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「Catch up Premier League」~Match week 8~ 2024.10.19-10.20

目次

トッテナム【9位】×ウェストハム【12位】

一点突破での逆転劇

 代表ウィーク明けの初戦はロンドン・ダービーでのスタート。トッテナムの本拠地に乗り込むのはイプスウィッチを豪快に倒したウェストハムだ。

 中盤でのボールを奪い合うデュエルでスタートしたこの試合。時間の経過とともにボールを持って押し込むようになったのはトッテナム。ウェストハムはバックスにプレスをかけずに中盤のパスコースを固めつつ、跳ね返しにフォーカスする。

 マディソンとクルゼフスキは当然ウェストハムにとっても懸案事項。ブロックの中ではマンツー、外に下がったら無理に追いかけないことを徹底してブロックと要人のケアを両立する。トッテナムはマディソン、クルゼフスキからの揺さぶりやソンのミドルなど、少しずつブロック外から削っていく作業にフォーカスする。

 ウェストハムはカウンターから反撃。右サイドのボーウェンの突破によりファン・デ・フェンをサイドに釣りだすと、ファーサイドで余ったクドゥスに決定機を得る。

 先制点もこの形。エメルソンのオーバーラップからトッテナムのDFラインを横にずらすと、トッテナムのバックスがバタバタ。その流れのままクドゥスがゴールを押し込んだ。

 このままブロックを組みながらカウンターというプランに徹していればウェストハムは勝利することが出来たかもしれない。実際に先制点以後もトッテナムは脆いサイド守備を見せていた。

 しかしながら、少しずつトッテナムはウェストハム陣内を侵攻する。高さで跳ね返すことはできていたが、水際という感覚があったのだろう。少しずつ前に出て行くように。オーバーラップなど攻め筋の構築も積極的だった。

 だが、それが裏目に出たのが同点ゴール。エメルソンがオーバーラップしているタイミングでボールを失い、あっさり背走させられる形となったウェストハム。得点も失点もエメルソンのオーバーラップがトリガーに。クルゼフスキのミドルはさすがであった。

 ロストとオーバーラップの掛け合わせで一気に苦しくなったウェストハム。試合はタイスコアでハーフタイムを迎える。

 後半はハイプレスで入ったウェストハムだったが、トッテナムはこれをひっくり返す形で反撃。守備に回った時には攻め込まれていたウドジェがオーバーラップで存在感を発揮し、勝ち越しゴールを奪う。

 さらにトッテナムはカウンターで追加点。ウェストハムの中盤でのロスト×SBの背後をつかれるという前半と全く同じ形でトッテナムに大きい1点を与えてしまう。

 前半からの悪癖が全く治らなかったウェストハムは以降も同じ形からピンチに。試合を決める4点目もあっという間に入ることとなった。

 クドゥスの退場というおまけまでつくなど踏んだり蹴ったりだったウェストハム。弱みを突き続けたトッテナムが会心の逆転勝ちを見せた。

ひとこと

 一点突破にフォーカスすれば強いトッテナムにウェストハムは穴を見せてしまった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
トッテナム 4-1 ウェストハム
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:36‘ クルゼフスキ, 52’ ビスマ, 55’ アレオラ(OG),60‘ ソン
WHU:18‘ クドゥス
主審:アンディ・マドレー

イプスウィッチ【17位】×エバートン【16位】

柔軟なゲーム運びを見せたエバートンのCH

 立ち上がりからリズムを掴んだのはエバートン。ハイプレスに出ていくことでイプスウィッチのバックスを苦しめにいく。エバートンのハイプレスをひっくり返したいイプスウィッチだが、自陣でのパスワークでエラーが発生。キャルバート=ルーウィンのショートカウンターを喰らってしまう。

 全体的にパワーで押し潰されている感が強いイプスウィッチ。エバートンはサイドから深い位置を取ることでイプスウィッチの陣内に踏み込んでいく。

 先制点を決めたのはエンジアイ。見事なシュートであったが、イプスウィッチのボックス内でのボール処理の甘さが際立ってしまった印象だった。

 反撃に出たいイプスウィッチは密集に強引に1人で突っ込んだクラークがPKをゲット。だが、これはOFRでノーファウル判定に覆ってしまった。

 30分が過ぎたあたりから少しずつイプスウィッチが押し込む流れに。3-2-5の変形から敵陣に入り込んでいく。エバートンの守備はサイドを埋めることを優先。自陣に構えるエバートンはカウンターで一発でひっくり返すことを狙っていく。

 そのエバートンはセットプレーから追加点。CKで角度のないところからキーンがゴールを奪う。

 イプスウィッチは高い位置からのチェイシングを後半も継続。このプレスを回避するのに効いていたのはエバートンのCHコンビ。結構硬質なキャラクターのコンビかなと思ったが、保持もまぁまぁいける感じ。特にドゥクレは低い位置からのパスを散らしつつ、高い位置に顔を出しては攻撃参加。ボールを動かすことによってプレーを柔軟に変える姿が素晴らしかった。

 そんなこんなでエバートンはイプスウィッチの守備を背走させることに成功。後半も試合を優勢に進めていく。この点ではイプスウィッチはうまくエバートンを追い込むことができなかった。デラップは馬力はあるが、動きが直線的であまり刺さっていたように見えなかった。

 このようにイプスウィッチは延々とスイッチが入らない展開が続く。保持では効果的な前進ができないし、プレスのきっかけを掴むことができない。

 このままエバートンは逃げ切りに成功。力比べできっちり上を行ったエバートンがイプスウィッチを正面から押し潰して見せた。

ひとこと

 序盤から優勢だったエバートン。似たような強度勝負ではやはり一枚上手だった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
イプスウィッチ 0-2 エバートン
ポートマン・ロード
【得点者】
EVE:17‘ エンジアイ, 40’ キーン
主審:マイケル・オリバー

マンチェスター・ユナイテッド【14位】×ブレントフォード【11位】

CFに帰還した大きな柱が逆転勝ちを牽引

 現在の順位は14位。ユナイテッドに求められるのは一刻も早い勝ち点3である。しかしながら、序盤はその思いとは裏腹にうまくペースを握ったのはブレントフォード。ハイプレスでの高い位置からのプレッシャーでユナイテッドを敵陣まで押し込んでいく。

 一方、保持ではショートパスからの前進にこだわる姿勢を見せるブレントフォード。構える方針で受けるユナイテッドだったが、ダロトが飛び込んではピンチを迎えてしまうなど不安定な状況はここでもという感じであった。

 しかし、そんなユナイテッドの救世主になったのは縦パスをきっちり収めてくれる前線の起点。スターターにようやく戻ってきたホイルンドを軸としたコンビネーションから左右に大きく振ることでチャンスを作る。もちろん、ホイルンドと繋がった選手が直接ゴールに向かってもOK。大外で仕掛けの機会を待つガルナチョとインサイドからの抜け出しを狙うブルーノとラッシュフォードという攻め筋でユナイテッドはアタッキングサードでチャンスを作っていく。

 ブレントフォードも保持の仕上げには左WGのルイス-ポッターが関与。両チームとも左サイドは仕上げになる。だが、ガルナチョも含めてなかなか試合を決めるようなワンプレーを見せることができない。

 時間の経過とともに押し込む機会を増やしたのはユナイテッド。ホイルンドというボールの預けどころを活かして、ブレントフォードを自陣に押し込む。ブレントフォードはカウンターのカラーが濃くなるように。プレスラインは一旦下げてブロックを組むことを受け入れる。

 だが、先制点は引いて受けるブレントフォードが仕留める。セットプレーからピノックが豪快なゴール。ユナイテッドとしては治療のためデ・リフトがいない間にゴールを決められたという不満が残る1点となった。

 しかし、後半にすぐさまユナイテッドは追いつくことに成功。ホイルンドを軸としたコンビネーションは後半も健在。押し込む機会を作っていくと、ラッシュフォードからのボールをガルナチョが仕留めて試合を振り出しに戻す。中央で作ってサイドで仕上げるという連携が完成した瞬間であった。

 さらにユナイテッドはそのまま追加点をゲット。今度はホイルンドがブルーノとの連携で中央をこじ開けることに成功し、リードを奪う。

 最後はブレントフォードにボールを渡し、ブロックを組んで守り切ることでミッションコンプリート。攻め筋を完結させたユナイテッドがホームで勝ち点3を手にした。

ひとこと

 ホイルンドを軸とした連携は抜群。大きな戦力が帰ってきた。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 ブレントフォード
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:47‘ ガルナチョ, 62’ ホイルンド
BRE:45+5’ ピノック
主審:サム・バロット

フラム【8位】×アストンビラ【5位】

前半の優勢の陸続きとなった後半

 立ち上がりは共に保持から解決策を探すスタート。フラムはボールを動かしつつ、狙いを定めたのは左サイド。イウォビのフォローを使いながらロビンソンが高い位置を取ることで押し込んでいく。同じく自陣からのショートパスで組み立てたいビラはディーニュの抜け出しというサイドのズレから攻め込んでいく。

 ディーニュに抜け出したことによりサイドでマンツーに徹底的についていくことで相手を逃がさない方針に決めたフラム。逆に自軍の保持においては相手をクリティカルに剥がすことに成功。レノからのロングキックで抜け出したヒメネスがあっという間にゴールを生み出す。

 しかし、すぐにビラは同点に。マンツーでついてくるイウォビを剥がしたキャッシュからライン間のロジャーズに差し込むと、そこから一気に同点ゴールまで。マンツー色の濃いプランが同点弾のタイミングでは仇となった格好だ。

 以降も相手についてくる意識の高いフラムの中盤をオフザボールで釣りだしたり、逆に左サイドではラムジーが相手を完全に振り切るフリーランから一気においていくパターンも。特にラムジーのオフザボールは効果が高く、左サイドからの抜け出しから多くの決定機を続々と迎える。

 押し込まれるフラムはビルドアップの位置が低くなり、ミスを連鎖的に誘発。アストンビラにあっという間にボールを奪い返され、自陣でのプレー時間がかさむことに。タイスコアではあったが、両チームの勢いは対照的だったといえるだろう。

 後半、押し込みながらボール保持で崩し切る形を作りに行く両チーム。優勢だったのはアストンビラの方だろう。ロジャーズの右サイドでのワンツーから敵陣のボックス内に迫っていく。

 優勢だったアストンビラはCKから勝ち越しゴールをゲット。ニアに入り込んだワトキンスがリードを奪うゴールを決める。

 苦しいフラムにさらに追い討ち。抜け出した相手を倒したアンデルセンが一発退場。これでフラムは10人となる。終盤に見られたオウンゴールは変わって入ったディオプが関与したものである。

 切ない終盤を迎えたフラムに対してアストンビラはゆったりと試合を落ち着けていく。フィロジーンの退場は明らかに余計なものであったが、幸運なことに試合の結果には大きな影響はなし。後半の優勢な展開をスコアに結びつけたアストンビラがアウェイで勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 後半に一気に差がついた一戦だった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
フラム 1-3 アストンビラ
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:5‘ ヒメネス
AVL:9’ ロジャース, 59‘ ワトキンス, 69‘ ディオプ(OG)
主審:ダレン・イングランド

ニューカッスル【7位】×ブライトン【6位】

ワンチャンスで仕事をしたストライカー

 ボールを持つ機会が多かったのはニューカッスルの方か。リヴラメントを除いた3人のバックスをベースに3-2-5を形成。やや外循環ではあるが、押し込むことに成功する。キーになったのは左サイドのポジション交換。ゴードン、ジョエリントンがレーンを変えながら敵陣に入り込んでいく。

 サイドから押し下げるニューカッスルはイサクに決定機がやってくるが珍しく空振り。先制のチャンスを逃してしまう。

 ブライトンはアンカーを管理しつつ高い位置からプレスをかけていきたい流れだったが、この狙いはやや不発気味。押し下げられる機会が多い立ち上がり。フェルトマンはボックス内の不安定な対応であわやハンドを取られてしまうという感じだった。

 保持でも左サイドへのロングボールを狙う形は効果的だったかは微妙なところ。外循環でもショートパスで確実に進むニューカッスルの方が手応えがある展開だった。

 しかしながら、この日はイサクが押し込む中で数回訪れるチャンスを決め切ることができず。決定力に優れるイサクらしからぬパフォーマンスで試合を優位に進め損ねるニューカッスルであった。

 そんなニューカッスルを尻目にブライトンはワンチャンスを活かす形で先制点をゲット。ウェルベックは見事な一発回答ではあったが、ホールやシェアなど数的同数を受け入れたニューカッスルのバックスのコントロールの拙さが非常に目立った失点場面となった。

 失点したニューカッスルは人をバタバタと追いかけ回して試合を活性化する。押し込むフェーズにおいてもゴードンが角度のあるところからゴールを狙っていくがこれはフェルブルッヘンがセーブ。ゴールを許さない。

 後半、マンツーでのハイプレスをスタートして勝負に出ていくニューカッスル。前半と同じく左サイドのポジションチェンジを使いながらゴールに向かっていく。ゴードンは大外からの仕掛けだけではなく、右サイドからのクロスに入り込むアクションも織り交ぜながら。

 ブライトンは6バックになる場面もありつつ、サイドを固める守備から相手のプレスをひっくり返すことで敵陣に入り込んでいく。三笘が入ってくると徐々にブライトンは通常影響に。左右のWGを起点にした定点攻撃で少しずつ展開にフラットにしていく。

 らしいポゼッションも少しずつ。外のポイントを作りつつ、インサイドは細かいパス交換からコンビネーションの打開で敵陣に迫っていく。

 終盤戦は非常にオープン。どちらのチームにもチャンスはあったが、よりゴールに迫ったのはニューカッスル。だが、ラインを上げてコントロールしたブライトンがきっちりオフサイドを取ってこれをシャットアウト。見事に逃げ切りに成功した。

ひとこと

 ストライカーのタイパがそのままスコアに現れたようにみえた。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
ニューカッスル 0-1 ブライトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
BHA:35′ ウェルベック
主審:ピーター・バンクス

サウサンプトン【19位】×レスター【15位】

サイドのマッチアップの変化がゲームチェンジャーに

 昇格組同士の一戦。今季初勝利を狙うサウサンプトンに対して、すでに1勝目を手にしたレスターという構図の試合だ。

 ボールを持つのはサウサンプトン。後方を3バック気味の組み立てに。菅原をサイドに押し出す形でディブリングとの連携を活かしていく。レスターはバックスを無理に追いかけることはせずにカウンター勝負。セットプレーを奪うことでチャンスを狙っていく。

 ボールを持つサウサンプトン、カウンターのレスターという構図で結果を出したのはホームチーム。ダウンズのクイックリスタートから抜け出したウォーカー=ピータースのところからアーチャーが先制ゴールを決める。先制点以降も左サイドのウォーカー=ピータースは起点になり続けるなど継続的に攻撃のポイントになっていた。

 一方のレスターもカウンターから反撃。サウサンプトンが引いて受ける姿勢が増えるなど押し込む状況を作れるように。全体が押し下げる中でマヴィディディやエル=カンヌスなど2列目の降りるアクションから打開策を探りにいく。

 押し下げられると少し苦しいサウサンプトンだったが、そういう状況で存在感を出したのはまたしてもウォーカー=ピータース。左サイドからの1on1の突破でアリボの追加点をアシストする。

 押し込む構図を作りながら痛恨の失点をしてしまったレスター。引き続き2列目が狭いところから打開をしようとするが、スコアを動かすことはできず。試合はサウサンプトンのリードでハーフタイムを迎える。

 後半も先制点以降と構図は同じ。レスターが押し込みながらサウサンプトンが一発を狙う形。サウサンプトンのゴールに迫る姿勢は前半と変化はなし。ファエスがあわやオウンゴールという対応を見せるなど不安定さを見せるレスターだった。

 しかし、そうした不安定さの流れを変えたのがファイアーフォーメーションへの変更。SBにファタウをコンバートしたクーパーの一手。中央に絞って狭いエリアで仕事をしたい2列目をそのままに大外で1on1ができるファタウを置くことでレスターは攻撃力を増す。サウサンプトンは菅原の負傷交代でWBにフレイザーを起用せざるを得なかったのも手痛かった。

 大外からの仕掛けでブオナノッテの追撃弾を手にする原動力となると、2点目ではクロスに飛び込むアクションでフレイザーのDOGSOを誘発。同点ゴールにつながるPKとともに数的優位を確保する。

 以降もサイドからファーへのクロスを狙うことで決勝点を狙うレスター。4-4-1でなんとか耐えようとするサウサンプトンだったが、最後はセットプレーで決壊。アイェウのミドルがネットを揺らしたのは98分のことだった。

ひとこと

 フレイザーの交代とファタウの登場が完全にゲームチェンジャーとなった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
サウサンプトン 2-3 レスター
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:8‘ アーチャー, 28’ アリボ
LEI:64‘ ブオナノッテ, 74’(PK) ヴァーディ, 90+8‘ アイェウ
主審:アンソニー・テイラー

ボーンマス【13位】×アーセナル【3位】

またしても10人縛りで今季初黒星

 レビューはこちら。

 ここまで公式戦無敗で来ているアーセナル。ボーンマスとのアウェイゲームを制し、何とか日曜に試合を控える上位勢にプレッシャーをかけたいところだろう。

 しかし、この日のアーセナルは立ち上がりからどこかちぐはぐだった。中盤の重心が低く、自陣側にかなり重たい陣形に。ライスとトーマスは交互にサリーするし、メリーノもほぼCHのような振る舞いで全員が一個後ろに入ったような陣形だった。

 もちろん、これでつながれるのならばもちろん問題はないのだが、蹴っ飛ばしてしまうのだから単なる前後分断が発生してしまうことに。アーセナルの両翼はスターリング、トロサールとロングボールのターゲットとしては十分ではない選手ばかり。唯一の的となったハヴァーツへの負荷はえぐかった。

 というわけでなかなか押し上げきれないアーセナル。ボーンマスも前線に長いボールをシンプルに入れるのが第一候補。アーセナルのCB相手に制空権を握れたわけではなかったので、最短で収まるルートを構築できたわけではなかった。

 一進一退の攻防の中で少しずついい手ごたえを見せていたのはアーセナル。だが、そのアーセナルに落とし穴。トロサールの地獄のバックパスミスで不意を突かれたサリバが一発退場。アーセナルは以降も10人として戦うことになる。

 後半、ボーンマスは左サイドに攻撃をフォーカスすることによって、アーセナルの切り崩しにトライする。セネシの持ち出しからケルケズ、スコット、そして左に移ってきたワッタラ。このメンバーでトーマスを越えることが出来れば一気にアーセナルの面々を背走させることが出来るだろう。

 実際にこの形から左サイドを破ってのチャンスメイクを見せたボーンマス。右に移ったセメンヨはフィニッシャー役に移行し、インサイドに入り込んでのシュートを繰り返す。

 こじ開けたのはセットプレー。ニアフリックをミドルが打てる位置に落としたクライファートはお見事。クリスティが期待に応え先制ゴールを奪う。

 以降もペースはボーンマス。機を見たハイプレスは後半も炸裂。キヴィオルのバックパスを見逃さずにPKを奪取。80分を前にさらにリードを広げる。

 押し込みかえす機会をなかなかつかみ取れないアーセナル。押し込んだ際にも強引な中央突破や、パスもズレ、そしてカウンターを受けてしまうように。

 結局試合はそのまま終了。10人で解決策を見つけることが出来なかったアーセナルが今季は黒星となった。

ひとこと

 10人でまたしても勝ち点を落としたアーセナル。10人になると毎回勝てないので毎回厳しさを痛感している。それにしても先制点は見事だった。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第7節
ボーンマス 2-0 アーセナル
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:70’ クリスティー, 79‘(PK) クライファート
主審:ロベルト・ジョーンズ

ウォルバーハンプトン【20位】×マンチェスター・シティ【2位】

WGのカラーが終盤に定まりなんとか間に合う

 前日にアーセナルが敗れ、後ろの時間帯ではリバプールとチェルシーが鎬を削る。上位勢が足踏みしている、もしくはする予定の状況を考えるとシティはここは落としたくないところだろう。

 序盤は保持のターンを取り合うスタート。ウルブスも右の大外のセメドへの対角パスなど保持からのチャンスを探る立ち上がりとなった。しかしながら、WGにボールを預けるシティが徐々にウルブスを押し込む展開になっていく。

 だが、先制点を決めたのはウルブス。ブエノがドクを引き付けて背後のセメドにパスを出すと、ここから誰も触れない素晴らしい軌道のクロスをファーに送る。これをラーセンが決めてワンチャンスをモノにする。

 失点してもシティは落ち着いて保持から押し込んでいく。3-2-5をベースに2の一角に入るルイスや3の左のグバルディオルなどが攻撃に参加する隙を伺う流れであった。

 ウルブスは大外のWGに対してダブルチーム、さらにはハーフスペース特攻に対してはCHがスライドすることで押し込まれた時のケアを準備していた様子。シティはこのウルブスの策を外せるかどうかという構図。特に左のドクがボールを持った時にハーフスペースに突撃する選手がアンドレを外すことができるかどうかは非常に重要なポイントだった。

 だが、大外のダブルチームとハーフスペースケアに奔走していたウルブスに落とし穴。CHが留守になったところをミドルで沈めたのはグバルディオル。左利きだが、ゴールは右足という彼のジンクスは今節も健在。もはやお馴染みとなった逆足でのミドルを素晴らしいコースに決めてシティは試合を振り出しに戻す。

 以降も、大外ダブルチーム、ハーフスペースケア、ミドルの三択にウルブスはかなり悩まされることに。後ろの守備に人員を割くことでカウンターの機会も時間の経過とともに減少。セメドの抜け出しとアイト=ヌーリのクロスくらいしかクリーンなカウンターを打つことができず。救いだったのは終了間際のスーパーセーブなどジョゼ・サのセービングの感覚が当たりの予感だったことだろう。

 後半もシティが押し込むという大枠は変わらず。シティはWGの左右を入れ替え、ウルブスはCHをアンドレからレミナにスイッチする。

 ドクとサヴィーニョの左右を入れ替えたことでシティは順足WGが両サイドに揃う格好に。この変更は正直あまり効果があったようには思えなかった。どちらも縦方向にプレーが制限されることで対面のWBの狙いは絞りやすくなっていたし、自身にシュートの選択肢が消えた分、トランジッション局面でウルブスのダブルチームが間に合わない時にも素早くゴールに向かう手段がなくなってしまった印象だった。

 最終的にシティはグリーリッシュとベルナルドという引き出しの多いタイプを外に置く形で味変。正直、こっちにとっととたどり着く方がベターだったと思う。ウルブスは引いて受けるアクションを続けつつ、フォーブスやベルガルドでカウンター機能を強化する。

 シティはグリーリッシュに攻め手を集約することでようやくアタッキングサードで脅威を与えるフェーズに踏み込めた感があった。90分過ぎからのセットプレーの連打からストーンズがゴールを叩き込み、ギリギリなんとか間に合わせることに成功。逆転勝ちでシティが勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 苦しいながらも今は勝ち点を積めればOKの時期。そういう時期にこういう形で結果を出せたのはシティにとっては大きいだろう。

試合結果

2024.10.20
プレミアリーグ 第8節
ウォルバーハンプトン 1-2 マンチェスター・シティ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:7‘ ラーセン
Man City:33′ グバルディオル, 90+6′ ストーンズ
主審:クリス・カヴァナー

リバプール【1位】×チェルシー【4位】

迅速な反撃のリバプールがチェルシーの一手先をいく

 トップ4同士の日曜ナイターのビッグマッチ。アンフィールドで激突するのはリバプールとチェルシーだ。

 まず、ボールを持つ立ち上がりとなったのはチェルシー。いつもはCHの役割がかなりはっきりと分かれている印象だが、この日先発のラヴィアはエンソと比べると行動範囲は狭く、より深い位置に寄っていた。明確にエンソの役割をコピーするというよりはラヴィアらしく振る舞うことを優先した感があった。

 いつもであれば、上下動するエンソかパルマーが攻撃の出口になることが多かったチェルシーだが、この日はパルマーが明確にマークされているうえにエンソ役はいなかった分、敵陣に向かっていく成分は少なめ。サンチョのアイソレーションを使いたそうな雰囲気は感じることはできたが、対面のアレクサンダー=アーノルドの粘り強い対応が光る。逆サイドのマドゥエケの方が可能性は感じられるが、こちらもリバプールの折り返しへの対応は安定であった。

 リバプールはボールを奪うとカウンターに移行。縦に素早くパスを刺すことで一気にトランジッション成分を活用する構えを見せる。時間の経過ともにリバプールはGKを絡めたビルドアップの時間も増えていくが、やはりこの日効いていたのはトランジッション。前線に素早く当てる形が最もハマっていた。

 逆に言えば、敵陣ではマンツー気味のハイプレスと自陣ではリトリートしての4-4-2ブロックを使い分けるチェルシーは盤面を落ち着かせればなんとかピンチを防ぐことができそうな風情であった。だが、この日のチェルシーはビルドアップにおける縦パスのミスが多く、自らリバプールのカウンターの引き金を引いてしまっていた。

 ボックス内での対応がグレーなものが続いていたが、ついにコルウィルがPKを引き当ててしまうことに。これをサラーが仕留めてリバプールが先制する。以降もチェルシーのビルドアップの危うさがピンチを招くことがしばしば。ミスの少ないリバプールをこじ開けなければいけないチェルシーに比べると、リバプールの方が手軽にゴールに迫る術を持っていた印象だ。

 迎えた後半は前半の頭と同じ流れ。チェルシーが3-2-5からポゼッションベースの展開をスタート。リバプールのブロックを崩しにいく。前半はサイドへの迂回が優先だったが、後半は中央をかち割ることでチェルシーは同点ゴールをゲット。ジャクソンの抜け出しはギリギリオンサイドだった。

 だが、リバプールはすぐに反撃。右の大外のサラーにボールを送るとクロスに飛び込んだのはジョーンズ。難しいシュートになったが、よくゴールを決め切った。

 スコア的には優位に立っているリバプールだが、自陣でのビルドアップのミスからピンチを招くことも後半はしばしば。前半のチェルシーのように隙がある内容だった。

 だが、HT交代で入ったネトをはじめとして、チェルシーはアタッキングサードでの仕上げが見つからず。後半にキレを増したカイセドのゲームメイクに応えられない時間帯が続く。結局終盤まで試合は活性化せず。制御された展開の中でリバプールが逃げ切り勝利に成功した。

ひとこと

 リバプール、まずは第一関門突破。いい時間帯における攻撃の破壊力のピーク値が相手よりも上だった感がある。

試合結果

2024.10.20
プレミアリーグ 第8節
リバプール 2-1 チェルシー
アンフィールド
【得点者】
LIV:29′(PK) サラー, 51′ ジョーンズ
CHE:48′ ジャクソン
主審:ジョン・ブルックス

ノッティンガム・フォレスト【10位】×クリスタル・パレス【18位】

勢いの差が反映された後半に

 ここまで堅実な戦いが続いているフォレストとトンネルから抜け出すきっかけを見つけることができないパレス。対照的なシーズンとなっている両チームとの試合となった。

 どちらも守備の起点となるのは中盤。バックラインまで無理にボールを追うことなくある程度持たせてOKというイメージのスタートとなった。

 パレスは左サイドにアタッカーを集約するオーバーロード気味な姿勢を見せる。サイドから奥を取る形でスムーズに攻め切る形を作るのがこの日のエゼの右サイドへのコンバートへの意図だっただろうか?フォレストはサイドで早めに止める狙いよりも早くボールをつけられるかどうかが攻撃が機能する争点だった。

 一方のフォレストも左から。1stプレスラインを避けるように立つモレノやムリージョからボールを運ぶと、ここから奥を取る形を狙っていく。ハドソン=オドイのバックドアなどはその好例と言えるだろう。

 押し込む機会が多かったのはフォレスト。攻撃に枚数をかける分、リスクもあるが、後方を同数で止めることができるという信頼があるのだろう。実際にミレンコビッチはきっちりと高い位置からストッパーとして機能することを示すように。

 試合は徐々にフォレストペースに。押し込むフェーズが増えていくと、パレスからカウンターの機会が明らかに目減りしていく一方、アンダーソンのカットインなどアクセントになる動きからフォレストは攻め切るチャンスを手にする。飛び込むウッドにもかなり手を焼くことになっていた。CKからも決定機があるなど、セットプレーでもフォレストは手応えを感じる展開だった。

 パレスが押し込む機会を作ることができても、フォレストのブロックは強固。逆にフォレストにカウンターを喰らってしまうような展開となった。

 後半、フォレストはボールを持つスタート。鎌田を1列下げる5-3-2で構えつつ左サイドのラインブレイクからカウンターを狙うパレス。だが、その攻撃をさらにひっくり返されることでむしろフォレストがスピードアップしてカウンターに出ていく。

 時間の経過とともにフォレストは保持の機会をリカバリー。押し込むフェーズに突入する。相変わらずキレのいいアンダーソンの押し下げる動き出しからのセカンドボールを回収したのはウッド。虚をつくミドルシュートから先制点を決める。

 先制点以降も堅実に試合を進めることができたフォレスト。順当に逃げ切りに成功し、パレスに勢いの差を見せつけた。

ひとこと

 パレスはなかなか攻撃のブレイクスルーを見つけられず。おとなしくマテタじゃだめなのだろうか。

試合結果

2024.10.21
プレミアリーグ 第8節
ノッティンガム・フォレスト 1-0 クリスタル・パレス
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:65′ ウッド
主審:ティム・ロビンソン

今節のベストイレブン

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