く、あまりプレーに制限をかけることが出来ていなかったのもまずい。
また、コリンズのミスからイサクが決定機を迎えるなど、致命傷となりかねないエラーもちらほら。いつものイサクであったら決めていたシーンだが、ここは何とか許された。
決定機を逃すと相手に決定機が渡るというのはよくある話。こちらもバーンズのマイナス方向からのパスミスからウィサがゴールを仕留めて再びリードを奪う。
しかし、ニューカッスルはすぐに同点。そのバーンズが自らリカバリーとなるゴールを決める。その後もルーズさに乗じてニューカッスルが主導権を握ったまま試合はハーフタイムを迎える。
後半もオープンな展開は継続。互いに攻撃的なスタンスを崩さず。カットインやハイライン攻略からチャンスをつかんでいく。
試合を動かしてリードを奪ったのは三度ブレントフォード。セットプレーから抜け出したコリンズがこの日3回目となる均衡を破るゴールを決める。
トナーリ、ゴードンの2枚交代に踏み切ったニューカッスルは左右のサイドからクロスを上げることでチャンスメイク。トナーリは自身がフリーになり決定機を作るなど、数多くの選手がフリーでボックス内でボールに触ったにもかかわらず、3回目の同点ゴールを手に出来ない。
すると、ブレントフォードはトランジッションから追加点。中盤での蹴鞠のようなバタバタとして展開から前線がニューカッスルのDFと軽やかに入れ替わることに成功。シャーデがとどめの一発をお見舞いした。
緩さが目立つ一戦を制したのは相手の隙をつくことに長けていたブレントフォード。ニューカッスルを大量4得点で下した。
ひとこと
ブレントフォード、地味にキャラ変していない?
試合結果
2024.12.7
プレミアリーグ 第15節
ブレントフォード 4-2 ニューカッスル
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:8‘ ムベウモ, 28‘ ウィサ, 56’ コリンズ, 90‘ シャーデ
NEW:11’ イサク, 32‘ バーンズ
主審:ティム・ロビンソン
アストンビラ【8位】×サウサンプトン【20位】
咎められなかったツメの甘さ
ブレントフォード戦の勝利はおよそ1か月半ぶりのリーグ戦の勝利となったアストンビラ。稀に見る混戦である上位勢においては連勝すればまだ上位を視野に入れることは可能。なかなか浮上のきっかけをつかめないサウサンプトンとの一戦は必ずものにしたいところだろう。
序盤はサウサンプトンのハイプレスでスタート。高い位置からアストンビラの保持を咎めつつ、ボールを持つ側に回った際はゆったりと押し込む形を作っていく。
一方のアストンビラはハイプレスとリトリートを使い分け。メリハリのあるプレスでサウサンプトンの攻撃に対応する。
時間の経過と共に徐々にペースはアストンビラに。少しずつ保持の時間をふやしつつ、前線に当ててからの反転で敵陣へどんどん侵入していく。
しかし、サウサンプトンもティーレマンスを狙い撃ちしたプレスから徐々にリズムを確保。アストンビラをリトリートで自陣に下がるように仕向けて攻撃を仕掛けていく。ハイプレスに来られると明白に詰みそうだったのでサウサンプトンとしては悪くないかなという感じであった。
押し込むところまで作り上げたサウサンプトンだが、アストンビラはそれをひっくり返す形で先制点をゲット。ロングボールを受けたデュランがサウサンプトンの2人のCBを引きちぎる形から強引にゴールを生み出して見せる。
ハイプレスに出ても、自分たちがハイプレスで来られても苦しいサウサンプトン。それでも出て行くしか道はないので、負けからのチェイシングにトライ。アストンビラはひっくり返せば即チャンスという後方同数の状況を与えられることとなった。
サウサンプトンは後半に4バックに移行。シュートまでたどり着けないのは同じではあるが、押し込むところまで向かうことができた。
そんなサウサンプトンを尻目にアストンビラは保持で少しずつテンポを奪っていく。終盤はアストンビラが再び保持で試合をコントロールした感が出てきた。
アストンビラのアキレス腱になりかねなかったのは攻撃のツメの甘さ。81分にはワトキンスが大チャンスを迎えるが、これを決めることが出来ず。裏抜けまでは悪くない場面だったが仕上げがうまくいかなかった。それ以外にも速攻のフィーリングが噛み合わず、なかなか追加点を仕留めることが出来ない。
幸運だったのは相手に反撃の元気が残っていなかったことだろう。ホームでクリーンシートを達成し、見事に連勝を飾ったアストンビラだった。
ひとこと
今後、ツメの甘さで足元をすくわれなければいいけど。
試合結果
2024.12.7
プレミアリーグ 第15節
アストンビラ 1-0 サウサンプトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:24’ デュラン
主審:ダレン・ボンド
クリスタル・パレス【17位】×マンチェスター・シティ【4位】
いつもと景色の違うセルハースト・パーク
ミッドウィークにリーグ戦の連敗を止めることに成功したシティ。バックスは再び苦しいやりくりになっているが、凌ぎながらなんとか勝ち点を積んでいきたいところだろう。
ところが先に試合を動かしたのはパレス。立ち上がりにカウンターからいきなりゴールを強襲すると、4分には先制点をゲット。中央のサールとのコンビネーションでフリーになったヒューズがガラ空きとなった右サイドに展開すると、やや角度がついたところからムニョスがゴールを撃ち抜いて見せた。
この先制点の場面のように中央のパス交換に対するシティのフィルター性能は絶望的なものがあった。ギュンドアン、ベルナルド、デ・ブライネの中盤ではボールサイドと逆側を埋めるという献身性までは発揮することができず、ヒューズが列を上げればあっという間にフリーでチャンスを供給されてしまった。
パレスとシティの試合であれば、当たり前のようにシティがパレスの5バックを攻略するために云々という展開が当たり前だったが、この試合はそうはならず。パレスの保持に対してシティはプレス時もリトリート時も中盤に制限をかけることができず、チャンスを量産されてしまう。ディアスが最後のところで延々と体を張り続けることでなんとか1点差にとどめていた。
シティは攻撃に転じればそれなりに可能性があった。デ・ブライネとハーランドのタンデムは速攻でも遅攻でもわずかな隙間があればチャンスを作ることができていた。左のヌネスも奮闘しており、同点ゴールは彼の右足のクロスから。グエイとヘンダーソンの両方に触れないところにクロスを上げて、ハーランドの久しぶりのゴールをアシストする。
その一方で自陣からのポゼッションのミスは止まらず、パレスの逐一カウンターの機会を与えることに。アタッキングサードではサヴィーニョがややノッキング。2回あったシュートの機会も枠に飛ばすことができなかった。
それでもなんとか同点にして以降は試合を落ち着かせたシティ。少なくともピンチの機会は抑えつつ、同点でハーフタイムにたどり着くことができた。
後半はシティがボールを持つスタート。前半と同じく3-1-6をベースにボールを動かして、パレスの攻略を狙う。ようやくいつものシティ×パレスになってきた。
シティは多めのライン間の人数を左サイドに動員。オーバーロード気味に仕上げにかかる。だが、パレスは50分に中盤のパスカットからサールが強引に右サイドをぶち抜くカウンターを披露。このプレーをきっかけにシティはまた自陣に近いフェーズでのミスが増えるようになる。
押し込む機会が増えたパレスはセットプレーから勝ち越し。ラクロワのゴールで再び前に出る。
ゴール以降は再びシティが攻勢に出る。攻め込むことはできていたが、ゴール前でのプレー選択がやや消極的でゴールを破ることができず。
しかし、積極的にアタッキングサードでオフザボールを頑張っていたルイスがついに抜け出しから同点ゴールをゲット。ようやく3-1-6の恩恵を受けたような得点を手にする。
だが、そのルイスは勢い余って2枚目のカードをもらって退場。シティは10人で残り時間を戦うことを強いられる。
パレスにとっては押し返すことができない時間帯だったので、相手が1人減ってくれたのは非常に助かったことだろう。エゼ、サールが下がり、マテタに疲労が目立つだけに脅威は割引ではあったが、2点目のきっかけとなったセットプレーも含め、再び得点のチャンスを得る。
だが、これ以上の得点はどちらのチームにも決まらず。試合は引き分けで決着することとなった。
ひとこと
シティはこういう内容だとどこが相手でも2点くらいは取られそうな数のピンチは作られてしまう。で、毎回3点取れるクオリティがあるかは怪しい。ブロック守備の強度がないのは仕方ないので保持でリズムを悪くすることだけはなんとかしたいところだろう。
試合結果
2024.12.7
プレミアリーグ 第15節
クリスタル・パレス 2-2 マンチェスター・シティ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:4‘ ムニョス, 56′ ラクロワ
Man City:30’ ハーランド, 68′ ルイス
主審:ロベルト・ジョーンズ
マンチェスター・ユナイテッド【13位】×ノッティンガム・フォレスト【7位】
お呼びでないオープンすぎる展開
前節、アモリム体制でついに初めての敗北を喫したユナイテッド。今節敗れると一気に星取りの見栄えが悪くなってしまう。マンチェスター行脚となっているフォレスト相手になんとか勝利を飾りたいところだ。
だが、そんな思いを挫くようにいきなり先制したのはフォレスト。セットプレーで飛び込んでくるミレンコビッチをリサンドロ・マルティネスが捕まえきれず、先制点を許してしまうことに。
ボールを持ちながら反撃を狙うユナイテッド。4-2-4でWBにボールを入れさせないように外切りを行うフォレスト。仮に越えられてしまっても素早いリトリートで帰陣。特にサイドの枚数は後手を踏まないように戻りが厳命されていた。
そのため、ユナイテッドは大外とハーフスペースの連携を軸にブロック攻略といういつもと異なる風情に。正対できるディアロがいる左サイドが主戦場となる。
もう1つ、右サイドで見られた変化はフォレストのMFの前後のラインを跨ぐような短い縦パスが入るようになったこと。同点ゴールとなった場面においてもこのパスが起点となり、前を向いたウガルテに合わせるようにホイルンドとガルナチョが同時に異なるレーンで背後を取ったのが決め手となった。
以降も左右のサイドから押し込み続けるユナイテッド。チャンスは作れているがセルスのセーブやアンダーソンの戻りなどから得点を許してもらえず。対するフォレストは押し込まれながらセットプレーを中心に追加点を虎視眈々と狙う展開だった。
後半頭にいい入りを見せたのはユナイテッド。シャープに攻撃に出て、高い位置からの回収で支配的な展開を目指す。しかし、バックスにミスが発生。ブルーノとヨロの連携ミスからボールを奪うと、ギブス=ホワイトが凄まじい回転のミドルで勝ち越す。
このゴールを機に試合はサイドをスピーディに崩すオープンな展開に。ユナイテッドもサイドの奥を取ることでチャンスを作っていたが、フォレストはWBの背後を突くことでよりクリティカルにゴールに迫る。そして、右サイドのギブス=ホワイトから2回目のクロスをウッドがファーで仕留める。
前線にラッシュフォードを入れて追撃態勢に入ったユナイテッド。中盤のデュエルを制してのカウンターをブルーノがミドルでゲット。ディアロはややもたついたが、見事にブルーノがリカバリーを決めた。
1点差に迫られたフォレストはモラートを投入し、5バックに移行。サイドのケアを入念にすることでユナイテッドにブロック攻略への誘いをかける。
この陣形変更で試合のオープンさはガタ落ち。前線のアタッカーを続々と投入したユナイテッドはなかなか相手を動かすことができない。
フォレストがゴール前に組んだブロックに穴を開けられないまま試合は終了。ユナイテッドは手痛い連敗を喫することとなった。
ひとこと
ユナイテッド的には後半頭のオープンな展開はお呼びではないなという感じ。支配力はまだまだ足りない。
試合結果
2024.12.7
プレミアリーグ 第15節
マンチェスター・ユナイテッド 2-3 ノッティンガム・フォレスト
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:18′ ホイルンド, 61′ ブルーノ・フェルナンデス
NFO:2′ ミレンコビッチ, 47′ ギブス=ホワイト, 54′ ウッド
主審:ダレン・イングランド
フラム【6位】×アーセナル【3位】
決め手は紙一重で刺さらず
レビューはこちら。
過密日程ながらロンドン引きこもり生活が向こう1ヵ月ほど予定されているアーセナル。今節のアウェイももちろんロンドン。ウェストロンドンでフラムとの一戦に挑む。
ボールを持つアーセナルは右サイド偏重。トラオレの背後を取るウーデゴールからサカ、ハヴァーツとの連携でボックス内に迫っていく。ボールタッチはユナイテッド戦よりは悪くないと感じる立ち上がりだった。
フラムはイウォビを右のWBに下げる形で5バックで対応。これによって、サイド攻撃に対する守備は枚数をかけやすくなっていた。
押し込まれるフラムだが、ワンチャンスから先制点をゲット。ロングボールの競り合い、オフザボールでのコース取りでキヴィオルを圧倒したヒメネスがシュートを仕留めてスコアを動かす。
アーセナルはややこのプレーで精度がバタついた感があった。左サイドはキヴィオル起点での押し上げとややアナーキーなティンバーのポジションによりトロサールが孤立。右サイドに望みを託し、左サイドは飛び込む専門というバランスで攻めていく。
しかし、徐々にフラムはブロックのスライドで穴をふさぐのに慣れるように。徐々にラインをあげていくことでアーセナルを自陣側に追い詰めていく。
追いつきたいアーセナルは後半にアップテンポな展開に誘導。縦に速い攻撃を使いつつ、ハイプレスに出ることでフラムに落ち着く隙を与えない。アーセナルのプレー精度も高くなかったので一方的に押し込む!というわけではなかったけども、左サイドを中心としたスペースメイクどうするねん問題は少なくともごまかせた感があった。
アーセナルはセットプレーでサリバの2試合連続ゴールを生み出して同点に。終盤は押しこみながら勝ち越しゴールを狙う局面にフォーカスする。
左サイドに登場したマルティネッリはその点で決め手になる可能性があった。交代で入ったウィルソンは明らかに下がってWG相手に守備をするという役割とスペックがミスマッチ。ここのマッチアップはアーセナルが明確に優位を握る。
そのマルティネッリのクロスからサカが飛び込んでアーセナルは勝ち越しゴールを決めたかに思われたが、これはオフサイドで認められず。首の皮一枚つながったフラムはクエンカを中央に入れて純粋な5バックに移行し、サイドを手当てする。
最後の一手が届かなかったアーセナル。リバプールとの勝ち点を詰める絶好のチャンスを逃すこととなった。
ひとこと
SBの組み合わせに遊びがなくなると余裕がなくなる今年のアーセナルという感じ。ただ、それでもチャンスを少なく抑えられる仕組みになっているのはシティと比べると優秀だなと思う。
試合結果
2024.12.8
プレミアリーグ 第15節
フラム 1-1 アーセナル
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:11‘ ヒメネス
ARS:52’ サリバ
主審:クリス・カヴァナー
レスター【16位】×ブライトン【5位】
提示したクローズ策が裏目に
就任初戦でウェストハムに勝利を果たしたファン・ニステルローイのレスター。今節もブライトン相手にポゼッションで真正面から組み合うスタートに。
基本的なフォーメーションは3-2-5。ブライトンの4-4-2にズレを作りつつ、ライン間の2列目の選手に届けることを狙う。ブライトンは4-4-2の陣形を大きくと崩さずにジリジリとプレスを行う。
今季は試験色も強かったブライトンの保持だったが、今節も仕組みは面白かった。3バックへの変形は片側のSBを押し上げる形。序盤はエストゥピニャンが高い位置を取る役だったように見えたが、ランプティ―が押しあがるケースも見られた。
駆け上がるSBを変えるのはなかなかない発想な気もするが、この2人のSBの特徴を生かすのであればそれが一番いい気もする。ボールサイドのSHは内側に絞ってIH化するなど、3-1-4-2のフォーメーションを左右でキャストを変えながらやって言った印象だ。
ボールを持つ時間を徐々に長くしていくブライトン。保持で押し下げる動きとセットでハイプレスをしかけ、レスターの綱渡りのポゼッションを咎めていく。
すると37分にランプティが先制ゴールをゲット。上下動を繰り返していたSBが均衡をこじ開けることに成功する。
後半のレスターはもう1回保持ベースで展開を整えに行く。前半はハイプレスでの転覆を狙っていたブライトンだったが、後半は冷静に構えて受けることでカウンター主体のスタイルに切り替える。
少し気になったのは動かすターンになると前半のようなオートマチックなボールの動かし方がブライトンの保持から消えてしまったこと。それでもレスターのハイプレスに捕まるわけではないし、カウンターでスピードをアップ出来れば特に問題はなかったようだが。
そして、交代で入ったミンテがカウンターで追加点をゲット。切り返しを繰り返したところでのミドルでリードを広げる。以降もカウンターでミンテは決定機を迎えるなど、完全にペースはブライトン側にあった。
だが、ボビー・リードのディフレクトをヴァーディが冷静に仕留めると空気は一変。ブライトンはイゴールを投入し、5バックに移行。守り切る意思をはっきりと提示する。
しかしながら、このイゴールの不用意なキャリーが悲劇を招く。エラーをすかさず仕留めたボビー・リードにより、試合は同点に。下位相手との戦績に課題を残すブライトンはまたしても住んでのところで昇格組から勝ち点を取り逃してしまうこととなった。
ひとこと
レスター、割と攻守に見ていられるチームになってきたようにみえるが。
試合結果
2024.12.8
プレミアリーグ 第15節
レスター 2-2 ブライトン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:86′ ヴァーディ, 90+1′ リード
BHA:37‘ ランプティ, 79′ ミンテ
主審:スチュアート・アットウェル
イプスウィッチ【18位】×ボーンマス【9位】
火力勝負で健闘し、競り合いに敗れる
共にアグレッシブな姿勢が持ち味の両チーム。その2チームの対戦らしく、序盤から激しい鍔迫り合いが繰り広げられる一戦となった。
イプスウィッチは右のハーフスペースを集中攻撃。ハッチンソン、チャップリンでこの位置でボールを受けることを起点に敵陣に侵入していく。
ボーンマスも同サイドから反撃。クライファートや本日は左に配置されたセメンヨと彼を追い越すケルケズのオーバーラップからサイドを強襲する。
火力対決であればボーンマスが優勢だろうと思っていたのだが、意外にも試合のペースを握ったのはイプスウィッチ。ショートパスを駆使して、ボーンマスのハイプレスを回避しながら浮いた2列目まで届けるという形を高頻度で作り出していた。
ボーンマスはプレスに対する陣形の維持が甘く、前線から中盤にかけてのスペースが間延び。このクオリティだと脱出を許すのも納得かなという感じであった。
さらにもう1つこの日のボーンマスの難点となっていたのはボックス内でのボール処理が甘くなっていたこと。イプスウィッチの得点シーンの場面が非常に顕著で、根性で相手にボールをつながられることを許し、チャップリンに先制ゴールを許す。
以降も危うい場面は多々。セットプレーから追加点を決めたかと思われたが、これはファウル判定。処理の遅れが招いたピンチをケパがセーブするケースもあった。
保持でも相手のプレスのズレを活用して前進する安定感がイプスウィッチにはあった。その一方でボーンマスはサイドからの力押しが目立つ状況。サイドからのポケット狙いの攻撃もきっちりイプスウィッチのCHが先回りしており、決め手に欠ける内容となった。
後半も流れは同じ。左右のサイドから押し下げることはできているボーンマスだが、なかなか決め手に欠ける。クライファート、タヴァニアが相手のDFラインを下げさせながら受けさせているなど前半よりは工夫を凝らしているのはわかるのだけども。
しかし、イプスウィッチもこの押し下げに対して反撃できない場面が少しずつ増える。相手の攻め筋を削いだという意味では評価できる内容といってもいいかもしれない。それでも70分にはイプスウィッチは押し下げを再開。メンバーを代えずに馬力を出すことが出来るのもイプスウィッチのいいところである。
終盤に2トップを解禁して最後の一手を繰り出したボーンマス。なんとか欲しい同点弾は恐ろしいほどあっさりと。ムリッチが久々に豪快にやらかしてしまい、ボーンマスはスコアをタイに戻す。
すると、終盤に右サイドからの崩しにワッタラが飛び込んでボーンマスは決勝点をゲット。ほころびに畳みかけるボーンマスらしい逆転劇で勝ち点3をモノにした。
ひとこと
イプスウィッチはこういう競っている試合で勝ち点をきっちり詰みたいのだけども、終盤に手から零れ落ちるケースがあまりにも多い。
試合結果
2024.12.8
プレミアリーグ 第15節
イプスウィッチ 1-2 ボーンマス
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:21′ チャップリン
BOU:87′ ウナル, 90+5′ ワッタラ
主審:マイケル・サリスベリー
トッテナム【10位】×チェルシー【2位】
構図がガラッと変わった後半は両軍に明暗
上位勢が勝てないチェルシーにとってはライバルに差をつけるチャンス。対するトッテナムはシティ戦の快勝の後にブレーキを踏む格好になっており、まさしくこのロンドンダービーが正念場という様相である。
試合はハイテンポでのスタート。トッテナムが3トップを基軸にチェルシーの3バックにプレスをかけることで速いサイクルを生み出す立ち上がりに。
このテンポに対してチェルシーはアクシデントから失点。ククレジャのスリップからボールを奪われ、いきなりソランケが豪快なシュートを決めてみせた。
このゴール以降もバタバタが止まらないチェルシー。3-2を基準とするビルドアップが完全にトッテナムに捕まり、ボールの出しどころがない状態に。サンチェスの苦し紛れのキックが相手にプレゼントされることもしばしばだった。
そうした中でまたしてもククレジャのスリップからトッテナムはクルゼフスキが追加点をゲット。トッテナムはあっという間に2点のリードを奪う。
順風満帆な流れに乗ったかと思われたトッテナムだが、15分にロメロに負傷交代のアクシデント。詳細な状況はわからないが、ドラグシンの準備の速さを見ると、ある程度無理をしての先発だったのかなと思わされる交代となった。
さらにチェルシーは徐々にトッテナムのプレスを見切るように。3-2型に対して、徐々に前線からエンソやパーマーといった6人目を登場させることでトッテナムのプレスを空転させる。
一気に前進を去れるとトッテナムの守備は戻りが間に合わない。クルゼフスキの戻りが間に合わないところに入り込んだサンチョが素晴らしいシュートで1点差に詰める。
チェルシーはカイセドのキャリーなどアウトナンバーからボールを前に運ぶ機会を作れるように。パーマーは降りて6人目になる場合と、降りずに縦パスをレシーブして敵陣でプレーすることを優先するケースを見極めるのに長けており、速攻でトッテナムの脅威になった。
しかし、トッテナム側も時折ミスが見られる上に淡白なカウンター対応を見せるチェルシーの守備を見ると、まったくプレスが無駄というわけではないのが難しいところ。トライを続けつつ、前半はリードを守って折り返す。
迎えた後半、トッテナムは前半と打って変わってリトリートベース。チェルシーが一方的に押し込んでいくという少しテイストの違う試合となった。
ボックス内での守備が増えるトッテナムには早い段階で致命的なミスが。間合いを完全に見誤ったビスマがファウルを犯してあっさりとPKを献上。61分に同点に追いつかれてしまう。
さらに勢いに乗るチェルシーはエンソの豪快な一撃で一気に逆転までもっていく。交代選手の選手層も含めて苦しいトッテナム。それでも1点差ならばと何とか踏ん張っている中で今度はサールがPK献上。ゴールに向かいすらしていないパーマーを深追いしてファウルを犯すという非常に苦しいプレーでチームを追い込む。
終盤は1点を返し意地を見せたトッテナム。しかし、4失点の逆転負けでリーグ戦連敗を喫することとなった。
ひとこと
ブロック組んでもこれではハイプレス至上主義になるのもわかる。ただ両CBの強行出場はちょっとポステコグルーらしくないなと思った。
試合結果
2024.12.8
プレミアリーグ 第15節
トッテナム 3-4 チェルシー
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:5’ ソランケ, 11‘ クルゼフスキ, 90+5’ ソン
CHE:17‘ サンチョ, 61’(PK) 84‘(PK) パーマー, 73’ エンソ
主審:アンソニー・テイラー
ウェストハム【14位】×ウォルバーハンプトン【19位】
前線のシャープさとセットプレーが分かれ目に
マンデーナイトの一戦は不振の両チームによる激突。ウェストハムのホームにウルブスが乗り込む試合だ。
高い位置からボールを奪いに行くのはウェストハム。ウルブスは大きなサイドへの展開から1on1で勝負を仕掛ける形で敵陣に侵入していく。
ウルブスのプレスはウェストハムと比べるとマイルド。人基準で捕まえる意識自体は低くはなかったが、後方に人数を余らせることを念頭に置いていた分、ウェストハムはサイドから落ち着いてボールを運ぶことが出来ていた。
前進の安定感に加えてアタッキングサードの引き出しもウェストハムの方が上。ワイドアタッカーが正対した相手に揺さぶりをかけることが出来る分、人がいる相手に対して駆け引きをすることが出来ていた。シュートまで持っていけるようなチャンスは多くなかったけども。
押し込むことはできているが単調なクロスに終始していたウェストハム。これではまずいと思ったのか時間の経過と共に中央でのコンビネーションを織り交ぜながらの進撃を増やしていく。
ウルブスは徹底した薄いサイドからの攻撃を念頭に置きながら攻撃を仕掛けていくがウェストハムを下回る低調ぶりから脱することが出来ない。中央に差し込むアクションと右サイドのクドゥスとワン=ビサカのコンビネーションによってウェストハムが優位に進める前半だった。
迎えた後半。拮抗した展開をいきなり動かしたのはセットプレー。ドフリーだったファーのソーチェクがコースをきっちりと狙う一撃を見せて先制。ついにリードを奪う。
得点を決めてからも優勢なのはウェストハム。一回止まってからの揺さぶりがきくクドゥスを軸にウルブスを攻め立てる。
裏への動きがいつもより少なく後半もウルブスは攻撃のきっかけがみつからないまま苦戦。縦方向に奥行きの出ないウルブス。しかしながらショートカウンターで何とか同点に。左サイドからのクロスをドハーティが沈め、タイスコアに戻す。
だが、またしてもウェストハムはセットプレーから同点に。ボーウェンのゴールでウルブスの同点ゴールからわずかに3分でリードを奪い直す。
この失点で意気消沈してしまったウルブス。サイドからのキャリーが終盤は安定するようになるが、インサイドのダイレクトな裏抜けとの呼吸はなかなか合わず最後までチャンスを作ることができなかった。
苦戦している両チームの一戦はより悩みが深いウルブスの敗戦。前線のシャープさを前面に出したウェストハムが勝ち点3を積むこととなった。
ひとこと
ウルブスの攻撃の流れの悪さはいよいよ結果に内容が引っ張られているパターンに見える。
試合結果
2024.12.9
プレミアリーグ 第15節
ウェストハム 2-1 ウォルバーハンプトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:54’ ソーチェク, 72‘ ボーウェン
WOL:69’ ドハーティ
主審:ジョン・ブルックス
今節のベストイレブン
エバートン【15位】×リバプール【1位】
ひとこと
試合結果
2024..
プレミアリーグ 第15節
エバートン – リバプール
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:
LIV:
主審:マイケル・オリバー