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「逃げない」~2020.8.1 J1 第8節 ガンバ大阪×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第8節
2020.8.1
ガンバ大阪(2位/勝ち点16/5勝1分1敗/得点12 失点7)
×
川崎フロンターレ(1位/勝ち点19/6勝1分0敗/得点20 失点6)
@パナソニックスタジアム吹田

戦績

近年の対戦成績

G大阪×川崎

直近5年間の対戦でG大阪の4勝、川崎の4勝、引き分けが3つ。

G大阪ホームでの対戦成績

G大阪×川崎②

直近10戦でG大阪5勝、川崎の1勝、引き分けが4つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・川崎は直近3試合のリーグ戦でG大阪に勝ちがない。
・直近の公式戦での対戦で勝敗がついた6回のうち、5回は勝利したチームが無失点を記録している。

 いよいよ関西シリーズが開幕。ということでこれまで向かうところ敵なしの相性だったこの項目も暗いものが徐々に出てきます。悲しい。関西シリーズのトップバッターは川崎にとっては浦和と並んで最も負け数が多い相手であるG大阪。直近3試合で勝ちがなく、いい流れで当たってもへし折られてしまう相性の悪さである。

 対戦全体の傾向としては勝敗がつく場合は得点が片方にしか入らないことが多い。過去に一度もスコアレスドローがなく、点の取り合いになった場合は引き分け決着になることが多いようだ。

<Head-to-Head②>
・計14回のリーグでのG大阪ホームゲームにおいて、川崎が勝利したのは一度だけ。
・直近2回のパナスタでの対戦ではいずれも10分以内に先制点が決まっている。

 川崎にとって特に相性が悪いのはホームゲーム。パナスタでの初対戦になった2016年が唯一の勝利。大久保嘉人の得点で1-0で逃げ切った試合で、過去をさかのぼっても川崎がG大阪ホームで記録したクリーンシートはこの1回だけだ。

 直近2回のパナスタではあっさり先制点が決まっている。どちらも決めたのはG大阪の方だ。

<Head-to-Head③>
・このカードが1位と2位の対決になったのは過去に一度。2006年7月の対戦で2位の川崎が首位のG大阪をホームで下している。
・8月の対戦は過去に2回。2007年と2011年でいずれもホームチームが3点差をつけて勝利している。

 天王山になったのは2006年の7月の対戦が唯一。マギヌンの決勝点で川崎がG大阪を下した試合だ。ちなみにこの試合ではG大阪に所属している家長が川崎相手に得点を決めている。

 8月の対戦は過去に2回。2007年にチョン・テセとジュニーニョがともに2ゴールを決めて4-1で川崎が勝利した試合と、2011年に一度は逆転した川崎をラフィーニャのハットトリックでG大阪が6-3と再逆転した試合だ。どちらもホームチームが3点差をつけての勝利をしているのが特徴だが、今回はどうなるか。

スカッド情報

【ガンバ大阪】

・小野瀬康介、アデミウソンの出場は不透明。
・昌子源、菅沼駿哉、新里亮は引き続き欠場の可能性が高い。

【川崎フロンターレ】

・中村憲剛は全体練習に合流。
・長谷川竜也は左膝内側側副靱帯損傷で4週間の離脱。

予想スタメン

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Match Facts

<G大阪のMatch Facts①>
・リーグ戦4連勝中。
・直近2試合はクリーンシートでの勝利。

 リーグ戦は4連勝中。仮に5連勝を達成すれば2018年10月ぶり。宮本監督が驚異の連勝を重ねてチームを一気に残留安全圏に引き上げたあの時以来である。

 直近2戦の勝利はいずれもクリーンシート。こちらも仮に3試合連続を達成すれば2014年9月ぶり。昇格直後に三冠を達成した年以来だ。

<G大阪のMatch Facts②>
・今季の公式戦の2敗は全てホームゲーム。
・昨季のトップハーフ相手のアウェイゲームは1勝のみ(D5L2)

 川崎が苦手としているG大阪のホームだが、G大阪の戦績だけを見れば特にホームが得意なわけではない。ルヴァンカップの柏戦、リーグでの大阪ダービーと今季敗れた2試合はいずれもホームゲームのもの。

 昨季のホーム成績を見ても、上位勢との対戦では引き分けの山であまり勝てていない。今季対戦している広島と大分は現在ボトムハーフ。上位勢相手のホームゲームで久々の勝利を決めたいところだ。

<G大阪のMatch Facts③>
・枠内シュート率(枠内シュート/シュート)がリーグトップ。
・渡邉千真は直近2年のホーム川崎戦で得点中。

 枠内シュート率は40.2%。リーグ唯一の40%台を記録している。シューターが優れているのか、シュートを撃つ局面まで持っていくのが上手いのかは継続的に見ている人に判断を任せたいが、スコアラーのばらつき(トップスコアラーは2得点)を推察するにシューター個人の力量だけではない可能性がある。

 前節は強烈シュートを決めた宇佐美が多くのG大阪ファンの脳裏にはあるだろうが、川崎ファンの嫌な記憶に焼き付いているのは渡邉千真の方だろう。G大阪加入以来2年連続ホームの川崎戦で得点中。キャリア通算で川崎とのホームゲームは6得点を記録している。

 今季の成績を見てみると、渡邉の出場時の1試合平均失点は0.34。チームの平均の1.00を大きく下回る。サンプル数がまだ十分ではなかったり、失点は1人だけのものではないとはいえ、献身的な守備でもチームに貢献していることが数字からも示唆されている。

<川崎のMatch Facts①>
・勝てばクラブ新記録のリーグ戦7連勝。
・5試合連続の3得点はクラブ記録。

 7連勝という未知との挑戦になる。このタイミングで苦手なG大阪と当たるのは数奇な運命。新たな扉を開くには難敵を乗り越えなくてはいけない。

 5試合続いた3得点以上はすでにクラブ記録。ちなみにG大阪のアウェイゲームにおいて、3得点を挙げて勝利をしたことはない。どちらの記録も続けたいのならば、パナソニックスタジアムで3得点での勝利という新しい扉を開かなくてはいけない。

<川崎のMatch Facts②>
・直近6試合のアウェイゲームで全勝。
・大阪でのアウェイゲームは直近6試合未勝利。

 アウェイゲームも好調が続き6連勝。昨年もホームは苦手だったがアウェイでは好調を維持していた。ただし、何度も述べているが、快進撃に水を差すのは大阪。2016年のパナスタが大阪の地での最後の勝利。天皇杯決勝も含めて嫌な思い出はいつだって大阪である。

 先ほどのアウェイ6連勝の起点となったのも昨年のG大阪戦に2-2で引き分けた次の試合から。ほんと嫌な思い出はいつだって大阪だ。

<川崎のMatch Facts③>
・鬼木達がリーグで3試合以上対戦している監督の中で勝利をしたことがないのは宮本恒靖のみ。
・中村憲剛はG大阪相手に8ゴール。新潟と並んで最もゴールを決めている相手。

 鬼木監督が3回以上対戦したJリーグの指揮官の中では唯一勝利していないのが宮本監督。他の監督には1回は勝っていることはそもそもすごいのだが、どうしても宮本さんには勝てない!なんで!

 意外にもG大阪戦を得意としているのは中村憲剛。このカードそのものにおいても最多得点者だ。全体練習合流直後でまだ復帰には時期尚早だろうが、一応こんなデータもあるんだよってことで。

展望

■五角形の中をあきらめない

 ざっくりといえばG大阪は前節の神戸戦と似たようなアプローチをしてくるのではないか。自分たちでボールを持つよりも、ボールを川崎に持たせるやり方だ。ただし、昨年までの川崎戦でおなじみだった撤退してのローラインブロックとは一味違う非保持に取り組んでいる印象だ。4バックも考えられるが、連勝中のいい流れを継続すると見た。

 大きく分けるとG大阪の守備は前の5と後ろの5に分かれる。後ろの5は5バックのこと。前の5は3センター+2トップで形成する五角形のことだ。川崎はこの5+5の攻略に挑むことになる。川崎との噛み合わせを考えると、G大阪の3センターは人に強く当たってくるはず。アンカーの矢島は神戸戦では相手のアンカーである佐々木を積極的に捕まえに行っていた。

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 2トップも2CBを監視できる状態だが、保持側のボール回しにGKを絡められるとどうしてもプレスの人手が足りなくなってしまう。2トップの主な目的はボールを取り切ることではなく、外に追いやることだろう。人に当たる3センターが内側でマッチアップ相手を厳しく監視しているとなると、当然保持側の逃げ場は外になる。外にいるSBにボールが出るとWBが素早くチェック。前や横への展開を許さずにフタをする。中盤も陣形をスライドし、真ん中を使った横断を許さない。

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 中央でMFがボールを触れない展開が続くと、ボール保持側のアンカーがCBの間に落ちる動きが出てくるはず。実際に神戸の佐々木はこの動きが多かった。それはそれで悪いことばかりではないのだが、この日の神戸がまずかったのは佐々木に代わって五角形の内側で前を向く選手がいなかったことである。内側で前を向いて脅威になる選手がいなかったためにG大阪は迷いなくボールの出所に狙いを定めることができていた。

 なので、川崎としてはアンカーがこの五角形からいなくなっても、この五角形の中央に誰かがいる仕組みにはしたいところ。G大阪に外か内かの判断を強いて、なるべく五角形をコンパクトにさせないことが肝要である。中にいる選手はプレッシャーがきついだろうがここは我慢どころ。ボールスキルに長けている大島か、穴を見つけてうけるポジショニングが優秀な登里が折を見て五角形の中に入れば、G大阪の守備陣には迷いが生じるはず。

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 ロストしたときのリスクは高いが低い位置からの山根の内側にカットインする形も中盤を引き寄せる形としては面白いと思う。SBの斜め方向の貢献度は対五角形としてのポイントになってくるかもしれない。

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 後方の5バックはとにかく人に強く、降りてくる選手には前を向かせないようにチェックをかける。G大阪の前線のプレスは去年よりもボールを誘導するのがうまくなっていて、狙いが定めやすくなった後方は対人の強さをより活かしやすい状況。川崎の前線は後ろの5人をピン留めしつつ前の五角形から引き離すイメージを持ちたい。

 特に川崎のCFが下がりすぎてしまうとG大阪の最終ラインは圧を高めてラインを上げてくる。そうなればよりコンパクトな状況でのボール回しの必要が出てくる。前線に必要なのは裏抜けなどの最終ラインとの駆け引き。湘南戦で見せた鈴木冬一の裏のスペースを狙う右サイドの連携は参考になりそうで、家長が引き付けた裏側に走りこむパターンからラインを押し下げるやり方は引き続き効果が期待できそうだ。

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 サイドチェンジのやり方としてカギを握りそうなのは脇坂。サイドからボールを受けた彼が体を入れ替えながら時間を作り、逆サイドへの展開役として機能できれば、川崎は素早くサイドを入れ替えることができる。G大阪の中盤のスライドとのスピード勝負に勝てるかは高い位置で起点になれる脇坂が機能するか次第だ。

■強み×強みの局面で真っ向勝負

 G大阪は高い位置からのプレスが機能すれば、タレント自慢のアタッカー陣が後は仕事をする。ただ、神戸戦ではあまりショートカウンターの状況自体が多くなかった。高い位置からのプレスは遅らせてやり直させる色が強く。取り切るためのハイプレスとは少し違う感じがした。奪ってから少し落ち着くような場面も結構見られており、ショートカウンターを起点に少ない手数で攻撃を完結させるような状況はそこまで多くなかった。ただ、小野瀬とアデミウソンが復帰すればより脅威は大きくなるだろう。アデミウソンが出てきたときのプレスの質はわからないけども。

 川崎としては仙台戦のようなミスからの失点はなんとか逃れたいところ。やり直すのは問題ないが、相手に貸しを作るようなプレゼントパスは勘弁だ。

 ここまで見てきたように前線からのプレスは改善がみられるG大阪。ただしボール保持に関しては難しい部分もあった。基本は昨季のように2CB+アンカーで菱形を形成する最終ラインのビルドアップである。ここで引いて受けてズレを作る役割を果たしていたのが宇佐美。これが効いていたかというと微妙なところ。

 G大阪のレビューを書いているちくわさんのところではこの宇佐美の動きについて考察がされている。神戸戦を見た個人的な感想としては、ほかに出口がなさそうだからとりあえず自分がやるという程度の感じに見えた。だって、他に預けられそうなところがなかったもん。

 宇佐美が降りることもそうだが、G大阪のボール保持になっているサイドの突破はとにかく人がかかる。ボールをじっくり持つ局面のサイド攻撃にはかなりの確率でボールサイドのCB(ヨングォンor高尾)が関わっており、両サイドCBとも高い位置を取ることもあるので、ボールロスト後の被カウンターは懸念の部分。

 そしてもう1つの問題はサイドの崩しや手前の段階で人をかけすぎていて、フィニッシュの局面の迫力に欠けていることだ。神戸戦は1点目が高尾のスーパーな楔(大崎のラインのコントロールも拙かったが)による、急加速する前進による解決。2点目は宇佐美がエリア内から打ち抜くという形でそもそもPA内に人は送り込んではいなかった。サイドで崩しつつ、中央に人を残すという課題を解決しないまま無理やり得点をもぎ取ったという印象が強い。攻撃時の人のかけ方のバランスは未整備といってよさそうだ。最も、それが整備できてなくても得点取れちゃうことの裏返しでもあるんだけど。

 G大阪の今季の強みはやはりプレスの方。川崎と戦ううえで相性がいい武器といえると思う。川崎は前線が降りずに我慢する、そして五角形の中央に起点を作る。相手の強いプレッシャーを弱めるために求められるのは、強いプレッシャーから逃げないこと。相手の強みをビルドアップの揺さぶりという強みで黙らせる真っ向勝負で鬼門攻略と行きたいところだ。

 これだけ考えて宮本さんがベタ引き5-4-1だったらもう笑うしかないね。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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