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「要塞攻略の鍵を握る元シティ組」~2024.9.22 プレミアリーグ 第5節 マンチェスター・シティ×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第5節
2024.9.22
マンチェスター・シティ(1位/4勝0分0敗/勝ち点12/得点11 失点3)
×
アーセナル(2位/3勝1分0敗/勝ち点10/得点6 失点1)
@エティハド・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でマンチェスター・シティの10勝、アーセナルの2勝、引き分けが1つ。

マンチェスター・シティのホームでの成績

過去10回の対戦でマンチェスター・シティの8勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • シティは2015年1月の0-2での敗戦以降、直近9試合のホームでのアーセナルとのリーグ戦で無敗(W7,D2)。
  • アーセナルは昨季の2回の対戦で4ポイントを得ており、それ以前の15回の対戦と同じポイントを獲得している。
  • アーセナルは昨季の2回の対戦でいずれもクリーンシート。それ以前の16試合で1回しか達成していない。
  • アーセナルは直近6回のエティハド遠征での唯一のゴールは4-1で敗れた2023年4月の試合でロブ・ホールディングが決めたもの。
  • アーセナルは211回の公式戦のシティ戦で99勝。アーセナルが100勝以上を記録しているのはエバートンのみ。アーセナルはシティにとって最も多く敗れている相手。

スカッド情報

Manchester City
  • インテル戦で負傷したケビン・デ・ブライネには出場の可能性。
  • オスカル・ボブとナタン・アケは引き続き欠場。
Arsenal
  • デクラン・ライスは1試合の出場停止から復帰。
  • マルティン・ウーデゴール、ミケル・メリーノ、キーラン・ティアニー、冨安健洋、オレクサンドル・ジンチェンコは引き続き離脱。

Match facts from BBC sport

Manchester City
  • イングランドトップリーグにおいて初めて開幕5連勝を5つのシーズンで達成するチームになる可能性がある。
  • 3月31日のアーセナル戦でのスコアレスドロー以降、プレミアでの試合は13連勝中。
  • 2022年11月のブレントフォード戦以降、ホームでの公式戦では47試合負けておらずクラブ記録を更新中。
  • ペップ・グアルディオラがシティの指揮官としてアーセナル(16)より多く勝ち星を挙げている相手はバーンリー(17)だけ。
  • プレミアのホームゲームでは6試合連続で失点を喫しており、グアルディオラ指揮下における最長記録となっている。
  • エーリング・ハーランドは開幕4試合で9得点を決めており、トップリーグでは1951-52のユナイテッドのジャック・ロウリー以来のこと。
  • リーグ戦で個人が2桁得点に到達するのに要したもっと少ない試合数は1992-93のミック・クインと2022-23のハーランド自身が記録した6試合。
  • ハーランドは2013年12月のルイス・スアレス以降初めての4試合連続リーグ戦で複数得点を決めた選手になる可能性。
  • ハーランドはここまで他のプレミアの19チームよりも多くの得点を挙げている。
Arsenal
  • 3月31日のシティ戦以降、アウェイでのプレミアは6連勝中。
  • 12試合連続でアウェイでリードを許さずにプレーしたプレミアリーグ初めてのチームになる可能性。
  • 直近10試合のリーグ戦のアウェイゲームで9つのクリーンシート。
  • しかし、リーグ王者に対してのアウェイゲームは29試合で3勝のみ。
  • 昨季の開幕以降、PKも含めてのセットプレーから24得点を挙げており、リーグ最多。
  • ミケル・アルテタは指揮官としてシティに9敗を喫しており、他のどの相手よりも3つ以上多い敗北を喫している。
  • クリーンシートを達成すれば、アルテタはオーレ・グンナー・スールシャールに続いてグアルディオラが指揮したチーム相手に3試合連続無失点を記録した2人目の指揮官になる。
  • ブカヨ・サカがアシストを記録すれば04-05のティエリ・アンリに続き、開幕5試合でアシストを記録した2人目の選手になる。

予習

第2節 イプスウィッチ戦

第3節 ウェストハム戦

第4節 ブレントフォード戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

不定形での崩しを支えるキーマン

 壮絶な開幕5試合の相手に加え、1週間に3つのアウェイを戦うという鬼のようなスケジュールにぶち込まれているアーセナル。この週末を超えればホームでの4連戦と少なくとも移動面では負荷が下がり、リーグ戦の対戦相手も昇格組が続くことになる。

 つまり、この週末がアーセナルの序盤戦における最後の山場。しかし、待ち受けているのは中2日でのエティハド。あと1つというにはとてつもなく強大な山である。

 個人的には開幕5試合のカードを見た時には、勝ち点10、できれば11を取れれば最低限ノルマをクリアすることになるだろうなと思っていた。この計算から行くとシティ相手に負けたとしてもノルマは達成ということになる。

 だが、シティが勝てばリーグ5連勝でアーセナルとの勝ち点は5離れることになる。長いシーズンを考えれば十分にリカバリー可能な差だとは思うが、強さを見せ続けているシティに対しては重く感じる数字でもある。なんとか食らいついて勝ち点を奪い切りたい。

 とはいえ、今季のシティは好調。例年の序盤戦のシティは勝っているけども内容が例年に比べるとイマイチだなとか思ったりするのだが、今季は普通に強い。相手のハイプレスをいなすための保持におけるズレの作り方が上手いのとか、あるいはデ・ブライネorエデルソン→ハーランドのラインなどはまぁ年間を通して通常営業なのだが、アタッキングサードを壊し切る狭いスペースの攻略とハイプレスでスイッチを入れる頻度に関してはかなり仕上がっているなという感覚。

 特にハイプレスに関しては昨季はシーズンを通してもそこまでスイッチを入れる機会が多くなかったので、序盤からかなり積極的に取り組んでいるなという印象。年間を通して考えた時にそれがどちらに転がるかはわからないけども。

 前節のリーグ戦のブレントフォードはシティに対するハイプレス&リトリートのメリハリと自陣からのプレスを回避しながらの前進をかなりハイクオリティで行ったチーム。それにも関わらず、シティは逆転勝利をあっさりと収めることができた。そういう強さが今のシティにはある。

 Match factsではBBCが延々とハーランドの凄さを語り続けていたが、ハーランド以外にも好調な選手はいる。リコ・ルイスは開幕から高い位置での崩しに関与できることを証明し続けているし、デュエルでも見劣りするシーンは格段に減少。一人立ちするスケールアップした姿を見せるシーズンになっている。

 出遅れたロドリをカバーするコバチッチも悪くない。チェルシー戦で決めたミドルに加えて、バイタル付近の細かい崩しにも関与。ゲームメイクをしつつ、アタッキングサードで決定的な仕事をするというシティのアンカーに求められるクオリティを見せる序盤戦となっている。

 逆にインテル戦で出場したロドリはもう少しといったところ。長いレンジのパスが彼基準ではやや安定しないというか。パスミスはないのだけども、受け手がちょっと手間取って次のプレーにスムーズにいけないシーンが目につく。少しコンディションが上がりきっていないようにも見える。

 構造的にめんどくさいのは圧倒的にデ・ブライネとベルナルド。シティの厄介な点はなんも行っても「これやっておけばいい」という攻略法を見つけにくい、もしくは見つけたとしても長持ちしない点だが、この要素を司っているのがこの2人。

 デ・ブライネは主に左サイドの大外にフローすることでフリーになり、大外からクロスや同サイドの裏を狙うアクションを見せる。今季のシティは大外にWGカラー強めの選手を置く習慣を復活させているが、デ・ブライネが大外に登場した時にはきっちり内側に入るなど整理されている印象。まずはフリーで受けてしまえば、クロスなりミドルなり距離があってもゴールを覗けるデ・ブライネはめんどくさい。彼を起点とする攻撃に引っ張られた結果、インサイドがフリーになったらそれはそれで厄介だ。

 ベルナルドはプレス関連の対応責任者。前に出ていくプレスの旗頭は彼だし、逆に前からプレスに来た相手に対するズレを作るのも彼。まずは最終ラインに下がりながら、マークがどこまでついてくるかを確認。大抵の場合、数分でついてこれない領域でのボールタッチに目処が立つので、シティに対するプレスの有効な時間はそんなもんである。

 右サイドはサヴィーニョが大外に張るケースが多い分、レーンチェンジは左サイドほど複雑にはなりにくい。だが、ベルナルドが手前に奥行きを使うという点では左とは異なる厄介さがある。

塹壕戦の上にどれだけのものを重ねられるか

 先に述べたが、シティの特徴は不定形。もちろん、3-1-6~3-2-5という基本形はありつつもビルドアップもサイドの崩しも自在に枚数をかけながら変化させるため、特定の形に対応する意義は見出しにくい。

 そのため、アーセナルに求められるのはスクランブルな状況に対応する力。そういう意味では穴を空け続けたものの最後のところでやらせなかったノースロンドンダービーは自信につながるはずである。出し抜かれてからの無理の効く対応は今のアーセナルの陣容の最大の強み。この強みはシティ戦でも生きてくるはずだ。

 アウェイでの連戦が続く状況や怪我人が続出している基本的にはアーセナルはボールを持たれる展開を想定するしかないように思える。いわば、ブレントフォードがやったハイプレス&リトリートの使い分けと自陣からの擬似カウンター寄りの保持の設計をより高水準でこなすことで勝利の確率を上げていきたい。

 非保持のことを考えればアタランタ戦のスターターの継続は濃厚だと予想する。フル出場したマルティネッリはトロサールと入れ替わる可能性があるが、押し込まれる展開であれば馬力のあるマルティネッリにより向いている盤面になる。

 ハイプレス&リトリートの使い分けはそれなりにやれるのではないか。今のアーセナルは前線にその部分に信用のおける人しか起用しないし、ノースロンドンダービーからライスが復帰したのは純粋なプラス。相手との力関係が不利になったのは確かだが、こちらもできることは増えている。

 トランジッションになったとしてもハーランドに関してはサリバとガブリエウは抑えた実績もある。絶好調のハーランドにそうした機会を与えること自体は当然避けるほうがベターだが、対抗できる兵力はあるだろう。

 気になるのは前に出ていく方である。ブレントフォードはトップに入ったウィサが手前に降りるアクションをかなり大きくかつサイドへの流れを織り交ぜることで起点となり、縦に速い攻撃のスイッチを一気に入れた。

 トップに入ることが想定されるジェズスがこの役割ができるかどうか。正直旗色は悪い。アタランタ戦では長いボールを収めることができず、速攻停滞の要因となった。オフサイドにかかるなど抜け出しのタイミングも悪い。それでも引く動きと裏抜けを織り交ぜて、まず彼が起点にならなければ、陣地回復は厳しいものになるだろう。

 ボールが収まり、中盤へのボールの落としで前を向く準備ができたらここから攻撃は一気に加速。厚みをもたらすには中央のハヴァーツとライスに加えて、WG2人の攻め上がりも求められることになるだろう。

 ハードな守備のタスクと前線へのスプリントの繰り返しを考えれば、両翼をそろって変える展開になることは十分に考えられる。そうなるとスターリングの出来は重要だ。守る局面でサイドを埋める一員としての役割と果たしつつ、前線に陣地回復のエネルギーをもたらすことができるか。ノースロンドンダービーよりもはるかにシビアな展開が想定される中で自身の存在意義を見つけられるかどうか。うまくいけば一気にファンの心を掴むことになる。

 基本は塹壕戦。その上でどこまでハイプレスに出ていけるか、攻撃のルートを開拓できるか、そしてプランを90分持続させられるか。この試合で鍵を握るのはジェズスとスターリングの元シティ組ではないかと予想する。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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